ちょっとだけよ。
「はぁ、もう学園祭の季節か。時間がたつのは早いもんだな」
「厚志君なんか爺臭くないスか?」
「自覚はあるから突っ込むな」
なんてったって、2度目の人生だ。
多少人より老け込むのが早くてもしかたあるめぇよ。
「はぁ、どこ行っちまったんだろ大徳寺先生……」
「そういえば最近十代の元気がないのは何でだ?」
「厚志……あなた知らなかったの? 実は大徳寺先生が……」
「ほむほむ」
明日香が復活したタイタンとデュエルをして、吹雪さんの記憶が戻ってきて、吹雪さんの記憶によると、吹雪さんが闇にとらわれた件について大徳寺先生がかかわってるらしいと。
それで、それを問い詰めようとしたら、大徳寺先生の姿がきれいさっぱりなくなってたと……。
「……初耳だねぇ」
「みんなに話したと思ってたのだけど……」
忘れられていたんだろうな。
モブとして埋もれつつあることに、厄介ごとが舞い込む確率が減ってうれしいような、数少ない友人に忘れられていたという事実に悲しいような……。
「そもそもセブンスターズってあと何人だ? まず最初に吹雪さんだろ。次に俺が倒したカミューラに……」
「アニキが倒したタニヤ。万丈目君が倒した黒蠍盗掘団スね」
「この間十代が倒したアビドス三世と私が倒したタイタン。残りはあと一人よ」
「……アビドス三世って誰だ?」
「そういえばあの時鈴本はいなかったな」
「そうだったかしら?」
カイザーにも忘れられてるな。
だんだん影が薄くなっていくなぁ俺。
空気キャラになってしまいそうな予感がプンプンするぞ。
三沢と違っているのに気づかれない空気キャラと、いないのに気づかれない空気キャラの違いはあるが……。
「厚志君のデュエルはなぜか印象に残らないんスよね?」
「毎回違うデッキを使っているから、鈴本を象徴するエースカードがないからかもしれないな」
ううむ……確かに。
毎回同じデッキだと飽きるから、いろんなデッキを使うようにしてる弊害がこんな形で現れるとは……。
デッキ作りが趣味みたいな感じになってたりもするしな。
最近は作るデッキがなくなってきて、イロモノデッキも作成するようになったし……。
「エースカードねぇ、気が乗らないなぁ」
「何が気乗りしないのかしら?」
「うーん、俺の場合ってコンセプトを決めてからデッキを作るわけなんだよな」
「三沢君みたいに各属性ごととかそんな感じかしら?」
「もっと具体的かな。どうやって勝つか? の勝ち筋を先に決めておいて、そのテーマに沿ったカードを使うんだ」
「なんか具体的じゃなくて抽象的になってるっス」
「たとえばだな、翔の持ってるドリルロイドあるだろ?」
「守備モンスターを破壊するモンスターっスね」
「あれを最大限生かすためにエネミーコントローラーを使ったり月の書を使ったりするわけだ。それで相手モンスターを排除しつつ倒す見たいな感じかな。これだとドリルロイドは生かせるけど別にほかのロイド系を生かせるとは限らないんだよ。だからドリルロイドを投入してもロイドデッキにならないんだ」
「……なんかよくわかんないけどわかった事にするっス」
なんというか、説明が難しい……。
もっとわかりやすく説明できないもんかねぇ。
「あ、そういえば明日香さんにお願いしたいことがあったんスよ」
「私に? なにかしら」
「実は学園祭のレッド寮の催しがコスプレデュエルなんですけど、やっぱり女性徒がいないと華が無いんスよ。それで明日香さんにもコスプレをお願いしたいんです」
「わ、私がコスプレ!」
「レッド寮を助けると思って、よろしくお願いします」
「えと、その、私ブルーだし、あの……」
「いいじゃないか明日香」
「兄さん!」
「僕も明日香のコスプレ姿を見てみたいな」
「もう、兄さんまで……」
結局吹雪さんの押しに耐え切れずコスプレを了承してしまう明日香。
廃寮のころから薄々感じてはいたけど、明日香ってかなりのブラコンだなぁ。そして吹雪さんはシスコンだ。
似たもの兄妹といってもいいかもしれないな。
それにしても明日香のコスプレか……。
「…………写真とってファンクラブに流せば商売になるかな?」
「あ〜〜つ〜〜し〜〜!!」
げっ! 聞こえてやがったボソッと言ったつもりだったのに。どんだけ地獄耳なんだ……。
「厚志もコスプレしなさい!!」
「ちょ! 何でそういう話になるんだ!?」
「厚志もコスプレすれば見られる人の気持ちがわかるじゃないの!」
「だって俺イエローの屋台を手伝うことになって……」
「それは俺が話をつけておこう」
ちょ! 三沢いきなり出てきて何言ってるんだ!?
「実は屋台のほうもそこまで仕事が残ってなくてね。俺と厚志はレッド寮の応援に行ってもかまわないと樺山先生から言われているんだ」
「ちっ、樺山先生までネマワシ終わってるのかよ」
「そういうことだ。諦めろ」
「……むう」
いまさら逃げられないのはわかってるんだが、明日香の勝ち誇った顔がなんかむかつく。
こうなったら、ダイ・グレファーのコスでもして追い掛け回してやろうか。
……だめだな。やったその日のうちに変態と呼ばれるようになるだけだ。
しかしコスプレとは面倒な……できるならあんまり手間のかからない衣装がいいな。
柔道着を着て、伝説の柔術家とか?
ううむ、やはりこれも却下だ。あの髭を再現させるのは一苦労だし、あれは中年がやるから似合う衣装だしな。
ワイトはローブはともかく骸骨フェイスは手間がかかりそうだ。
レッド寮で代々使ってきた衣装は、派手なものが多く動きにくそうだ。
正直鎧とか甲冑とか着てどうやってデュエルディスクはめろっていうんだよ。
そして学園祭当日。
「厚志。それはいったいなんのコスプレなのかしら?」
「バトルマニアの手前の男子学生だ」
そうなのだ。俺の服装は学ランに伊達めがね。髪形は面倒だからいじってない。
「参考書も一応持っているぞ」
「まさかここでモンスターカードじゃないとは……意表をつかれたわね……」
「これが一番動きやすそうで、しかも派手じゃなかったからな」
「くっ……なんかすごい負けた気分だわ。私はこんなに派手な格好しているのに」
ジーンズと赤い上着で大嵐に飛ばされている手前のおっさんとかも考えたんだけどな。
ちなみに明日香はハーピィレディのコスプレだ。
やはりハーピィレディは巨乳の人間が似合うな。
パシャ
「似合っているじゃないか明日香」
「に、兄さん……」
吹雪さんとカイザーが登場した。
しかも吹雪さんはカメラ持参で。
「写真なんかとってどうするつもり!?」
「明日香のファンクラブの子に配ろうと思ってね」
さすが吹雪さん。
タダで配るとは太っ腹だ。
しかしこうなると、俺が写真をとっても売り物にはならなさそうだな。
「ちょっとやめてよ!」
「はは、いいじゃないか。僕も明日香のかわいい姿をみんなに見せたいんだよ」
兄弟喧嘩が始まったので放置しよう。
ああいうのは首突っ込むとろくなことがない。
「鈴本は何のコスプレなんだ? 学ランを着たモンスターに覚えはなかったのだが」
「バトルマニアの男子学生ですよ」
「………試みは面白いが、誰にも気づいてもらえないだろう」
「十代よりましだと思いませんか?」
そういって十代を指差した。
カイザーも指を追うように目線を向ける。
「あれはいったい何なんだ?」
「適当に衣装を組み合わせたらああなったらしいですよ」
「どおりで、見覚えのあるパーツがちらほらあるわけだ」
十代の服装はかなり頓珍漢だ。
魔法使いの帽子にマント。鎧に盾も装備している。
肩はエルフの剣士かな? 盾の形はギア・フリードっぽい。
周りからは謎のモンスター扱いされているな。
「それにしても万丈目が一番気合入ってるとは思いませんでしたがね」
「あのXYZドラゴンキャノンだな」
「ええ、近くで見たらかなり完成度高いですよ」
「いつの間に準備していたんだろうな?」
「さあ?」
しかしいろんなコスプレ姿が見られるなぁ。
あのハネクリボーのコスプレ超かわいい。モフモフしたい……。
そういや三沢はどこ行ったんだろう? あいつも俺と同じでこっちに来る予定のはずなんだが。
「ブ、ブラックマジシャンガールだぁ!!」
翔の叫んでる声が聞こえるな。
ん? あれは確かにブラックマジシャンガールだ。
しかも激似だ。
はて? あんな生徒見た覚えがないな。
「あれ誰だか知ってます?」
「いや、俺も見覚えはないな」
悩んでいる間に、十代とブラックマジシャンガールのデュエルが始まった。
しかしすごい人気だなブラックマジシャンガールは……。
「実況はボク丸藤翔でお送りいたします。そして解説はXYZさんにお願いします。そして先攻はボクの独断で、ブラックマジシャンガールからです!!」
「カイザー、自分の弟のあのテンションの上がり方を見て何か一言……」
「…………ノーコメントだ」
あ、やっぱりちょっとついていけない部分あるんだ。
デュエルは白熱している。
主にブラックマジシャンガール的な意味で……。
十代なんて完全アウェーじゃねぇか。
「可愛いは正義ナノーーネ!!」
クロノス教諭まで混じってやがる。
しかし、少しプレイしただけでこの盛り上がりまるでアイドルだな。
デュエル自体はそう長いものではなく十代の勝利に終わる。
フレイムウィングマンは火力高いなぁ。
「ねぇねぇ、次はあなたとデュエルしてみたいなー」
「へ?」
気がついたら件のブラックマジシャンガールが目の前にいた。
「鈴本ーー俺と代わりやがれーー!!」
「うらやましいぞコンチクショーー!!!」
「おおっとーー! ブラックマジシャンガールの次のお相手は謎の学ラン少年だーー!!」
………どうしてこうなった。
「赤コーナー。先ほどに引き続き、われらがアイドルブラックマジシャンガールの入場だぁぁーーー!!」
「ずっといるがな」
「青コーナー。今度のお相手は謎の学ラン少年の入場だ」
「バトルマニアの手前の奴だと何度言ったら以下略」
なんだろうこれ?
もう明らかにテンション違うよね。
俺さっきの十代みたいに完全アウェーでやらなきゃならないの? 馬鹿なの? 死ぬの?
テンション下がるわ〜〜。
「先攻はやっぱりブラックマジシャンガールからです! それではデュエルスタート!」
「では私のターン。私はモンスターをセット。カードを一枚伏せてターンエンドです」
「解説の万丈目さん。この立ち上がりをどう見ます」
「そうだな。さっきはファイヤーソーサラーを伏せていたが今回も同じとは限らない。どちらにせよセットされたモンスターが鍵を握るだろう」
「それじゃあ俺のターン。俺はアチャチャアーチャーを守備表示で召喚。このカードの効果により相手に500ポイントのダメージを与える」
「えっ!? きゃあ!」
「これは容赦のない外道攻撃が決まったー!!」
「ひっこめーー!!」
「卑怯だぞーー!!」
いあ、あの、そういうカードなんで……なんでもないです。
ブラックマジシャンガール
LP4000→3500
「えへへ、やっぱり君も結構やるじゃない、でも負けないからね」
《アチャチャアーチャー/Achacha Archer》 †
効果モンスター
星3/炎属性/戦士族/攻1200/守 600
このカードが召喚・反転召喚に成功した時、
相手ライフに500ポイントダメージを与える。
「カードを一枚伏せてターンエンド」
「なら私のターン私は永続魔法魔法族の結界を発動! そして見習い魔術師を反転召喚し、効果で魔法族の結界に魔力カウンターを乗せるね」
《魔法族の結界/Arcane Barrier》 †
永続魔法
フィールド上に存在する魔法使い族モンスターが破壊される度に、
このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大4つまで)。
自分フィールド上に表側表示で存在する魔法使い族モンスター1体と
このカードを墓地へ送る事で、このカードに乗っている
魔力カウンターの数だけ自分のデッキからカードをドローする。
《見習い魔術師/Apprentice Magician》 †
効果モンスター
星2/闇属性/魔法使い族/攻 400/守 800
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
フィールド上に表側表示で存在する魔力カウンターを
置く事ができるカード1枚に魔力カウンターを1つ置く。
このカードが戦闘によって破壊された場合、
自分のデッキからレベル2以下の魔法使い族モンスター1体を
自分フィールド上にセットする事ができる。
「そして魔導騎士ディフェンダーを召喚。効果でディフェンダーに魔力カウンターを乗せるよ!」
《魔導騎士 ディフェンダー/Defender, The Magical Knight》 †
効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1600/守2000
このカードが召喚に成功した時、
このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大1つまで)。
フィールド上に表側表示で存在する魔法使い族モンスターが破壊される場合、
代わりに自分フィールド上に存在する魔力カウンターを、
破壊される魔法使い族モンスター1体につき1つ取り除く事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
「バトル! ディフェンダーでアチャチャアーチャーに攻撃!!」
あっさりやられる炎の弓兵。まぁ、そういうカードだし……。
「そして、見習い魔術師で追撃攻撃しまーす」
厚志
LP4000→3600
「私はこれでターンエンド」
ブラックマジシャンガール
伏せ1枚 魔法族の結界(カウンター1つ)
魔導騎士ディフェンダー(攻撃表示) 見習い魔術師(攻撃表示)
「ほんじゃ俺のターン」
なんと言う微妙な手札。伏せカードは全部ブラフだけどこの世界の連中は気にしやしねぇ。
まぁ最低限ネタは発揮できそうだからネタやってさっさと負けるか。
「俺は手札の切り込み隊長とネクロガードナーを墓地に送り儀式魔法を発動させる!!」
俺が発動させた儀式魔法の効果によって床に描かれた魔法陣から出てきたのは白い服を着て、両手に刃物を持ち悪魔のような形相をしたやつだった。
そしてそいつは突然両手の刃物を振り回した、目の前にある物体を切る! 切る! 切る!
そうしてその場に残ったのは巨大なハンバーガーに凶悪そうな歯を生やしたものだった。
がっきょんがっきょん歯を打ち鳴らす巨大なハンバーガー。
実にシュールだ……。だがそれがいい!!
「「「「「へ??」」」」」
「ハングリーバーガーを攻撃表示で召喚する」
「……えっと、なにそれ?」
「ハングリーバーガーだ」
「いや、だから」
「ハングリーバーガーだっ!!」
俺のデッキはハングリーバーガー特化デッキ!
一度やってみたかったんだよね。相手の驚く表情がたまらないぜ。
「さらに伏せていた装備魔法リチュアル・ウェポンを装備して攻撃力を1500上昇させる」
《リチュアル・ウェポン/Ritual Weapon》 †
装備魔法
レベル6以下の儀式モンスターのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力と守備力は1500ポイントアップする。
ハングリーバーガー
攻撃力2000→3500
「そして、手札から永続魔法一族の結束を発動! その効果で攻撃力をさらに800上昇させる」
《一族の結束/Solidarity》 †
永続魔法
自分の墓地に存在するモンスターの元々の種族が1種類のみの場合、
自分フィールド上に表側表示で存在する
その種族のモンスターの攻撃力は800ポイントアップする
ハングリーバーガー
攻撃力3500→4300
「……え? ええ!? ちょっと待って、一族の結束って墓地の種族が統一されている場合、自分の場のその種族の攻撃力を800上昇させるカードだよね?」
「ああ、その解釈であってるぞ」
「でもでもっ! 君の墓地は戦士族のモ「ハングリーバーガーは戦士族だ」……え?」
「大事なことなのでもう一度言おう。ハングリーバーガーは戦士族だ」
《ハングリーバーガー/Hungry Burger》 †
儀式モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2000/守1850
「ハンバーガーのレシピ」により降臨。
フィールドか手札から、レベル6以上になるよう
カードを生け贄に捧げなければならない。
まぁ、普通は気づかないよな……。どう見たって悪魔族、百歩譲って植物族だもんな。
「「「「「えええ〜〜〜〜!!!!!!」」」」」
この、この表情が見たかった! これだけのためにこのデッキを作ったといっても過言ではない。
あれ? これ見習い魔術師に攻撃通ったら勝つんじゃね?
「バトル! ハングリーバーガーで見習い魔術師を攻撃。
「さ、させないよ。速攻魔法ディメンション・マジック発動! 見習い魔術師を生贄に、この私ブラック・マジシャン・ガールを召喚しっま〜す」
ですよねー。
《ディメンション・マジック/Magical Dimension》 †
速攻魔法
自分フィールド上に魔法使い族モンスターが
表側表示で存在する場合に発動する事ができる。
自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースし、
手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。
その後、フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する事ができる。
《ブラック・マジシャン・ガール/Dark Magician Girl》 †
効果モンスター
星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700
お互いの墓地に存在する「ブラック・マジシャン」
「マジシャン・オブ・ブラックカオス」1体につき、
このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
「そして破壊するのはもちろんハングリーバーガー!」
「「「キターーーーーーーー!!!!」」」
「攻撃力4300という悪魔のようなハンバーガーにもめげずブラック・マジシャン・ガールここに再び登場だーー!!」
あ、オワタ。
「じゃ、投了で」
「ええ〜〜〜〜!! ひどい! 最後までやろうよ〜」
「男らしくねーぞー!」
「それでもデュエリストかー!」
「おれたちゃもっとブラマジガールが見たいんだよーー」
絶対最後の言葉が本音だろ。
「結果は見えてるんだけどな〜」
「そんなことないよ。デュエルは最後までわからないんだよ!」
「じゃあ逆に聞くが、手札なし、フィールドなし、墓地効果なしでまともに戦う方法を教えてくれよ」
「え、え〜と。わ、私のターン」
あ、ごまかしやがった。
「私はブラック・マジシャン・ガールに魔術の呪文書を装備して2体でダイレクトアタック! せーの」
「「「「「
《魔術の呪文書/Magic Formula》 †
装備魔法
「ブラック・マジシャン」「ブラック・マジシャン・ガール」のみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は700ポイントアップする。
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
自分は1000ライフポイント回復する。
「墓地のネクロガードナーの効果を使いブラック・マジシャン・ガールの攻撃を無効にする」
「あっちゃー、そういえば墓地にあったねー」
「鈴本選手! 往生際が悪いぞ!!」
「せっかくのブラマジガールの攻撃を無効にしやがって!!」
《ネクロ・ガードナー/Necro Gardna》 †
効果モンスター
星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300
相手のターン中に、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。
このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。
厚志
LP3600→2000
んー何とかしのいだけど、ここから逆転は厳しいだろうなぁ。
適当に負けてしまおう。
「……俺のターン……あ」
そういえばほかの人たちは言ってたな。自分で必死に考えれば真剣に組めば信じればデッキが応えてくれると……。
このドローをただの偶然、確率論だと一笑にしてしまうのは簡単だ。
―――だけど、俺はこれを運命だと信じたい。
(なにか、雰囲気が変わった?)
「俺は魔法カード死者蘇生を発動。蘇生させるのは当然ハングリーバーガー」
「ええー!」
一族の結束で強化されたハンバーガーがフィールドに舞い戻る。
さぁ、伏せは使い切ってる。もう一度お前の力を見せてやれ。
「ブラック・マジシャン・ガールに再度攻撃!
ハンバーガーが巨大になりみんなのアイドルを丸呑みにする。むっしゃむっしゃ食べるよりはマシだろうけど、小さい子供とか見たらトラウマになるんじゃねえのか?
「きゃあ――!!」
ブラック・マジシャン・ガール
LP3500→3400
「てめぇ鈴本―!! 俺たちのアイドルに何をしやがる」
「鈴本選手これはひどい!!」
「ひっこめー」
アウェーなのは今更だからなぁ。まぁこの連中を黙らせるにはあれが一番だな。
「ブラマジガールのカードもう二度と見せてやらんぞ」
「「「ごめんなさい」」」
「手のひら返しここに極まりといったところだな」
「男ってサイテー……」
「魔術の呪文書の効果でライフが1000回復します。それに魔法族の結界に魔力カウンターを増やします」
「そういえばそんな効果あったな」
ブラック・マジシャン・ガール
LP3400→4400
初期値よりも増えてしまった。さてどうしよう、というかどうしようもないんだけどな。
「私のターン……私は魔法族の結界を墓地に送って二枚ドローします」
「いいなぁそんなに引けて」
「私も死者蘇生でブラック・マジシャン・ガールを蘇生します。さらにディフェンダーを生贄に二枚目のブラック・マジシャン・ガールを召喚で~っす」
「キタキタキタ―二枚目のブラック・マジシャン・ガール……ああ、もう死んでもいい」
「二、二枚目。カワイイ……」
「男ってこれだから……」
あいつらと一緒にされても困る。
二枚目を出したってことはマジシャンズ・クロスあたりかな?
「さっきのお返しだよ! うふふ、私は二枚のブラック・マジシャン・ガールでオーバーレイ!!」
「なっ!! まさか!」
「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!! エクシーズ召喚!!」
「エクシーズ召喚だと!!」
「相手を操る魅惑の美☆魔☆嬢! 来て!! ランク6 マジマジ☆マジシャンギャル!!」
「「「「「うおおおおー!!!!」」」」」
「えへへっ すごいでしょ!! 最新の召喚方法なんだからね」
いやー参ったこれは素直に完敗だな。まさかエクシーズ召喚してくるとは。
「マジマジ☆マジシャンギャルの効果発動。1ターンに一度オーバーレイユニットを一つ墓地に送って相手モンスター一体のコントロールをエンドフェイズまで得る。マジカルチャーム!!」
「ああ、ハングリーバーガーが裏切りおった……」
マジシャンギャルの投げキッスを受けたハンバーガーがふらふらと相手フィールドに移る。
てめぇハンバーガーのくせに魅了されてるんじゃねぇよ!! そういう効果なのはわかるけどさぁ
《マジマジ☆マジシャンギャル》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/闇属性/魔法使い族/攻2400/守2000
魔法使い族レベル6モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
手札を1枚ゲームから除外して以下の効果から1つを選択して発動できる。
●相手フィールド上のモンスター1体を選択し、
このターンのエンドフェイズ時までコントロールを得る。
●相手の墓地のモンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する。
「全員で総攻撃! いっけぇーー!!」
厚志
LP2000→-2400
こうして俺とブラマジガールのデュエルはわずか7ターンで終了したのだった。
そして学園祭も終了に近づいてきて今は最後のキャンプファイヤーである。
俺が何をしているのかというと……。
「ああ、いたいた。お前さんはやっぱり『闇』で会ったあのブラック・マジシャン・ガールでいいのか?」
「うん、そうだよ」
「今日はただ、遊びに来ただけなのか? それとも……」
「それもあるけど、途中経過を報告しようと思ってね」
「ということは何か進展があったのか?」
「進展なのか後退なのかわからないけどね、とりあえずあなたのカードはあなたの世界におそらく関係ないってことぐらいかな?」
「関係ない? でも、本来あるはずのないカードたちまであるんだぞ」
「そこが謎なんだよね。この世界にあるはずがなくて、あなたの世界にも関係がないカードたち……」
「こいつらはいったい何なんだろうな……」
手に入れたのは何年も前の話だ。
シンクロやエクシーズまで揃っててこの世界に元からあったというには無理があるだろうな。
また謎が増えちまったな。
リクエストどおりハンバーガーの見せ場を作ってみました。
厚志がデッキへの信頼を持ち始めようとした矢先に裏切るハンバーガーw
厚志以外ならシンクロエクシーズでもいいやと思い始めてきた。
わりとすっきり終わらせられたので個人的には満足。