本当ならオーフィスが登場して達也達との会話展開を考えましたが、それは長くなりそうなので、短く纏める事にしました。
オーフィスが俺に抱き着いた所為で、もう散々な目に遭った。レオが人をロリコン扱いした事を切欠に、司波達の誤解を解くのに少しばかり大変だったと言っておく。
それとは別に、幹比古がある確信に至ったようだ。オーフィスが神霊に間違いないと言う、チョッとした勘違いを聞いて。
俺は思わず噴き出しそうになるも、敢えて訂正することはしなかった。そうしてくれた方が俺にとっては好都合であり、彼女の存在を知られてしまう訳にはいかなかったから。
まぁ実際のところ、霊的な存在になっているから間違ってはいない。肉体を持っている筈の彼女が何故そうなっているのかを後で知ったのだが、どうやらこの世界へ渡る時、『抑止力』らしき存在の所為で制約をかけられたらしい。言うなれば神造精霊のレイとディーネみたく霊体化になれて、姿を現す場合は実体化も出来る状態だ。
有限の身に堕ちたところで、元無限の体現者である龍神が『抑止力』程度に負けはしないと思われるが、幾重の封印によってかなり弱体化されてる身であった為、受け入れざるを得なかったらしい。その結果、この世界にいる間のオーフィスは更に弱体化する事となった。
だがそれでも、充分強い事に変わりなかった。十師族どころか、各国にいる戦略級魔法師達が束になったところで、一撃で吹き飛ばす事が出来る。尤も、それは今の
オーフィスの登場は完全に予想外だったが、俺としては大歓迎だ。本当の自分を知っている
今まで分身拳を使って一人鍛錬をする日々であって、正直言ってチョッと寂しかった。だけどオーフィスが来てくれた事で、本格的な修行を行う事が出来る。別に最強の存在になるつもりは毛頭無く、嘗ての
っと、話が段々脱線して来たから、此処から先はオーフィスが召喚された後について軽く語っておく。
彼女は(一応)神霊と言う立場であって、(一応)召喚主になっている俺が世話することになった。と言うより、オーフィスが俺の家に住む気満々だったから。
途中で幹比古が『その神霊は吉田家が責任持って預かる』と少々興奮気味に提案するも、彼女が即座に『嫌』と返答された為にガックリとなったのは言うまでもない。随分あっさりと引き下がる事に思わず訊いてみるも、機嫌を損ねる事をしたくないそうだ。自然現象そのものである神霊を怒らせたら、『国』レベルの大規模な災害が起きるらしい。
それ故に神霊召喚は古式魔法師の中でもトップシークレットに値する為、幹比古が吉田家当主へ報告後、すぐに箝口令を敷かせるようだ。同時に他の古式魔法師達が万が一に
一先ずオーフィスについてはこれで一旦収まった。(アンジー・シリウスとして行動していた)リーナと別れた後、司波達が封印していたパラサイト二体を俺の方で片付ける予定だったが、何者かに持ち去られていたと判明する。
誰がそんな事をしたのかは結局分からず仕舞いとなってしまうも、俺には心当たりがあった。パラサイト殲滅前に此処へ来た時、第三者の中に九島烈の反応があった他、軍人と思われる集団もいた。状況からして九島達、もしくは別の集団が持ち去ったのだろう。司波兄も何やら気付いていそうな感じで、鴉と思われる黒い羽根を見ていたが。
本当なら後ほど九島に問い詰めたいのだが、どうせ彼の事だからのらりくらりと躱しながら教えてくれないだろう。俺とは一蓮托生な関係であっても、ああだこうだと口出し出来る立場じゃない。だから今は見逃すしかないが、もしパラサイトを悪用する為に持ち去ったと判明すれば、例え恩があっても遠慮なく邪魔させてもらう。本音を言えば九島とは敵対したくないが、な。
一件落着とまでは行かずとも、司波達は学校を後にしようとするが――
「た・つ・や・く・ん。このまま何事も無く帰れると思ったら大間違いよ~」
「疲れているところ悪いが、話を聞きたいので一緒に来てもらおうか。それと兵藤の傍に居るその少女の事についてもな」
真由美と十文字の登場により、問答無用かつ強制的に聴取される事になった。
司波達は何故受験生の二人が此処にいるのかと驚いていたけど、俺が告げ口したのだと気付いたのか、すぐに恨めしげな視線を送ってきた。
「あのなぁ、いくら野外演習場だからって結局は学校側のシステムに記録が残るんだぞ。今回の件は大ごとにしたくないから、密かに処理してくれるよう俺が真由美さん達に頼んだんだ。寧ろ俺からしたら、無断で演習場に侵入した挙句、何事も無く帰ろうとするお前達の行動に問題あるんだが? 特に風紀委員と俺と同じ生徒会副会長が、な。言っておくが俺は司波達と違って、ちゃんと正規の手順を踏んで此処へ来たぞ。いくら事件を解決する為に必要だったと弁明したところで、真由美さん達や学校側から見れば校則違反であることに何ら変わりない。尤も、お前達が真由美さん達に事情を説明していれば、こんな事にはならなかったんだが」
『…………………』
少々説教染みた俺の正論に司波達は誰一人反論出来なってしまい、真由美と十文字からの聴取を受ける選択しかなかった。
ついでに一応パラサイトの件が片付いたから、予定していた罰を翌日に実行することを教えた瞬間、一行(特にエリカとレオ)は更に項垂れる事になる。
そして漸く帰宅して、改めてオーフィスと話をしようと思ったのだが――
「ご主人様、お帰りなさいなの……って、その子は誰!?」
「! ね、姉さま! このお方に、失礼な、発言をしては……!」
「我の名はオーフィス。お前達について、リューセーから聞いた。我、お前達と仲良くしたい」
「………はぁっ。俺の部屋も段々騒がしくなってきたな」
俺の帰りを待っていたレイとディーネに、オーフィスについて教えなければいけない事をすっかり忘れていた。
新たな同居者を紹介した後、俺以外の家族に見られないよう常に霊体化するよう話しておかないと。
余談であるが、真由美を通じて十師族当主の一人が俺と話をしたいというお誘いがあった。彼女が何故か『あの狸親父……』と小さく愚痴っていたのは気になったが、それは後になって察するも、敢えて心の内に秘めておく。
原作では達也達は問題無く帰りましたが、此方では無断侵入をした事で咎められる事になりました。
達也一行のやってる事は本来怒られてもおかしくない筈なのですが、原作では誰も咎めないから不思議です。
ついでに達也達の罰や他のイベントは番外編として載せる予定なので、本編を終わらせる為に省略させて頂きます。