花は散れども舞う風は   作:PP

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第12話「燃ゆる花」

安芸先生が勇者一同を呼び出したのは、銀のリハビリが終盤に差し掛かかる頃だった。

 

「今からあなたたちに、勇者システムの強化内容を伝えます」

「おぉっ、待ってました!どんな感じになるんですか?」

「精霊というものが付いて、力を貸してくれる。彼らはあなたたちを守ってもくれるわ」

「おぉ〜精霊!何かカッコイイ響き……ん?」

「……!精霊って!」

 

精霊。その名を名乗る謎の “意志” を、私たちは知っている。

銀も意識が戻るまでの間、どこか知らない場所で “それ” と話したらしい。

 

「乃木さん……?」

「あの、実は私たち、お喋りする精霊を見た事があって」

「喋る……精霊……」

「いやあの、見たっていうのは違うかもしれないんですけど、とにかくお話ししたのは本当なんです」

 

精霊が言葉を発するというのは、先生も初耳だったらしい。

ポカンとして口が半開きになっている先生相手に、そのっちが手振り身振りを交え必死に説明を試みる。

 

「樹海での出来事だから証明はできません。録音できたとかでもないんです。でも……でも!」

「先生、私も話しました。風馬君に憑依してるんだ、と言っていました」

「ア、アタシも!何か似たような事を聞きました!」

「そう……3人とも聞いたのね」

 

理解も証拠も追いつかない馬鹿げた話を、先生は無下にせず丁寧に聞いてくれる。

 

「京極君、あなたは何か分かるかしら」

「俺は……よく分かりません。ただ戦ってる時に、体を乗っ取られたような感覚になった事はあります。確か、検査の時にお医者さんに言ったはずですけど」

「確かに、その話は以前確認したわ。ありがとう。にしても、うーん……」

 

先生は腕組みをしつつ、右手を顎に当てて考え込んでいる。

 

「3人は、それが精霊だってどうして分かったの?」

「自分で言ってたんです」

「アタシは2人から聞いた事と合わせて、多分それかなって」

「なるほどね。とりあえず、喋る “精霊と名乗る何か” がいて、それが京極君の体を乗っ取っていた事があった、と」

 

先生に聞けば何か分かるかと期待していたが、まさか先生も知らないなんて。

謎が謎を呼ぶ状況に、私たちも困ってしまった。

 

「とりあえず、この事は担当の人たちに聞いてみるわ。それで、次のお役目は……」

 

 

 

 

「お待たせ、そのっち」

「私も今来たところなんだぜ〜。だから別に待ってないよ〜」

「ま、待ってなかったって言われるとそれはそれで何て言うか……」

「大丈夫。ちゃ〜んと待ってたよ〜」

「う……ふふ、ありがとう」

 

こんなからかい問答にもずいぶん慣れたなぁ、と思う。

彼女と出会ったばかりの頃は、こうした流れをどう受け止めれば良いのかが分からず返答に苦労したものだ。

 

「それにしても、浴衣のわっしーきれいだね〜。お人形さんみたい〜」

「あぁ違うのよ、これは親に無理やり着せられて」

「え〜かわいいのに〜。そうだ、くるっと回ってみてよ〜」

「えっと……こう?」

 

言われたままに一回りしてみる。

 

カシャッ。

 

「っ!ちょっとそのっち!」

「えへへ〜撮っちゃった〜」

「撮影は禁止。もしそれでも撮るなら、1枚につき罰金1000円よ」

「む〜、じゃあ……これで!」

「こーら、札束で買収しようとしないの」

「しょぼーん……」

 

そのっちの財力を甘く見たのがまずかった。

万札をはためかせてスマホカメラを向けられては、罰金どころの話ではない。

家はともかく、まさか彼女個人がここまでのお金を持っていたとは。

乃木園子……やはり侮れない。

 

 

と、その時。

 

「ごめん、待った?」

「ううん、そんなに待ってな……」

「お〜、おお〜〜」

 

橙色の下地に、白く細い曲線を様々にあしらった浴衣。

上品な仕上がりとは裏腹に、顔はやや赤く染まっている。現れたのは銀だ。

 

「おおお〜いいよいいよミノさんすごくいいよ〜〜〜!!」

 

そのっちのカメラ攻撃の照準は、早くも新しい標的を捉えている。

 

「銀……」

 

一方私は、銀の姿に釘付けになっていた。

おちゃらけている普段の彼女とのギャップに目を奪われたというのもある。

だがそれ以上に、一時は消えかけた命の灯火が目の前で再び煌々と燃えている事実が、彼女の上品さの演出に一役買っているような気がしてならなかった。

 

「どうした須美?顔に何かついてる?」

「銀」

「ん?」

「その……きれいよ」

「あ……ありがと」

 

彼女の前世は宝石だったのだろうか。

どこに目をやっても、吸い込まれるように見入ってしまう。

 

「その……そんなに見つめられると……ちょっと恥ずかしいかも」

「あっ……ごめん」

「ふんふん……」

「それで、園子は何してるんだ」

「えっ!?いや〜別に何も〜」

 

そのっちは慌てて目をそらし、手に持っていた何かを後ろに隠した。

 

「ふっふっふっ、その後ろに隠したモノは何だね?さっさと白状して楽になりな、乃木さんちの園子さん」

「う〜ん……ああっ、焼きそば!焼きそばの屋台があるよ〜!」

「えっ!?どこどこ!?」

 

関心のある物で視線を誘導し、その隙に逃げる。

落ち着いていれば子ども騙しと分かるだろうが、焼きそばを愛してやまない上にお祭りで気分が浮いている銀には相性抜群だった。

 

「隙あり〜!」

「あーこら、待て〜!」

「ちょっと2人とも、走ると危ないわよ!」

 

逃げるそのっちには人を躱す道程が見えているようで、するりするりと人混みをすり抜けていく。

対する銀も先行する彼女と同じ道を行き、離されぬよう追いかける。

 

(2人とも、下駄を履いているのによくあんなに早く走れるわね……あっ!)

 

「あったたた、ごめんなさい……」

「痛いなぁ、こんな所で走らないで下さいよ……ってあれ!?」

「よっしゃぁ!捕まえた……ヤバ。ゴメン

「お前ら……何走り回ってんだ?」

 

そのっちのぶつかった相手は、青い法被を身につけた風馬君だった。

 

「何があったかは知らないけど、ちゃんと周り見ろよ」

「はい、気をつけます……」

「まぁそれはとりあえず良いとして……これ。誰かのか?」

「あ、それ私の!」

 

そう言ってそのっちは手帳らしきものを受け取ろうとしたのだが、その腕を掴んで制した者がいた。

 

「まぁ待ちなって。元はと言えば園子がこれを隠したのが原因だったんだから、今見ちゃえばもう走るなんて事は起きない。そうじゃないか?」

「ミノさん〜!これは、これだけは絶対譲れないんよ〜!」

 

(銀はこういう時だけ妙に頭の回転が速いのよね……)

 

「まぁそんなに大事なものなら……はい」

「やった〜ありがと〜!」

「うぅ……手帳の謎は明かされず、か……」

「ところで風馬君、その格好は?今日は用事があるとか言ってたけど、ひょっとして?」

 

黒シャツに法被を羽織り、腹部に茶色の帯を巻いている彼は、祭の参加者というより運営者に見えた。

 

「まぁね。花火を少々」

「えええ!?打ち上げたりドカーンってやったりするアレ!?」

「ミノさん、それじゃ同じ事を2回言ってるだけだよ〜」

「そう、そんな感じのアレ。じゃあごめん、急ぐから」

 

そう言い残して彼は、小走りで雑踏の中に消えていった。

これだけ混雑すると運営側も大変なのだろう。

 

「凄いな。風馬のヤツ、あんな特技あったなんて」

「花火がますます楽しみになりますな〜」

 

 

その後は3人で、屋台を見てまわった。

イカ焼きに綿菓子、りんご飴。

 

銀はスーパーボールすくいに気合を入れていた。

弟にプレゼントしてあげるためなんだそうだ。

最低10個は取らないとな〜と言いつつ15個取っていたのには、さすがに理解の範疇を超える部分があったけれど。

そのっちが対抗心を燃やしたものの、1個も取れずにすくい網が破れてしまうというオチも付いた。

 

ならば私の気合は、射的の屋台に向けられる。

旧世紀の国軍の戦いぶりを標榜する者として、挑戦しない訳にはいかない。

2人の希望の品があれば、何だって落としてみせる。

……なんて事を考えていると、銀から驚きの提案があった。

 

「なぁなぁ、3人で勝負しないか?」

「さっきは全然だったからね〜。今度はリベンジを果たすんよ〜!」

「望むところだわ、2人とも。勝つのは私よ」

 

 

……

 

 

「あー……須美、強すぎない?」

「わっしー、ちょっとくらい手加減してくれてもいいと思うんだ〜……」

「国防に励む者として、このくらい当然だわ。旧日本軍の奮闘に報いるためには、もっと精進しないと」

 

撃てるのは1人5発。

取った景品は銀が1つ、そのっちが3つ。

その中で後1発を残してすでに4つの景品を獲得した私は、頂点に立つ事を約束されている。

 

「ねぇ、最後に何か取ってほしいものはある?」

「う〜んじゃあ、あのストラップなんかどう〜?」

「お、いいじゃん。ちょうど3つ下がってるし、3人でお揃いかな?」

「わっしーお願い〜!」

「分かったわ。任せて」

 

銃を構え、手前の台に肘をのせる。

こうする事で銃身が安定するのだ。

そして呼吸を整え、集中……。

 

(ここっ!)

 

バシッ!チリンチリン。

 

銃口を飛び立った弾は糸で結ばれたかのように目標物に向かっていき、ストラップを床に落とした。

 

「勘弁してくれよ……人間やめてるぜコイツ」

「ん、何か?」

「あーいや何でもねぇ。ほら、持ってけ嬢ちゃん」

 

 

 

 

ピュ〜ルルルル、ドーン、パラパラ。

 

「さっきの射的屋の人、不機嫌そうだったな〜。おっかなかった……」

「それは、わっしーが撃つもの撃つもの全部落としちゃうから〜」

「心外だわ。私は決められた規則に沿って遊んでいただけよ。悪い事なんかしていないと思うのだけれど……」

 

シュッ……ズドン、パララ。

 

「綺麗だね〜」

「風馬、あの真下くらいにいるのかも。呼んだら聞こえるかな」

「う〜ん、ちょっと遠いかな〜」

「ですよね……。にしても須美、こんな特等席どうやって見つけたんだ?」

「花火を見る場所を、穴場を中心に調べていたら出てきたの。随分と古い記事だったからまだ入れるかどうか心配だったのだけれど、杞憂だったみたいね」

「キユウ……9?数字の?」

「違うよミノさん。取り越し苦労、って事だよ〜」

「トリ……コシ……中華スープ……?」

「要は、余計な心配だったって事。食べ物じゃないわよ」

「あはは、ゴメンって」

 

こんな風にまた3人で楽しく過ごせる事が、たまらなく嬉しい。

1人はいないけれど、彼は彼で充実した表情を浮かべていた。

幸せを自覚するのって、こういう感覚なのかもしれない。

今や私の心の中は、共に戦う3人の事で埋め尽くされている。

一時は誰かが欠けてもおかしくなかった。

もしそんな事になっていたら、心にぽっかりと穴が空いていたに違いない。

とても保たなかっただろう。

 

でもそこを切り抜けて全員生存し、全員が日常を楽しめている。

この友人たちとなら、何だって乗り越えていけそうな気がする。

 

たとえこの先に、どんな困難が待ち受けていようとも。

 

 

 

 

 

 

* * * * * *

 

 

 

 

 

「それで、何の御用ですかな」

 

畳を敷き詰めた京極家の応接室に大赦の使者がやってきたのは、祭りからちょうど1週間後の事であった。

勇者関係の報告にはいつも同じ女性神官が来ていたのだが、この日京極の門を叩いたのは別の人物であり、宗徳は胸中に何か良からぬものを感じていた。

 

「勇者システムのアップデートに関してです」

「何か不具合でもありましたか」

「この度、先の元老院評議会にて決定された勇者システムのアップデートを実行しようとしましたところ、ご子息のものだけ上手くアップデートができなかったのです。それゆえ、次のお役目に間に合わない可能性が出てきました」

「アップデートパッチの不具合なのでは」

「いえ、その可能性は薄いと見ております。乃木様、鷲尾様、三ノ輪様のものは何の問題もなく進行できましたので……」

 

大赦の使者はこれまで、お上の意思を一方的に伝達するだけという冷徹な態度を取ってきた。

しかし今回は随分と困惑した様子であり、こちらの意向を伺うかのような素振りすら見える。

 

「ヒューマンエラーでもない?」

「秘密裏とはいえ、勇者システムの構築を成功させてきた人員です。確認しましたが、今の所特にミスはないとの事です」

「まぁ、かの優秀な春信殿率いる開発部ですからな……考えにくい」

「して……どのように致しましょうか」

 

宗徳はしめた、と思った。

それを決めるのは本来大赦であり、勇者側に決定権はないはずだ。

だがこの使者の狼狽ぶりを見るに、事態は深刻なのだろう。

であれば、こちらも切れるカードは切っておきたいところ。

 

「ならば、満開の実装を中止されてはいかがでしょうか。あの要素はどうも難が大きいように感じます」

「なっ……ですがそれは……!」

「体を供物にして戦うなど笑止千万。馬鹿げていると言わざるを得ません」

「しかし、あなた様も中間報告ではご支持なさっていたではありませんか」

「その時は満開の代償の項についての説明がありませんでしたからね。画期的だと思ったものですよ、あの時は」

 

そもそも最終調整が完了した満開システムの内容は、宗徳にとって青天の霹靂であった。

 

7月の中間報告の段階では、満開システムは “苛烈さを増す侵攻に対応するための戦力増強” としか説明されていなかったのである。ところが1月が経ち、いざアップデートを行う段になって蓋を開けると、代償として身体機能を失う “散華” が設定されていた。

神世紀が始まってから300年弱、京極に受け継がれてきた家訓の1つに “いかなる時も正義を貫く事” というものがある。騙し討ちのような形での散華の実装を、彼は正義とは程遠い事象として捉えていた。

 

「……これはお役目なのでございます」

 

使者の声のトーンが変わる。

静かでいて、どこかおどろおどろしい声。

大赦で聞き慣れてしまった冷たい声だ。

ただ、少し震えが混じっている。

 

「脅しでしょうか、それは?」

「お戯れを。ただ事実を申し上げたまでで」

「もう」

 

宗徳は使者の言葉を遮り、こう言い放った。

 

「もう、お役目などと言って誤魔化すのはやめにしませんか。あの子たちは “勇者” ではあっても “生贄” ではないのです。これまでの戦いでも彼らは十分な戦果をあげています。身を守るのが目的なら、バリアだけの簡易版等で処理できはしませんかね」

 

使者は黙りこくったまま、少し俯いている。

 

「それに、無理にアップデートを遂行したとしても、間に合わなければ努力が水泡に帰します。もしそれで命を失うような事があれば、どう責任を取るのです」

「……決定事項ですから、今さら変える事など……」

 

その言葉は、狭い喉で絞りに絞られたかのごとく貧相な響きであった。

宗徳の目には、面の向こうに流れる涙すらも映っていた。

 

「あなたも大変ですな。大方、あの腐れジジイにでも説得してこいと言われて、こちらへいらしたのでしょう」

 

“腐れジジイ” とは、評議会で満開システム実装の音頭をとった老人神官の事である。

声のトーンについても、評議会の老○にでも吹き込まれたのだろうと推察された。

 

「さぞかしお辛い立場でしょう。分かります、分かっておりますが、私にも子を持つ親としての責任があるのです。人類の守護者たる小さき勇者を守ってやれる防波堤は、我々しかおらんのです」

「満開の機能でも、彼らを守る事は……できるはずです」

「ではお尋ねします。大赦の使者ではなく、思考を伴う1人の人間として」

 

「勇者は人間でしょうか。それとも、ただの駒なのでしょうか」

 

神官は深々と平伏し、もはや言葉を発さなかった。

 

 

 

 

使者が戻っていった後、事態解決のヒントを得んとした宗徳は旧知の人物に電話をかけた。

 

『もしもし』

「もし」

『やー宗徳サン、どうもどうも。何でございましょう?』

 

彼は電話の相手に、大赦の使者との一部始終を話した。

 

『なるほど……』

「何か心当たりはあるか」

『異端の個人見解でよろしければ』

「構わん。手がかりがあれば何でも」

『分かりました......勇者の原則。これはご存知ですね』

 

勇者の力は本来、無垢な少女でなければ使えない。

大赦関係者の間で “勇者原則” や “勇者の原則” として通っているものである。

 

『結論から申しますと、これに反しているからではないか、という事です』

「むぅ……だが大赦の公式見解では、風馬は “勇者” という事になっておるし、実際戦えてもいるではないか」

『例外が多すぎるんですよ。例えば、西暦の終末戦争を考えましょう』

 

西暦の時代、大赦の資料によれば勇者は7人おり、うち2人は男性だった。

大赦はこの2人について、“例外” であったとの見解を示している。

 

『母集団7人に対して2人もいた男性を “例外” と考えるのは、いささか強引ではないでしょうか。此度にしろ、4人のうち1人は男です。”例外” を称するには、どうも数が多い』

「……数だけが根拠なのか?」

『そうですね、後は大赦をハナから信用していないというのもあります。ただ、どうやら今回のアップデートの不具合は大きなヒントになりそうですよ』

「……と言うと?」

『勇者システムは、神樹様の御力を身に宿して戦うシステムです。これを起動するだけなら、力の差こそあれ、一応の適性さえあればある程度の人間ができます。そして現に男性でもこれができている訳ですが、勇者の原則が示す通り、本来はいわゆる “勇者” と同等の力なぞ出せる訳がないんです。言葉を選ばずに言えば、風馬君はとうの昔に命を落としていてもおかしくない』

「ほう」

『しかし喜ばしい事に、彼はこれまで生き抜いてきました。そしてその理由は以前お伝えした通り、“精霊らしきもの” を身に宿す事ができたからだと、こう考えています』

「ならば……もしそうならば、風馬がそれの力を借りられる事を大赦は初めから知っていて、その上でお役目を任せたという事か」

『おそらくそうでしょう。そうでなければ、ただの殺人になりますから』

 

勇者の選定や戦闘についての概要が決定されたのは、宗徳が元老院評議会の委員となる少し前の出来事だった。

そのため、当時の彼はただ神官から報告を受ける事しかできなかったのである。

 

『西暦の時代に存在した男性戦力も、精霊の力を使役する事で戦力たりえたそうです。つまるところ、現時点では男性陣は精霊なしには到底戦力にならないと言わざるを得ません。そこに持ってきて、今回の不具合。満開というものがどういった仕組みなのかは存じませんが、恐らく神樹様の御力を一層引き出すものになるでしょう』

「あぁ、実際そんなような事を聞いている」

『なるほど。ですが、男性戦力は勇者としての力が弱いために神樹様の御力を引き出す事が難しい……いや、そもそもできないのだとすると、彼らは——』

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