再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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番外編 リューセーVS達也 封印

 学校を終えた真夜中、俺はとある河川敷にいる。

 

 此処へ来る前、自宅で司波に電話して来るように話して、向こうも了承して現在向かっている最中だ。因みに凄く疲れていたのかは分からないが、司波妹は既に就寝してるらしい。余計な口出しをしてくる邪魔者(・・・)がいない方が良いので、俺にとっては好都合だった。

 

 急な呼び出しな上に、こんな時間帯に呼び出すのに非常識とか言い出すと思っていたが、アイツはそんな事を気にしてなかった。向こうも訊きたい事もあって、寧ろ丁度良かったらしい。

 

 最初は近くにある公園とかで呼び出そうと考えたが、チョッとばかり危険だと改め、自宅から少し離れた河川敷に変更した。万が一の事を考えて、レイとディーネは侵入者対策として自宅に待機させているから心配は無い。オーフィスだけを連れて行くのを知った瞬間、膨れっ面となった(レイ)妹分(ディーネ)が宥めていたが。

 

 河川敷に選んだ理由は他にもある。公園や路地裏と違って、街頭監視カメラが設置されていない。完全にではないが、少なくとも俺がいる位置にはカメラと思わしき機材は見当たらない。

 

 ――リューセー、この辺りに魔力と思わしき(ざん)()を感じる。

 

 川を眺めながら佇んでいる最中、俺の隣にいるオーフィスがそう言ってきた。今も霊体化してるが、俺の目にはいつも見慣れてる幼女のままだ。因みに本来は大人の姿だが、この世界に来る制限によって、幼女姿がデフォルトになってるらしい。俺が少量のオーラを与える事で元に戻れるが、な。

 

 魔力と聞いて俺も確認すると、確かに存在している。司波妹とリーナが発したと思われる想子(サイオン)の残滓が、今いる河川敷の一体に散らばっている。

 

 何故こんな場所に残滓があるのかと考えるも、それはすぐに解消した。確か先月だったか、自宅でレイとディーネにパラサイトの動向を探らせてる最中、何処かで規格外と思われる魔法の波動(オーラ)を感じた。

 

 あの時は自宅からであった為、オーラを探知しても詳細な場所までは特定出来なかったのだが、まさかこんな場所でやっていたとは……。オーフィスが言ってくれなければ気付かなかっただろう。知らずに来たとは言え、凄い偶然があるものだ。

 

 もしかしたら、司波が変に勘繰ってしまうかもしれない。司波妹とリーナが交戦した場所へ来させるのは、何かしらの意図があるのではないのかと。

 

 その戦闘の翌日、俺はこう質問した。

 

『昨晩にオーロラみたいな物が見えなかった? 俺の家からだとかなり遠かった所為か、薄くしか見えなかったんだけど』

 

『……さ、さぁ。わたしはその時に部屋で休んでいましたから』

 

 俺の問いに司波妹が明らかに誤魔化しているとしか言いようがない返答をして、それを見た司波兄が即座に打ち切って退散した。

 

 その時のやり取りを今も鮮明に憶えているなら、間違いなく俺が何か気付いていると考える筈だ。まぁハッキリ言って、それはただ単にアイツの考え過ぎなんだが、な。

 

 出来れば俺の杞憂であって欲しいんだがと願っていると、後方から電動二輪(バイク)と思わしき走行音がして、急停止する音も耳に入った。

 

 思わず振り返ると、見るからに二人乗り用で高そうな黒を基調としたバイクだった。それに乗っている運転手がヘルメットを脱ぐと、少し前に電話した司波達也であった。

 

 一般の高校生が使うにしては余りにも贅沢品過ぎるだが、それだけの資金があると証拠でもある。アイツの様々な凄い経歴を考えれば、な。

 

 そんな如何でも良い事を考えている中、川の前で佇んでいる俺を発見した司波がバイクから降りて、此方へ向かって来る。

 

「約束通り来たぞ」

 

「悪いな、こんな時間に呼んだりして」

 

 司波の発言に俺が謝罪を含めて言うと、向こうは全く気にしてない様子だった。

 

「そんな気遣いは不要だ。早速だが、深雪に使ったアレを見せてくれ」

 

「いきなりそれかよ」

 

 前置きをすっ飛ばして本題に入ろうとする司波の姿勢に、俺は少々呆れるように嘆息した。

 

 司波がこう催促してくるのには当然理由がある。

 

 電話をした際、発信者が俺だと分かった司波は通話して早々に少々お怒りだった。メディカルチェックをした際、急な負荷がかかった所為で身体に問題が起きていると言う抗議をされたのだ。尤も、それは司波が少々大袈裟に言ってるだけで、実際はそこまで大したモノじゃない。ちゃんと休んでいれば、翌日には回復する予定になってる。

 

 そう問題無いように説明したのだが、このシスコン男はそれでも納得行かないみたいで、重りとして使ったバンドを見せろと言ってきた。

 

 これは簡単に応じてくれそうにないと思った俺は、『今すぐ指定の場所へ来てくれるなら見せる』と言った瞬間、向こうは即了承して今に至ると言う訳である。

 

「そう慌てるな。約束はちゃんと守るから、先ずは俺の話を聞いてもらおうか」

 

「先に重りを見せなければ、俺は一切応じる気など無い」

 

「相変わらず呆れるほどのシスコン振りだな。そこまでして彼女の安全を確認したいのは大事な妹だからか? それとも……彼女が四葉家の大事な跡取りだからか?」

 

「!」

 

 先程までとは打って変わるように司波は口を閉ざし、僅かながらも目を見開いていた。

 

「そしてお前も、俺を調べ上げる為に去年の春頃から鬱陶しい『眼』を使って隙あらば観察している。俺の素性や魔法を探るよう、四葉家当主の『四葉真夜』から、そう命令されているのか?」

 

「兵藤、一体何の話だ? 言ってる意味が分からないぞ」

 

 顔に出さずとも狼狽していた筈なのに、もう冷静に戻ったか。

 

 まぁ確かに、突然『触れてはならない者たち(アンタッチャブル)』と悪名高い四葉家の関係者だと指摘されれば、最初は『惚ける』選択肢を選ぶのは至極当然であった。

 

 取り敢えず司波が話を聞いてくれるようになったから、俺は続けることにした。

 

「お前たち兄妹は一般の魔法師から大きくかけ離れている。完璧過ぎる程に容姿端麗で、並外れた魔法の才能を持っている妹。劣等生を演じながらも強力な魔法や手段を行使し、裏では軍属などの経歴を持つ兄。こんな凄い兄妹が、どう考えたって極普通の一般人な訳が無いだろう」

 

「普通じゃないのは兵藤にも言える事だ」

 

 司波の突っ込みに俺は否定せずに受け入れるが、敢えて流し話を続ける。

 

「俺なりのやり方で司波家(おまえたち)について調べても、これと言って全く怪しいところは無かった。だけどあの鬱陶しい『眼』を使って俺を調べているのは、必ず何か理由がある筈だと俺は踏んでいた。そんな時に横浜の件で、風間少佐とか言う軍人が守秘義務を要求してくるのを見て、俺は確信した。お前の名前を偽ってまで秘密を強要させるのは、それだけ強力な後ろ盾がいるんじゃないか、ってな。その後ろ盾が一体何者なのかと考えに耽っていた際、とある俺の熱烈なファンより教えてくれた。『四葉家が俺の素性や魔法を密かに調べている』って」

 

「そのファンと言うのは、もしや七賢人のレイモンド・セイジ・クラークのことか?」

 

「さぁな」

 

 確かに教えたのはレイモンドだが、素直に答える理由が無い俺は敢えて知らないように振舞った。尤も、司波の事だから気付いてるかもしれないが。

 

 そして何かを諦めるように嘆息した後、物騒な雰囲気も纏い始めようとする。

 

「四葉家が俺と同じ一高の生徒である司波に命令をしたんじゃないかと考えれば、お前の一連の行動に納得出来るんだが、共通点が一切無かった。だがチョッと考えを捻った瞬間、それはすぐに解消されてな」

 

「もう止せ」

 

 急に止めろと言ってくる司波だが、俺は逆らうように続ける。 

 

四葉(よつば)司波(しば)()(づら)だけだと関連性は何一つ見当たらない。だけど、『司波』を改めて漢字変換すれば『四葉(しば)』とも読めなくは」

 

「止せと言った筈だ、兵藤」

 

 此方が言ってる最中に司波は声を荒げず、明確な意思を持って言った。

 

「それ以上は、お互いにとって不愉快なことになるぞ」

 

 司波は静かに、そう告げた。

 

 明らかにこれ以上踏み込むなと警告している。

 

 エリカあたりであれば、境界線の向こう側に踏み込もうとしていたと覚って、すぐに焦って身を引こうとするだろう。

 

「ほう、そう来たか。ならば此処までにしておこう。だがそれとは別に、お前がいつも俺にやってる事はいい加減に止めてもらえないか? 毎回あの『眼』で視られる度、非常に不快な気分になるんだが」

 

 端から聞けば意味不明な要求かもしれないが、司波は分かっている筈だ。あの鬱陶しい『眼』で俺を観察している事を。

 

「言ってる意味が分からないな。俺としてはそんな事より、深雪に着けた重りを早く見せて欲しいんだが」

 

 俺が此処へ呼び出した理由は既に理解した筈なのに、敢えて何も知らないように惚けるどころか、話を戻そうとしていた。

 

 どうやら司波は一度痛い目に遭わせなければ理解出来ないようだ。分かっていたが真由美の言う通り、本当に嫌な性格をしている。

 

 もしコイツが素直に応じてくれたら、何もせずに話し合いだけで済ませるつもりだった。悪い意味で期待を裏切らない選択をする司波に、俺はもう笑うしかない。

 

「はぁっ。残念だよ、司波」

 

 そう言いながら俺がパチンッと指を鳴らした瞬間――

 

「ッ!?」

 

 司波は突如両眼に痛みが走ったかのように額を片手で押さえた。

 

 

 

 

 

 

(う~ん、これは正直言って自業自得かな?)

 

 隆誠と達也から少し離れた場所で、法衣らしき物を身に纏った丸坊主の男性が気配を完全に消し、まるで隠れるように観察していた。

 

 男性――九重八雲は達也の師匠であるのだが、助けに行くような素振りを一切見せていない。それどころか、隆誠の方へ目を向けている。もし深雪が知れば確実に憤慨しているだろう。

 

 此処らで少しばかり痛い目に遭った方が良いかもしれないと考えたのか、彼は静観するのであった。




内容はいまいちですが、警告を無視した達也は精霊の眼(エレメンタル・サイト)を強制的に封じられました。

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