平凡な男の非凡な学園生活 (凍結)   作:御龍

7 / 29
倫理委員会登場 十代VS翔

朝のひととき、それは惰眠をむさぼる人間にとっては何にも変えがたい至福の時間。

事件はそんなときに発生した。

 

 

「開けろ、われわれは倫理委員会のものだ。即刻開けなければこの扉を爆破するぞ!」

「zzz」

 

この時倫理委員会の人が扉を叩き、俺を起こそうとしていたらしいがほとんど覚えていない。

前にも言ったと思うが俺は非常に朝が弱い。この時も変わった目覚ましが隣で鳴っているとしか考えていなかった。

 

「仕方ない。爆破しよう」

「本当にやるのですか?」

「これだけ叩いておきない奴が悪い。いいから爆薬をもってこい」

 

 

そして悲劇は起こった。

 

ボン!

という音とともに俺の部屋の扉の鍵の部分が爆破されたのだ。

しかしこの程度で起きるようなら、俺は十代たちに毎朝起こしてくれなど言っていない。俺は変わらず眠り続けていた。

 

「よし、扉は開いたな、容疑者を確保し校長室まで速やかに連行しろ」

「ハッ」

 

 

 

「それが俺が簀巻きになって校長室に来るまでの過程ですか」

「まぁそういうことです」

「あれで起きないってある意味すげぇよな」

「かなりうるさかったはずッス」

「あのくらいで起きるくらいなら、隣室の十代に毎朝起こしてくれなんて言わねぇよ」

「確かに厚志を起こすのは結構大変だからなぁ」

「では連れてこられた理由の方は?」

「お前達が立ち入り禁止の廃寮に立ち入ったからだ。タレコミの目撃証言から調査してみたところ確かに誰かが立ち入った形跡があった。さらに比較的はっきり残っている足紋からお前たち3人を容疑者として連れてきたというわけだ」

 

一日でそこまで調べたのかよ。倫理委員会すげぇな。てかそんなこと調査するくらいだったらタイタンみたいな不審人物がこの島に入ってこないようにするとか他にやることあるだろうよ。

 

「まぁとぼけても無駄そうですからあらかた話しますよ。かくかくしかじかというわけで」

 

俺はこの説明の時、少々事実を捏造して話した。廃寮を外から見てみるだけの肝試しが明日香の悲鳴が聞こえたから内部に入ったという感じだ。

明日香は口裏を合わせてくれるだろうし。翔と十代はあらかじめ送っておいたアイコンタクトが功を奏し俺の話が終わるまで黙っててくれた。

 

「廃寮に不審人物ですか……」

「もしそれが本当ならわれわれ学園側の問題でもありますね」

「むむむ、そうですね。倫理委員会の方々はその不審人物の調査をお願いします」

「わかりました。いくぞ、ここ数日間の渡航記録を洗い出すぞ」

 

そういって倫理委員会の人たちは出て行った。

まるで警察だな。とても学校組織の一部所だとは信じられん。

 

「そして、君達の処分についてですが……。君達の証言の裏が取れた場合制裁デュエルをおこなってもらいます」

「無罪放免じゃないんスか〜!?」

「緊急性があったとはいえ校則を破ったことには違いありませんからね。即座に学園側に連絡を入れていればまた違いましたがね。ともかくその制裁デュエルに勝利すれば間違いなく無罪放免ですよ」

「デュエルで勝てばいいんだな!よっしゃあ楽しみだぜ!」

「制裁デュエルの対戦相手は誰ですか?」

「それは…」

「校長先生!」

 

鮫島校長の話を遮るように倫理委員会の人が戻ってきた。もう調査が終わったのか、何でもありだなここの倫理委員会。

 

それに制裁デュエルとはデュエル脳が半端じゃねぇな。

勝てば問題ないだろうし、負けても退学とまではいかないだろ。

 

「裏が取れました。確かに怪しい人物が一人この島に入ってきてるようです」

「なるほど…。確かに我々にも落ち度があるようですね。制裁デュエルの対戦相手はあとで連絡します。君達はとりあえず授業に戻るように」

 

こうして俺達は制裁デュエルを受けることになった。ちなみに明日香は不可抗力でお咎め無し。コアラはどうやら足紋が出なかったらしく、運よく倫理委員会の追跡から逃れることができた。

 

 

問題の制裁デュエルについてのルールも聞いてきた。

なんでも十代&翔がタッグデュエルで、俺はシングルでやるらしい。対戦相手は学園外の人間に依頼するそうだ。相手の名前はさすがに教えてくれなかった当日までのお楽しみらしい。

誰がやるんだろ? 先生たちの誰かかな?

 

それに翔と十代でタッグなのか。翔は確かロイドデッキ、十代はE・HEROか共通点は両方とも融合モンスターが切り札ってことくらいか?プリズマーやフォレストマンなんかがあると便利そうだな。

タッグのルールもバトルロイヤルの変形らしい。面倒そうなルールだ……シングルでよかった。

それ以上に翔のあのプレイングはどうにかならないのか? 一プレイごとに一喜一憂するし、自分のモンスターの効果忘れるし。

殴りにいってトラップ使われて落ち込んだと思ったら、今度はトラップを警戒しすぎて大嵐かハリケーンで伏せを潰してからじゃないと攻撃しようとしなくなるし。

トラップなんて伏せ除去ない限りいつか引っかかるんだからどうしようもないと思うんだけどなぁ。

地雷は踏み抜くためにあるっていうのは自分だけか。

 

それより特訓つけた方がいいかもしれないな?

さて、デッキどうすっかな。

 

 

十代と翔はどうするつもりなのかな?

寮に帰ってみると十代と翔にバッタリ会った。ちょうどいいからここで聞いてみるか。

 

「十代たちはタッグデュエルどうするんだ?」

「よう、厚志。とりあえず翔のデッキの特徴を掴むために一回デュエルしとこうと思ってな」

 

ふむふむ、まぁデッキを直接見るより回すのを一回見た方が特性はつかみやすいかもな。

それはそれとして……。

 

「なんで、崖下でデュエルしてるんだ?」

「ここは海風が気持ちよくて絶好の場所なんだぜ」

 

いや、そういう問題じゃなくて……。湿気でカード痛んだり、ディスク壊れたりするんじゃないかの心配なんだが……。

 

「決闘!!」

「決闘……とほほ」

 

テンションの違いが激しいなぁ。

テンションが高いのはもちろん十代で逆に低いのが翔。

気迫や気合で引くカードは変わらないはずだけど、余計なことを考えてるとプレイミスをするってのが自分の持論だ。

 

先攻の十代はフェザーマンと伏せ一枚とまぁ普通の立ち上がり。

後攻の翔は……パトロイドを召喚してそのまま殴るも十代の攻撃の無力化でバトル中断となった。

ふむふむ、攻撃力1200で無力化を使わせたのはまぁまぁじゃないかと思っていたが。

翔が……めっさ落ち込んでる!!

なんで!? パトロイドで無力化消費はむしろおいしいだろ!

と思っていたら十代から解説が入る。

パトロイドはセットカードを確認できる効果があったらしい。

へーそんな効果あったんだ。便利っちゃあ便利だけどアド取れないし地雷踏み抜くスタイルの自分は関係ないな。

 

翔の様子も何だか妙だ。十代に食って掛かったり、なんだか軽い躁鬱病みたいだな。

返す十代のターンでスパークマンとフェザーマンにダメージを受けてますます落ち込む翔。

そこで崖上からコアラの声援が翔を元気づける。

あ、明日香来てたんだ。ずっと崖下にいたから知らんかった。

 

「俺なんか一年留年してるんだぞー!」

 

ぇ? マジ!? 年上だったの。

やっべ、コアラコアラって心の中で呼んでたわ……。

これからは敬意をもって接しておこう。

 

まぁそれは置いといて、翔は強欲な壺で手札補充するが……あれ? あいつなんか固まったぞ。なんかこらえるような表情だし震えだした。

トイレか?

と思っていたらスチームジャイロイドを融合した。

いや、スチームロイド単品で殴れよ……。

 

《スチームジャイロイド/Steam Gyroid》 †

融合モンスター

星6/地属性/機械族/攻2200/守1600

「ジャイロイド」+「スチームロイド」

 

《スチームロイド/Steamroid》 †

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1800/守1800

このカードは相手モンスターに攻撃する場合、

ダメージステップの間攻撃力が500ポイントアップする。

このカードは相手モンスターに攻撃された場合、

ダメージステップの間攻撃力が500ポイントダウンする。

 

スチームジャイロイドってそもそも融合して出す意義薄いしなぁ。

ジャイロイドでフェザーマンを倒して次のターンに回すって選択肢もなくはないし。

まぁ追加でモンスターおかわりされたら負けるんだけどね。

 

《ジャイロイド/Gyroid》 †

効果モンスター

星3/風属性/機械族/攻1000/守1000

このカードは1ターンに1度だけ、戦闘によっては破壊されない。

(ダメージ計算は適用する)

 

そして十代のターンで……。

 

「やっぱそうでなくっちゃな! オレは魔法カード融合を発動!!」

 

あ、サンダージャイアント出た。ううむ、スパークマンが素材のE・HEROは優秀だなぁ。

さらにバーストレディおかわりと二体のダイレクトアタックで翔は見事に散ってしまった。

 

ふぅむ、パッと見わかるプレイミスはスチームジャイロイドの使い方とパトロイドくらいか?

対してターン経過してないっていうのもあるが。

 

十代が翔の手札を確認するとパワーボンドがあったらしい。

ああ、そういえば機械族だから使えるのか。

まぁ使ってもサンダージャイアントの餌食だし結果は変わらなかったな。

 

「使っちゃダメなんだ!!」

「へ?」

「お兄さんから封印されているカードなんだ!!」

 

おいマテ。なんでデッキに入ってんだよ……。

抜けよ、手札事故要因じゃねえか。

 

「僕じゃ兄貴とタッグデュエルなんて無理なんだよ!!」

 

叫ぶなり翔はどこかへ走り出した。

ふぅむ、悩み多き若者だなぁ。

 

「あいつ、辛そうにデュエルしてたな」

「だなぁ」

「デュエルって楽しいもののはずなのにさ。パワーボンドなんてキラーカード持ってるのにお兄さんに封印されてるって言ってたし」

「翔君にはね、本当のお兄さんがいるのよ。それもこの学園にね……」

 

いつの間にか降りてきた明日香が深刻な表情で語りだす。

翔の兄の名前は丸藤亮と言ってカイザーと呼ばれるほどの凄腕デュエリストらしい。

そういえばちらっと噂で聞いたことがあるな。ファンクラブまであるそうな。

 

「よっしゃ!! その兄貴とデュエルしてみればわかるってもんさ!」

 

ど・う・し・てそうなった……。

十代の思考回路はいまいちわからぬ……。

まぁデュエル脳だっていうのは知ってるんだけどな。

やれやれ……これはカイザーとデュエルするまで収まりそうもないな。

 

「よーし、ちょっとデュエル許可願い書いてくるぜ」

 

そう言い残して十代は走り去っていった。

は?

 

「そんなのあったのか?」

「知らないの? 正式なデュエルスペースを使用するにはきちんと許可を取る必要があるのよ」

「あ、スペースの話しなのね」

「それだけじゃなくてね。強いって評判の人にデュエルを挑むときとかは申請書類を出せば学園側でセッティングしてくれることもあるわよ」

「へー、今まで挑もうとしたことなかったから知らんかった」

 

デッキ調整なんかは十代に頼めば大体二つ返事で引き受けてくれたしな。

 

「ちゃんと生徒手帳に書いてあるわよ」

「そこまで読み込んでなかったなぁ」

「あなたも意外と抜けてるわね」

 

可もなく不可もなくがモットーだからねぇ。

明日香と多少世間話をしてから寮に戻ると十代が不機嫌そうに歩いてきた。

あの様子だとうまくいかなかったのかな?

 

「よう十代、その様子だとうまくいかなかったみたいだな」

「そうなんだよ、許可願いはクロノスに破られるし、ブルー寮に行ったら水ぶっかけられるしさんざんだよ」

「それは災難だったな」

「ぜってーカイザーとデュエルしてやる! これくらいで諦めてたまるかってんだ」

 

この程度でへこたれるようなやつでもないか。

いつもの十代節だ。

 

「んじゃ、部屋でデッキ組んでくるわ」

「オッケー、また明日な」

 

さぁて、何作ろうかな。

そう思ってカードを入れているカバンを開いた時に十代が部屋に飛び込んできた。

 

「厚志、厚志!! 大変だ!! 翔が逃げた!」

「へ?」

 

逃げた?

 

「これ! これ見てくれよ!!」

 

そう言って一枚の紙を渡してくる。

どれどれ……。

 

『島を出ます。さよならだけが人生だ』

 

……。

正直どこから突っ込めばいいかわかんねぇ……。

翔がいなくなったらタッグパートナー不在で十代の不戦敗になるだけだろ。

それにさよならだけが人生だって、演歌の歌詞じゃないんだから。

それにどうやって島出るんだよ?

定期便はまだ数日かかるはずだぞ。

 

「あーまぁ、あれだ。とりあえず探すか」

「頼む! オレは海沿いの方を探してみる」

「だなぁ。島出るんなら海辺だろうどうやって出るかはわからんが」

「見つけたら連絡くれよな」

「あいよ」

 

十代はすごい勢いで走り去っていった。

まったく、手間かけさせやがって。とりあえず最初に大徳寺先生に夕飯確保してもらうように頼んどくか。

 

 

大徳寺先生に夕飯の取り置きをお願いした後海沿いを港の方に向かって探す。

いないなぁ、このままだと港に着いちまうな。

十代からの連絡もないしあっちも空振りかなぁ?

そう思って歩いていると……いた。

なんか普通にいた。

十代、翔、コアラ先輩、さらに知らない男性と明日香までなぜかいた。

おい、十代てめぇ見つけたんなら見つけたって連絡しろよ。

しかもなんかデュエルしてる。全然意味わかんねぇ。

 

「なぁ明日香、これってどういう状況?」

「厚志も来たのね。簡単に説明すると、いかだで島を出ようとした翔君を見つけた十代が翔君に餞別として亮とのデュエルを見せているのよ」

 

……いかだ?

あいつは自殺志願でもあんのかよ。

それに餞別デュエルって意味わかんねぇ。

十代とデュエルしてるのが翔の兄の丸藤亮なのか。

どれどれ、どんな状況なのかな?

 

「俺は魔法カードパワーボンドを発動。場の二体のサイバードラゴンとさらに手札のもう一体のサイバードラゴンを融合させサイバーエンドドラゴンを召喚する」

 

うぇい!

 

いつの間にかパワボンサイバーエンドが出てきた、8000貫通とかオーバーキルってレベルじゃねえぞ。

 

「サイバーエンドドラゴンで攻撃、エターナルエヴォリューションバーストォ!!」

「うわぁぁ!!」

 

十代のモンスターが派手に吹き飛ぶどうやら対抗策はなかったらしい。

となるとゲームエンドかな。

十代を鮮やかに倒すとはさすがカイザーってことか。

サイバーエンドのパワボン融合、しかもプロトやツヴァイなしとは恐れ入るな。

 

「楽しい……デュエルだったぜ」

「俺もだ」

 

カイザーはそう言い残して立ち去っていく、明日香もカイザーを追っていき二人並んで去って行った。

ふむ、恋人って雰囲気じゃないけど面識はあったんだな。

十代がカイザーとデュエルするのに明日香に頼めばよかったな。

 

「俺たちも帰ろうぜ」

「そうだな、帰ってデッキ組まないとな翔」

「うん、必ずパワーボンドの封印を解いてみせるよ」

「でも寮の食事は封印されてしまったんだな」

 

だから封印してるならなぜデッキに入ってるんだよ……。

 

「ああ、大徳寺先生にお願いして夕飯取り置きしてもらってるぞ」

「ほ、ほんとなんだな?」

「マジか! 助かるぜ。もうぺこぺこだよ」

「あ、十代俺に連絡入れるの忘れてただろ。おかず一品もらうからな」

「そんな~勘弁してくれよ~」

 

ご飯とみそ汁はあるはずだからこれくらいはな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。