このすば世界で一人だけヨルムンガンド 作:ガンショップ店員
俺の名前は佐藤和真。
訳あって俺は一度死んだ。誰かさんが言うにはショック死らしい。今でも思うが最高にダサい黒歴史的な死因だ、トラウマになりそう。
で、俺は転生した。今思うとガチめにあの頃に戻りたい。何せ強くなれるチャンスをふいにしたんだからな。あの駄女神…失礼、穀潰しを選んだのは俺の人生で最大の汚点と言える。
俺は転生し、穀潰しと一緒に異世界で冒険者になった。最初はまぁまぁ悪くない生活だと思えていたがあの穀潰し、元ニートの俺よりニートの素質あるぜ。それも典型的な「はやく飯出せババア!!」とか言いそうな奴。
俺が必死こいて金稼いでも酒だ飯だに使って帰って来やがる。財布空っぽにしたアイツが酔っぱらって帰って来た時はそのドチャシコボディで払ってもらおうかマジで悩んだ程にはアイツを返品したい。ちなみに結局アイツ相手じゃどれだけ溜まってても性欲沸かないから財布没収だけにした。
初日から大目玉食らって、少ない金でなんとかやりくりして、一生懸命生きていたらいつの間にかパーティーメンバー増えてて。二人だけだった俺たちも大分賑やかな冒険者になったと思う。
一人はポンコツ魔女っ娘ロリで、一人はお嬢様騎士系変態ドMではあるがあの穀潰しよりマシである。あの穀潰しは何か為そうとするだけで不運を呼ぶ。借金、借金、これまた借金ッ!!クソッ払っても払っても払っても返せない程の借金を、アイツがァァァ…ッ!!
…本物の獣になれたら、どれだけ楽な事か。
知ってるか?人は皆、獣なんだぜ…表面上は取り繕ってるが、皆獣性を持ってる。取り繕ってる奴はまだマシだ、取り繕わず獣性に本能のまましたがっている奴は必ずクズになる。そういう意味じゃあのドMはいい感じに獣性を発散してるな。
そんな訳で俺はあの穀潰しのお陰でニートから社畜にジョブチェンジさせられた。身を削って稼いでも穀潰しが使うせいで借金はまったく返済できない。
なんとか稼ぐ方法は無いものか…その時だった。
「…君が、噂の『サトウカズマ』かな?」
──俺は、とある武器商人と出会った。
我輩は転生者である。名前は無いので『レディ』と呼びたまえ。
私は転生者だ。神のミスで~とか百万に一人~とかじゃなくただ単に選ばれただけの元一般人。
私は武器商人だ。私の力で産み出した武器は私にとって信用に値する者にしか売り捌かない。もしそれが底辺ギャングだろうが良いとこの
私が転生したのは異世界だ。まだ銃はおろか火薬すら無いファンタジーな世界に私は転生した。
その世界で私は銃と弾を売っている。異色な2つだがこれらはこの世界でも十分強い、と言うかむしろ誰にでも使える分魔法よりも需要はある。
銃は弓矢よりも強く、時には上級魔法に届きうる威力に達する。それを誰でも扱えるのだから冒険者達からすれば垂涎物間違いなし。
だから私がこの世界に転生した時、それはそれは大変だった。なにせこんな能力だ、誰かに知られる訳にはいかなかった。神経を研ぎ澄まし、誰も信頼せず常に一人で生きるよう心掛けていた。
そして気付いた。転生者が多いこの異世界で私
だから私も方向性を切り替えたのだ。ヨルムンガンドのココヘクマティアルのように傭兵を雇おう。武器を売る商人になり企業を立ち上げよう。仲間を増やし世界中を旅しよう。私と彼女とでは武器商人になった目的が違うが、そこはいい。
私は
時は戻りこの世界に転生して数年の時。私の商会もだいぶ大きくなった時だ。始まりの町であるアクセルで一人の冒険者が噂になっていると聞き付けた。その名前は「サトウ・カズマ」、私と同じ転生者のようだった。
始まりの町で噂になるなんて相当だ。私は気になりアクセルへと飛び立った。そして噂を調べれば調べるほど私はその男に興味が湧いた。
いわく「ジャイアントトードで変態プレイ」
「上級職が三人居るのにクエスト失敗」
「ハーレム作ってウハウハ」
「ドS変態ロリコン野郎」
「鬼畜のカズマ」
と、散々な言われようだ。ここまで言われるとなると気になってしょうがないではないか。だから私は直接合ってみる事にした。
第一印象は「がっかり」。あれだけ言われるのだから相当不細工かガチムチマッチョを想像していたが普通の青年にしか見えない。あれだけの噂を生み出すようには到底思えなかった。
だが会って話して商談を持ちかければ彼への印象は一変した。この私が、世界を旅し魔王軍幹部とも遭遇したこの私が呆気にとられたのだ。彼の商人としての才能はこの私を優に上回るほどあった、話せば話すほど彼の才能が発揮された。あの容姿は偽装のためだったと思わせる程彼はカモの皮を被った猛獣だったのだ!
私は彼に交渉を持ちかけた。
「私と共に来ないか?」…とな。
彼は原石だ。ダイヤモンドなんてものじゃない、研磨すればアダマンタイトなんかよりも素晴らしい鉱石になる人材だ。ここで彼を雇わなければならない、私はそう直感した。
彼は意外にも断った。なんでも仲間がいる、と。
面白くない。大変面白くない。だから私は彼のパーティーを紹介して欲しいと言い彼はそれを了承した。
私は笑い転げた。腹筋が死んだ。危うく窒息死するところだった。
なんだあのパーティーは!?ロクに働かない穀潰し同然の駄女神アークプリーストに一発限りの切り札的ポンコツ魔女っ娘に攻撃を当てられない貴族系変態ドM騎士!!
しかも性格がマトモな奴は誰も居ない!あの噂を作ったカズマにでさえ追随を許さない程に彼女たちは狂っていた!と言うか噂の原因の大部分が彼女達にあった。
だから私は彼にこう言った。
「彼女達含めて雇わせてもらえないか?」と。
面白いし、なにより全員仮にも上級職だからその実力も折り紙つきと来たものだ。良い拾い物をしたものだと自分を褒め称えたい。
彼は勿論了承した。彼は武器を買って強くなれる、私は彼を通して商売ができる。どちらもwinwinな関係と言うわけだ。
いやぁ、あれは笑った笑った。笑いすぎて死にかけるなんてこの先絶対に無いね!断言する。いや、彼らならやりとげるかもしれないし今のうちに撤回しておくか?
「おーいレディ、客が来たぜ。」
「ん、わかった。案内して、『レーム』。」
扉を開けて入ってきたのは身長180㎝はある大男。彼はレーム、勿論本人じゃない。私と同じ転生者で元海外特殊部隊出身の凄腕の傭兵、そして私が信頼している数少ない仲間の一人だ。
「来たのは誰?貴族だなんだと騒ぎ立てたあのオッサンがまた来たの?」
「いや、来たのはカズマ達だ。」
「あれ、今日なにか用事あったっけ?」
弾薬は支給したし替えの部品も渡したし、なにか渡すような物あったかな。
「さぁな。ま、大方あの『トラブルメーカーアクア』ちゃんが何かやらかしたんだろ。」
「『アクア』だけ異常に運悪いからねー…」
レームは笑っているが笑い事ではない。アクアの運の悪さは折り紙つきだ、正直あそこまで行くとアクアだけ別の存在な気がする。ギャグ世界の住人的な感じで。
わが社のプライベートルームに入る、すると彼
そして入るなりいきなり土下座をしてきた。この時点で私の中で嫌な予感が最高潮に達した。
「ちょ、カズマ?いきなりなにして…」
「すんませんレディさん!アクアのヤツがアンタから貰った銃を全部売っちまったッ!!」
「は?」「ブッw」
私は混乱のあまり放心し、レームは飲んだコーヒーを吹き出し腹を抱えて大笑いする。カズマは必死に土下座し隣でアクアが地面に頭をめり込ます勢いで土下座していた。
「ご、ごめんなさい!その、借金取りの集団がウチに来て家壊すぞーとか言うから…」
「…渡したの?」
「は、はいぃぃ…」
今にも消えそうなか細い声で肯定するアクア。しかも全身をブルブルと震わせていた。うん?なんでカズマもビクビクしてるの?ワタシ、怒ってないから。
「…レーム、急いで『ワイリ』と『バルメ』を連れてきて。そして
「ククク…あぁ、わかった。プッ、クク…」
「笑い事じゃない!
「分かってるって。ククク…」
ため息を吐き、私は一丁の銃をその場で
…別に二人を撃たないから怯えないでよ。
「カズマ、挽回のチャンスを与えます。これは一見ショットガンに見えますがゴム銃です、殺傷能力はほぼありません。」
「…これで、取り返せと?」
「いいえ、
カズマを立たせ銃と大きめのポーチを渡す。私の言葉の意味を理解したのか恐ろしいものを見たような目で見てくる。が、すぐに切り替えた。君のそういうところ私は好きだよ。
「あの、これは?」
「中にゴム製の実包を使ったショットシェルが入ってます。使い方は実弾と同じだから訓練通りに使って。」
「りょ、了解です!」
「よろしい。」
今度はアクアを立たせる。アクアは何故か顔を真っ青にしている。おやおや、何故そんな顔をしているんだい?私は怒ってないから、ね?
「アクア。」
「ひゃい!」
「…他メンバーを連れてきなさい。バックアップに使いますから。」
「わ、わかりましたー!!」
爆裂魔法はワイリと併用して使えば後処理が楽、ダクネスは肉盾として優秀だからバルメと相性がいい。やはり彼らを雇って正解だった、扱いやすくて大変よろしい。
「私たちも出発する、行くぞ。」
「あぁ!」
さぁ、私達に喧嘩を売った愚か者に分からせよう。喧嘩を売る相手を間違えたと。
私達が如何に恐ろしい部隊であるかを骨の髄まで刻み付けてやろう。
たとえ便所に隠れて居ようと必ず見つけ出し一匹残らず絶滅させる。
何故なら私たちは、武器商人だからだ。
※主人公は「レディ」です。カズマではありません。
あとアクア様アンチでもないのであしからず。