君、死にたまふ事なかれ【本編完結】   作:月瓜里

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天啓を告げる(5/16~5/26)

5/16(土) 放課後

 

巌戸台駅前商店街

たこ焼き オクトパシー前

 

「今日は大丈夫だと思うから…レッツトライ!」

「チミの妙なその自信はなんなの…?」

 

モコイさんを連れたってたこ焼きを食べに来た。

ゴールデンウィークに食べに行ったときはモコイさんがゲロゲロになった(ソフトな表現)ので1人で今日は完食する。何と言われようが完食するのだ! たとえ、食欲がなくとも!やろうと思えばイケるしやれるはずだ!!!…たぶん。

 

数分後。

 

「う…もう駄目…美味しいのに…食べたいのにこれ以上は入らない…夜ごはんは無理だ…」

「だから言ったじゃないスか…」

 

謎のたこ焼きに完全敗北していた。

全然大丈夫じゃなかった。

さいごの一個がどうしても食べられない。しかしこのまま捨てるとかゲロゲロになったモコイさんに食べさせるとかいう選択肢はない。

 

「が…がんばれば…うぅ…やっぱ無理だ…」

 

割り箸を伸ばそうとしては吐き気が込み上げ戻す。伸ばそうとしては戻すを繰り返す。

もったいないしやはりだめだという現実をたこ焼き一個に突き付けられてとても情けないし辛い。

いち男子高校生がたこ焼き一つに苦しめられているとはだれが思うだろうか。可愛く鎮座するたこ焼きがこちらを見つめている。

 

「ねぇおにいちゃん、それ、要らないなら貰ってあげるね!」

 

ひょいと、横からつまようじでさいごの一個のたこ焼きが掻っ攫われる。

反射的に横を向けば、金髪の幼い少女。

 

「ん~おいし~~~~! ありす、こんなの食べたの初めて!」

 

嬉しそうにもぐもぐとたこ焼きを咀嚼する少女はまさに外国のお人形のような可憐な容姿をしていた。青いスカートに白いカチューシャ。

少女の発した『ありす』という名前通りそのまま不思議の国から抜け出してきたかのようだった。

 

「ごちそうさまでした! …おにいちゃん、ありがとう! ところで…そのお人形さん可愛いね!」

 

少女はモコイさんの事が見えているようだ。

しかしモコイさんは動かない。喋らない。あくまでもぬいぐるみのフリをしていてくれるのだろうか。それならそれでありがたい。

 

「そのお人形さんのこと気になるの! だからありすにも触らせて?」

 

少女が言う。

その言葉になぜか違和感を覚え、口は勝手に否定の言葉を吐き出していた。

 

「…うーん、大事なものだからだめかな」

「ぶー、けちー!」

「ごめんね」

 

謝罪すればコロリと少女は笑う。

そしてスカートを翻しながら一回転した。

 

「いいよ! でもそのかわり、おにいちゃんがありすのお友達になって!」

 

少女の友達になるくらいなら良いかな…と妥協の心が芽生える。

そもそもこんな無垢な少女に何か危害を加えられるはずもなく。むしろこちらがそういう目で見られかねないけれども…ここでこの程度のお願いを断って泣かせてしまうのも何とも忍びない。

 

「わかった。友達になろう」

「ほんとうに!ありがとうおにいちゃん! ありすはね、ありすだよ! おにいちゃんのお名前はなあに?」

「優希。三上優希だよ」

「じゃあねー、ユーキおにいちゃん! ね、ね! 遊んで!」

 

名前を告げれば花が咲くように笑うありす。

純真無垢なその笑みに、何を警戒していたのだろうかと考えた。

ありすは嬉しそうにベンチの周りをぐるぐると回る。そういえば、この子は一人なのだろうか。親御さんは?と不安になる。

 

「うーん、ありすちゃんはお父さんかお母さんと一緒じゃないの?」

「んー、おじさんたちがいるけどいまはいっしょじゃないの! ありすは“おるすばん”なんだって!」

 

聞くと、ケロっとした顔でそう答える。

恐らく、親戚の人と一緒に旅行か何かでここにきて、買い物か何かで一人待ちぼうけかなにかなのだろうか。

なんというか、こんな小さな少女を街中に置いていくなんて色々と問題のある親戚に感じる。

 

「おじさんたちが迎えに来るまでならいいよ」

 

とりあえずそのおじさんたちが迎えに来るまでなら付き合おう、と首を縦に振る。

 

「なにして遊ぶ? お人形さんごっこ? おにごっこ? それとも──…あ、」

 

なにをして遊ぶのか、ありすが決めかねていると突然後ろを振り向いて小さく声をあげた。

そして、シュン…とかなしそうな顔になる。

 

「もうおじさんたちが来ちゃった…ありす、帰らなきゃ。じゃあね、ユーキおにいちゃん。ばいばい」

 

止める間もなく走り去っていく少女の後ろ姿にまるで嵐のようだったと感じる。

完全にあの子のペースに乗せられていた。

小さいころの奏子もあんな感じだったのだろうか、と思うと随分微笑ましい。見た目は全然違うし、ありすのほうは外で遊ぶような活動的な子には見えなかった。

どちらかというと、静かに屋内で絵本を読んでいるような子に見える。

 

「………ハッ!」

 

ありすが居なくなって数分ほどして、帰り道の途中でモコイさんが目を覚ましたかのように声をあげた。

まだ人形のふりをしていてくれていたのかと抱えて帰っていたがどうやらそうでもなさそうだ。

 

「ボクちん気がナイナイくんだった…」

 

気絶していたらしい。

そんなに人形のフリが負担だったのだろうか。

 

「ごめんねモコイさん、ぬいぐるみのフリはしんどかった?」

 

聞けばきょとんとした顔のモコイさんがこちらを見つめる。

 

「はへ? ぬいぐるみのフリをしてたつもりは無いっスよ?」

「え?」

「イキナリ寒気がして、ボク、風邪カナ…?」

 

ぶるりと身震いするモコイさん。悪魔にも風邪とか病気はあるのだろうか。

とにかく、

 

「早く寮に帰って今日は暖かくして寝ようか」

 

好きなものを作って部屋に持っていくから、と告げると途端に嬉しそうな顔になる。

 

「モコイさんは牛丼が食べたいナ!」

「うんうん、わかったよ。うみうしの味は真似できないけどちゃんと作るからね」

「ラッキー!」

 

なんだか、ありすという少女とはまた会えるような、奇妙な縁を結んでしまったような気がした。

 

 

 

 

5/18(月) 朝

 

中 間 試 験 開 始 ィーーーーーーーーーーーーーー!!!!

 

ちなみに昨日、湊が予測した通りに伊織と奏子が泣きついてきた。

ちょうど良かったので二年生組を集めて勉強会を3時間ほど行った。

伊織はともかく奏子はコツさえつかめば勉強できるタイプだったらしいのでそこまで苦ではなかったけれど…

 

伊織は…伊織は基礎からダメだったのでまずはそこから教えることにしたが恐らくこの中間試験には間に合っていないだろう。

赤点をぎりぎり免れるかそれより少し上かぐらいになれば上々なくらいかもしれない。

 

岳羽は良くも悪くも平均的な感じだ。応用が少し苦手なようだが問題なさそうなラインだ。

 

湊についてはノーコメントで。

というよりこちらが教えることが何もなかった。

全教科パーフェクト。応用についても申し分ない。課題もすでに終わらせて予習復習まで済ませているのには驚いた。マジで何もいう事がなかったのでただ居るだけ、みたいな感じになってしまったのは申し訳なかった。

 

いや、「居たくなくなったら自由に席を外してもいいから」とは言った。でもなぜか席を立つことなくたまに伊織をからかいつつ最後まで同席していたのだ。

と、昨日の事を思い出しつつ答案に答えを書き込んでいく。

 

調子がいい。

 

というより既に覚えてしまうほどにやった中間試験なので答えは全て暗記のようなものになってしまっている。

数学や計算の問題も計算する前に頭が覚えた答えを吐き出して手が勝手に書いている、という感じになってしまってるのは悪い兆候な気がする。

どうせ強さもリセットされるなら学力の方もリセットしてくれれば勉強に毎度身が入るのに…と贅沢な要求をしてみる。

そうなればそうなったで酷く不便なのでやっぱりなしで、と撤回した。

楽しいっちゃ楽しいのだろうが面倒くささが先に来そうな気がして学力リセットがなくて良かったとすぐに掌返しをする。

 

(ここはこれだったな…)

 

 

 

 

5/22(金) 放課後

 

中間試験終了!!!

解放された~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!

と思っている学生も多いだろう。実際、自分もそうだ。

楽だとは言っても過ぎる時間は同じなので退屈すぎる。それに、自分はわざと1位になるような点を取らないようにしているため適当に問題を空欄で開けているのだ。

その時間も加味して物凄く暇になっている。…ので寝た。

お蔭で体がすごくだるい。絶対にいつもより多めの睡眠時間をとっている気がする。

 

「……だる…」

「お兄ちゃんがそんなこと言うなんて珍しいね。湊みたい」

「んー…そうかな」

 

そんなに自分は怠そうにしないのだろうか。結構な頻度で怠いなーとは思っているのでそういわれると意外だ。というか湊はそんなに怠がっているのか。

リーダー業がやっぱりしんどく不安なのだろうか。

栄養ドリンクか何かを差し入れるか朝食の栄養バランスを見直すべきなのだろうか…としなびたポテトを口に入れながら考える。

 

今日は試験終わりという事で奏子とワックことワイルダック・バーガーに来ていた。

モコイさんは筆記用具と最低限のノートしか入ってないカバンの中に入っている。

寝ているのかとても静かだ。

本当は伊織や岳羽も誘いたかったし湊も誘ったのだがみんな用があるらしく断られてしまった。

 

「なんかちょっと顔色も悪いよ? まさか、隠れて無茶してるんじゃ…」

「ないない」

 

奏子の心配を笑って一蹴する。

あれ以降、悪魔の巣に入ったこともなければ隠れてタルタロスにいくなんてこともしていない。

やっても精々モコイさんと帰りに食べて帰るくらいしかしていないし夜は出歩いてすらない。夜の食事をモコイさんと一緒に食べて軽く勉強して影時間前には即就寝。タルタロスの探索がある際はついていって美鶴さんの手伝い兼周囲の警戒。

自分からすると珍しいくらいに品行方正な怪我人生活を送っているので顔色が悪いと言われても原因に心当たりがない。

 

(そんなに顔色悪いかな…)

 

寝すぎで怠いだけであって、体調が悪くてしんどいわけではないので健康的な生活も相まって顔色は良くなるはずなのに悪いとは納得がいかない。

 

「…私の気のせいかな」

「ちゃんと夜は寝てるしリハビリの為に病院にも行ってるし心配しなくても大丈夫だよ」

「そうならいいけど…あ、そういえば」

 

何かを思い出したような顔で人差し指を立てて顔をあげた奏子は話題を変えた。

 

「同じクラスのね、山岸風花ちゃんって子がいて…」

 

ここでそう来たか。

山岸風花。美鶴さんの代わりにナビゲートをしてくれることになる二年生組最後のメンバーだ。感知能力に長けたペルソナを扱う無くてはならない存在であり劇物作成のプロ(とんでもないものを生み出す子)

確かこの後すぐ位に体育館に閉じ込められることになってタルタロスに迷い込むんだったか。

 

「なんだか虐められてるっぽくて…力になってあげたくて、『虐めてるやつらなんかぶっ飛ばす!』って言ったんだけど引かれちゃったみたいで…うー、どーしよ…」

「虐め、か…」

 

難しいところだ。余所者が下手に首を突っ込む事は良くない。

事態の悪化を招きかねない事もあるからだ。しかし、それを見過ごし止まるような奏子ではない。

 

「とりあえずぶっ飛ばすのは無しにして、学校にいる間だけでも寄り添ってみるのはどうかな。ちょっと声をかけるだけとか、一緒に昼食を食べるとか、それだけでもしてもらった側は嬉しいかもしれないね」

 

もちろん相手の迷惑にならない程度に。とつけ足せば奏子の顔が少しだけ明るくなる。

 

「うん…」

「奏子も虐められそうになったらいうんだよ。その時は俺が何とかするからね」

 

なんとかするとはなんとかすることである。

やり方は企業秘密だ。ごにょごにょして合法的に虐めを解決させる…のではなく普通に二度と虐めなどできないようにしてあげるだけだ。

繰り返すようだが企業秘密だ。

でもそんな時は来ないだろうなと何となく思う。自分の手など借りなくても奏子は虐めを跳ねのけることのできる強い心の持ち主だ。心だけでなく腕力もそれなりにありそうな気もするけど。

 

「私、バッチリ風花ちゃんを守れるように頑張ってみる」

「無茶はしないように、ね」

「お兄ちゃんじゃないんだから無茶はしないよ~」

 

ドスリとキツイ言葉が心に刺さる。最近、無理・無茶をする=自分という不名誉な図式が出来上がっていないだろうか。まだ二回だぞ、とは言わないでおく。しょっぱなから二回連続無理するのと途中で間隔を開けて二回無理するのとでは意味もインパクトも違いすぎる。

 

「あはは…ふぇくし!」

「お兄ちゃん、暖かくして寝てね?」

「ん…善処する…」

 

これではどちらが上なのかわかったものじゃないな、と苦笑いした。

 

 

 

 

5/23(土) 夜

 

「先輩、全快したそうですね!」

「おめでとうっス」

「おめでとうございまーす!」

「おめでとう、真田くん。後遺症がなさそうでよかったよ」

「……おめでとう、ございます?」

「なんで疑問形なんだ有里弟」

 

寮のダイニングテーブルに集まった二年生がわいわいと真田くんの復帰を祝っていた。

湊だけが疑問形だったが。

 

「…まあいい、復帰メニューも山積みだ。まるひと月サボってたワケだからな」

「急に無理すると、また折れちゃいません?」

「そうも言ってられない。三上が抜け、新たなペルソナ使いも見つかったしな」

 

新たなペルソナ使い、という言葉に伊織と岳羽が驚く。

 

「おおっ!? 新戦力って事スか! もしかして女子とか…!?」

 

上ずった声で伊織が期待する。

なんというか、普通の高校生だなあという感じがした。真田くんはそもそも女子の扱いに困ってるし湊は…湊は良くわかんないし、荒垣君はオカンだし自分は無頓着というかそもそも意識すらしていない。もしかしたら真田くんと近いタイプかもしれない。女子の扱いにはそもそも自分に人気がないので困っていないが。

伊織をジト目で見つめる奏子と岳羽に気が付かなかったことにしたいのでみなかったことにした。真田くんは素で気が付いてないようだったけれど。

 

「女子だ。ウチの高等部二年のな。…“山岸風花”…四人とも知っているか?」

「風花ちゃん!? 知ってるも何も…同じクラスの友達だよ! …じゃなかった友達です!」

 

今日なったばっかりだけど! と付け足した奏子の行動力に驚く。

さっそく行動してグイグイ行って友達になったらしい。凄まじい行動力。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 

「奏子ちゃんてばいつの間に…というかなんか、体が弱いとかで、学校ではあんま見ないような…」

 

岳羽の言葉に軽く真田くんが頷いた。

 

「俺たちの居た病院へ来てたらしい。それで“適性”が見つかった。しかし、素養があっても体がそれじゃ、戦いは無理かもな。…召喚器も用意したんだがな……」

 

悔しそうにつぶやく真田くん。

大丈夫、その心配はないと思うよ、とは告げない。

 

「ええっ、もう諦めちゃうんスか!? せっかくオレが、手取り足取り、個人レッスンとか…」

「「……」」

 

岳羽と奏子、二人分の残念なものを見るような視線が伊織に突き刺さる。

 

「ナニ? そのかわいそうな動物を見るような目は」

「まるで明日出荷される養豚場の豚を見るような目だよね」

「ブタァ!? 湊ってば結構酷いことオレにぐいぐい言うよな!?」

「……どうでもいい」

「どうでもよくねーっての!」

 

結局、その日は順平が茶々を入れたおかげで話が有耶無耶になってしまったので何となくで解散となった。

 

 

 

 

5/26(火)  昼

 

今日は中間テストの順位が発表される日だ。

順位は……学年7位。悪すぎず目立ちすぎない中々いいラインだ。

学年1位をぶっちぎって目立つのはあまり好きではない。文武両道とか正直めんどくさい。

 

隣の二年生の結果を見る。

湊が…学年1位。まあこれはなんとなく分かっていたことだ。

奏子が30位くらいに入っていた。まずまずだろう。

 

 

 

 

深夜

 

いつも通り影時間前にベッドに入り瞳を閉じる。

するとすぐに眠気がやってきて、眠りに落ちた。

 

──はずだった。

 

「ここ、は…」

 

目を開く。視界いっぱいに広がるのは一面の青。

かすかにピアノで奏でられる『月の光』が聞こえる。

 

「目覚めたようね」

「──っ!」

 

顔を跳ね上げる。青だと思っていたのはベルベットルームの床だったようだ。

水槽が一面を取り囲み、水面が月光を反射する。まるで水族館のようなそこは、湊や奏子のベルベットルームとは大きく違っていた。

そして正面の青いソファにはイゴールにマーガレットが座っている。

 

「もうすぐ、ですな。貴方様はついに来るべき試練に相対するでしょう」

 

もったいぶったイゴールの言葉に顔を顰める。

本当に、ここの住人は具体的には語ってくれない。

 

「我が主より命を受けた私どもの方から、貴方様への贈り物を致したくお呼びしました」

「これを。受け取りなさい」

 

なんだか不機嫌そうなマーガレットが机の上に何かを置く。

それは、小さな燭台だった。手のひらサイズのそれは、先端で不思議な青い炎が揺らめいている。

 

「その“メノラー”を肌身離さず持つことです…そしてその炎が燃え上がり、燭台が熱くなったときに貴方様は試練に直面する」

 

口が動かない。疑問を口にすることは許されていないようだ。

体が勝手に燭台(それ)を手に取る。ほんのりと暖かい。

 

「その炎は何かに燃え移ったりすることは無いから安心して頂戴」

 

自分の心を読んだのかと思うタイミングでマーガレットが口を挟む。

とにかく、試練というモノが何かわからないがこの小さな燭台が熱くなって炎が大きくなった時に何か来るらしい。

大型シャドウのようなものなのだろうか。

そうなるとそれはそれでとても面倒くさい。

 

「湊や奏子に…関係は無いんだろうな」

 

ここではじめて口が動いた。

なるほど、ここではしていい質問としてはいけない質問があるのかもしれない。

 

「その点は問題なく。関係あるのかと言われればあるけれど、直接的な関係は無いわ。あくまでも、貴方への試練ですもの」

 

そうかそれなら問題ない。

口角が上がる。

 

「まあ」

 

驚いたような声を出しつつも表情を変えずにマーガレットは驚いたようなしぐさをする。

が、しかしすぐにぴんと姿勢を伸ばしペコリを頭を下げる。

 

「それでは、“お客様”。また『次』に最初の試練を乗り越えてから、お会いしましょう」

 

ここで初めて、マーガレットが笑ったような気がした。

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