俺が作ったデザートで修哉達が満足してくれた翌日以降から、一年生が活躍する新人戦が始まった。
本戦に続いて、新人戦でも一高の進撃が続く事になった。
新人戦初日、ロアガン・ペアは男女とも一位を取っている。水上競技が得意な筈の七高を打ち破り、優勝に導いたのは見事だった。特に女子では香澄が表彰台の中央で『どんなもんだい!』という得意気な顔を見せた後、紫苑へ直行して『観てくれましたか、紫苑先輩!?』と褒めて欲しいのが丸分かりだった。それを求められた紫苑は苦笑しながらも労いの言葉をかけており、恐らく部屋に戻ってからも香澄のハイテンションに付き合わされる破目になるだろう。因みにその光景を見ていた千代田がチョッとばかり香澄を睨みながら面白くなさそうな表情になっていたが、そこは啓がフォローしていた事を補足しておく。
新人戦二日目では、男女シールド・ダウン・ペアと男女アイス・ピラーズ・ブレイク・ペアの競技が行われた。
シールド・ダウンは男子が三位に終わるも、女子が見事に優勝の結果を示した。桜井水波が終始有利な状況を作っていたから、優勝するのは当然の流れと言えよう。
アイス・ピラーズ・ブレイクも同じく男子が三位で、女子が優勝。そこは良いのだが、優勝した泉美が天幕に戻って早々チョッとばかり煩悩を臭わせる笑顔で司波妹に抱き着いていた。優勝したのだから甘んじて受け入れようと苦笑していた司波妹に、偶々目撃した紫苑が『双子は外見だけじゃなく、中身も似てるところがあるのね』と少々疲れたように呟いたのを聞いた俺も内心頷いてしまった。
新人戦三日目は女子の花形競技であるミラージ・バットだが、此処から状況が変化する。
一高は当然決勝まで勝ち上がるも、四高の黒羽亜夜子が『疑似瞬間移動』を使った事で、一方的な展開になってしまったのだ。
『疑似瞬間移動』とは、加重・収束・収束・移動の四工程からなる系統魔法。自分もしくはパートナーとなる味方を空気の繭で覆い、更には繭よりも一回り大きい真空のチューブを作り、その中を一瞬の内に移動させる。
真空チューブが他の選手の妨害行為を行ってしまう為、本来であればミラージ・バットでそのまま使う事は出来ない。しかし、黒羽亜夜子は術式をダウングレードしたのか、突風を生み出しながら目にも留まらぬ速度で跳躍する魔法に変化させていた。
決勝を観てる途中で、黒羽が司波兄妹と同じく四葉家の身内だと思い出した。それと同時に選手選考の最中、香澄か泉美のどちらかにミラージ・バットに出場させようと言う案があったのだが、そこを司波が反対したのも含めて。
香澄をロアガン、泉美をピラーズ・ブレイクに出場させたのは、恐らく司波なりの気遣いかもしれない。ミラージ・バットでは黒羽亜夜子に勝つ事が出来ないと言う理由で。もしあの双子が知ったら余計なお世話だと言い返されるかもしれないが、な。
それはそうと、まさかこの世界の瞬間移動が
そして新人戦最終日、男子専門競技のモノリス・コード。ここでも予想外な展開が起きていた。
一高では七宝琢磨がチームリーダーになっている事もあってか、これまでやった試合全て勝利していた。しかし、四高との試合で一気に変わってしまう。
四高に黒羽文弥と言う選手は、昨日のミラージ・バットに出場した黒羽亜夜子の双子の弟。四葉家の身内だからか、かなりの実力者でもあった。
七宝は窘められて以降、一学生として日々精進している。部活連でも今まで鼻にかけた態度を完全に改まっていると修哉も言っていた程だ。実力に関しても俺と試合した時より魔法の精度も向上したのだが、四高との試合で思うように発揮出来ずに追い詰められている状態だった。
黒羽文弥が使っているのは無系統魔法『
一見すれば一つの魔法だけしか使ってない光景なのだが、どうも腑に落ちなかった。如何に司波の『
俺には何だか『
確認の意味も含めて司波に訊いてみたいのだが、それは無理だと諦めている。アイツは四葉家の身内だから、同じ身内である黒羽の魔法について話さないどころか、全く知らないと白を切るのが分かっているから。教えなければ
新人戦モノリス・コードの優勝は四高に取られてしまったが、それでも一高が二位を確保した事で、今年も新人戦の総合優勝を飾った。その結果、三高との得点差が付いた事で、一高が有利な状況となっている。
「さぁ紫苑、明日の本戦ミラージ・バットは修哉と同じく優勝を狙うぞ!」
「え、えぇ……。でも私、大丈夫かな……凄く緊張してきたんだけど……!」
喝を入れたつもりなんだが、シールド・ダウン・ソロに出る直前の修哉みたくガチガチになる紫苑だった。
どうやら彼女も修哉と同様、何かしらの方法で緊張を緩和させないといけないようだ。
次回はオリジナルを混ぜた、オリキャラの紫苑が出場する本戦ミラージ・バットの内容です。
感想お待ちしています。
………凄く如何でも良い事ですが、活動報告でほのかを泣かせて欲しいと言う要望がありましたね。