「昇格? ですか」
「そうなノーネ。シニョール鈴本がレッドになったのは、純粋な実力や学力が足りなかったわけじゃないノーネ」
放課後、クロノス教諭に呼び出されたかと思えば自分のラーイエローへの昇格話だった。
「シニョールはロックデッキしか使ったことがないと思われたからなノーネ。ですノーデ、ビートデッキ、パーミッションデッキ、特殊勝利デッキまで使いこなす、シニョール鈴本にはオシリスレッドから昇格してもらいまスーノ」
「しかし自分の月一試験の成績は十代ほど飛びぬけているわけじゃありませんよ」
「それデーモ、下手なラーイエローの生徒よりは成績が高いノーネ。もちローン昇格試験という形でデュエルはやってもらいまスーノネ」
「はぁ、自分はかまいませんが、なぜ今の時期なのでしょう? セブンスターズのこともありますが」
「セブンスターズのことばかり考えては通常の学園の運営に差しさわりがありまスーノ。こんなときだからこそ、学園の運営は健全にしなければなりませンーノネ」
「なるほど。理解しました」
「では、明日の放課後に第3デュエル場にきてもらいまスーノ」
「わかりました」
「……と、いうわけだから。数日中にはこの寮を出るかもしれん」
「ほう、お前もとうとう昇格か。ま、時間の問題だとは思っていたがな」
「ただなぁ……」
「ん? どうした、何か心配事でもあるのか?」
「引越しマンドクセ」
「………それは出席日数が足りなくてレッドにいる俺へのあてつけか?」
「そういうわけじゃないが……」
確かに引越しは面倒だ。それに朝起こしてくれそうなやついたっけかな。
イエローの知り合いは三沢くらいか、こうしてみると交友関係狭いな俺。
「で、昇格デュエルにはどんなデッキで挑むんだ?」
「いろいろ案はあるんだけどなぁ。どれもいまいちぱっとしない」
「ふん、お前は実力にムラがありすぎる。俺や十代に勝てるときもあれば、何でその辺のよわっちい奴に負けたりするんだ。理解に苦しむぞ」
いや……お前らみたいに毎回デッキが回るとは限らんのよ。安定性の低いデッキ使うと特に顕著になるしな。
というか何であんなにデュエルして一回も手札事故を起こさないのか俺には不思議でならない。
五回に一回事故ってる俺の運のなさもあるのだろうけど。
ちなみにブン回るのも五回に一回で残りは回ってるとはいえないけどそれなりに戦えるかな〜みたいな感じだ。
それなりに戦える程度でもそれなりに勝てたりするから不思議だ。
あんまりモンスター除去積んでる人いないしな。でも戦闘破壊耐性を出すと次のターンにたいてい貫通モンスターが出てくる不思議。
デッキどうしようかな? エンターテイメント性に欠けるロックや特殊勝利は除外するとなると、ビートダウン系か?
そんなこんなで一晩中使うデッキに悩んでいたのだった。
そしてデュエル当日。
「がんばれー。厚志ーー」
「気張るんだな〜」
「ふふ、楽しみにしているわよ」
万丈目以外には話してないはずなのにどこから漏れたんだろう。
来ているのはレッド寮3人組+明日香と雪乃とカイザーだ。
あれ? 俺ってカイザーが応援に来るほど面識あったっけかな?
雪乃は明日香経由で漏れたのかな?
万丈目は勝敗がわかってるデュエルなど面白くないとか言ってこなかった。
「対戦相手は特別にワターシが相手しまスーノネ。遠慮なくかかってくるノーネ」
「あ、はい」
クロノス教諭が相手なのか、古代の機械が相手だと思うけどミラフォと幽閉抜きてぇな……。
一部カードがいきなり使えない宣言されるのって悲しいよね……。
「では、始めまスーノ」
「「決闘!!」」
「先行は譲るのね。かかってくるノーネ」
「ではお言葉に甘えまして、俺のターン」
ううむ、手札事故はないけど、相手のターンで古代機械の巨人とか出されたら厳しいんだよなぁ。アレ攻略する方法ってあんまり積んでないし……。
「どうしたノーネ。手札事故でスーカ?」
「いえ、大丈夫です。まずはフィールド魔法カード死皇帝の陵墓を発動させます」
俺が発動させると同時に周りが中国の遺跡の兵馬俑のような場所が映された。
《死皇帝の陵墓/Mausoleum of the Emperor》
フィールド魔法
お互いのプレイヤーは、アドバンス召喚に必要な
モンスターの数×1000ライフポイントを払う事で、
リリースなしでそのモンスターを通常召喚する事ができる。
「死皇帝の陵墓ということは。今回の鈴本のデッキは上級モンスターデッキだな」
「どういうことなんだ? カイザー」
「あのフィールド魔法は、自分のライフを生贄召喚の生贄の代わりにすることができる。いきなり最上級のモンスターも召喚できるというわけだ」
「へぇーすげぇな」
「だけど相手はクロノス先生よ。あの古代機械の巨人だって生贄なしで召喚させられてしまう諸刃の剣だわ」
「ええ!! そんなのずるいよ!」
「フィールド魔法は相手もその恩恵を受ける魔法カードよ。そのくらいのリスクがあって当然だわ」
外野の皆さん解説ありがとう。だからあんまり使いたくなかったんだよなぁ。相手がクロノス教諭じゃなければデッキ変えたいくらいだ。
「死皇帝の陵墓のライフコストを2000支払い。手札から氷の女王を召喚。カードを一枚伏せてターンエンド」
厚志
LP4000→2000
《氷の女王/Ice Queen》 †
効果モンスター
星8/水属性/魔法使い族/攻2900/守2100
このカードは墓地からの特殊召喚はできない。
自分フィールド上に表側表示で存在する
このカードが破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地に魔法使い族モンスターが3体以上存在する場合、
自分の墓地に存在する魔法カード1枚を手札に加える事ができる。
古代の機械巨人に勝てないのは承知のうえだが、これしかいないんだから仕方ない。
あぁ〜デッキ変えてぇ。
「それデーハ、私のターンなノーネ。ドローニョ」
さて、出てくるか古代の機械巨人。
「ワターシもライフコストを2000支払い。古代の機械巨人を召喚するノーネ」
《
効果モンスター
星8/地属性/機械族/攻3000/守3000
このカードは特殊召喚できない。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
このカードの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
このカードが攻撃する場合、
相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
クロノス
LP4000→2000
やっぱり出てきたか……。本当ならサイクロンとかで陵墓を割りたかったんだけどな。
そこまで都合よくあるわけがない。
「古代の機械巨人で氷の女王にコウゲー「ちょっと待ったメインフェイズ終了時に罠カード威嚇する咆哮を発動します、攻撃宣言はさせません」仕方ないノーネ。ワターシはカードを2枚伏せてターンエンドなノーネ」
《威嚇する咆哮/Threatening Roar》 †
通常罠
このターン相手は攻撃宣言をする事ができない。
今思ったんだが、ライフ4000だから最上級一回出したら息切れってこのデッキ結構微妙じゃね?
デッキ選択の段階からやっちまった感があるような気が……。
「俺のターンドロー。神獣王バルバロスを攻撃表示で妥協召喚。カードを1枚伏せてターンエンド」
《
効果モンスター
星8/地属性/獣戦士族/攻3000/守1200
このカードはリリースなしで通常召喚する事ができる。
この方法で通常召喚したこのカードの元々の攻撃力は1900になる。
また、このカードはモンスター3体をリリースして召喚する事ができる。
この方法で召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するカードを全て破壊する。
攻撃宣言時魔法罠が発動できなくて貫通持ちの攻守3000って相対してみると厄介この上ないな。
「攻めなけレーバ、勝てまセーンノーネ。ワターシのターンドローニョ。ワターシは魔法カード大嵐を発動するノーネ」
まずい、自分の伏せカードも巻き込んでの大嵐ということは。
ちなみに俺の伏せはミラフォだ。どうせ使えないし気休め程度に伏せておいた。
「ワターシの伏せカードは、2枚とも黄金の邪神像でスーノ、邪神像トークンを2つ出しまスーノネ」
「あの戦術は兄貴と戦ったときの!」
「2体の邪神像トークンを生贄にして、2体目の古代の機械巨人を召カーン!!」
「2体も出てくると圧巻だな……」
「古代の機械巨人2体でシニョール鈴本の2体のモンスターをコウゲーキ!! ダブルアルティメットパーーウンド!!」
「ぐああッ」
厚志
LP2000→800
「厚志……。気張るんだな〜〜!!」
「陵墓も破壊されライフも残り少ない。フィールドもがら空きだ、逆転の可能性は薄いな」
「この程度で終わるようじゃ期待外れね」
「ワターシはこれでターンエンドでスーノ」
今の手札でも2体の古代の機械巨人を排除することはできるが、後が続かない。返しのターンにモンスターを出されてジ・エンドだ。
これはどげんかせんといかん。
何か逆転できそうなのあったかな?
「……俺のターンドロー」
ん? えーと、これでこれの……ひのふの……。
おお、足りた。これなら何とかなりそうだ。
「俺はまず神禽王アレクトールを特殊召喚。このカードは相手フィールド上に同族性モンスターが2体以上いるときに特殊召喚できる」
《
効果モンスター
星6/風属性/鳥獣族/攻2400/守2000
相手フィールド上に同じ属性のモンスターが表側表示で2体以上存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択する。
選択されたカードの効果はそのターン中無効になる。
「神禽王アレクトール」はフィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
「シカーシ、そのカードだけではどうにもなりませンーノネ」
「ええ、もちろん続きはあります。魔法カード死者蘇生を発動。墓地のバルバロスを特殊召喚します。一度墓地に行っているので妥協召喚による攻撃力の減少効果はなくなり攻撃力3000で蘇ります」
「なるホード確かにそうなノーネ。それでも2体の古代の機械巨人は倒せないノーネ」
「次が本命です。ザ・カリキュレーターを通常召喚」
俺が召喚したモンスターは頭部がモニターのようになった機械でできた人型のモンスターだ。
モニターには×300と写っている。
「攻撃力?でスーカ?」
「ええ、このカードの攻撃力は自分フィールド上のモンスターのレベル合計×300ポイントになります」
《ザ・カリキュレーター/The Calculator》 †
効果モンスター
星2/光属性/雷族/攻 ?/守 0
このカードの攻撃力は、自分フィールド上に表側表示で存在する
全てのモンスターのレベルを合計した数×300になる。
「なんでスート!!」
「バルバロスが8、アレクトールが6、このカードが2で合計レベルが16! よってこのカードの攻撃力は4800!!」
カリキュレーターのモニターが4800の数値を写す。
「すげぇ! 古代の機械巨人を超えたぜ!!」
「これならいけるっス!」
「バトル!! カリキュレーターで古代の機械巨人を攻撃!!」
「マンマミーアーー!!」
クロノス
LP2000→200
「バルバロスでもう一体の古代の機械巨人を攻撃。スパイラルシェイバー!!」
「ノーーウ」
「ラスト! アレクトールでダイレクトアタック!」
「カルボナーーーラーーーーァ!!」
クロノス
LP200→-2200
か、勝った……。
古代の機械巨人は心臓に悪いぜ……。
2体並んだときはさすがにだめだと思ったもんな。
「やったぜ厚志!!」
「見事なデュエルタクティクスだ」
「レベルの低いモンスターでも頑張って戦えるってことがわかって感動したんだな」
「お見事なノーネ。これでシニョール鈴本はラーイエローへ昇格でスーノ」
「はい。ありがとうございました」
「次はオベリスクブルーにあがれるように頑張るーノネ」
「頑張ります」
「シニョールの実力ーナラ。きっとそんなに時間をかけずにあがることーガ。できると思いまスーノ」
次はあれだ……もっとライフコストをかけないようなデッキにしよう。
ライフ回復ギミック全く来なかったしな……。
クロノス教諭の手札が結構残ってるのが何かしっくり来ない。もしかしたら手加減されてたのかもしれないな。
これで俺もイエロー昇格か……。
引越しマンドクセ
陵墓デッキってあんまり見ないですよね。
地縛神を使わない陵墓ならこんなもんかと、地縛神のデビューも何か考えないとなぁ。