再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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今回はいつも以上にいまいちな内容で短いです。


夏休み編 幕間

 三高を後にした俺達は、将輝(+吉祥寺)の案内で一条家本邸に一泊する事となった。

 

 本当なら金沢にある旅館に泊まる予定だったんだが、俺の魔法についての詳細を問い質したマナー違反のお詫びをしたいと剛毅が言い出したのだ。俺は気にしてないと言ったのだが、『これくらいのけじめを付けさせて欲しい』と頭を下げながら言われた為、ここで彼の顔を潰すのは不味いので承諾する事にした。

 

 因みに言い出した剛毅は、急な用事が出来たみたいで、前田校長と何処かへ行って一緒ではない。恐らく、大失態を犯してしまった事を先輩である彼女と話す為だろう。立場上仕方ないとは言え、ある意味自分でメンツを潰してしまったのだ。俺と一緒にいるのは非常に居た堪れないのは既に察していながらも、敢えて気付いてない振りをしておく事にする。

 

 これは非常にどうでもいいのだが、俺達が一条家に泊まる事でちょっとした一騒動が起きていた。主に(一色達三人を除く)三高の女子生徒達――『一条親衛隊』とか言う連中が。何処で聞いたのかは知らないが、もう本当に鬱陶しかった。一番の被害者であった紫苑が災難だと思うほどに。

 

 知っての通り、一条将輝は美男子と呼べるほど女にモテる容姿をしてる。これも予想通りと言うべきか、三高で学年を問わずに男性アイドル並みの人気を誇っているようだ。それ故に女子メンバーの親衛隊が結成されているんだと。もしも一条に不埒な目的で近付く女子がいたら成敗するとか何とか言っていた。

 

 それ故に紫苑が標的にされた。男の俺や修哉と一緒に泊まるのを良い事に、あわよくば一条に近付いて良からぬ事を企てているんじゃないかと、『一条親衛隊』が問い詰めたのだ。

 

 当然、勝手な事を言ってくる彼女達に紫苑がブチ切れたのは言うまでもない。流石に男の俺と修哉も黙って見過ごす訳にはいかなかったから、紫苑のフォローをして事なきを得ている。案内される途中、将輝が親衛隊が仕出かした事を紫苑に謝罪した事も付け加えておく。

 

 

 

「いやぁ、本当にすいません。話を聞いてるとは言え、急にお邪魔する事になってしまって」

 

「もう、そこまで気にしないでいいのに。さぁ、遠慮しないで沢山食べてね」

 

 場所は一条家のリビング。

 

 夕餉の食卓では大所帯となっていた。先ずは一条家で長男の将輝、母親の美登里、長女の茜(小学六年生)、次女の瑠璃(小学三年生)。客人である俺、修哉、紫苑、そして吉祥寺の計八人で囲む事になった。

 

 美登里は剛毅から俺達が泊まる事を聞いてか、かなり豪勢な夕食を作っていた。一人でこれだけの料理を作るとは恐れ入る。

 

「いや、俺と紫苑は単なる幼馴染だって」

 

「そ、そうよ茜ちゃん。別に私達は恋人同士じゃないから……」

 

「そうなんですか? でも私から見ると、互いに両想いのような気がするんですが」

 

「あの、茜ちゃん、そうやって二人を困らせる質問はしないほうが良いかと……」

 

 修哉と紫苑は茜と吉祥寺が対応してる。と言うより、茜が積極的に関わっているのを吉祥寺が宥めてる、みたいな感じだ。

 

 あの茜と言う子は最初に会った際、俺達――正確には紫苑を睨んでいた。吉祥寺と仲良さげに話してるのを見た事で、恋敵だと誤解していたのだ。

 

 それを聞いた際、俺達は吉祥寺真紅郎にロリコン疑惑の視線を向けていた。人様の恋愛に口を出す気はないのだが、高校生が小学生相手にそれは不味いだろうと。

 

 後で吉祥寺より『僕はロリコンじゃないから!』と凄い勢いで否定していたのを聞いて何となく察した。茜が一方的に好いてるだけである事に。

 

 まぁ、俺としては一番気になるのは――

 

「おい瑠璃、何でお前、真っ先に兵藤の隣に座ってるんだ?」

 

「別に深い意味はない」

 

 何故か分からんが、俺は一条家の次女に懐かれていた。将輝からの問いに、この子は素っ気ない返答をしている。

 

 この子は俺を見た途端、『握手して下さい』と催促されたのだ。どうやら俺の事を九校戦で知ったらしい。

 

 美登里の話によると、アイス・ピラーズ・ブレイクやモノリス・コードの中継を見ていた際、俺の試合に大興奮していたようだ。

 

 まさか九島みたいなファンがいたとは思いもしなかった。しかも将輝の妹だから、少しばかり気まずい感じがする。

 

 因みに瑠璃は俺が将輝を倒した事を何とも思ってないようだ。寧ろ負けるのは仕方ないとか言った事で、兄の将輝はショックを受けていた。家族から容赦ない言葉を浴びせられたのだから、そうなるのは当然と言えよう。

 

「おっ、これは『じろ飴』を使ってますな? 味に一層のコクと深みが生まれる以外に、艶も良くなるから、隠し味には最適なんですよねぇ~。こっちは『いしり』の魚醬を使ってるから、海の旨味成分がたっぷり凝縮されてて凄く美味しいです」

 

「どうして君がその隠し味を知ってるの……!?」

 

 俺が食べながら次々と料理に入ってる金沢特産の隠し味を悉く見抜いた事に、専業主婦である美登里が驚愕の表情となっていた。

 

 彼女から(料理に関して)強敵に思われながらも、楽しい食事はあっと言う間に終わっていく。

 

 

 

 

 少しすっ飛ばすが就寝前――

 

「なっ、ひょ、兵藤、これって……!」

 

「大丈夫だ。これは本人から撮って良いって許可をちゃんと貰ってる。まぁ、司波兄が知ったら絶対黙ってないだろうが……」

 

「………」

 

「で、いるのか? いらないのか? 会場を提供してくれた一条の労いの意味を込めた報酬なんだが……いらないなら後で処分するぞ?」

 

「……欲しいです」

 

「正直でよろしい。言っておくけど失くすなよ?」

 

「勿論だ。これは俺の一生の宝物にさせてもらう。感謝する、兵藤」

 

「……そ、そうか。」

 

 一条将輝の部屋で修哉達に知られないよう、将輝にある物を渡していた。

 

 受け取った将輝は心の底から大事そうに受け取っており、大袈裟過ぎると俺は内心少し呆れるも、喜んでもらえて何よりだと締め括る事にする。




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