再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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スティープルチェース編 気付いた隆誠

 一条を見送った後、俺は司波がいる作業車へと向かった。丁度運良く作業を終えていたようで、話したい事があることを教えると、アイツはすぐに了承してくれた。

 

 最初は何故その話を知っているのかと疑われたが、前夜祭パーティで聞いている他、司波が作業で忙しかったから俺が代わりに聞いた事を教えるとすぐに納得した。

 

 先程まで一条と話した事を一通り話した内容を粗方伝えると、相も変わらず納得したのか分からない無表情で頷くばかりだった。と言うより、何か裏で何か別の事を考えている気がする。

 

 付き合いが一年以上経った事もあってか、司波が他に考えごとをしながら会話しているのは何となく分かる。能力(ちから)を使わなくても直感的に、な。本人に聞かれたら不気味に思われるから絶対口にはしないが。

 

 流石に何を考えているかなんて分からないが、心当たりは一応あった。前夜祭パーティが終わった後、夜中に黒羽家の双子や九重住職と一緒にコソコソ動き回っていた事と何か関係しているかもしれない。本当なら訊きたいところだが、俺としては他にやる事があるので後回しにした。

 

 話している最中、突如端末から着信が入って誰かとディスプレイを見たら、何と修哉からの連絡だった。どうやら話が思った以上に長引いてしまった為、一足先にお茶会へ向かったようだ。司波の方も妹から連絡があって似たような話をしていた。

 

 流石にすっぽかす訳にはいかない為、俺と司波は一旦話を終えて北山達が待っているであろうお茶会をやる場所へと向かう。

 

 着いたのは良いんだが――

 

「お、お兄様、何故兵藤くんと一緒なのですか?」

 

「ひょ、兵藤君、確か三高の一条君と話していた筈じゃなかったの?」

 

 もうお決まりのパターンなのか、司波妹と光井が此方を見た瞬間、またしても変な誤解をされるのであった。

 

 この二人、本当どうにかならないかな。流石にチョッとばかり鬱陶しくなってきたから、女子力を粉々にする為に料理勝負でもやろうかと考えている。どちらの料理が一番美味しいのかを司波一行に審査し、多数決で決めてもらう勝負内容とか。

 

 

 

 

 

 

 西暦2096年8月7日/大会三日目

 

 

 

「此方が断然有利な流れだな」

 

「いけぇ~! 桐原先ぱ~い!」

 

「桐原君、頑張れぇ~!」

 

 大会三日目のスケジュールはシールド・ダウン・ペアとアイス・ピラーズ・ブレイク・ペアとなっている。

 

 男子シールド・ダウン・ペアには桐原と沢木が出場している。特に桐原と付き合いのある俺、修哉、そして彼の恋人である壬生は応援しようと、観客席で三高との決勝戦を観ていた。因みに紫苑は千代田に捕まっており、今頃はペア役の北山と一緒に控え室にいるだろう。

 

 桐原の変形高周波ブレード、沢木の空圧波(マッハパンチ)。どちらも攻撃力があっても防御面は大丈夫かと不安視されるも、その心配は杞憂となっている。二人が同じ三年、もしくは気が合うのかは分からないが、互いに補うかのようなコンビネーションを見せているのだ。三高側は攻撃と防御の魔法を交互に行っているが、桐原達に翻弄されている。

 

 片は剣術部、片はマーシャル・マジック・アーツ部。どちらも格闘戦向きの部活だから、戦いの駆け引きと言うモノを桐原と沢木は充分に理解してるようだ。

 

 戦闘に特化してる三高側も負けてはいないのだが、二人に翻弄されてる事で段々焦りが生じている。それを表情(かお)に出してしまえば相手側に伝わってしまい、余計泥沼に嵌ってしまう事態に陥ってしまう。

 

 それが決定打となったみたいで、一高は一気に勝負に出たようだ。向こうもここで一気に冷静さを取り戻して防御に移るも、一人は高周波ブレードで盾が砕け散り、もう一人は空圧波(マッハパンチ)の衝撃が強すぎた事で場外へと吹っ飛ばされる。これでシールド・ダウン男子ペアの一高優勝が決まったのであった。

 

 桐原と沢木は揃って握り拳を天に突き上げている。それを見た修哉と壬生は手を叩いて喜んでおり、俺も同様に拍手を送っている。

 

 因みに後から知ったが、シールド・ダウン女子ペアは予選リーグで三高ペアと当たってしまった事で予選落ちだった。その時の試合はまるで決勝戦ではないかと思うほど、白熱した試合だったと補足しておく。

 

 もう一つの競技を行うアイス・ピラーズ・ブレイク・ペアの方は、男子ペア三位、千代田・北山の女子ペア一位と言う結果になっている。

 

 そして強敵の三高は、何と暫定一位になっていた。シールド・ダウン男子ペア二位、女子ペア一位。アイス・ピラーズ・ブレイクの男子ペア一位、女子ペア二位。故に今日得たポイントの結果、三高の勝利と言う訳なのだ。

 

 だけどポイント差はそんな大して開いていないから、明日の競技の結果次第で充分挽回出来るので問題無い。尤も、会頭の服部は今日の結果に苦い顔をしていたが、な。余り深く考え過ぎない方が良いと思うが、前会頭の十文字から任された事もあって責任を感じているかもしれない。

 

 それとこれは俺の個人的な事情なのだが、今日は九島から呼び出しをされていない。昨日のロアガン・ソロで俺が他校の記録を思いっきり引き離す記録を出して優勝したから、てっきりあのご老人がそれについて話そうと呼び出しをするんじゃないかと予想していた。にも拘らず、未だに連絡が来ないから妙だと考えてしまう。『今は忙しくて呼び出す暇がない』と言えばそれまでになるのだが、もしやかして昨日の夜に一条と話した酒井大佐の件と何か関係が……いや、俺の考え過ぎか。

 

 まぁ彼が呼び出しをしないのなら、俺としても正直言って好都合だった。明日の競技シールド・ダウン・ソロは修哉が参加するから、その調整をしなければいけない。

 

 

 

 

 

 

「昨日の夜からバンドを外しているが、どこか異常は無いか?」

 

「大丈夫だ。」

 

 夕食を済ませた後、俺は明日に備えようと、修哉を人気のない場所に連れて最後の調整をしていた。と言っても、やったのは昨日にチャンバラ棒を使った手合わせだが。

 

 昨夜の練習を終えた後、普段付けているバンドを外すよう言った。流石にぶっつけ本番で外す訳にはいかなかった為、軽くなった身体を慣らす調整(コントロール)やリラックスも兼ねて、今日は一日中重さの無い状態にさせている。

 

 修哉には何としても紫苑と恋仲になってもらう為、シールド・ダウン・ソロで絶対に優勝させなければならない。周囲から過保護と言われようが、明日の競技が終わるまでの俺は全面的にサポートさせてもらう。そして優勝と言う名の箔をつければ、紫苑の父親から交際の挑戦権を得れる筈だ。

 

 去年から計画していたとは言え、ここまでの道のりに辿り着くのは長かった。元神の聖書の神(わたし)からすれば一年なんて短い筈なのだが、修哉と紫苑が両想いになれないもどかしさの所為で、物凄い長く感じる一年だったのだ。前世(むかし)のイッセーとリアスが恋仲になるより凄く大変だったと思えるほどに、な。

 

「よし、今日はここまでにしよう」

 

「え? 俺まだ体力有り余ってるから、まだ続けれるぞ」

 

「試合前にぶっ続けでやらせる訳ないだろう」

 

 ただでさえ今はバンドを外していると言うブレーキが無い状態だから、余りやり過ぎて支障に来たしたら本末転倒になってしまう。

 

「だから今夜はしっかり休んで、明日の早朝には最後の調整をする。さ、部屋に戻るぞ」

 

「何か今日のリューセー、師匠と言うより俺の保護者みたいな感じがするんだが」

 

「気のせいだ」

 

 ……でも言われてみれば、自分でも確かにそんな気がする。

 

 だがそれでも、去年から立てた計画を必ず遂行しなければならない為、今は敢えて目の前の事に集中するとしよう。

 

 そう決意した俺は、修哉を連れてホテルへ戻ろうと――

 

 

 ――主、大変です! 大至急、森へ、来て下さい!

 

 

 していたのだが、突如ディーネから緊急の念話が届くのであった。

 

 

 

 

 緊急連絡を聞いた俺は修哉を放置する訳にいかなかったので、奥の手として久しぶりに分身拳を使う事にした。そして分身の俺は修哉と一緒にホテルへ戻り、本体の俺は誰にも気付かれないよう、転移術を使ってディーネが待機している森へ向かった。

 

「パラサイトが急に出現したって……確かなのか?」

 

「はい。反応は、今もまだ、続いて、います」

 

 ディーネの報告を聞いた俺は耳を疑ったが、パラサイト特有の反応をキャッチ出来るディーネが嘘を言ってない事は勿論理解している。何故パラサイトが突然出現したのかが分からないのだ。

 

 自分達にとって有害な存在だと認識しているのか、森にいる周囲の精霊達は何やらざわめいた様子を見せている。他の精霊達の様子が気になったのか、オーフィスは俺達の傍から離れている。この前俺が造った新たな神造精霊を連れて、な。

 

 エルンストを見張っているレイも当然気付いているが、俺が対処するから引き続き監視をするよう命じてある。最初は不服そうな声を出していたが、自分から監視をやりたいと言い出した事もあって、大人しく従ってくれた。

 

「反応が続いてるって事は、お前の存在にも気付いているか?」

 

「恐らく、認識、されているかと」

 

「因みに数は?」

 

「調べた、ところ、十六体、います」

 

「そんなにいるのかよ……」

 

 ディーネとレイがパラサイトの存在を感知したなら、当然ピクシーも気付いている筈だ。当然マスターである司波に報告を……いや、チョッと待て。

 

 もしかしたらアイツ、こうなる事を予想してピクシーを連れて来たんじゃないだろうか。雑用作業を任せたいと言うのは方便で、本当はパラサイトを捜す為に。未だ確証が無いにしても、連れて行くのには充分な理由だ。

 

 他にも気になる点がある。今も何処かに隠れ潜んでいる九重八雲が、此処に来ている時点でおかしい。あの住職も司波と同じ理由で密かに行動しているのであれば納得出来る。パラサイトと言う妖魔を今も危険視している彼が動くのは当然だろう。

 

 となれば、問い質す相手は九重八雲の方が手っ取り良いだろう。司波は色々面倒臭い性格をしている上に、下手に問い質せば貸し借りの話に持って行こうとするのが目に見えている。

 

「あっ……」

 

 俺が考え事をしている中、ディーネが声を上げた。

 

「どうした」

 

「パラサイトの、反応が、一斉に、消失、しました」

 

「何処かに隠れたのか?」

 

「断定は、出来ませんが、休眠状態に、なったかと」

 

「休眠、ねぇ……」

 

 以前のパラサイトであればレイやディーネの反応を認識したら、自分達の同胞と思い込んで此方へ一斉に来てもおかしくないのだが、それが突然休眠に入るとは妙な話だ。

 

 どうやらこれは、九重八雲に何が何でも聞き出さなければならないようだ。

 

 司波がピクシーからパラサイトの反応を知ってどう動くかは分からないが、一先ず今夜はアイツに任せるとしよう。俺が動くにしても、先ずは情報を得なければならない。パラサイトが俺の敵じゃないと言っても、何の準備も無しに挑むのは愚の骨頂だから、な。




漸くリューセーはパラサイドールの存在に気付きました。

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