平凡な男の非凡な学園生活 (凍結)   作:御龍

21 / 29
迫りくるセブンスターズ クロノスVSカミューラ

万丈目と同室になって1週間が経過した。

万丈目は最初こそピリピリしていたものの今では割とうまくやっている。

こいつ結構ギャグキャラとしての素質あるんだよなぁ。朝食のめざしを十代にとられて喧嘩になりそうだったが、たまたま来た明日香の登場によって態度がころっと変わったり、調整デュエルにつき合わせたらデッキの枚数が39枚しかなくて残る一枚を必死に探したらその一枚はなぜかおジャマイエローだったりとか。

愛すべきアホの子って感じがしてとても微笑ましかったりする。

 

まぁ俺がいつもの様にに寛いでいたらこれまたいつもの様に十代がやってきたんだ。

 

「厚志。お前にもらったHEROのおかげで命拾いしたぜ。ありがとな」

「なんのこっちゃ?」

「あ〜、なんつーか。詳しく説明するのは難しいんだけどな、お前にもらったカードのおかげでデュエルに勝つことができたんだ」

「ネクロダークマンか? それともキャプテンゴールドの方か?」

「ネクロダークマンのほうさ。手札がエッジマン一枚でも逆転できるなんてすごいカードだぜ」

 

万丈目との戦いの時に十代へのご褒美としてあげたのはE・HEROネクロダークマンだ。生贄なしで上級HEROを召喚する効果は強力だがそもそも上級HEROがそんなにいなかったりするため、ほぼエッジマン専用のサポートカードになる。ネオスは通常モンスターサポート使ったほうが強いだろうしなぁ。

融合は可能だが融合してもあまりのパンチの低さで結構微妙だったりする。

 

「役に立ったならよかったよ」

「おう! これでエッジマンの活躍の場が増えるぜ」

「なにぃ、厚志! 貴様十代にだけそんなカードを渡していたのか!」

「基本的にカードは渡さない主義なんだけどな。十代の場合はサンダーに勝ったご褒美ってことで事前に話していたんだ」

 

あー万丈目がうるさい。また十代に対抗意識燃やしてんな。

ちなみにサンダーと呼んでいるのはそう呼ばないとうるさいからだ。同い年なんだから別にいいじゃん……。

もしかしたらあの兄貴連中と同じ名前で呼ばれるのが気に食わなかったのかもしれないな。

 

 

そんなやり取りがあった翌日。俺、十代、万丈目、明日香、カイザー、三沢、クロノス教諭は校長室に呼ばれていた。面子の選定基準がいまいちわからん。座学成績優秀なら十代はありえないし、実技なら俺は中の下だ。そもそも生徒から外れているクロノス先生もいる。

どういう集まりなんだこれ?

 

「皆さんよく来てくれました。この場にいる皆さんにお願いがあるのです」

「お願い……ですか」

「そうです、古よりこの島に伝わる3枚のカード」

「あれ? この学園ってそんな昔から有ったのか?」

「煩い、黙って聞け!」

「そもそもこの学園はそのカードが封印された場所の上に、建っているです」

「「「えぇーーー!」」」

「学園の地下深くに、その三幻魔のカードは封印されています。島の伝説に依ると、そのカードが地上に放たれる時世界は魔の世界に包まれ混沌が全てを覆い、人々に潜む闇が解放される。やがて世界は破滅し無に帰す。それほどの力を持つカードだと伝えられています」

 

げ! やっぱり幻魔ってやばいカードだったのか。実は九枚ずつ持ってますなんて言ったらこの集まりはどうなるんだろうな?

ちょっと試してみたい気も、ドキドキ。

 

「なんだかよくわかんないけど、凄そうなカードだな」

「黙って聞いてるノーね」

「そのカードの封印を解こうと、挑戦してきた者が現れたのです」

「いったい……誰が?」

「七星門……セブンスターズと呼ばれる決闘者《デュエリスト》です。全くの謎に包まれた7人ですが、もう既に1人がこの島に……」

「三幻魔のカードは、この学園の地下の遺跡に封印され七星門と呼ばれる7つの巨大な石柱がそのカードを守っています。その7つの石柱は7つの鍵によって破られる」

「じゃあ、セブンスターズ達はこの鍵を奪いに……」

「そこで、貴方達にこの7つの鍵を守ってもらいたい」

「守る……と、言っても一体どうやって?」

「勿論、決闘《デュエル》です」

 

うん、なんとなくわかってた。どうせそんなこったろうと思ったよ。

 

「七星門の鍵を奪うには、決闘《デュエル》によって勝たねばならない。これも古よりこの島に伝わる約束事……だからこそ、学園内でも屈指の決闘者《デュエリスト》でもある貴方方に集まってもらったのです。ゴホン、まぁ……1名ほど数合わせに呼んだのですが……」

 

俺のことか? デュエルの成績はトップクラスではないからな。いろんなデッキ使ってるおかげで対策を採られないのはいいんだけどな。

どうせなら楽しもうと、ロマンコンボいっぱい詰めてるからないまいち勝率が上がらん。

 

「この7つの鍵を持つ決闘者《デュエリスト》に、彼らは決闘《デュエル》を挑んできます貴方方に、セブンスターズと戦う覚悟を持っていただけるのなら……どうか、この鍵を受け取ってほしい」

「おもしれぇ、やってやるぜ!」

 

さすがに十代はやる気満々だな。

こいつはデュエルさえできれば文句はないんだろうな。

 

「ふふふのひー、校長、脅かしはいけませんノーね要すルーに、学園の看板ンーを、道場破リーが、奪いに来ると考えればいいノーね」

「まぁ、今はそう考えてもらっても結構ですが……」

「そうですか、考えてくれるだけでもありがたいよく考えて決めてください」

「道場破りか……俺だったら一番強い奴から行くだろうなぁ……俺ってか?」

「それは違いますノーね!」

「実力で言えば私か、カイザーこと、シニョール丸藤亮なノーね」

「遊城十代、私が密カーに調査した所に依ると貴方はカイザー亮ーに、こてんパーンに負けているノーね。そうデーしょ?」

「校長先生。質問いいですか?」

「どうぞ、鈴本君」

「まず、鍵の破壊や金庫にしまうとか海底に沈めるといった物理的に手出し不可能な手段をとらない理由を教えていただきたいのですが」

「もっともな疑問ですね。それはその方法でも封印が解けてしまうからです。鍵が破損する、そしてデュエルを受けられない状態にある。これも封印をとく行為になってしまいます」

 

ふむ、つまりデッキ忘れたからまた後日ってわけには行かないのか。目の前にセブンスターズがいればデュエルせざるを得ないというわけか。七面倒なことだ。

しばらくデュエルディスクとデッキを持ち歩かないとダメってことか。

 

「では次に私をメンバーの中に入れたわけを教えていただきたいのですが。私はここにいるメンバーほどデュエルの勝率は高くありません」

「ふむ、それももっともな事でしょう。鈴本君、君の実技の成績は確かにこのメンバーから一歩譲るといっても仕方ありません。ですがそれは君のデッキが制限されていて君本来のデュエルスタイルで戦えていないからだと判断しています」

「確カーにシニョール鈴本ーは、ロックカード等ーの使用を禁止されていまスーノね」

「ではそれを?」

「うむ、今このときをもって、君のデッキをすべて解禁扱いにしたいと思います」

 

なるほどね。別にロックデッキが本領ってわけでもないんだが解禁してくれるにこしたことはないな。

しかしセブンスターズか……。負けられないデュエルってことならちょっとインチキくさいがエグイデッキもくみ上げる必要が出てくるのかもしれないな。

 

「わかりました。引き受けましょう」

 

まず禁止カードの隙間を見つけておかないとな、とりあえず苦渋の選択と第六感はどこにしまったっけかな?

万丈目には悪いがデッキの調整相手をしてもらうか。今回はどうやらマジのようだからな。しっかりやっておかないと。

 

「君たちはいつでもデュエルができるように準備しておいてください。そしてどうか三幻魔のカードを守ってください」

 

 

 

俺たちは校長室から退室した。

今日は徹夜になるかもしれないな。しばらく使ってなかったデッキタイプもあるから、プレイングの錆落しもしなければならないだろう。

 

「まだやらねばならんのか?」

「悪いなサンダー。でもこれは必要なことだからな」

「それはわかるが、何も今夜中にやらなくてもいいだろうに」

「不完全なデッキや勝率の低いネタデッキで世界の命運をかけるわけにもいかないだろう? 校長先生はもう島の中にもぐりこんでいるといっていた。今この瞬間にもデュエルを挑まれても不自然じゃない」

「チッ、この埋め合わせはしてもらうからな」

「わかってるさ」

 

ん? 今何か違和感が。

 

「おい、今何か感じなかったか?」

「お前もってことは気のせいじゃなさそうだな」

 

……これは、七星門の鍵が震えてる?

どこかの方角を示しているように感じる。

 

 

「なんだこれは……七星門の鍵が火山の方角か」

「行ってみよう。誰かデュエルしているのかもしれない」

 

俺たちが火山に向かっていると、カイザーと三沢も同じ方向に走っているのが見えた。

あいつらも同じってことか。

 

「三沢! カイザー!」

「万丈目に厚志おまえたちもか」

「急ごう、胸騒ぎがする」

 

しばらく走っていると人影が見えてきた。

あれは……翔とコアラか。ほかにも何人かいるようだな。

 

「セブンスターズが来たのか!」

「兄貴がデュエルをして勝ったんだけど……」

「生きてるのか!?」

「生きてるけど傷がひどいんだな」

「奥にいるのは明日香か」

 

「わからない……兄さんが……魂が!?」

 

どうも状況がよくわからんな。

明日香は黒ずくめの人物を抱きかかえている。この人物もだいぶ傷がひどいようでぐったりしたまま動かない。

 

「とりあえず医務室へ運ぼう」

 

十代たちを医務室に送り届け一日が経過した。十代は一度は目が覚めたもののまだ重体。明日香の兄の天上院吹雪さんは命に別状はないが危篤状態が続いているそうだ。

吹雪さんが行方不明になり、どういういきさつでダークネスとなったかはいまだわからないままだ。

セブンスターズの刺客がこんなに早く来るとは夜更かししてサンダーにデッキ調整を付き合ってもらったかいがあったかもな。

 

 

「で、これがその明日香の兄貴に入り込んでいた魂のカードか?」

「ええ、ダークネスと言っていたわ」

「十代もお前の兄さんもまだ意識を失っているんだろう?」

「十代は一度だけ目を覚ましたみたいなんだけど」

「勝ったのにあの状態ってことは、何人かで分散して対処しないと身が持たんな」

 

ふぅむ、魂をカードに封じ込めるなんて千年眼を持っていたころのペガサスさんくらいだと思っていたんだけどな。

似たような連中がごろごろしてるってことはセブンスターズと戦うには比喩抜きで命懸けってことになるのか。

 

 

そしてアカデミアでは湖の上の吸血鬼の噂で持ちきりだ。俺たちは新たなセブンスターズではないかと考えている。

どうでもいいけど孤島なのに湖まであるって結構広いよなこの島。

 

「次の相手は吸血鬼か。だんだんファンタジーに近づいてきたな」

「なにをいう、それを言うなら三幻魔自体が十分なファンタジーだろう?」

「それもそうだな」

「それより調整は終わったのか?」

「ああ、念のためいくつかタイプは作ったしプレイングの錆もだいぶ削ぎ落とせただろう。感謝するサンダー」

「ふん。この俺を散々実験台にするとはな」

 

そして俺は万丈目の協力を経ていくつかのデッキを完成までにこぎつけた。普段使わないようなパワーカードも積んでるのでデッキパワーは大分高いはずだ。

 

 

 

その夜新たなセブンスターズに対処するために俺たちは吸血鬼が出たというコアラの証言を頼りに湖までやってきた。

十代と明日香を除く鍵を持っているメンバーとコアラ先輩がここにいる全員だ。

霧深い湖からはレッドカーペットがコロコロと敷かれる。

 

「これは……誘っているのか」

「さぁ、だれから行く?」

 

どういう原理で湖に浮いてるとかは突っ込んでも無駄なんだろうな。

そんなとりとめもないことを考えていると、クロノス教諭が俺たちを押しのけるように前に出た。

 

「さすがクロノス先生」

「真っ先に立候補するとは」

「教師のかがみなんだにゃー」

「当たり前なノーネ、赤き道は紳士の道。つまりメディチ家の末裔であるこの私の道なノーネ」

 

やっぱりクロノス教諭っていいとこの出だったんだ。

顔はあれだし言葉づかいもアレだけど普段の一つ一つの仕草が上品なんだよなぁ。

まぁそれ以外の点で割と台無しだったりするけど。

 

「おい、見ろ!」

「誰かが歩いてくる……」

 

その声に反応するようにカーペットの先を見てみるとボディコンっぽい服を着た一人の美女がカーペットの上の悠々と歩いてくるのが見える。

周囲に蝙蝠を引き連れているってことは吸血鬼の噂の中身はこいつのようだ。

そして陸地まで上がってきたところでこちらのメンバーを一瞥し……。

 

「チェンジはアリかしら?」

「ぐぐぐ、失礼なノーネ!」

 

デリヘルじゃないんだから……。

なんだか一気に気が抜けた気がする。

クロノス教諭が抗議すると美女もそこまで期待していなかったのか、あっさりとクロノス教諭との対戦に同意する。

 

「セブンスターズの貴婦人カミューラがお相手さしあげますわ」

「クロノス・デ・メディチが相手してやるノーネ!」

 

「「決闘」」

 

カミューラの先攻、不死のワーウルフを攻撃表示で召喚。

ぶっちゃけ効果覚えていねぇ。

アンデット族でさらに名前から推察すると蘇生効果かな?

 

対するクロノス教諭は古代の機械城と古代の機械兵士で攻勢に移る。

 

「古代の機械城で攻撃力が上がって古代の機械兵士で相手は魔法・罠を発動できない」

「さすがクロノス先生だ」

 

 

《古代の機械城アンティーク・ギアキャッスル/Ancient Gear Castle》 †

永続魔法

フィールド上に表側表示で存在する「アンティーク・ギア」と名のついた

モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。

モンスターが通常召喚される度に、このカードにカウンターを1つ置く。

「アンティーク・ギア」と名のついたモンスターを生け贄召喚する場合、

必要な生け贄の数以上のカウンターが乗っていれば、

このカードを生け贄の代わりにする事ができる。

 

《古代の機械兵士アンティーク・ギアソルジャー/Ancient Gear Soldier》 †

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1300/守1300

このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで

魔法・罠カードを発動できない。

 

古代の機械の共通効果で攻撃したときの魔法罠を封じる効果がある。

なかなか強力でコンバットトリックは防ぐことができるが、召喚時がガバガバなので奈落や激流でフィールドが綺麗になったり、フリーチェーンだとそもそも宣言前に発動されるという微妙にかゆいところに手が届かない能力でもある。

もっというとモンスター効果までは防げないのでオネストその他もろもろにもどうにもならなかったりする。

 

その古代の機械兵士で不死のワーウルフを撃破し、一見優位に見えたが。

 

「華麗なる反撃と行きましょう。不死のワーウルフの効果発動。デッキから同名カードを召喚しさらに攻撃力を500ポイントアップさせる」

「ぐぐっ」

 

あ、そんな効果だったんだ。クロノス教諭も知らなかったっぽいな。

出てきたときびっくりしてたし。

 

「おいおい、知らなかったのか?」

「す、すべて計算どおーりなノーネ」

 

そんなの知らねぇよ。

同名リクルートは悪くないけどアンデット族にはピラミッド・タートルっていうリクルートモンスターの中でもトップクラスに優秀なのがいるし、たかだか1200が1700になる程度で採用にはならんな。

 

《 不死のワーウルフ》

効果モンスター

レベル4/闇属性/アンデット族/攻撃力1200/守備力600

このカードが戦闘で破壊された時、デッキから「不死のワーウルフ」1体を

自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

この効果で特殊召喚に成功した時、そのカードの攻撃力は500ポイントアップする。

 

さらにカミューラはヴァンパイア・バッツなるカードで不死のワーウルフをさらに強化。二体のモンスターでクロノス教諭に襲い掛かる。

火力が低いアンデットとはいえ200程度なら結束使うよなぁ。ステータスも低いし使用する意義がないな。

 

 

《ヴァンパイア・バッツ》

効果モンスター

レベル2/闇属性/アンデッド族/攻撃力800/守備力600

このカードが戦闘またはカードの効果で破壊される場合、代わりにデッキから

「ヴァンパイア・バッツ」1体を墓地に送る事ができる。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上の全ての

アンデット族モンスターの攻撃力は200ポイントアップする。

 

ううむ、古代の機械もそこまでステータスが高いわけじゃないからな一部を除いて。

クロノス教諭が若干不利だな。

 

「どうせいたぶるならそちらの彼の方がよかったわ」

「おいおい、敵さんあんたが目当てらしいぜ」

「もてる男は違うねぇ」

 

カイザーが目当てだったらしい。さすがカイザー人外が相手でもモテモテだ。

さすがに羨ましくはないなぁ。

Mっ気ないし。

 

「今からでもチェンジオッケーよ」

「冗談ではないノーネ!!」

「「「!!」」」

「彼は私の大事な生徒。指一本触れさせないはしませンーノ」

「クロノス教諭……」

「そして私は栄光あるデュエルアカデミアデュエル担当実技責任者。断じて闇のデュエルなど認めるわけにはいきませンーノ」

「けど、あんたぼろぼろだぜ」

「心配はいりませンーノね。デュエルは光。私が正統なる光のデュエルで、闇を葬って見せマスーノ」

 

あの! あの!!クロノス教諭がかっこいいこと言ってる。

そしてクロノス教諭は古代の機械獣で不死のワーウルフを撃破する。

古代の機械獣の効果で不死のワーウルフは効果を発動できずやられていった。

 

やっぱりあの人カードの使い方うまいよな。

実技の最高責任者任せられるだけのことはある。

 

しかしカミューラは禁断のフィールド魔法不死の王国ヘルヴァニアを発動した。

なんぞそれ?

聞いたところによると手札のアンデット族モンスターを墓地に送り、すべてのモンスターを破壊するらしい。

うわぁ……超強い……。

そのかわり通常召喚できないデメリットがあるらしいが、召喚権を使って手札のアンデット族がすべてブラック・ホールになるってことか……。

やっぱり強いなそれ……。

 

《 不死 の 王国 -ヘルヴァニア》

フィールド魔法

手札のアンデット族モンスター1体を墓地に送る事で、フィールド上の全てのモンスターを破壊する。

この効果を発動したターン、モンスターを通常召喚する事はできない。

 

考え込んでいる間にクロノス教諭が破壊をまぬがれたヴァンパイアバッツの攻撃で倒れ伏す。

 

「だからチェンジなさいと言ったでしょう。この私にこんなに弱くて無様なデュエリストの相手をさせるなんて」

「それは違うぜ!!」

「十代! いつの間に」

「クロノス先生は強い! 戦った俺が言うんだから間違いない! クロノス先生見せてくれよあんたのターン!!」

 

十代からの声援で力を取り戻し再び立ち上がるクロノス教諭。

……ああ、俺はこういうのをみると弱いんだよなぁ。

俺、顔がアレでも口調がアレでもやっぱりこの人結構好きだわ。

 

「シニョーラカミューラ、このクロノス・デ・メディチ断じて闇のデュエルに負けるわけには行きませンーノ!!」

「へぇ」

「なぜならデュエルとは本来青少年に希望と光を与えるものでアリ、恐怖と闇をもたらすものではないノーネ」

 

「だよな。クロノス先生」

「それで闇のデュエルなど存在しないと」

「存在してはならぬと言っていたのか」

 

ああ……この人はちゃんとした教師なんだな。

十代を目の敵にはしていても根っこは教育に生きる真っ直ぐ……ではないけど、ひねくれてても生徒のことを考えてくれていたんだ。

 

クロノス教諭のターンで古代の機械巨人を出してカミューラに大ダメージを与え、さらに大嵐でヘルヴァニアをも破壊し万全かと思われたが、カミューラはそのさらに上をいった。

ヴァンパイアバッツの効果で強化されている状態のヴァンパイアジェネシスを特殊召喚する。

その攻撃力は古代の機械巨人を上回る3200……。

これに対抗する手段は……おそらない。

 

「諸君、よく見ておくノーネ。そして約束するノーネ」

「たとえ闇のデュエルに敗れたとしても、闇は光を凌駕できない。そう信じてけして心を折らぬこと。私と約束してくだサーイ」

「クロノス教諭……」

「……クロノス先生」

「最後の戯言は終わったのかしらぁ?」

「いつでも来いなノーネ!!」

 

クロノス先生がカミューラのアンデット族の猛攻を受けて敗北する。

鍵が消滅しクロノス教諭の魂が人形に移されてしまった。

その人形はクロノス教諭の服装、顔を模した形に変化したのだが……こういっては何だが異様にキモイ!

キモカワイイとかのレベルじゃねぇ!

ありえないくらいキモイんだ。

せっかくかっこいい事言ったのに、あの人形ですべてが台無しだといっても過言ではない。

カミューラがこの人形を持って帰らなかった気持ちもわからないでもない。

ぶっちゃけ呪いの人形にしか見えないからな……。

 

こう表現するとすごく不憫だな。

 

 

『デュエルは子供たちに夢と希望を与えるもの。闇のデュエルなど決して認めるわけにはいかない』『光で闇を打ち破ってほしい』……か。

どうして俺はこういう自分の信念を貫いて、さらにそれを受け継がせるような人間に弱いんだろうな。

 

 

 

『ボーイ……光のデュエルを……』か。

ああ、ここまで煮えたぎる気持ちは久々だ。

久々にデュエルでこんなにも熱くなった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。