投稿ペースが不定期になりがちな今日この頃。
なんとか一期まではお盆くらいまでには何とかしたいですねぇ。
ラーイエローへの引越しも終わり一段落ついた時、その人は俺の部屋にやってきた。
「えっと、どなたです?」
「これは申し遅れました。私は警察のものなのですが」
「本土からセブンスターズの鍵の件で警部さんがいらっしゃったのですのにゃー」
「保管状況をもっと完璧にしてもらうための指導に来たらしいわよ」
大徳寺先生に明日香が件の警部さんの後ろから声をかけてくる。
いたんだ……警部さんのガタイがよすぎて気づかなかったよ。
「ほかのメンバーはすでに終わっています。あとはあなただけなんです。普段はどこに保管していますか?」
「俺はデッキケースの中に入れています」
「それはよくない。彼らにも先ほど言いましたが、確かに大事な物を身に付けているのは一見安全に思える。しかし、それは同時に大事な物の場所を教えている事にもなるのです」
「しかし、デュエルする時に持ち歩いていないとまずいんでしょう?」
「……そうなのですか?」
「そう聞いていますが?」
「しかし寝ているときや入浴中に盗まれないためにも保管方法を強化するのは無駄ではないはずです」
この警部さんどうしても保管方法とやらを強化したいらしい……。
なんか胡散臭いな……。
そもそもなんでそんなウジャト眼みたいな眼帯つけてるんだよ。
ペガサス会長をちょっと思い出した。
「で、強化するとしたらあなたはどこに保管しますか?」
「保管方法の強化といわれましても、ベッドの中にでも縫い付けておこうかな」
「べ、ベッドの中ですか……」
「ええ、ベッドを切り裂いたりしなければ取り出せませんから。もちろん外出するときは身に着けます。これなら入浴中や就寝中の保管方法としては適切かと」
「なるほど、それはいい手かもしれないな」
「オレもやってみようかな〜」
警部さんの後ろから十代とサンダーの声が聞こえる。
ああ……お前たちもいたんだ。
でもお前ら裁縫できるの?
俺は親戚の兄ちゃんが仕立て屋で教えてもらったからたしなみ程度にはできるけどさ。
「い、いや。全員が同じ隠し方をするのはよくありません。下手をすると全員の鍵が一気に盗まれてしまいます」
みんなが去った後俺は一人部屋で考えていた。
あの警部、すさまじく胡散臭いが……ここが遊戯王世界であることを考えると、あんな警部がいてもおかしくはない気がする。
これが遊戯王世界の不思議ってやつか……。
自分にできることはとりあえず。
「で、あの警部の身元は確かなんですか?」
「君はいちいちここに来るのだな。泣く子も黙る倫理委員会の事務所にここまで気軽に足を運ぶのは君くらいだ」
「はぁ、まぁ、ほかに頼れそうな人がいないので」
「ふぅ、まあいい。で、あの警部の身元だったな」
「ええ、ぱっと見すごく胡散臭いので」
「パッと見の問題なのか? とりあえずあれは鮫島校長が呼んだ外部の人間だ。とはいえもちろん調査はしている。警察手帳その他所持品に怪しいものはなかったが……」
「なにかありました?」
「あの警部の経歴がかなり怪しいな」
「経歴ですか?」
「ああ、どうも偽造の後がある。データベースには存在はしているのだが、友人知人関係は彼のことを知ってるものはいなかった」
「胡散臭いですねぇ」
「胡散臭いがデータ的には彼は警部だ。あまり強引な手法は取れないな」
「そこがネックですねぇ」
「こちらでも追加調査はしておく。君はあまり気を許さないようにすることだ」
「せいぜい気をつけることにします」
さすが倫理委員会すでに尻尾をつかんでいたとは。てかあの人たちは何者なんだ?
この短い時間で、警察のデータベースに照合をかけるだけじゃなく、友人知人関係まで当たるとは……。
あの警部……あそこまで怪しいと逆に罠だとも思ってしまうな。
あれは囮で本命がどこからか狙っている可能性もあるかもしれない。
……さすがに考えすぎか。
ま、いいや。部屋かえって寝よ寝よ。
ぐぅぐぅ〜すやすや〜むにゃむにゃ〜。
プ〜〜〜ン
プ〜〜〜ン
プ〜〜〜ン
「蚊がうぜぇぇぇぇーーー!!」
まったく。蚊がうっとうしくてぜんぜん眠れん!!
こうなったな夜通し蚊を退治せねばなるまい。
蚊取り線香はないが、対G用の殺虫剤で勝負だ!!
「蚊がいなくなるまで、俺は、殺虫剤を噴射することをやめない!!」
「うおおおりゃぁぁーー!!」
「はぁはぁ、ぜぃぜぃ」
やっといなくなったか、もう午前3時だ。予想以上に時間がかかってしまった。
このまま寝たら絶対起きれないし徹夜したほうがいいな。
暇つぶしにネタデッキでも作ろう。
モリンフェンビートとか作ってみようかな?
俺YOEEEEEができる至高のデッキだぜ!
「おい、厚志! 緊急事態だ起きろ! って起きてたのか」
「十代……ノックぐらいしようぜ」
「そんなこと言ってる場合じゃないんだ、鍵が盗まれたんだ! お前の鍵はどうなってる?」
「鍵って部屋の鍵は制服のポケットに入ってるぞ、基本的に部屋に鍵掛けないから使ってないが」
「そうじゃないんだ! 七星門の鍵のほうだよ!」
「結局ベッドに縫い付けるの面倒だったからそこに置いてあるぞ……ほれ」
「ほっ、厚志の鍵は無事だったんだな。ほかのみんなは全滅だったんだ。とにかく万丈目の部屋に集まってくれ」
「わかったわかった。着替えてから行くから先に行っててくれ」
引っ越したばかりなのにレッド寮まで行くのかよ。かったるいな。
こんな事件がおきるならもう少しゆっくり引っ越しすれば良かったな。
「万丈目サンダーの名にかけて!」
「……これはどういう状況?」
「ようやく来たか厚志。今からこの万丈目サンダー様の推理ショーが始まるところだ。黙って聞いていろ」
「よくわからんがわかった」
とにかく万丈目がなんかするらしい。それと警部の近くにいるこいつらは誰なんだ?
あんまり見ない顔だが……。どっかで見たことがあるような気がする。
でかい大男に、ホウキ頭のレッド生徒に、目つきの悪い警備員、そして白衣を着た赤いロングヘアの女性の四人。
ううむ、なんというか『微妙』に使えるという印象があるのはなぜだろう?
でも大男が一番しょぼい気がする。
「俺は皆が集まる前に全ての犯行現場を廻ってきた」
「そうか、犯行現場には幾つもの証拠が残っている」
「そう言えば、床に付け爪のような物が落ちてたわ」
「え……あ……」
警部の横にいる女性が動揺する。
こんなわかりやすい反応でいいのだろうか?
「天上院君、真剣に犯人を探す気があるのか?部屋はこまめに掃除しろ」
「ま、毎日してるわよ」
「そんな物は俺が捨てておいた」
「ご、ごめんなさい……」
論点がちげぇぇぇ!!
証拠を探すために各部屋回ったんじゃないのかよ!!
てか人の部屋のものを勝手に捨てるな!
「そう言えば、オレ達の部屋の壁にも穴が……」
「そうそう」
「借りた部屋にキズをつけるな。敷金戻ってこないぞ」
「敷金って……」
そういう問題なのか?
というか敷金なんて払った覚えがないんだが……。
そしてお前実家金持ちなのに妙に庶民くさいところあるよな。
「穴なら俺が埋めておいた」
「わ、悪いな万丈目」
「『さん』だ」
「……!」
ホウキ頭のレッド生徒が手動式ドリルを後ろ手に隠した。
お前は何で持ち歩いてるんだよ!!
自分の部屋に隠しておけばいい話だろ!!
それに壁の穴埋めなんて意外と多芸だったんだな。業者呼ぶとかそういう話にならんか?
「でも、犯人は誰なのニャ?」
この様子だとすさまじく頓珍漢なことをいいそうな気がする。
犯人は……この中にいない! 宇宙人がやったんだとか。
「犯人は……お前!お前!お前!そしてお前だ!」
「「「「!」」」」
万丈目が指を刺したのは警部とその周りにいた4人だ。
なんかあってるっぽい。だって動揺が半端じゃないもん。
おおーーすげーー。
これは素直にすげーー。
あそこまで証拠っぽいものをスルーしておきながら。
ちゃんと犯人当ててるのってたいしたもんだよな。
どうやって見つけたんだろう?
あれだけ証拠っぽいものをスルーしておいたのに。
「な、何を証拠にそんな事を……」
「そうよ!犯人扱いするなら、証拠が有るんでしょうね?」
「……有るとも」
「何!?」
「しかし、証拠らしき物は全て君が……」
「ふふふ、証拠は……これだ!」
『『『イエーイ!』』』
……と、取り出したのは彼の精霊、おジャマ3兄弟のカード。
「それぞれの鍵を隠した時、俺は密かにこいつらを鍵と一緒に置いてきた。そして、俺の部屋には大勢の目撃者が居る!」
……と、続いて取り出したのは、万丈目兄とのデュエルの際、古井戸でゲットした攻撃力0の精霊達のカード。
もはや推理でもなんでもねぇぇぇ!!
さっき推理ショーっていってたよな!? 絶対いってたよな!!
「こいつらは、お前達の犯行の一部始終を目撃していた!」
『間違いない!』
『こいつらだ!』
『おいら達は見たわん』
『おうおう、おめぇらにはこの十手が……!』
『桜吹雪が……!』
『紋所が見えねえのか!』
「「「全然見えない」」」
「「「ありゃ!?」」」
あ、三人そろってずっこけた。
しかしこのおジャマたちノリノリである。
カードの精霊を目撃者と言い切ってしまうふてぶてしさだけは賞賛に値するかもな。
ん? でも全然見えないってことは声は聞こえてたんだ。
「そしてマグレ警部。あなたがこの事件の黒幕だ!」
「な、何を根拠に」
「明日香さん、目撃者ってどこにいるんでしょうね?」
「さあ?」
……そうだよな。それが普通の反応だよな。
しょうがない、助け舟を出してやるか。
「あ〜ちょっといいか?」
「なんだ? 貴様の出る幕はもうないぞ」
いや、カードの精霊が見える人たちじゃないと証拠にならないだろ。
「実は昼間倫理委員会に頼んで、七星門の鍵を保管している部屋に隠しカメラを仕掛けてもらってたんだが……」
「い、いつの間に……」
「さっきちょっと事務所によってその映像を借りてきたんだ。これを見れば万丈目の主張が正しいのか妄言なのかがはっきりする」
倫理委員会ってすげえな、頼んだ俺が言うのもなんだけど頼んだその日のうちにカメラ仕掛けてくれるとは思わなかった。
「ファインプレーだがよくやった。さあこれでもう言い逃れはできないぞ」
「ふっ、さすがは名探偵を名乗るだけのことはある」
「「「「「どこがだ!!!!」」」」」
「めちゃくちゃな推理だが、結果はすべて大当たりだ」
だから推理でもなんでもねぇだろうがよ!!
「われらの正体は」
「「「「「黒蠍盗掘団!!」」」」」
連中は戦隊物の様に全員集合してポーズを決めた。
……ああどっかで見たことがあると思ったらこれか…。
ザルーグやミーネやチックは使い道がそれなりにあるもんな。
そしてあの大男が一番しょぼい気がしたんだな。
あいつだけなぜか上級モンスターで生贄が必要だしな。
「私は数年前七星門の鍵を奪う依頼を受け、そのときから部下をひそかに送り込んでいたのだ」
「「「「「それが、黒蠍盗掘団!!」」」」」
「時間をかけた割に仕事が雑だぜ……」
「「「「「それが、黒蠍盗掘団!!」」」」」
「なんかおもしれえぞこいつら」
「ほんと」
「「「「「それが、黒蠍盗掘団!!」」」」」
「でも、鍵を盗んだだけじゃ七星門は開かない。意外と間が抜けているのね」
「「「「「それが、黒蠍盗掘団!!」」」」」
「そもそも、やってることは盗掘じゃなくて泥棒だろ。窃盗団にしたほうがいいんじゃねぇか?」
「「「「「それが、黒蠍盗掘団!!」」」」」
…………突っ込んだほうがいいのかなぁ?
突っ込んでも同じ台詞で返される気がするんだが……。
「で、どうすりゃ開くんだ?」
「盗んだ相手に聞くんじゃねぇよ……」
「「「「「それが、黒蠍『もうええわ!!!』」」」」」
し、しまった。つい条件反射で。
「教えてやろう、俺とデュエルをして勝てば開かれる」
「なぁ、俺は?」
「私もいるわよ」
「厚志君もだよね」
「デュエル〜? そうか! 依頼のときにもらったこれを使うのか〜!」
「持ってんじゃねぇか! ちゃんと依頼人の話ぐらい聞けよ!!」
「「「「「それが、黒蠍『しつこいっつってんだろうが!!』」」」」」
「厚志のやつ、やけに怒ってるんだな」
「厚志君突っ込みキャラっすからねぇ。突っ込みどころが多すぎて疲れてきたんじゃないすか?」
ああ、そうだよ。この学園はボケばっかりで突っ込みキャラが明らかに不足してるんだよ。
明日香はわりと常識人だが、あいつは突っ込まないでスルーするからな。俺しか突っ込む人間がいないんだよ。
「ならばデュエルだぁ!!」
なんか気づいたら万丈目と黒蠍のデュエルが始まっていた。
肝心のデュエルの内容だが……。
なぁ、これ突っ込まなきゃならないのか?
サイクルリバースモンスターの番兵ゴーレムを表側守備表示とか、せっかくだからわれわれ自身がフィールドに出ようとか。
おジャマ兄弟の三体融合とか。
正直突っ込みきれねぇ……。
……結果?
万丈目が勝ったよ。
結構辛勝だったけど、おジャマとアームド・ドラゴンという何のシナジーもないカードたちでよくデッキ組む気になるなぁとは思ったよ。