ウララは初めてのデビュー戦以降、次のデビュー戦に向けて、力をつけている。キングヘイローは惜しくも2着。ライスシャワーはデビュー戦は失格になった。
ーダートコース トレーニング用ー
【ハルウララ】
周りの皆は強いなぁ~!わたしも頑張らないと!それにライスちゃんとキングちゃんより先に1着取らないと!なんたって、「せんぱい」だからね!
【トレーナー】
先輩…?どっちかって言うとライスとキングの方が先輩じゃない?
【ウララ】
違うよ!トレーナーが最初にわたしの事、スカウトしてくれたじゃん!
【トレーナー】
ああ!確かにウララが「先輩」だね!
遅れをとらないように頑張ろうな!
【ウララ】
うん!それじゃあ、走ってくるね!
【トレーナー】
頑張れ!ご褒美を用意してあるから!
楽しみにしててね!
【ウララ】
わ~い!ご褒美!
じゃあ、行ってくるね~!
ご褒美に胸を踊らせながら、ウララはダートを走りに向かった。
………
【ウララ】
はぁ…はぁ…。終わったぁ~…
ウララがダートに寝そべる。
【トレーナー】
お疲れ様!僕の部屋に戻ろうか!
そこにご褒美があるんだ!
【ウララ】
疲れちゃったぁ…
トレーナー…おんぶ~…
【トレーナー】
しょうがないな~…
ほら、おいで!
トレーナーが姿勢を屈める。
【ウララ】
うんしょ…突撃~!
ウララが起き上がって、トレーナーにおんぶをしてもらえる様に背中に向かっている。トレーナーがゆっくりと持ち上げる。
【ウララ】
やっぱり、トレーナーの背中、おっきいね!
お父さんにもよくしてもらったんだ~!
【トレーナー】
あはは、ありがとう。
お父さんにもよくしてもらってたんだね!
【ウララ】
うん!ウララがまだちっちゃい時に、公園で遊んだ後とかにおんぶしてもらってたんだ~!
【トレーナー】
羨ましいな。俺はしてもらった事がないんだ
【ウララ】
トレーナーはお父さんと仲悪いの?
【トレーナー】
そういう訳ではないんだけど~…
う~ん…説明が難しいなぁ~…
まあ、気にしなくていいよ!
【ウララ】
わかった……すぅ~…
【トレーナー】
あれ?寝ちゃったか…
起こさないようにしないと
トレーナーは寝てしまった、ウララをおんぶしながら、部屋に来た。
ートレーナーの部屋ー
ソファーにウララを寝かせると起きるまでにパソコンを使って、これからのレース予定やトレーニングの仕方をメモしたファイルの整理をしている。
【トレーナー】
う~ん…この日はお出かけにしたいな…
それにこの日はトレーニング…
整理をしていると「ガチャッ」っとドアの開く音がした。中に入ってきたのは
【ライスシャワー】
お兄さま!練習、終ったよ!
【キングヘイロー】
ふぅ…いい練習ができたわ!ありがとう、ライスさん。あなたとの併走、楽しかったわ!
【ライス】
私も、キングさんとの併走、楽しかったよ!
キングとライスの適正は芝の為、芝のトレーニングコースで練習させていた。
【トレーナー】
お疲れ様!2人とも!
ちょっと、そこのソファーに座って、待っててね。
2人は疑問に思いながらも、ソファーに座る。
【キング】
あらあら、ウララさんってば、寝ちゃってるわ!
本当によく寝るわね…気持ち良さそうね…
【ライス】
なんだか、ウサギさん見てるみたいで癒される!
【トレーナー】
お待たせ~。はい!
トレーナーが持ってきたのはにんじんとリンゴで出来た、クッキーとリンゴジュースを持ってきた。
【トレーナー】
上手くできたか、わからないけど…
食べてみてくれるかな?
【キング】
あら?手作りですの?
お言葉に甘えて、頂きますわ
【ライス】
わ~!お兄さまってお菓子作りも上手いんだね!凄い美味しそう!形もいっぱいある!
いただきま~す!
2人がクッキーを1口、口に運ぶ。
【ライス&キング】
美味しい~!
【トレーナー】
良かった~!母さんのレシピを真似したんだ!
作ったかいがあったよ!どんどん食べて!
2人がクッキーを食べていると
【ウララ】
ん~…う~ん…
スンスン…いい匂い~
ウララが起きた。
【ウララ】
わ~!クッキー!
それにジュース!
【トレーナー】
おはよう!たくさん食べていいよ!
【ウララ】
いっただっきま~す!
起きたばかりだと言うのに、パクパクとたくさん食べるウララ。
【ウララ】
ボーノ、ボーノ♪
【トレーナー】
ぼーの…?何、それ?
【ウララ】
最近ね!ヒシアケボノっていう子に会ったの!すっごく大きくて、すっごく優しい子なの!最近はね、お昼に一緒にご飯を食べるんだけど、私にヒシアケボノちゃんがね!自分のお皿にあるものをいっぱい「あ~ん」ってしてくれるの!
【トレーナー】
(最近、ウララがお腹が膨らんでるのはそのせいかな…?まあ、悪い子ではなさそうだし)
そんな話をしながら、ウララ達は作った分のクッキーを食べきった。
【ウララ】
美味しかった~!
ありがとう!トレーナー!
【キング】
私の作るクッキーには負けるけど、美味しかったわ。お礼をさせていただくわ!ありがとう、トレーナー
【ライス】
また食べたいな!
【トレーナー】
じゃあ、次は奮発をして、たっくさん作ってあげるよ!他の味も用意するね!
そんな約束を交わして、皿などを洗うトレーナー。
【トレーナー】
皆!次のデビュー戦は来週に決まったからね!頑張って、体を作って。ベストコンディションで挑もう!そうだ!すっかり忘れてた!
トレーナーは以前、作ったミサンガを2人に配った。
【キング】
これは?
【トレーナー】
ミサンガ!お守りだよ!
【ライス】
わぁ~!すっごく可愛い!
【トレーナー】
それはね。利き足に巻き付けてね!
それがね、自然に切れると、願いが叶うって言われてるんだ!自分で外さない様にね!
2人にミサンガをあげた後はもう遅くなりそうな時間だったので、3人を寮に送り届けたのであった。
(続く)次は番外編
[番外編 ライスシャワーのデビュー戦当日]
ウララのレース後の2日後にライスの出る、レースが始まろうとしていた…トレーナーは車の前で待っていた。しかし、ライスは来なかった…
ー駐車場ー
【トレーナー】
…来ないな、どうしたんだろう…?
まさか、忘れてたり?
いいや、ライスはそんな子じゃないな。
………数時間後
【トレーナー】
来ない。ライス…心配だ…。
もう、レースは始まる時間だ。
電話をしておかなきゃ…
トレーナーがレース関係者の方々に電話をした後、トレーナーは自分の部屋に戻った。
ートレーナーの部屋ー
【トレーナー】
(ん?…机の上に手紙?ライスからだ!)
トレーナーが手紙の内容を見る。
【ライスの手紙】
ライス、黙っていなくなっちゃって…ごめんなさい、トレーナーさん。ライス、レースに頑張って、出ようと思ったけど…勇気が出ないの…せっかく、トレーナーさんがトレーニングを頑張って、サポートしてくれたり、お出かけに連れてってくれたりしたのに……ライスはだめな子だから…トレーナーさんに迷惑掛けて、期待にも応えられなくて、ごめんなさい。ライスのことはもう…
【トレーナー】
ライス……
トレーナーは外に出て、トレセン学園でライスを探しまわる。
【ウララ】
あっ!トレーナー!
キョロキョロして、どうしたの?
何か探してるの?
【トレーナー】
ライスを探してるんだ…見てない?
【ウララ】
さっき、見たよ!着いてきて!
ウララに連れられ、向かった場所は
ー屋上ー
【ウララ】
ほら!あそこだよ!
指を指した方向にはベンチでパンを食べるライスの姿が。トレーナーはライスに近づく。
【トレーナー】
屋上にいたのか…。ありがとう、ウララ!
ライスとお話してくるから、ウララは戻っていいよ!
【ウララ】
わかった!バイバ~イ!
ウララが去っていった。
【トレーナー】
ライス!
【ライス】
ひゃあ!?ト、トレーナーさん!
【トレーナー】
今日は来なかったから、心配したよ!
【ライス】
…!
ライスが走り去ろうとする。
【トレーナー】
ライス!待って!
どうして、逃げちゃうの?
俺は別に怒ってないよ!
【ライス】
それはわかってる…
トレーナーさんは優しいから…
ライスのせいでレースが台無しになっちゃって、ごめんなさい…
【トレーナー】
勇気が出なかったんだよね?
誰だって、勇気が出ない時だって、あるよ!俺もレースのことは気にしてないから!
【ライス】
どうして、トレーナーさんはそんなに優しいの?
ライスはこんなにだめな子なのに…
【トレーナー】
だめな子じゃないよ!
とりあえず、立ってたら疲れちゃうよ?
座って、話そう!
トレーナーがベンチに腰を掛けて、ライスを手招きする。ライスもベンチにゆっくり腰を掛ける。ライスがしゃべり始める。
【ライス】
ライス、怖いんだ…レースに出るの…
【トレーナー】
どうして?
【ライス】
トレーナーさんは「しあわせの青いバラ」って知ってる?
【トレーナー】
懐かしいなぁ~!母さんによく読み聞かせてもらったよ!たくさんに植えられた、色とりどりのお庭にある花達の中にひとつに真っ青なバラがつぼみをつけたんだ。でも、その青いバラの事を周りの花達とよく庭を見に来る人達は青いバラの事を「気味が悪い」とか「きっと不幸の花だ」って言われるんだ。次第に青いバラも「僕はきっとだめな花なんだ」って思ってきて、だんだん、萎れてきちゃうんだ。でも、その青いバラの前に「お兄さま」って言われる人物が現れるんだ。お兄さまは心の優しい、笑顔の穏やかな人。その人は青いバラを見て言うんだ。「やあ、青いバラだなんてとっても素敵だ!きっと、綺麗に咲くに違いない。ぜひ買い取らせて下さい!」って言ってくれたんだ。青いバラは鉢に植え替えられて、家に持ち帰ってもらって、毎日お兄さまに声を掛けてもらって、見事な花を咲かせるんだ。青いバラは家の窓辺に飾られて、道行く人達を幸せにしたってお話だよね。
【ライス】
凄い!そう、そうだよ!ライスのとっても大好きな絵本のお話なの!
【トレーナー】
俺もこの本が大好きなんだ!俺はこの本を読み聞かせてもらって、「お兄さま」の様な心の優しい人になろうと思ったんだ。
【ライス】
だから、お兄様に似てたんだ…!
【トレーナー】
えっ?
【ライス】
ライスはね…その絵本に出てくる。「青いバラ」になりたいって思ったんだ。皆を不幸にしちゃう、だめな子じゃない。皆を幸せにできる青いバラに。そう思い始めた頃にね、お母さんがライスをレースに連れていってくれたの…
………
【ライスのお母さん】
ほら、ライス。おいで!どうしたの?
【ライス】
あわわわ…ライスはいいよぉ…おうちでみるから
【お母さん】
また、人に迷惑を掛けちゃうって思ってるの?
そんな事、ないのよ?
【ライス】
いいの。ライスがいたら…
【お母さん】
ほら、ライス。手を握って!
これだったら、人に迷惑を掛けないわよ
【ライス】
本当…?
【お母さん】
本当!
【ライス】
手、離さないでね!絶対に…絶対にだよ!
【お母さん】
離さないわ。ちゃんと握ってるわ。
それじゃあ、レース見る?
【ライス】
うん!
……
【ライス】
その時のこと、今でも、ちゃんと覚えてるんだ。
周りの人みんな、レースをめいっぱいの笑顔で見てたの。応援してる子が勝ったら…皆、とっても幸せそうな顔で見てた。それでね、ライスも…ライスもね、あんな風になりたいなぁ…って思ったの!皆を不幸にするだけの、だめな子じゃなくて…皆を幸せにできる、そんなウマ娘に…!でも、ライスがレースに出るのが怖い理由は…「青いバラには絶対なれない」ってわかっちゃうこと。ライスなんかがレースに出ても…誰も幸せにできないってわかっちゃうこと。レースに出たら、本当のことがわかっちゃう。この先ずっと、だめな子だって、わかっちゃうかもしれない…。そう考えたら、怖くて、怖くて震えが止まらないの…!ごめんなさい、トレーナーさん。もう、ライスのことなんか…こんなだめな子のことなんか、あきらめていいから…!
【トレーナー】
ライスはだめな子なんかじゃ…
【ライス】
ライスはだめな子なの!いつも怖がって、泣き虫で…
【トレーナー】
俺がそんな子じゃないって知ってる!
ライスはいつも人を気にかけて。人一倍、心配性で。友達を大切にする、とっても良い子なんだ!
【ライス】
…!
【トレーナー】
それにライスは強い子なんだ!ライスが諦めないで頑張ったら、皆はライスのことを好きになってくれるし、皆を笑顔にできるよ!俺はライスのトレーナーで良かったって思ってる!
ライスは俺が咲かせてみせる!
ただの花じゃない。幸せを呼ぶ、青いバラの様に!
【ライス】
ライス…なれるかな…
【トレーナー】
なれる、きっと…いいや、絶対になれる!
【ライス】
トレーナーさん…!
うん…、うん!ありがとう!
ライス、勇気を出して…次のレースに出てみるよ!
【トレーナー】
ライス!
【ライス】
そ、それと…トレーナーさん…?
【トレーナー】
何?ライス?
【ライス】
トレーナーさんが「しあわせの青いバラ」に出てくる、「お兄さま」に似てるの!
【トレーナー】
そ、そうかな?ありがとう!
ちょっと照れる、トレーナー。
【ライス】
それで、トレーナーさんの事…「お兄さま」って呼びたいの。ダメ…かな?
【トレーナー】
えっ!う~ん…恥ずかしいけど、ライスが呼びたいなら、俺は別に構わないよ!
【ライス】
いいの!?
【トレーナー】
いいよ!
【ライス】
そ、それじゃあ…これからもよろしくお願いします!お兄さま!
(終わり)次も番外編
[番外編 キングヘイローデビュー戦]
ーレース場ー
キングのデビュー戦はハルウララの次の日にあった。キングは「勝ってくるわ」の一言を俺に告げて、デビュー戦に挑みに行った。だが…
【赤坂】
キングヘイロー2着ー!!集団に囲まれ、惜しくも届かなかったー!
【キング】
はぁ…はぁ…。勝てなかった…!
証明…できなかった…!
【ベテラントレーナー】
もう、トレーナーがいるって聞いていたが。確か、新人だったな。どれほどの実力か見て、私の方から誘って、新人トレーナーから取ってしまおうと思ってみたのだが…あれではなあ…
【中堅トレーナー】
最後の末脚は目を見張るものがあったが…。
母親と比べると才能の無さがうかがえるなぁ…
そんな声が俺に聞こえた。彼女は頑張ったのだから、歓声を送ってあげるべきだというのに…
【トレーナー】
惜しかったな、キング!
【キング】
……ッ!そうね!
次は勝ってみせるわ!
おーほっほっほっほ!
【トレーナー】
そうだな!キングなら、なれるよ!
【キング】
そういえば…あの時、あなたにスカウトされた時はいきなりで驚いたけど…どうして、私をスカウトしたの?
【トレーナー】
実は俺が入ってきた頃、君が模擬レースをしている時に君を見てね
【キング】
ああ…セイウンスカイさんとの…
私が負けてしまった…なのに、どうして私をスカウトしたのかしら、納得のいく理由を聞かせてくれるかしら?
【トレーナー】
納得させられるかはわからないけど。
君の姿に惚れたんだ!勿論、走る姿にだよ!
君の目標にも凄い引かれたんだ!「一流の証明」。そんな、すごい目標が最初から持っているなんて、素敵なことだよ!さっきの観客席にいたトレーナーが君に才能が無いなんて言ってたんだ。でも、才能が無いだなんて人の決めることじゃない。才能は自分で見いだすものなんだ。キングの諦めないで物事に立ち向かう姿はまさに才能だよ。実は俺もいつかは「一流」なんて呼ばれたら、嬉しいなぁ~…なんて。キングみたいな一流のウマ娘をスカウトできて、幸せだよ!俺のスカウトを受けてくれて、ありがとう!
【キング】
いいえ…いいのよ。今後の予定はあるのかしら?
一流のウマ娘である、私をスカウトしたからには…あなたはそれ相応のトレーナーでなくてはならないの。
【トレーナー】
もちろん!もう、君と辿ろうと思う道は出来上がってる!まず、次のデビュー戦を勝って、次にオープン戦、次にGIII、GIIを勝ち取って、そして、皐月賞、ダービー、菊花賞を取って、三冠ウマ娘になるんだ。その後もGIを何勝もするんだ!……どうかな?
【キング】
そう言ったからには私を勝たせなさいよ!
【トレーナー】
ああ!勝たせてやるさ!
例え負けたとしても、何度も、何度も、挑み続けてやる!
【キング】
ふふ…あなたって相当な頑固者ね。
私、そういうの嫌いじゃないわ…
さあ、帰りましょう!
【トレーナー】
分かった!
(終わり)
読んで頂き、ありがとうございます!
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