再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

164 / 240
前話の内容を少しばかり修正しましたので、もし見てなければ参照願います。


番外編 九重八雲との話し合い

 九重との交渉により、俺は司波から『眼』と魔法の情報を得る事が出来た。向こうが本当のことを言わない限り、解除する気は一切無いと事前に言ってある。

 

 司波兄妹の詳しい素性や、長年謎に包まれた『四葉家』の構成に関する情報も得られたかもしれないが、それは止めておいた。司波兄妹が四葉家の関係者であることを分かっただけで、充分収穫であったから。

 

 因みに司波が俺に情報を公開する際、九重は一旦席を外している。交渉したとは言え、弟子が秘密にしてる魔法の情報を第三者の自分が横から聞くのは不公平だそうだ。今は俺達の会話が聞こえないまでの距離を取っている他、万が一に聞こえないよう自ら耳を塞いでいた。

 

 そして彼が離れた事で、司波は俺に『眼』や魔法について語り出そうとする。

 

 今まで俺を視ていた正体は『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』。情報体次元(イデア)にアクセスし、個別情報体(エイドス)を意識して認識することが出来る能力。それにより、認識された対象は全ての物理的情報と魔法的情報を分析する事が出来ることで、『分解』と『再成』を発動させる事が出来るそうだ。

 

 『再成』に関する情報は知っていたから『分解』の情報を求めると、物体や情報体の構造を文字通り分解すると言う魔法のようだ。

 

 例えば物体は銃器などをバラバラに分解したり、情報体は魔法式でもあるから『術式解体(グラム・デモリッション)』で分解、と言えばすぐに分かる。更には分子レベルまで分解する魔法があるようだが、そこは敢えて聞かないでおいた。概要さえ聞ければ、対策を立てるには充分であった為に。

 

 まだ聞いてる途中だが、まさか『分解』と『再成』は『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』が必須だったとは。既に判明したとは言え、あそこまで一方的にやられるほど弱体化するとは思いもしなかった。司波もまさか、『眼』を封じられるなんて完全に誤算だった筈だ。驚きの内容は違えど、お互いに予想外な展開である。

 

 そして次には、何故司波が焦ってまで『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』を解除しろと要求してきたかの理由に移った。同時に司波妹と一体何の関係があるのかも含めて。

 

 一通り話を聞いた結果――

 

「司波、お前……変態だ……!」

 

「人の事情を聞いておいて、随分な言い草だな」

 

 余りにもドン引きする内容であった為に、思わず本音を口に出してしまった。聞いた司波は心外だと言わんばかりに眉を顰めている。

 

 俺が司波を変態扱いするのは相応の理由がある。

 

 だってコイツ……精霊の眼(エレメンタル・サイト)のリソースの半分を司波妹に割り当ててる事で、彼女を常時『視』ているんだよ。掛け値無しに二十四時間も、な。

 

 それはつまり、司波兄はずっと毎日朝から夜まで妹の行動を監視していることになる。最早シスコンを通り越して、完全にド変態としか言いようがない。

 

 特に一人になる時の就寝や着替えや入浴だけでなく、生理現象であるトイレに入っている時ですらも視ているんだ。いくら妹を守る為だからと言って、それはもう兄としてでなく、人として問題あり過ぎる行動だ。もし女の紫苑が聞けば、俺と同じくドン引きするどころか、身の毛がよだつほど途轍もない嫌悪感を抱くのは間違いないと断言出来る。

 

 嫌悪感を抱くと言えば、前世(むかし)の頃にとある変態兄がいたのを不意に思い出した。

 

 嘗て聖書の神(わたし)が向こうで最初の転生をした際、その時は未だ天使・悪魔・堕天使の三大勢力が三竦み状態であった。

 

 幾重にも小競り合いが長年続いたことにより、それを解消する為に和平を結ぼうと、三大勢力は駒王学園でトップ会談を開く事となる。

 

 そしてあと少しで和平を結ばれようとしている時、『禍の団(カオス・ブリゲード)』に所属する旧魔王派の一人である『カテレア・レヴィアタン』と一緒に現れた男――『ラディガン・アルスランド』がいた。

 

 あの男は妹の『エリガン・アルスランド』がいるんだが、あの男は実の兄妹でありながら近親相姦するほど愛していた。その時には俺だけでなく、妹を愛でる同志の魔王『サーゼクス・ルシファー』ですら嫌悪するほどに。

 

 司波達也とラディガンは全く似通っておらずとも、妹に対する変態振りに関しては良い勝負が出来そうだ。

 

「いや、いくら守る為だからって、妹を二十四時間も精霊の眼(エレメンタル・サイト)で視るなんて、もう変態としか言いようがないだろ……」

 

「別に理解してもらおうだなんて微塵も思っていない。誰に何を言われようが、俺には深雪が全てなんだ」

 

「……それはつまり、お前は例え周囲にいる友人達がどんな状況になろうとも、妹を最優先するという事か?」

 

「ああ」

 

 敢えて嫌な質問をした俺に、司波は迷いなく答えた。

 

 これが友人の幹比古達から同じ質問をされても、コイツは全く同じ返答をするだろう。

 

 何だか光井が段々気の毒に思えてくる。意中の相手と同時に依存している司波が、実は妹以外に眼中にないと言う真実を知った瞬間、ちゃんと受け入れるかどうかが心配になってしまう。

 

「兵藤、此方はお前の要望に応えて情報を明かしたんだが」

 

「……そうだな。では約束通り解除しよう」

 

 誠意を見せた司波に応えなければならない俺は、約束を守る為、先程まで封印していた『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』を解除することにした。

 

 パチンッと指を鳴らした瞬間、司波は突如痛みが走ったかのように片手で眼を押さえている。

 

「………確かに精霊の眼(エレメンタル・サイト)が問題無く発現し、深雪の姿を確認出来た」

 

 遠く離れている筈なのに、漸く妹を『視』る事が出来てた事で、非常に安堵した表情を見せている司波。

 

 ここまで安心しきった様子を見せるのは、それだけコイツの心が荒んでいたのだろう。封印した直後、別人と思えるくらいに狼狽していたのだから。

 

「そうか。それは何よりだ」

 

 だがな、と付け加えて言った俺に司波は怪訝そうに俺を見る。

 

「解除する際、チョッとした保険を掛けさせてもらった」

 

「その保険とは一体何だ?」

 

 まるで嫌な予感がするように訊ねてくる司波に、俺はこう言った。

 

「試しに精霊の眼(エレメンタル・サイト)で俺を視てみな」

 

「……………………」

 

 使うよう促したのだが、司波は躊躇っていた。

 

 だがそれでも、言われた通りに発動させた瞬間――

 

「がっ!」

 

 司波が再び両眼に痛みが走ったかのように片手で押さえた。

 

「また急に深雪が『視れ』なくなっただと!? まさかこれが――!」

 

「その通り。今回掛けた保険は、精霊の眼(エレメンタル・サイト)で俺を視た瞬間、強制的に封印する為の制約を施しておいた」

 

 そう言いながら俺は再度パチンッと指をならして封印を解除した。

 

 再び妹の姿を見れる事になったのか、狼狽していた司波は冷静になっていく。

 

「もうついでに、この保険は他の人物も対象となっている」

 

「……お前の家族に、天城と佐伯か」

 

「正解」

 

 母さん達は俺と違って精霊の眼(エレメンタル・サイト)を探知出来ない為、今後余計な真似をさせないと言う意味で付け加えさせてもらった。

 

 特に修哉と紫苑は、もう既に二科生以上の実力を持っている為、司波は時々二人を調べようとする素振りを見せている。今まで俺のバンドで誤魔化していたが、制約を施しておけばもう大丈夫だろう。妹を第一優先する司波が、強制封印されてまで調べようとしない筈だから。

 

 補足として、家族や友人以外に精霊の眼(エレメンタル・サイト)を使っても問題無い。司波は当然理解してるだろうが、一応説明しておいた。

 

「随分と用心深いな」

 

「これくらいの保険を掛けるのは当然だ。もしお前が俺の立場になって、妹を守る為なら何でもするだろう?」

 

「………………」

 

 妹を引き合いにしたのが正解だったのか、司波は反論せずに無言となった。

 

 その代わりではないが、途端に傷を負っている司波の身体が元の状態に戻っていく。恐らく再成を使って復元したんだろう。

 

「初めて見るが、その『再成』と言う魔法は本当に便利だな。代償付きとは言え、相手からすれば不死身と勘違いされるのは間違いなさそうだ」

 

「……お前からすれば良いサンドバッグなんだろう?」

 

「まぁ、俺からしたら、な」

 

 敢えて否定せず余裕の笑みを浮かべている俺に対し、大変苦々しい表情をする司波。

 

 取り敢えず、今回の件で司波はハッキリ理解しただろう。俺との力の差があっただけでなく、もう下手に逆らう事が出来ないと。もし再びふざけた真似をした瞬間、精霊の眼(エレメンタル・サイト)を再び封印されてしまう事も含めて。

 

「重ねて言うが、修哉達を視た瞬間に強制封印された場合、お前がどんなに泣き付いたところで簡単には解除しないからな」

 

「分かっている」

 

 妹を第一優先にしている司波からすれば、リスク覚悟で修哉達を視る気など毛頭無いだろう。

 

「話は以上だ。妹の無事な姿を直接見たいなら、もう帰って――」

 

「待て。まだ話は終わっていない」

 

「?」

 

 はて。もう済んだ筈なのに、司波の奴は一体何を言ってるんだ?

 

 俺が疑問を浮かべるも、それはすぐに判明した。

 

「今日の放課後に深雪達に使ったバンドを見せてくれ。そう言う約束の筈だ」

 

「………ああ、そうだったな」

 

 司波の精霊の眼(エレメンタル・サイト)の事ばかり意識を向けていて、バンドの事はすっかり忘れていた。

 

 どうやら『眼』が解除された事で、司波は完全にいつもの冷静な姿に戻ったようだ。

 

 確かに約束をしたのは間違いない為、俺は言われた通り見せる事にした。

 

 バンドを確認した司波は色々不審がっていたが、取り敢えず問題無いと判断する。その後、少し離れている九重と一通り話し終え、バイクを使って自宅へ戻っていく。

 

 

 

 

 

 

「どうやら話し合いは済んだようだね」

 

 司波がバイクを使っていなくなったのを見た九重は、俺の方へ近付きながら声を掛けてきた。

 

「貴方の事ですから、本当は盗み聞きしていたんじゃないんですか?」

 

「いやいや、僕はな~んにも聞いてないよ」

 

「ふ~ん」

 

 この似非坊主は胡散臭さがある為、いまいち信じられなかった。例え本当であっても、この男の雰囲気によって思わず疑ってしまう。

 

 まぁ、そんなことは俺にとって正直如何でも良い。盗み聞きされたところで、俺が不利になる事は無い他、逆に弟子の司波が実は凄いド変態だと知るだけなのだから。

 

「ところで、貴方はまだ帰らないんですか?」

 

「言った筈だよ。チョッとばかり事情があるって」

 

 すると、九重は笑みを浮かべながらも雰囲気が突然変わった。

 

「兵藤くん。君はパラサイトを倒した後、とんでもない事をしてくれたね」

 

「一体何の話ですか?」

 

「惚ける必要は無いよ。君が神霊を喚び出したのは、もう既に分かってるから」

 

「……情報源はアイツですか?」

 

「いや、達也くんは一切関係ない。これは僕が独自に調べ上げたんだ」

 

 ……あの真剣な表情からして、どうやら本当に司波から聞いた様子は無さそうだな。

 

 だとしても、一体どうやってオーフィスの事を知ったんだか。一応あの件は真由美と十文字が、外部に知れ渡らないよう箝口令を敷いた筈なんだが。

 

 となれば、今朝から俺の動向を見張っていた坊主連中は九重の弟子達だったか。レイとディーネ、そしてオーフィスも当然気付いていたが、手を出さないよう言わなければ絶対大騒ぎになっていただろう。

 

「兵藤くん、君は吉田家の次男坊から聞いている筈だ。神霊が強大な力を持っている存在だと言うことを。それを手にした君は、一体どうするつもりなんだい?」

 

「いや、どうするって問われても……」

 

 確かに神霊はこの世界で言うと、『国』レベルの大規模な気象操作すら可能な存在であり、俺が一言命じただけで大災害を引き起こす恐れがある。

 

 もしかしたら九重は、一般人の俺が強大な力を得て、何かとんでもないことを仕出かすんじゃないかと不安に思ってるかもしれない。

 

 生憎だけど、俺や聖書の神(わたし)はそんなバカげた行為をするつもりは一切無い。加えてオーフィスは基本的にのんびりと過ごしたい人畜無害な性格だから、余程の緊急事態が起きない限り、自ら動いて活動する気など一切無い。因みに未だ非公開であるレイとディーネも俺がいる限り、自ら誰かに害を与える行動をしないし、決してさせないつもりでいる。

 

「まぁ確かに九重さんが心配するお気持ちは理解出来ますよ。ですがアイツは平穏に過ごしたいだけですので、放っておいても別に問題ありませんよ」

 

「君がそう言っても、実物を見ていない僕はそう簡単に信じられないんだよねぇ」

 

 成程。オーフィスが無害な存在である事を証明する為には、一度彼と話し合う必要がありそうだ。

 

 

 ――リューセー、我があの男と話せばいいの?

 

 

 すると、今まで透明化中のまま見守り続けていたオーフィスが、俺に念話で話しかけてきた。

 

 珍しいな、お前が自ら積極的に関わろうとするなんて。

 

 

 ――我のことを証明しなければ、リューセーに迷惑を掛けてしまう。我、それは嫌。

 

 

 昔のオーフィスであれば考えられない発言だった。

 

 転生した聖書の神(わたし)と出会う前は、次元の狭間に戻って静寂を得たいだけで、それ以外は無関心な性格であった。だけど(前世の)兵藤家で生活する事で大きく変わり、大事な家族の一人となっている。聖書の神(わたし)からすれば、それは大きな進歩と言えよう。

 

「分かりました。ならば今から九重さんが直接話して、危険が無いかどうか判断して頂けますか?」

 

「ん? 今此処にいるのかい?」

 

「ええ。基本的に俺の傍に居て、常に透明化していますから」

 

「………僕でさえ気付かないなんて、やはり神霊と言うのは並外れているようだね」

 

 あらら、どうやら却って余計に警戒させてしまったようだ。

 

 もしかしたらこの住職、前に戦ったパラサイトのような存在を感知出来るかもしれない。だと言うのに、それが今まで気付かなかったのは、彼にすると不覚だと考えている筈だ。

 

 さっそくミスをやらかしてしまった俺だが、敢えて気にせずオーフィスに姿を現すように念話で伝えた。

 

 すると、ずっと俺の隣にいたオーフィスが実体化を……ん?

 

「ほぁ!? な、な、なななな……!」

 

 実体化したオーフィスの姿を見た事に、九重が急におかしくなった。

 

 彼の反応は無理もない。何故なら、幼女であった筈のオーフィスが、何故か黒髪の巨乳美女と言う大人の姿になっているから。

 

 因みにオーフィスが来ている服はゴスロリ衣装だが、胸の辺りを覆わせる為の上着を着せている。だけど大人になったことで上着が少々キツめになってしまい、胸元が丸見えで少々際どい感じで色香が増す事となっていた。

 

「ちょ、チョッと待ちたまえ兵藤くん! 僕が調べた時には、その神霊は凄く可愛い幼女の姿じゃなかったのかい!?」

 

 先程まで真剣な表情だった筈の九重だったが、オーフィスの姿を見て興奮している様子だ。何だか今の彼は、イッセーのように思えてしまうのは気のせいだろうか。

 

「……オーフィス、何でそんな姿になっているんだ?」

 

「本当の姿で話した方が良いと思って。ダメ、だった?」

 

「いや、別にダメじゃないんだが……」

 

 却って裏目に出てしまったと言いたいが、オーフィスが積極的になっていたから否定出来なかった。

 

「そんな美女な神霊と一緒に住んでいるなんて、なんて羨ま……いやいや、けしからん!」

 

「チョッと九重さん、本音が漏れてましたよ」

 

 何だか目の前の住職が似非坊主からエロ坊主になっている気がする。

 

 そう考えた瞬間、九重は一瞬で俺達、と言うよりオーフィスに接近した。

 

「オーフィスちゃん、だっけ。今からチョッと僕と話し合おうじゃないか!」

 

「ん、分かった」

 

「待て待て。何かおかしな方向に進んでるような気がするんですけど」

 

 スケベ顔になっているエロ坊主が良からぬ事をしそうな気がした俺は、一先ず阻止する事にしたのであった。




最後辺りがギャグチックになって終わりました。

今回の話に出た『ラディガン・アルスランド』と『エリガン・アルスランド』は、自分が考えたオリキャラです。

登場してるのは「ハイスクールD×D ~復活のG~」の第四十一話以降です。

感想お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。