再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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二度目の夏休み編 一色達と再会

「おお、貫禄ある建物だ」

 

「確か去年もそう言ってたな」

 

 俺の台詞に将輝が突っ込みを入れていた。

 

 三高に来たのは去年の夏以来だが、既に見たと言っても相変わらず貫禄のある雰囲気に、一高とは本当に違うと何度も認識させられる。

 

 そう思いながら将輝と一緒に校門を通って敷地内に入ると、やはりと言うべきか、俺は完全に浮いた存在となっていた。一高の制服を身に纏っている俺は完全に部外者だから、視線が一気に集まるのは無理もない。

 

 前田校長が周知したからなのか、夏休み中にも拘わらず三高の生徒が多い。クラブ活動で来ている事を考えても、な。

 

 まさか今年も、将輝とピラーズ・ブレイクの非公式試合をやらせるつもりなのだろうか。試合をするのには別に構わないんだけど、あの校長の事だから剛毅が来てなくても絶対やりそうだ。九校戦で注目となった俺であれば猶更に。

 

「なぁ将輝、もしかして前田校長が俺を呼び出したのは試合させるつもりか?」

 

「……それについては校長に聞いてくれ」

 

 否定しないと言う事は、やはり単なる挨拶だけで終わらせる気が無いようだ。あの破天荒な校長の性格を考えれば、絶対何かしらのイベントを考えてるのは大体予想済みなので、目を付けられてしまった以上諦めるしかない。例え断ったところで絶対に引き下がらないのが目に見えてるから、な。

 

「因みにお前と試合するのは、今年やったスティープルチェースか?」

 

「お前にあれだけ差を付けられてリベンジする気は一切無い。俺としては天城とやりたかったんだが」

 

 修哉との勝負を思い出したのか、将輝は途端に口惜しそうな表情になっていた。

 

 ゴールした俺は遠目で見ていたが、アレは確かに接戦だった。残り数百メートルに差し迫った瞬間、修哉が未熟ながらも超スピードを使って一気に抜いたから、虚を突かれた将輝は移動魔法を使っても追いつくことが出来ずに敗北したから無理もない。

 

 あの時の将輝は非常に口惜しい気持ちで埋め尽くされていただろう。負けたのが俺じゃなく、一年前まで九校戦に参加してなかった修哉となれば、な。

 

「と言うかリューセー、一体どうやって天城をあんなに強くしたんだ?」

 

「悪いがそれは教えられないな」

 

 身体能力と魔法力を同時に鍛える為に聖書の神(わたし)の加護を施した修行用バンドを一年間使い続けたから、なんて言える訳がない。もしこんな方法が知れ渡れば絶対面倒事が起きてしまうから、いくら将輝や三高の面々でも教えられないのが現状だ。付け加えるのであれば、俺の修行方法で必ずしも成功するとは限らない。修哉と紫苑は身体能力や魔法力に関しての才があった故に、劇的に向上する結果となった。

 

 前世(むかし)(イッセー)は、鍛える前は才能が全く無い一般人だった所為で、当時の三大勢力や超常的存在と一人だけで戦える為の実力を身に付けさせるのに十年近く要したのだ。俺の弟じゃなければ、絶対に長い目で見続ける事はしなかっただろうと断言出来る程に、な。それで教える楽しさに目覚めて、俺もイッセーに教えられたから良い思い出になっている。

 

「どうしても知りたいなら、将輝が一高に転校して俺の弟子になりたいなら考えても良いぞ」

 

「む?」

 

 何て言ったが、こんなの絶対承諾しない事を分かってて言った。

 

 将輝は十師族直系、並びに一条家次期当主。更には三高が誇るエース級で優秀な生徒だから、あの前田校長や教師陣が断じて認めないのが目に見えてる。

 

 いくら修哉に負けたからと言って、(一般人の立場である)俺に師事して欲しいと言う訳がない。もし他の魔法師達が知ったら、十師族としてのプライドが無いのかと疑われてしまうから。

 

「………それはそれで良いかもしれないな。一高に転校すれば司波さんにも会えて一石二鳥……」

 

「おいチョッと将輝さん、何で俺の冗談を真剣に考えてるのかな? そんな事したら不味い事になるから絶対にやめてくれ」

 

 真剣な表情で恐ろしい事を呟く将輝に、俺は少しばかり焦った。俺に師事するよりも、司波妹に会えるとの下心を見せているが。

 

 確か今も彼女に絶賛片思い中だったな。当の本人は司波(あに)以外の男に興味ないから、その恋は絶対実らないだろう。

 

 冗談を真に受けてる将輝に考えを改めるよう言ってると――

 

「数日振りじゃのう、隆誠殿!」

 

 もうお決まりのパターンになっているのか、聞き覚えのある声がしたと同時に誰かが俺の片腕に引っ付いてきた。こんな事をしてくるのは彼女しかいない為、俺はすぐに嘆息してしまう。

 

「沓子、どうして君は毎回会う度に引っ付いてくるのかな?」

 

「これはもう一種の『お約束』と言うやつじゃ」

 

「確かに四十九院の言う通り、もうお決まりのパターンになっているな」

 

「将輝、お前までもか……!」

 

 引っ付いている四十九院沓子の言葉に同意する将輝に、思わず突っ込みを入れてしまう俺。

 

「本当なら淑女として見過ごせないところだけど、兵藤君相手では諦めるべきね」

 

「と言うより、沓子がこんなことするのは兵藤君だけだし」

 

 沓子が現れたのであれば、彼女の友人である一色愛梨と十七夜栞も来るのがお決まりだった。

 

 三高の三人娘が登場した事で、今まで以上に視線が集中している。

 

「沓子だけじゃなく、一色と十七夜も来てたんだな」

 

「当然よ。兵藤君が三高に来てくれるだけでも有意義な時間だもの」

 

「愛梨はこう言ってるけど、実は結構嬉しがっていたわよ」

 

「チョッと栞、誤解を招く言い方をしないで!」

 

 優雅に振舞う一色だが、十七夜の台詞で途端に口調が素に戻っていた。相変わらずと言うべきか、この二人は良いコンビだよ。

 

 彼女が嬉しがっていると言う事は、もしかしたら俺と何らかの勝負でもするつもりなんだろうか。

 

「そう言えば隆誠殿、お主の友人達は来ておらぬのか?」

 

 すると、沓子が俺にそう訊いてきた。

 

 彼女の台詞に一色と十七夜も気になっていたのか、途端に俺の方へ視線を向けてくる。

 

「今年来たのは俺の家族だ。今は一条家で世話になっているが」

 

「何と!? 隆誠殿のご家族が来てるのであれば、後ほどワシの方から義母上(ははうえ)殿に御挨拶をせねば!」

 

「おいおい、どうして君が俺の母に挨拶しなきゃならないんだよ」

 

 そもそも俺と君は恋人同士じゃないのに、何で会いに行く前提で言ってるんだか。

 

 前にも言った通り、俺は沓子に恋愛感情は抱いていない。単に可愛い孫と言う認識程度であっても、流石に本人の前で言う訳にはいかないが。

 

「まぁどの道、今の時点で母に会わせる訳にはいかないが、な」

 

「何故じゃ? 別に挨拶ぐらいは――」

 

「それより四十九院、そろそろ兵藤から離れてくれないか。これから前田校長に挨拶しにいく予定なんだ」

 

 母さんが今も魔法師の偏見をなくしてもらおうと美登里に任せている事を知っている将輝は、咄嗟に話題を変えようとした。

 

「悪いな沓子。時間が迫ってるからまた後で、な」

 

「むぅ……仕方ないのう」

 

 将輝のフォローに内心感謝しながら俺も合わせる為に促すと、沓子は渋々と言った感じでやっと離れた。

 

 とは言え、この後にまた母さんについて聞いて来るかもしれないから、ここは一つ彼女達にとって気になる話題を用意しておくとしよう。

 

「あ、そうそう。修哉と紫苑が来てないのは、チョッと大事な理由があってな」

 

「大事な理由?」

 

「それは一体何なの?」

 

 俺が勿体ぶった言い方をした事で、一色と十七夜が気になるように訊いてくる。彼女達だけでなく、沓子や将輝も同様に。

 

「一つ確認しておきたいんだが、君達ってさ……友人の恋バナに興味ある?」

 

「おいおい、恋バナってまさか天城と佐伯さんの……」

 

「「「そこのところ詳しく!」」」

 

 俺が言った友人が誰の事を指しているのかを気付いた将輝とは別に、物凄く興味津々そうに食いついた一色達。この反応からして、やはりこう言う関連の話題は大好物のようだ。

 

 本当は修哉と紫苑が正式な恋人同士になるまで秘密にしたかったけど、彼女達が二人に再会するのはどうせ来年になるので問題無い。後で修哉に怒られるかもしれないが、そこは甘んじて受け入れるとしよう。

 

 だけど今此処で語る訳にはいかないから、三人には後で教えるからと言って、俺は将輝と一緒に校長室へ向かおうとする。




オマケです。


 隆誠が金沢にいる頃、修哉は久しぶりに幼馴染の家へ向かっていた。

(緊張するな。前に紫苑の家に行ったのは、確か小学生の頃だったか)

 小学生時代は何の気兼ねもなく何度も遊びに行ってた修哉だが、中学生になって以降から行かなくなっていた。いくら幼馴染でも、思春期に入った男子中学生になれば、女の子の家に行かなくなるのは無理もない。

 隆誠に何度も後押しされた身である為、今の彼は覚悟を決めて紫苑の父親に会おうと決心している。

(ひ、久しぶりに見たけど、相変わらず大きな家だな)

 数年ぶりに見る幼馴染の家は立派な豪邸で、小学生時代には何度も寝泊まりした事もある。今思えば恥ずかしい思い出の一つだが。

 因みに紫苑はクラブで家にいない。彼女がいると凄く気まずくなるからと言う理由で、クラブで家にいない事を事前に確認している。

(よ、よし! それじゃあ押すぞ……!)

 意を決して呼び鈴を鳴らそうとする修哉だったが――

「あら、修哉。私の家に来るなんて久しぶりね」

「え!?」

 何故かクラブに行ってる筈の紫苑が帰ってきた事で動きを止めてしまうのであった。



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