再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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内容は短いですが、それでも更新します。


来訪者編 殲滅前の準備

一高(うち)の野外演習場に全てのパラサイトが集結する!?」

 

「それは確かなのか、兵藤」

 

 放課後。

 

 俺は大事な話をする為、二人の受験生に報告していた。

 

 現在いるのはクロス・フィールド部の第二部室で、以前パラサイト討伐の協力をした場所。受験勉強中で忙しいのは重々承知しながらも、真由美の携帯端末に『パラサイトについて話したい事がある』とメール送信した数秒後、此処で話したいと返信された。

 

 言われた通りに来ると、十文字も当然のようにいたが、俺は全然気にしないどころか好都合である。それでも一応魔法大学の入学試験前に呼び出した事を謝罪するも、彼や真由美は全然気にしてないからと早く話をして欲しいと催促されたので、俺はレイモンドから聞かされた情報を公開した。尤も、あくまで教えたのはパラサイトが集結する事だけで、それ以外は伏せている。ジード・ヘイグの目的や、四葉家が俺を狙っている情報を知れば、積極的に関わろうとするのが目に見えてるから。

 

 そして自身の母校にパラサイトが集結すると知った直後、二人は驚愕して今に至る訳であった。

 

「絶対に来るとは言い切れません。ですがこの情報は、アイツも知っています」

 

「アイツ? ……チョッと待ってリューセーくん、それってまさか」

 

 真由美は思いっきり心当たりがあるようだが、それでも敢えて口に出さず俺の口から言わせようとしていた。

 

「ええ、真由美さんが想像している人物ですよ。司波達也です」

 

「……はぁっ、やっぱり」

 

 嘆息しながら額に手を当てている真由美。対して十文字は眉間に皴を寄せて、段々と怖い表情になっていく。

 

 アンジー・シリウスであるリーナも知っている事を話してもよかったが、下手すれば二人がUSNA軍側の機密に大きく関わってしまう為、そこも敢えて伏せておいた。

  

「どうやらアイツは、お二人に内緒で片を付けるみたいですね」

 

「達也くんの秘密主義は今に始まったことじゃないけど、せめて一高が関わる情報くらいは話して欲しかったわ」

 

「恐らく司波は、俺達が動けば向こうに警戒されると思い、敢えて教えなかったのだろう」

 

 腕を組みながら十文字が擁護するように言ってるが、俺にはそんな風に考えていない。あくまで俺の勝手な想像だが、司波は性格が悪い上に効率主義なところもあるから、真由美と十文字が動かれては不都合だと考えたのかもしれない。

 

 まぁソレに関しては同感であった。この二人が加わったところで、却って無駄な犠牲が出てしまう。言っちゃ悪いが、いくら真由美達が十師族の家系で相当な実力があると言っても、パラサイトを倒す手段を持っていなければ意味がない。例え参戦したところで、憑依したパラサイトを捕縛するのが精々だろう。

 

 俺としても本当なら、二人に教える気はなかった。けれど、敢えて二人に話したのには相応の理由がある。

 

「だが話を聞いた以上、明日の夜は俺も――」

 

「いえ、十文字先輩は真由美さんと同じく戦闘に参加せず、裏方に徹してもらいたいのです」

 

「え?」

 

 受験を控えていながらも、明日の夜の戦闘に参加する気満々だった十文字の言葉を遮るように言った。

 

 俺の言葉にキョトンとする彼女だけでなく、十文字も同様の反応を示している。

 

「………何故だ?」

 

 間がありながらも改めて問う十文字。

 

 別に彼は後輩の俺が手を出すなと言った事で不快になった訳ではない。あくまで自分を参加させようとしない理由を訊いているだけである事を、俺は充分に理解している。

 

「逆に問いますが、十文字先輩はパラサイトの対抗手段はお持ちですか? 霊子(プシオン)情報体に直接攻撃、もしくはそれを封印する為の魔法をお持ちであれば話は別ですが」

 

「む……」

 

 俺の問いに十文字は、まるで痛い所を突かれたかの如く途端に何も言い返せなくなった。

 

 この反応からして、やはりパラサイト相手じゃ荷が重いようだ。言っておくが、別に俺は彼を軽んじている訳ではない事を補足しておく。妖魔と言う専門外の相手に戦って倒せと言うのが無理な話なのだ。

 

「だが、それでも奴等を捕縛することくらいは……」

 

「真由美さんから聞いた話だと、以前にパラサイトは司波妹の魔法で氷漬けにされていたところ、宿主から離れる為に自爆したみたいですね」

 

「………………」

 

 自爆した後の対処が出来るのかと態々口にする必要は無かった。もう反論の余地が無いと、十文字が完全に押し黙ってしまったから。

 

「じゃあ私からも訊くけど、リューセーくんはそれに対抗する手段は持っているの?」

 

「勿論です。もし無かったら、今頃お二人に任せていますよ」

 

「ふぅん。そこまで言い切れるなら、一体どんな魔法を使うのかが逆に気になるわね」

 

「あはは……。それは流石にマナー違反ですよ、真由美さん」

 

 聖書の神(わたし)能力(ちから)で滅するなんて教えたところで、向こうは絶対信じないだろう。

 

 この世界は魔法と言うオカルトな存在が世間から認識されても、聖書の神(わたし)は未だに御伽噺(おとぎばなし)どころか空想同然の存在だ。例え俺が本当の事を言ったところで、真由美達は簡単に受け止められないのが目に見えてる。

 

「まぁ俺としては、司波()がどうやってパラサイトを倒すのかが気になりますが」

 

「達って……まさか深雪さん達も加わるつもりなの?」

 

「ええ、そこは断言出来ます。特にあの超絶ブラコン娘とじゃじゃ馬娘の二名は確定でしょう」

 

 超絶ブラコン娘は司波妹で、じゃじゃ馬娘はエリカの事を指している。二人が聞けば憤慨するかもしれないが、そうとしか言いようがない比喩なのだから。

 

 因みに真由美と十文字も既に誰の事か分かっているのか、改めて訊こうとしていない。

 

 隙あらば司波兄の傍にいたがる司波妹、これまで散々好き勝手にやっているエリカ。故に俺がそう表現するのは、決して間違っていないだろう。

 

「まぁ残りの一行もパラサイトに関わっているから、司波に協力するのが目に見えてます。真由美さんや十文字先輩に報せないまま内密に処理する、と言う感じで」

 

「「……はぁっ」」

 

 司波だけでなく、他の一行も自分達に無断で一高内でパラサイトを殲滅する事に、真由美と十文字は頭が痛いように嘆息していた。

 

「今度入学する予定の新入生が、達也くん達みたいに勝手な行動をする後輩じゃないことを願うわ」

 

 心の底から願うような真由美の発言に、俺は何とも言えなかった。寧ろ、司波達みたいなのが極稀だと思っている。そうなると俺もその一人になってしまうが。

 

 チョッとばかり気になった俺は、関係無い話だと分かっていながらも訊いてみようとした。

 

「因みに真由美さんからして、俺も司波達と同類なんですか?」

 

「さぁ、どうかしらね。少なくとも私は、リューセーくんを大事な後輩の一人と見ているわよ」

 

「それは大変光栄です」

 

「……話を戻すが兵藤、裏方をやる予定の俺達は何をすれば良いんだ?」

 

 全く関係の無い話に発展しそうだと思ったのか、十文字は軽く咳払いしながら本題に戻ろうとした。

 

「お二人にやって頂きたいことは――」

 

 俺が一通りの説明をした後、真由美と十文字は少しばかり眉を顰めるも、取り敢えずと言う感じで了承してくれた。

 

 普通なら十師族の二人が此方の要望に応えるなんてあり得ないのだが、俺が九校戦や横浜事変で色々活躍した事もあって動いてくれるそうだ。加えて、俺は司波達と違って自分達にちゃんと報告してくれたのがプラスになったらしい。

 

 そして話を終えた俺達は、明日に備えての準備を始めるのであった。




原作で達也が真由美達に報せたのかは分かりませんが、此方ではリューセーが事前に報告する形にしました。

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