ブサイクに神様転生した男はVtuberになるも… 作:あああ
俺は転生者だ。
そして、18になってようやくこの世界が物語であることに気づいた。何故そんなに気づくのが遅れたか?それは、この世界が普通に前と同じような世界で、生まれたのも1999年の日本。時が逆行していること以外、なんの変哲もない生まれだったからだ。
その事実に気付いた俺が最初に思ったのは、「世紀末って20世紀末って意味かよ!」だった。
俺は転生時、女神様に「あなたの転生する世界は世紀末の世界です」なんて言われていたのだ。そのため3つ選べると言われて選んだチートは『不死』『自爆』『忍者の才能』の三つで、見事に戦闘系ばかりであった。余談だが『不死』と『自爆』のコンボがあれば余裕だろと思っていたので、『忍者の才能』は完全に趣味で選んだ。とはいえこのチートこそが俺の転生人生を支えてくれたのだが。
ともかく、普通の世界で生まれたからにはこれら三つの戦闘系ばかりのチートはほぼメリットなし。寧ろ『不死』なんてバレれば何をされるか分からないし、むしろデメリットまであるだろう。
この時点で辛かったのだが、さらに俺の精神を蝕んだ事がある。それは、俺がめちゃくちゃブサイクに転生していたと言うことだ。
このブサイクな容姿は俺を傷つけた。幼稚園の頃からかなりの苛めに会い、前世はフツメンであった為に周りのブサイクだなぁという目線に余計に傷つけられた。
普通であれば耐えられないであろうこれらに耐えられたのは多分『忍者の才能』のお陰だと思う。これのお陰でかなりストレスに強くなった気がする。
そんなストレスに強くなった精神でも小学校に上がってさらに過激になった悪口や苛めはやはり辛く、俺は小学校からは不登校気味になり、俺自身
忍者の修行をどうすればいいかは、俺の体が知っていた。さらに、本来苦行である忍者の修行を俺は楽しんでやれていた。恐らくあのモチベーションまでもが『忍者の才能』の一つだったのであろう。『不死』であるために無茶な修行ができる俺は様々な忍術を覚えた。
分身の術やカワセミの術、水蜘蛛の術や声を自由に変える術、それから五遁。
この体のスペックは顔面以外完璧だった。これらの技を使い国内の様々な施設に侵入し、忍術の資料を漁ったが、顔を変える術はなかった。
そんなわけで登校日数ギリギリで小中学校を卒業した俺は、親に追い出されることになった。もともと不登校気味の俺のことを疎ましく思っていた両親は高校を受験していなかったことで遂に俺を見放したのだ。そんなわけでヤバイヤバイと思いつつも人と顔を合わせなくても良い仕事を探していた訳だが、もちろん中卒の俺にそんな都合の良い仕事が見つかる筈もなく、顔をなるべく隠しつつ土方として働いていた最中だった。
見つけたのだ。VTuber、しかも忍者キャラの中の人の求人を。これは俺にうってつけだ。本気でそう思った。
何故なら俺のスペックは
・雑技団もビックリなアクションも出来る身体能力
・声も自由に変えられる
・実際に忍者
・ただし職場環境が悪くなるレベルのブサイク
である。まさに俺のためにあるような広告だ。
というわけで俺はその求人に応募。そして見事に採用、VTuberになった。
ここまで俺の今までの人生を話した訳だが、この世界が物語の世界であると気づいたきっかけは、そのVTuberとして初のコラボをしたことであった。
俺は今、めちゃくちゃ緊張している。それは何故か。始めてのオフコラボの打ち合わせがこれから始まるからである。しかもとある箱Vとのコラボのため、たくさんの人とオフで会わなければいけない。
一応会社に許可を貰い、メンポを被って来たがそれでも俺のトラウマは俺の精神に負荷をかけてきた。
立派な、というか立派すぎる社ビルのオフィスのめちゃくちゃ綺麗なお姉さんが立つ受け付けにて事前に輸送されて来たコードを提示すれば
「世凌 偽名さまですね。お入り下さい」
といわれ、カードを貰う。これはゲスト用のキーカードで、許可された扉だけ開くようになっているらしい。めちゃくちゃ厳重だ。あと、世凌とは俺が中の人を勤めるVの名前である。
二階の会議室07。今日打ち合わせする予定の部屋の前までいけば、早かった心音はさらに高鳴る。緊張しつつも中に入れば…
そこには一面美少女が広がっていた。しかも、めちゃくちゃ既視感がある。紹介される前から、あの人はあのVだなとか、この人はこのVだなというのが分かるレベルでアバターとの雰囲気が一致している。そう、そうして俺はようやく気づいたのだ。
「あっここVTuberものの世界だな」
と。
もちろんVTuberの中の人はブサイクだ何て言う偏見を曝すつもりはない。しかし、この世の粋を集めたようなこの圧倒的顔面偏差値にはそう確信せざるを得なかった。
因みにその後の打ち合わせは、全く捗らなかった。今世ほとんど女性と話せなかった俺にとって、あの美少女軍団を目の前にしてまともに話をすると言うのは無理だった。