平凡な男の非凡な学園生活 (凍結)   作:御龍

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ドロードロードロー (デュエルなし)

さ〜てと、小腹がすいたから購買でパンでも買って帰るかな〜。

 

「お、厚志じゃん。お前も購買に行くのか?」

「ああ十代か、ちょっと小腹がすいたからパンでも買おうと思ってな」

「へぇ〜、奇遇だな。俺もドローパンに挑戦するところなんだ」

「あのギャンブルパンか……。俺は普通のアンパンで十分なんだが」

「ギャンブルパンって言うなよ〜。あれはドローの腕を鍛えるのに最高の特訓なんだぜ」

 

ドローって鍛えるものなのか? ただの運だと思うのだが。

本人が納得してるならいいか。あんまり突っ込んでもトメさんへの営業妨害になるし。

 

「アニキは黄金の卵パンの20日連続レコードを持ってるんスよ」

「でも最近調子悪いんだよな〜。1週間もはずしてるし」

「黄金の卵パンって一日一個限定のパンだっけ?」

「そうそう、無茶苦茶うまいんだぜ〜」

「ん〜〜。それって突然外れるようになったのか?」

「ん? そうだな〜、ここ最近急に外れるようになったんだよな〜」

「じゃあ、十代のドローじゃなくて別の要因を疑ったほうがいいかもしれないな」

「別の要因?」

「例えば鶏が卵を産まなくなったとか」

「そんなうわさは聞いてないっすね〜」

「トメさんに聞けば教えてくれるんじゃないのか?」

「それもそうだな。よし翔トメさんのとこ行って聞いてみようぜ!」

「あ、待ってよ〜アニキ〜」

 

すごい勢いで走っていったな、台風みたいなやつだ。

俺はアンパンが食べたいからドローパンに興味ないし〜。

 

「今日の店番はセイコさんですか。アンパンください」

「はーい。鈴本君はほかのみんなみたいにドローパンには挑戦しないんですか?」

「正直あんまり興味ないですね。自分はアンパンで十分ですし」

「鈴本君くらいですね。アンパンばかり買ってる人は」

「シンプルな味がすきなんですよ。はいお金」

「毎度ありがとうございます〜」

 

もぐもぐ

 

うむ、この素朴な味が一番だ。納豆パンとか、クサヤパンとか、ゲテモノが大量に混じってるドローパンは怖くて買えない。

 

食べている間手持ち無沙汰なので、その辺にあったチラシを見てみる。

なになに、デュエルキング武藤遊戯のデッキ大公開!! 混雑が予想されるため、整理券を販売いたします

ほうほう、遊戯さんのデッキか〜。個人的にはレシピさえあれば他人のデッキなんぞ公開しても仕方がないと思うのだが、武藤遊戯って名前はある意味伝説だから有名なメジャーリーガーのバットとかグローブとか見る心境なのかもしれないな。

 

 

アンパンも食べたし寮に帰るかなっと。

 

「厚志! よかったまだ購買に残ってたのか」

「十代か。今度はどうしたんだ?」

「やっぱり厚志の言ったとおり卵パンだけが盗まれてるみたいなんだ」

「よくまぁ、そんなピンポイントの泥棒がいたもんだなぁ」

「ああ、それで今晩購買に張り込むことにしたんだけど厚志も手伝ってくれないか?」

「張り込むのにそんなに人手いるのか?」

「念のためってやつさ」

「ふむ、十代には毎朝世話になってるから別にかまわないぞ」

「そう言ってくれると思ったぜ。それじゃ、今晩購買で」

 

そういうと十代は走り去っていった。慌しいやつだな。

しかし、卵パン泥棒ねぇ。ドローパンの目玉だけが盗まれていりゃトメさんも商売上がったりだな。

倫理委員会の脅威の捜査力があれば犯人簡単に捕まえられる気がするのは気のせいか?

しかしドローパン買うほど金ないのか? 盗まずに買えよって気もするがまぁいいや。

 

「それでレッド寮の人間はともかく、何で明日香までいるんだ?」

「別にいいじゃない。暇だからよ」

「きっと、卵パン泥棒が許せないんだぜ」

「アニキ、聞こえちゃうっスよ」

「みんなご苦労様〜。お夜食におにぎり作ってきたわよ」

「どうもすいません」

「うまそ〜」

「中の具は何なのかな〜?」

「梅、おかか、鮭だよ。精をつけてがんばって。今夜は私も泊まるから」

「シャケはどれかなぁ?」

「そこの……」

「待った!引きおにぎりだ、俺もシャケが好きだぜ順番で引こう」

「えぇーみんなで分ければいいんだな」

「でもおもしろそう」

「下らなそう」

 

別に嫌いな具はないから何あたってもかまわないが、わざわざこんなことしなくても……。

それに面白そうか? 十代、翔。

 

「俺のターン、ドロー……シャケ召喚」

 

ほんとに当ててやがる。楽しそうだな十代……。

十代とはトランプゲームで勝負しないようにしよう。ポーカーとかやったらロイヤルストレートフラッシュがバンバン出る気がする。同じ理由で麻雀も危険だな。純正九連とか出されそうだ。

 

 

そして深夜。十代達はテーブルの下、トメさんは机の下、明日香はロッカー、そして俺はレジの下に隠れている。

思い思いのところに隠れた結果だが、そもそもなんでみんな休憩室に隠れてるんだ?

 

そして物音がした。どうやら下手人はシャッターを素手で上げているらしい。

あれ電動シャッターだろ!! どうやって素手であげるんだよ!! 構造的に無理だろ!! てかシャッター壊れて警報でないのかよ!!

どうなってんだデュエルアカデミアの警備。こんなんで大丈夫なのか?

不審人物はシャッターを腰くらいまでの高さまで持ち上げその下をくぐるように入ってきた。

十代たちが休憩室から出てきたな、トメさんが照明スイッチのほうに行ってるのがうっすら見える。犯人はパンをあさることに夢中になって気づいていない。

 

「今だ!!」

 

十代の合図とともにトメさんが照明をつける。そして犯人の姿が明かりの下にさらされた!

って野人!?

そこにいたのは筋骨隆々の野人だった。原住民がいたのかこの島!

 

「アーーアアーーー」

 

どこのターザンだよ!

そしてなぜ叫ぶ! 叫ぶ意味ねぇだろ!! ここジャングルじゃねぇし!!

そして野人はドローパンの入っているケースに飛び乗りシャッターをぶち破った!!

ちょっと待て!! そんなんで壊れるなんてどんだけ脆いシャッターだよ!!

 

キャスターついているからそれで移動しようという発想はわかるがシャッターが破れるのは非常識にもほどがある。

嗚呼……俺の常識が崩れていく……。

 

十代たちは俺と違い一切動揺することなく野人を追いかけていった。

俺の脚じゃ追いつくのは不可能だな。

今の俺にできることは…。

 

「トメさん。とりあえず警備の人呼んでおきますね」

「お願いするよ。私も追いかけてくるからね」

 

マジか、どんだけパワフルなんだあの人。

とりあえず宿直の警備員を呼ぶために内線をかけてボーっと待つ。

追いかけていった連中が誰も帰ってこねぇなぁ。

十代のことだからデュエルでもしているのかもしれないな。

あいつのデュエル脳なんとかなんねぇかな。

 

30分くらいかけてようやく来た警備の人に事情を説明をして許可が下りたので俺は帰ることにした。

そもそもあいつらどこ行ったのかわからねぇし。

どうせあいつらのことだからデュエルでもやってんだろうな。

 

十代たちがきたら先戻ってるとの伝言を頼んでおいたので放置で問題ないだろう。

さて寝よ寝よ明日も授業あるし夜更かしは健康に悪いしな。

 

 

そして翌日。事情を聞いたところ犯人は原住民ではなく元ブルー生徒で大山という名前らしい。

なんでもドローを鍛えるために一年間自然の中で生活してたとか。

そしてその修行を集大成として卵パンを狙ったらしい。

今はブルー生徒として戻ってきたそうだ。

何でもデュエルで仲良くなった十代と一緒にドローパンを買う約束をしたそうな。

 

やっぱりデュエルやってたんだな。十代にとってはあらゆる問題を解決する万能ツールなのかもしれないが俺はそこまで信じられないなぁ。

ゲームはゲームってね。

そもそもデッキトップを引くだけの作業であるドローを鍛えるってことにみんな疑問を抱かないのはなぜだ?

なんかこういう時にあいつらと温度差を感じるんだよな。デッキへの信頼とか信じればデッキが応えてくれるとか……。

そんなロマンチックな考えは俺にはできそうもないな。

 

 

結局大山って奴もやってることは失踪、窃盗、器物破損だよな。

退学どころか賠償金も止められてもおかしくないはずの犯罪なんだが……。シャッター大破させてたからな。業者込みで修理費二十万はいくぞあれ。結構大型のシャッターだし、業者って本土から呼ばないとだめだよな。

そんなんでいいのかデュエルアカデミア。

多分、トメさんがとりなして何とかしたんだろうけど。

 

ん? でもよくよく考えたらわざわざ窃盗なんてしないで戻ってきてから普通に買えばいいじゃん。

 

「あれ、厚志がドローパンなんて珍しいな」

「トメさんに聞いたら、ゲテモノパンはかなり確率が低いらしい。調理パンが大半だって言ってたからな。それより十代こそブルー生徒と連れ立っているのは珍しいな」

「これがこないだ話した大山だよ」

「ああ、あの時の野人。ということは卵パン狙いか」

「おう、トメさん! 今日まだ卵パン出てないよね?」

「今日はまだだよ」

「よーし、やろうぜ大山!」

「おう、修行の成果今見せるとき!!」

 

燃えてるねぇ。別に卵パンなんざどうでもいいんだけどな。

それよりも、奥の方でこそこそパンの山を漁ってるのは……。

 

「そこでこそこそしてるのは明日香じゃないか、何で隠れてるんだ?」

「べ、別に隠れてるわけじゃないわよ。私はただドローの練習に……」

「こんなもんが練習になるのかが激しく疑問なんだがまぁいいや」

「外れたー!」

「こっちも外れだー!!」

「にぎやかだねぇどうも」

「くっそー、お互い外れて引き分けかぁ」

 

俺もそろそろ食うか。

な〜にかな? な〜にかな?

 

「あ、卵パンだ」

「「「ええ〜!!」」」

「確かにこれはうまいな。うまいけど卵ってきちんと火が通ってる方が好きだから半熟はなぁ」

「な、なんて贅沢なやつ。私があれほど引けなかったのに……」

「ずりーぜー厚志ー」

「今までの盛り上がりはなんだったのか……」

「まぁまぁそんな日もあるってさ」




デュエルなしはやはり短いですね。
次回は神楽坂です。
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