再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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今回は短いです。


スティープルチェース編 変更種目

 生徒会の仕事を終えた後の放課後の定番として、行きつけの喫茶店『AMAGI』に寄っていた。

 

 メンバーは俺、修哉、紫苑と言ういつもの三人。店に来る前まで紫苑と仲良く話していた七草香澄もいたのだが、相変わらず俺に対する警戒を緩めておらず、途中で別れる事になった。

 

 用意されたコーヒーを飲みながら、誤解による嫉妬で暴走寸前になっていた千代田について教えると、紫苑が俺に謝罪してきた。彼女と大変仲が良い他、同じクラブの仲間として申し訳ない気持ちになったらしい。

 

 人の話を全く聞こうとしない風紀委員長の為に謝る紫苑を見て、もう此処までにしておこうと話題を変える事にした。

 

「突然だが、九校戦の種目が変更になった」

 

「えっ?」

 

「何が変わったの?」

 

 話題を変えた途端、二人は食い付くように耳を傾けていた。

 

「今日生徒会宛に通知が来てな。スピード・シューティング、クラウド・ボール、バトル・ボードが外れて、ロアー・アンド・ガンナー、シールド・ダウン、スティープルチェース・クロスカントリーが加わる」

 

「……何なんだソレ?」

 

「一体どう言う競技なの?」

 

 どうやら修哉と紫苑も知らない競技のようだ。

 

 確かに俺も生徒会の通知や競技に詳しい司波から訊かなければ全く分からなかったから、修哉と紫苑の反応は至極当然と言える。

 

 ロアー・アンド・ガンナーは無動力のボートを操船しながら、水路脇や水路上の標的を狙撃する射撃競技。元はUSNAの海兵隊が上陸支援訓練として行っていたものとなっていた。

 

 シールド・ダウンは盾を装備した選手が、土俵の上で組み合って勝ち負けを競う格闘競技。原則として盾に対してのみ攻撃が許される。相手の盾を破壊か奪う、五秒以上手放すと敗北。または場外に落ちても敗北となる。

 

「へえ~、そんな競技があるのか」

 

「千葉さん辺りが聞いたら楽しそうな表情をしそうな気がするわね。特にシールド・ダウンで」

 

 変更種目の内の二つを教えると、二人はそれぞれ思った事を口にしていた。

 

 因みに紫苑の台詞は俺も同感だと思ってる。ぶつかり合いの勝負を好むエリカの事だから、今頃は司波から聞いてにんまり笑みを浮かべているんじゃないかと思う。

 

 最後の変更競技だが、これは少しばかり問題があるモノだった。 

 

 スティープルチェース・クロスカントリーは、全四キロの人工林の敷地に障碍物を設置したコースを走破する競技。本来は各国の陸軍で山岳、森林訓練に採用されている軍事訓練の一種になっている。司波の話によれば、正規の軍魔法師でも完走が難しいみたいで、魔法師としての人生を失うリスクも高いとの事だ。

 

「おいおい、最後の競技が一番ヤバそうじゃないか……」

 

「高校生にやらせるような競技とは思えないんだけど……」

 

 俺が三つ目の競技を教えた直後、二人は先程と違って少々引き気味の反応を示していた。

 

「と言うか、リューセー。今回加わった種目って、何かやけに軍事色が強い気がしないか?」

 

 修哉の問いかけは、紫苑もそう感じているように俺を見ている。

 

「かもしれないな」

 

 俺があっさりと答えた事で、二人は更に緊張が走ったような表情になった。

 

 変更した理由は定かになっていないが、俺の予想では恐らく横浜事変に関係してると思う。

 

 去年に侵攻してきた大亜連合を撃退出来たとは言え、横浜はかなりの被害を受けた。それで国防軍の関係者が危機感を抱き、魔法科高校の生徒にも教育の一環として九校戦に口出しをしてきた可能性がある。

 

 国防軍と言えば、九島烈はどのように考えているんだろうか。九校戦に毎年必ず顔を出してるから、種目変更されてる事を知らない訳がない。純粋に楽しく観戦している彼の性格を考えれば、今回の件に関して何らかの異議を唱えてもおかしくない筈だが……もしかして何らかの目的がある為に敢えて黙認してたりして、とか。

 

「けどまぁ、そんなの学生の俺達が彼是考えたところで詮無いことだよ。それに」

 

 俺はコーヒーを軽く飲んだ後、笑みを浮かべながらこう言った。

 

「軍事色が強い競技とは言え、俺にとっては難易度が多少上がったお遊びに過ぎないし」

 

「……流石は俺達の師匠だな」

 

「……まぁ確かにリューセー君からすれば、ね」

 

 緊張から打って変わり、途端に苦笑する修哉と紫苑。

 

 自分とは次元が違うと他人事みたいに言う弟子二人に俺は付け加えた。

 

「お前達も間違いなく上位を狙えるぞ」

 

 簡単に優勝出来ると断言したかったが、今の二人には通用しそうにないので控える事にした。

 

「いやいや、そんなの無理だって」

 

「そうよ。私達が九校戦に出場できる訳ないでしょうに」

 

 どうやら二人は最初から出れないと思っているようだが――

 

「勝手に決めて申し訳ないけど、修哉と紫苑は今年の九校戦に出場してもらうぞ。これはもう決定事項だから」

 

「「……え?」」

 

 約一年掛けて鍛えた弟子二人のデビュー戦を飾るには丁度良い機会なので、俺が密かに推薦と言う名の根回しをしておいた。

 

 職権乱用と言われるかもしれないが、師匠として弟子の活躍をそろそろ見たい。

 

 他にもある。と言うより、これが真の目的だ。修哉が紫苑と相思相愛の関係にする為の後押しとして、九校戦を利用させてもらう。それに参加する競技で優勝させれば、紫苑の父親から交際を認める機会を得られる筈。例えもし勝負する事になっても上級用バンドを外した修哉なら確実に勝てる、と思う。

 

 二人が仲の良い幼馴染と言っても、修哉からの告白を今も待ち続けてる紫苑の姿を見て、何も手出しできない友人の俺からすると本当にもどかしい。けどそれが漸く終わるかもしれないから、出来る限りの事を最大限にやるつもりでいる。尤も、俺が出来るのは二人を優勝させる為のサポートを徹底的にやるだけだが、な。

 

「ちょ、チョッと待てリューセー!」

 

「何で私達の出場が決定事項になってるのよ!?」

 

 予想通りと言うべきか、自分達が九校戦に参加する事を微塵も考慮してなかった修哉と紫苑は慌てふためいていた。

 

 そこから先は俺が発破を掛けた他、未だ自分達に反抗的な態度を取る一科生達の鼻を明かす良い機会だと言った事で、二人は漸く参加を決心するのであった。




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