平凡な男の非凡な学園生活 (凍結)   作:御龍

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今回は短めです。
デュエルがないとこんなにも短いのですねぇ。


不思議温泉 (デュエルなし)

「なぁ厚志。デュエルってさ楽しいもののはずだよな」

 

ある日突然十代がこんな質問を俺に投げてきた。

 

「まぁ、カード『ゲーム』だしな。ゲームは楽しんでやってなんぼだろ」

「だよな……けどさあのカミューラを見て思ったんだ。なんであいつはあんなに苦しそうにデュエルをやっていたのかなって」

「十代……」

「……悪い変なこと聞いちまったな。忘れてくれ。じゃあな」

 

悩んでるなぁ。あいつはデュエルがとことん好きだから、自分の好きなものをああいう風に苦しみながらやってる姿を見るのが辛いんだろうな。

と言っても俺にはあいつの悩みは共感できないものだ。

デュエルのことを単なる趣味のひとつとしてしか見てない俺はあそこまでの思い入れはない。

正直『ふーんそれで』って感じだしな。

闇のデュエルねぇ。聞いた話によると古代エジプトの儀式をルーツにしていたはずだ。

俺は平凡平穏に、のらりくらり生きていければ満足なんだがままならないもんだな。

 

 

そういえば前回がらにもなく熱くなっちまったからな。

今思い出しても恥ずかしいがもしかしたらこの世界に引きずられていってるのかもしれないな。

熱血路線は趣味じゃねぇってのにな。

 

 

それはそれとして。

 

「万丈目。部屋が狭いんだが」

「万丈目さんだ! 仕方ないだろう。俺の家具が部屋に入りきらないんだ!」

「なんでそんなに家具があるんだよ」

「レッド寮の粗末な家具など俺には合わん!!」

 

そうサンダーのやつが馬鹿でかい高級家具を大量に持ち込んだせいで俺の部屋が足の踏み場もないほど狭くなっている。

俺はもともと私物が少なかったため、殺風景どころか空き部屋みたいとまで評されていたのが万丈目と同室になったのが運のつきらしい。

 

「はぁ。まぁいいや。部屋が狭い分温泉でもいってくる。せめて風呂くらいは広いところに入りたい」

「む、あの大浴場か。よし俺も行くぞ」

 

と、こんな感じで俺と万丈目は普段使わないデュエルアカデミア最大の浴場に来たわけなのだ。

そしてこれがとにかくデカイ!!

温泉とか浴場とかよりもプールかと思うくらいでかい! むしろ下手なプールよりもでかい!

まぁこれほどの広さの浴場なんだが、なぜかあまり人気がない。

レッド寮の生徒はここまでかなりの距離があるため利用せず、イエロー寮の生徒は寮内の浴場で済ませ、ブルー寮は自室の浴室で済ませてしまうためらしい。

誰が考えたんだこの浴場……アホすぎるだろう。

たまに来るぐらいなら十分なんだけどな。毎日往復はさすがに面倒だな。

 

「くぁ〜〜〜いい湯だなぁ」

「ジジくさいぞ厚志。お前本当に俺と同い年か?」

「まぁまぁいいじゃないか、のんびりできるっていうことはいいことだと思うぞ」

「それとジジくさいことには何の関連もないぞ」

「こまけぇ事はいいんだよ」

 

はぁ〜極楽極楽。

やっぱり温泉はいいなぁ。

ここの温泉は正真正銘の天然温泉らしい。火山島だからこういうこともあるんだろうな。

ん? なんか騒がしいな。風呂で騒ぐとはマナー違反だな。

 

「やかましいぞ! お前ら!」

「おおっ、サンダーじゃねぇか、お前も来てたんだな」

 

誰かと思ったら十代達か、あいつらはどこに行っても騒がしいんだな。

風呂ぐらいゆっくりつかればいいと思うんだけどなぁ。

巻き込まれたくないから無視だ無視。

翔がサンダーのタオルと奪い取って追いかけっこが始まった。

 

「悔しかったらここまで来るっス〜」

「貴様! 俺のタオルを返せ!」

「つかまるもんかっス〜」

 

・・・・・・。

 

「やかましいわ!! 風呂に入るときくらい静かにしやがれ!! 風呂で泳ぐな!! 浮き輪を持ってくるな!! そしてタオルを湯船につけるんじゃねぇ!!!」

「「うわっ!!」」

「あ、厚志も来てたんだな」

「あ、厚志お前丸出しじゃないか。恥ずかしくないのか」

「風呂に入るのに丸出し以外の選択肢などないわ!!」

「そ、そんなに熱くならないでも」

「人がせっかくゆっくり入っているのにお前らときたら……」

 

まったく、ついついぶち切れちまったぜ。あいつらはここを温水プールと勘違いしてるんじゃねぇだろうな。

 

「わ、わかった悪かったよ。静かに入るから落ち着いてくれって」

「ならいいや。くぁ〜〜」

 

「思ったよりあっさりだ……」

「なんか異様にジジくさいっス」

「厚志の怒りのポイントがよくわからないんだな」

「安心しろ。同室の俺にもよくわからん」

 

失礼な連中だ。マナー違反を注意しただけじゃないか。

 

「あれ? 兄貴どこいくっスか?」

「ん? ああちょっとな」

 

十代たちが離れていくようだ。これでゆっくり風呂に入れる。

十代もいくぶんか気が紛れたようだ。悩んでる様子は見られなかった。すっきりした顔じゃなかったから吹っ切ったわけではないだろう。

さて、俺もそろそろ上がるか。万丈目の姿が見えないが、どうせあいつは馴れ合うことを良しとしないやつだ。勝手に帰っても文句は言わないだろう。

 

そう思って脱衣所に向かって足を踏み出したその時。

 

「ちょ、なんでこんなに深っがぼがghbgbf!?」

 

俺の意識は暗転した。

 

 

「う……ぁぁ」

 

ぁ〜〜俺はどうなったんだ?

確か温泉に入っててやたらと深いところがあって引きずり込まれるようにその中に落ちていったはずだ。

 

「あ、目が覚めたみたいですね。お師匠様〜この人気がついたみたいですよ〜」

 

目を開けるとそこは雪gじゃなくて真っ暗な闇がただ広がるだけだった。

なんていうか明かりがなくて暗いんじゃなくてただ闇がそこにある感じ。フィールド魔法『闇』をつかったらこんな感じになるのかもしれない。

そして闇の中には人影が二つ見える。

あれは……。

 

「ブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガール?」

「気がついたようだな。突然ここに落ちてきたからびっくりしたぞ」

「落ちてきた……。ここはいったいどこなんですか?」

 

さすがにここがデュエルアカデミアの地下で目の前にいるのがただのコスプレ好きだとはさすがの俺も思っていない。

 

「ここは『闇』だ」

「すいません。よくわかりません」

「だろうな。外から来た人間にはわからないだろう」

「手っ取り早く言っちゃえば、私たちはデュエルの精霊でここはフィールド魔法の『闇』ってみたいな感じですよ」

「細かいところはかなり違うが、大雑把な感覚で言えば間違いではない」

「あ〜なんとなくわかりました。それでどうやったら元に戻れますかね」

 

さすがにこんなところに一生いるのはごめんだ。俺は魔法使い族でも悪魔族でもない。

 

「私が案内しますからすぐにでも戻れますよ」

「戻る前に話を聞きたいのだがかまわないか?」

「話……ですか?」

「そうだ。君にはその……何というか、違和感。そう違和感がある」

「違和感?」

「ああ、うまく説明できなくてすまないのだが君の魂はどこかおかしい」

 

いきなり魂がおかしいといわれても非常に困るのだが……。

もしかして、俺が転生したことと何か関係があるのだろうか?

しかしこのことを話してしまっていいのだろうか?

このことは俺のトップシークレットだ。両親にも話していないし、将来嫁さんをもらっても子供ができてもこのことを話す気は一切ない。

しかし、ここにいるのはデュエルモンスターズ界最高の魔術師だ。もしかしたら何か原因のようなものがわかるかもしれない。原因がわかったからといってどうだということはないのだが……。

 

「実は……かくかくしかじかということで」

「なるほど、それはずいぶん珍しい体験をしたようだな」

「珍しいということは皆無ではないのですか?」

「古代エジプトのミイラの法というのは、元々復活するための儀式のようなものだ。そう信じられているからには実例があるのだと思う。実際に目にするのは初めてだがな」

 

へぇー。ミイラってそういうものだったんだ。てっきりただの上等な死体保存法だと思ってた。

 

「しかしこれで長年の疑問が解けた」

「長年?」

「私たちは、あなたのことを前から知っていたんだよ」

「私たちの主人は武藤遊戯のもうひとつの人格だからな。当然君のことも知っている」

「ああ、なるほど。遊戯さんがらみですか」

 

それなら確かに俺のことを知っていても不思議ではないな。

あの人との付き合いはかなり長いからな。

ついでに俺の持っているカードたちのことを聞いた見たが……。

 

「そして君の持っているカード群のことだが、私には見当もつかない。おそらく君が転生した理由と何か関係があるのだとは思うのだがそれが何かまではわからない」

「そうですか……」

 

このカードはもともと俺が持っているものではない。

ならどうやって手に入れたかというと貰い物というか預かりものといった方が正しいだろう。

遊戯さんと知り合ってデュエルモンスターズのことを教えてもらってしばらくしてからだから、アレは確か小学校に入る前後くらいだったかな?

子供の俺は行き倒れを拾ったんだ。

家の前で倒れてた青年がいて救急車を呼ぼうと思ったんだが、突然足を掴まれて『なんか食わせてくれ……』だったな。

知らない人を家にあげるのもアレだったし、俺のおやつをいくつか分けてあげたんだよな。

んで、トイレに行って戻ってみるとその青年がいなくなってて代わりにカードが大量に入っているかばんが置いてあったんだ。

警察に届けてみても持ち主が現れなかったそうで、結局俺が預かることになった。

今じゃその人の顔もほとんど思い出せない……。赤い帽子をかぶっていたことくらいしか覚えていないんだ。

十年以上前になぜシンクロやエクシーズがらみのカードがあるかもわからない。

デュエルモンスターズの生みの親であるペガサスさんに聞いてみたこともあるけど、ペガサスさんもさっぱりだった。

でもデュエルディスクはちゃんと反応するしコピーカードともなにか違うと言っていたな。

あの人が俺の前に現れたらこのカードを返そうと思っているが、10年もその人とあったためしはない。

大会に出てみてもプロのデュエルを見てもあの人と再会することはなかった。

白昼夢でも見たのかとも思ったがずっしりと重いカードやかばんの重さがそれを否定する。

 

本当に不思議な体験だった。

 

 

「ごめんね。結局何もわからないままなんて」

「いえ、話を聞いてもらって少しはすっきりしましたし、無駄ではなかったです」

 

これは本心だ。やはり人に絶対言えない秘密というのは抱えてるだけでつかれるものだ。

少し心が軽くなった気がする。

 

「そういってもらうと助かる。さてそろそろ外の世界に送ろう」

「私が案内するね。ついてきて」

「お願いします」

 

ブラック・マジシャン・ガールの先導で出口? と思われる方向へ歩いていく。

 

「私が案内できるのはここまでだよ。こっちの方向に歩いていくと出られるからまっすぐ進んでね」

「何から何までありがとうございました」

「あはは、そんなに堅苦しくしなくてもいいよ。それじゃ元気でね」

「ええ、さようなら」

 

ブラック・マジシャン・ガールの指差した方向に歩いていく。すると意識があやふやになっている感覚がある。これは出口に近づいている証拠なのだろうか? そして段々自分の体の感覚すらなくなっていって………。

 

 

 

「ハッ! ……夢?」

 

あたりを見渡すと元通りの温泉が広がっていた。俺は夢を見ていたのだろうか?

いや、夢とは思えなかった。夢にしてはあまりにもリアルな存在だった。

それにしてもカードの精霊と話をする機会が来るとは思わなかったな。

人生何がおきるかわからないもんだな。

 

そういえば十代たちはもう上がったのだろうか?

あいつらも精霊たちに会ってたりしてな。

 

 

「まままままま、万丈目。その黄色い不思議生物はいったい何なんだ!!??!?」

「お、お前こいつが見えるのか?」

「あ、ああ、薄ぼんやりしているが確かに見える。い、いったい何なんだそいつは!?」

「どうもこの雑魚が言うにはデュエルモンスターズの精霊らしい。まったく、邪魔くさくてかなわん」

「精霊……」

 

拝啓、お父様お母様。

わたくし、なぜか精霊が見えるようになってしまったようです……。

 




赤い帽子の青年……いったい誰なんだ(棒
というわけでカードの出どころと精霊が見えるようになるまでです。

まぁ正体はバレバレだと思いますが補足。
ギャクタンがOCGではなくTFの理由がこいつです。
同様に狂戦士の魂などもTF効果で所持しています。
逆にTF6より後のパックであるフォトンショックウェーブより先のパックのカードは厚志は存在を知らず、所持していませんが普通にパックで当てて手に入ることはあるでしょう。

ナンバーズや決闘竜の扱いは悩んでます。
いっそZEXAL要素もぶち込んでしまえと思う一方で、そこまで風呂敷広げたらきれいに畳める自信がないとも思ってます。
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