「なぁ万丈目」
「サンダーと呼べ!!」
「じゃあ改めて、なぁサンダー」
「言うな!!」
「でもさぁ」
「ええい! 言うなといっている!!」
なんて横暴なやつだ。でもここは言わせてもらう!!
「部屋が狭いんだが」
「言うなといっているだろうが!!」
そうなのだ。あの万丈目兄弟襲来以後俺の部屋が異常に狭くなってしまった。
原因は……
「「サンダーの兄貴〜〜」」
「「外に出してくれてありがとうね~」」
「「いや〜快適快適」」
「「娑婆はいいねぇ~」」
こいつらが原因だ……。
万丈目が拾ってきた弱小モンスターたちはすべて精霊つきだったらしく、拾ってくれた万丈目に異様になついている。
そのため、万丈目の部屋つまり俺の部屋にこいつらが常に入り浸っている状態になってしまった……。
しかもこいつらは部屋を狭くするだけじゃなくてとにかくうるさい。
こいつらのせいで最近寝不足気味になってしまった。
一回寝付いてしまえば何とかなるんだが、騒がしすぎて寝付くまでに時間がかかってしまう。
だからといってもう一回捨ててこいというのも心が咎めるしな……。
里子みたいに譲ろうとしても、もともと捨てられていた弱小カードがほとんどだ。
また捨てられたりするのも寝覚めが悪い。
ハァ、しばらく我慢するしかないのか……。
ぐっすり眠れる日はいつになることやら。
「近いうちに何とかする。だからそれまで我慢しててくれ」
「……わかった」
ここは万丈目を信じて何とかしてもらうまで待つしかない……か。
そして翌日の早朝。
はぁ、あいつらがうるさいせいでいつもより早く目覚めてしまった。
本当に早く何とかしてくれ万丈目……。
ドガッーーン!!
ぬわ!!
なんだぁ今の轟音は?
また倫理委員会が扉を爆破したのかと思ったがそれにしてはあの人たちの声が聞こえない……。
かわりに三沢の声が聞こえる。あいつ他所の寮で、しかも朝っぱらから何やってんだ?
こっそり覗いてみると十代達が眠そうな目をしながら三沢に連行されていた。
どうやら早朝デュエル特訓なるものをしに行くらしい。
ふむ、ちょっと興味あるな見に行ってみるか。
しかしそこで見たものは……。
「アン、ドゥ、ドロー!」
「「「アン、ドゥ、ドロー」」」
「アン、ドゥ、ドロー!」
「「「アン、ドゥ、ドロー」」」
( ゜д゜)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゜д゜)
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゜ Д゜)
あの四人はリズムに合わせてデュエルディスクからカードを一枚ずつ抜いている……。
すごい…………シュールだ。
あ、怪しい。
まるで新手の新興宗教みたいだ……。
見なかったことにしよう。そうしよう。
「あれ〜厚志君じゃないスか。珍しいスねこんな朝早くに」
「今日はたまたまだ。じゃ、俺は部屋に戻るから」
「厚志も一緒にやっていくか」
しまった見つかった! 勘弁してくれ!!
俺はまだ一般人でいたいんだ……。
「やめておくよ。デッキもデュエルディスクも取りに行くの面倒だしな」
「そうか、残念だな」
三沢だけは常識人だと思っていたのに……。
でも部屋中に数式を書いて、それをペンキで塗りなおすことをビックバンとか呼んでいたしな。
そういえば厨二病の要素が結構あるな……。
万丈目とデュエルするときに悪なる闇に光差すとか言ってたし……。
あいつも逸般人だったか……。
少し距離とったほうがいいのかもしれん。
「ねぇねぇ厚志君。厚志君のアイドルカードってなにかある?」
「アイドルカードねぇ。俺はないな」
俺はたいていテーマを決めてデッキを組む。
どのデッキにも共通していれるようなカードはないかな。
汎用性の高いエフェクト・ヴェーラーも入ってないデッキの方が多い。
コンボパーツだけでデッキ枚数がカツカツのことも多いからな。
「えぇ〜〜。本当に何もないの!?」
「アイドルカードがあるなら、それを主軸にしたデッキ造ることのほうが多いかな」
「それだけのためにデッキ作るっていうのは、ある意味筋金入りなんだな」
「アイドルカードなんてそんな不純なもの入れるとは何事だーー!!」
「三沢君横暴っすよ!」
なぜそこで三沢が怒る……。
いいじゃん人がデッキに何入れたって。
シナジーもない変なカードを入れると手札に来た時のがっかり感が半端じゃないから俺は入れないけどね。
そして俺はあの連中を見捨てて!? 部屋に帰ってきたわけだがどうも体調が芳しくない。
今日は教室に行く前に保健室に寄っておこう。
原因は十中八九寝不足だと思うんだけどね。
「鮎川先生……ちょっと体調が……」
「あら? どれどれ?」
「最近しっかり寝てないでしょ」
「ええ……まぁ」
「あんまり夜更かししちゃだめよ。今日はしょうがないからここで寝ておきなさい」
「すみません」
部屋が一気に狭くなったり騒がしくなったりしてるからなぁ。
ああ、やっとぐっすり寝れる。
ベッドもふかふかここが天国か……。
……………………ぐぅ。
「ふぅ、よく寝た。久々の快眠だったな」
外を見ると完全に夜になっていた。こんな時間まで寝てたなんて相当寝不足だったんだろうな。
しょうがないから今日はもう帰るか、鮎川先生が大徳寺先生に連絡してくれただろうから無断欠席にはなってないだろう。
帰ってみると誰もいないミステリー。
万丈目も十代たちもいない。
ううむ、あいつらは俺と違って夜で歩くタイプじゃないんだけどなぁ。
ま、いいや。
子供じゃないんだからそのうち帰ってくるだろう。
万丈目がいないうちに寝ておこう。一番うるさいおジャマ三兄弟がいないうちに寝ておかないとな。
……………………ぐぅ。
朝起きてみると、寮の食堂になぜか三沢がいた。
しかもなんか様子がおかしい。
何を聞いてもうわの空って感じだな。
「あれ? 厚志無事だったんだな。昨日いなかったから心配してたんだぜ」
「なんのこっちゃ?」
どうも新たなセブンスターズの襲来らしい。
相手はタニヤというアマゾネス使いでそのデュエルを通じて三沢がそいつにぞっこんになってしまったそうだ。
三沢のあれは恋の病ってやつか。
しかし昨日あれだけ硬派なことを言っていた三沢がねぇ。意外でもあるけどこういうタイプは落ちたらコロッといくからな。順当といえば順当の結果か。
そして三沢は婿にされかけたが、結局は開放されて今に至ると……。
婿取りされてから捨てられるまでの過程が早いな。
しかしデュエルの内容を聞くとコントにしか見えてこない。
なんだよ「みさわっちにどう気にいられるのか気になるんだもん」とか「恋する乙女は強いのよ」とか「あなたの心のリバースカード、オ−プンしてぇ」とか……。
ほんとにデュエルしてたのか?
まるでデュエルというより……その……なんだ、イチャイチャカップルの会話のようだ……。
そんなこんなで夜。
三沢がタニヤの闘気がするとかなんとか、ニュータイプみたいなことを感じ取り対セブンスターズ関係者とおまけの十代の同室メンバーは例のコロッセオに集合した。
よくこんなものを一晩でできたものだ。作成したのはクロノス教諭含む生徒たちらしいが……。
そうこうしている間にタニヤと思わしき人物が虎に乗って森から出てきた。
あれ? コロシアムの中にいるんじゃないの?
「俺が相手をするぜ。俺は遊城 十代。遊城っちって呼んでくれ」
「あのバカ……」
「……最低」
「三沢っちと違ってなんとなくゴロが悪いな。十代っちよりましか」
「厚志君の論点っていつもずれてるっす」
「マイペースなんだな」
そんなやり取りをしつつ十代が対戦相手となることにだれも異論はないらしい。
なんとなく熱血というか正直といったタイプのようだ。カミューラみたいな搦め手をバンバン使うタイプじゃないから十代の方が噛み合うだろうし今回は見学かな。
そして肝心のデュエルの内容だが。
アマゾネスの死闘場を使うやつなんていたんだ……。
三沢はあれがタニヤっちのどんな相手にもまっすぐ向かって行く戦い方だとかいってるが……。
俺から言わせれば微妙の一言しか出てこない。
アマゾネスの死闘場
フィールド魔法 (TF1オリジナル)
このカードの発動時にお互いは600ライフポイント回復する。
攻撃宣言をしたプレイヤーはモンスターで戦闘を行う度に、
ダメージステップ終了時に100ライフポイントを払う事で相手ライフに100ポイントダメージを与える。
アマゾネスの死闘場 アニメ
フィールド魔法
このカードの発動時にお互いは600ライフポイント回復する。
攻撃宣言をしたプレイヤーはモンスターで戦闘を行う度に、
ダメージステップ終了時に100ライフポイントを払う事で相手ライフに100ポイントダメージを与える。
ダメージを与えられたプレイヤーは100ライフポイントを払う事で相手ライフに100ポイントダメージを与えることができる。
正直言ってアマゾネス系のモンスターとのシナジーも一切ない微妙カード。
お互いのライフを同量減らすためライフ差は一切つかないし、他のバーンカードと組み合わせようにも若干の回復と100というダメージの小ささが完全に使いどころを殺している。
自分のダメージをマテリアルドラゴンなどで反転させようにも自分からの発動の場合はライフコストになるというジレンマ。
ライフコストを踏み倒したとしても与えるダメージは100のため。ほかのカード使えよと言われて終わってしまう。
ライフを即時回復できるフィールド魔法と考えれば唯一かもしれないが、回復値も600のためどうにもならないということになる。
マジでどうすりゃいいんだこれ。
確かアマゾネスにはもう一個フィールド魔法があるからそっち使えよって話だよな。
死闘場の効果が発動したその時。十代とタニヤの分身が出てきて殴り合う。
……え? お前らが殴り合うの?
なんでもモンスターだけに戦わせるのは悪いからデュエリストがガチンコで殴り合うためのフィールド魔法だとか。
……おまえらデュエリストやめてリアルファイターになっちまえ……。
三沢は三沢でなんか一人納得したような顔してるし。
そして100ポイント刻みで減っていくライフ。
細けぇ〜〜!
そんな細かい刻み方やったことねぇよ!!
普通低くても数百単位で減っていくもんだろうが!!
脳トレデッキを使った自分が言えることではないな。
二人ともガンガン死闘場の効果でライフを削りあってるからな。
これデュエルというより死闘場使いたいだけじゃねえのかよ……。
ほんとにリアルファイターになっちまえよ。
なんだかんだ言いつつデュエルも最終局面。
ライフは十代200でタニヤが100
十代はフィールドも手札も0タニヤはアマゾネスの剣士一枚のみ。
アマゾネスの剣士には戦闘ダメージ反射の厄介な効果があるため、攻撃力が高くても低くても十代の負けとなる。
これを覆すにはライフ差100を利用して完全に相打ちするのが一番スマートだ。
アマゾネスの剣士と同じ攻撃力を持つ1500のE・HEROは俺の知る限りワイルドマンのみ。
《アマゾネスの剣士/Amazoness Swords Woman》 †
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1500/守1600
このカードが戦闘を行う事によって受ける
コントローラーの戦闘ダメージは相手が受ける。
結局きわどいライフ差で十代が勝利した。
本当にワイルドマンだったしな!!
そんなわけでセブンスターズの3人目を撃破。
残りは後4人となる。
ついでに鍵も4つだけどな。
十代、明日香、俺、万丈目しか残っていない。
カミューラにクロノス教諭とカイザーがやられたのがきついなぁ。
ちょろちょろ加筆してもまともなデュエルシーンがないとやはり短いですね。
二期からはもう少し見せ方を考えたいと思います。