再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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明けましておめでとうございます。

すいませんが、今回は幕間並みに短いです。


スティープルチェース編 シールド・ダウン 弟子の初陣前

 西暦2096年8月8日/大会四日目

 

 

 

 大会四日目に行われる競技はアイス・ピラーズ・ブレイク・ソロ、シールド・ダウン・ソロを予定している。

 

 午前は女子ピラーズ・ブレイク・ソロをやっていて、それに出場してる司波妹は決勝リーグの二試合はどちらも三十秒以内に終わらせて優勝した。どうやら彼女は練習期間の時、俺に負けたのが相当口惜しかったみたいで、相当気合いを入れて試合に臨んだようだ。まぁその後、兄の司波からやり過ぎだと窘められていたみたいだが、な。

 

 正直言って非常に如何でも良い事だった。午後からは男子アイス・ピラーズ・ブレイク・ソロと、男子シールド・ダウン・ソロが行われる。俺は言うまでもなく、弟子の修哉が出場するシールド・ダウンの方をするつもりだ。と言うか、午前中から修哉の最終調整を付きっきりで行っている。

 

 そして現在、軽く昼食を取ってから、俺は修哉と一緒に途中まで試合会場へ向かおうとする。

 

「あ~、マジで緊張してきた……!」

 

「大丈夫だって。普段通りやれば勝てるから」

 

 あと少しで始まろうとするも、修哉は朝からガチガチに緊張していた。練習の時とは大違いと言えるほどに、な。

 

 何度落ち着かせても、時間が迫っていると認識した直後にまた緊張すると言う一種のループ状態だった。ハッキリ言って以前の七宝戦より酷い。

 

 まぁ確かに、それはある意味仕方ないのかもしれない。九校戦は普通の大会と違い、テレビ中継されるほど大人気なイベントの一つなのだ。聞いた話によると修哉の父親も必ず観ると言っていたらしいから、恐らくそれも含めて緊張が走り易くなっているんだと思う。

 

 因みに俺の場合、前世(むかし)の経験もあったから大して緊張する事無く試合に臨んでいた。寧ろ逆にリラックスし過ぎとも言えるかもしれないが、強敵と呼べる相手が全くいなかっただけに過ぎない。

 

 修哉がこうなっているなら、ミラージ・バットに出場する紫苑も考慮した方が良いかもしれない。彼女もああ見えて物凄い緊張していたから、試合間近になれば、今の修哉みたいになるのが容易に想像出来てしまう。

 

 こんな状態で試合に出せば、勝てる試合も負けてしまう可能性があると考慮した俺は――

 

「だったら修哉、一回戦の相手は俺だと認識しろ」

 

「え?」

 

「そうすれば緊張なんてする暇は無い筈だ」

 

 エリカ達に問い詰められるのを覚悟で、修哉に本気でやるように示唆する事にした。

 

 

 

 

 

 

「珍しいな。エンジニアの司波が此処に来るなんて」

 

「今日俺が担当する選手は深雪だけだったからな」

 

 試合会場に着き、修哉と別れた俺は最前列の席を確保していた。

 

 左隣には紫苑、右隣には壬生が座っている。壬生の隣には桐原もいて、三人とも修哉の試合を今か今かと待ち望んでいる状態だ。

 

 だが他にもいて、上の列には司波一行(司波兄妹、エリカ、北山、光井、柴田、幹比古、レオ)も勢揃いしている。妹はともかく、司波はてっきり本部で観戦するかと思っていたが、珍しくも応戦席に来たので少々意外だった。

 

 それとは別に、俺は少し気になる事があって、ジッと司波を見ている。

 

「司波、何だか今日は随分調子が良さそうだな」

 

「何?」

 

 俺の台詞が唐突だったのか、司波は少しばかり面食らうような表情になっていた。これには他の面々も興味深そうに見ている。

 

「昨日までのお前は、何となく集中し切れていない感じがしていてな」

 

「……………」

 

 当たっていると思われたくないのかは分からないが、司波は急に無言となった。

 

 コイツが迷っている原因はもう分かっている。恐らく俺が昨夜に九重八雲から聞き出したパラサイト、正しくはパラサイドールの件だろう。

 

 昨夜は司波が行動開始すると思っていたが、何故かそれをやらなかったと言う意外な結果に、俺は少しばかり拍子抜けした。

 

 行動しなかったにも拘わらず、こうもすっきりした顔になっているのは、恐らく司波妹かもしれない。考えられるとしたら、司波が行動しようとしていたところを今は危険だからと説得した、もしくは……無理矢理阻止したと言う線もある。どんな方法かは知らないが、余程司波の足を止める効力があったと見ていいだろう。

 

「ま、今日はすっきりした顔をしてるし、覇気もあるから問題無さそうだな」

 

「……兵藤から見て、俺はそんなに分かり易かったか?」

 

「俺には何となく分かるんだよ。司波だってこの前、俺と二人で生徒会の仕事をしてる時に指摘してたじゃないか」

 

「それは、まぁ……」

 

 否定は出来ないみたいに言い淀んでいる司波とは別に、思いっきり反応を示す者達が二名いた。

 

「お、お兄様、そ、それは一体いつの事ですか!?」

 

「達也さんと二人っきりで仕事してたなんて、私たち初耳なんだけど!?」

 

 もうお決まりのパターンと言うべきか、司波妹と光井が怒涛の勢いで問い詰めてきた。

 

 おかしい、確かその時に彼女達も知って……なかったな。確かあの時中条からの指示で、二人は別の仕事を任されて席を外していたんだった。その後に緊急の仕事が入って急遽俺と司波が向かう事になり、彼女達よりも早めに終わらせていたから知る由も無い。

 

 余計な事を言ってしまったと内心思いながら、司波妹と光井からの執拗な追求を俺と司波はどうにか躱している最中、試合が始まる前のアラームが聞こえるのであった。




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