ウマ娘短編集   作:カランコエ(Kalanchoe)

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《ラブコメ》
サンタには絶対に頼めないプレゼントをねだられるお話

クリスマス投稿予定でしたが全然間に合いませんでした


サンタからは貰えないプレゼント

「メリークリスマース☆」

「メリークリスマス。スカイ」

 

仕事から帰ると、愛バと飾り付けられた自宅が待ち構えていた。昨年はスカイがトレーナー室でロマンチックにお祝いしてくれたが、今回はもっとストレートにお祝いするらしい。

スカイの右腕に巻かれたリボンから今夜の予定を察したが、(つと)めて見なかったことにする。

 

「今日のご飯はクリスマスらしくチキンとピザですよー。お風呂も準備出来てるから、お好きな方からどうぞー♪」

「いつもありがとう。ご飯からにするよ」

 

スルスルとコートとジャケットを脱がしてもらいながら答える。スカイとお付き合いを始めてから、段々とこうして慣れない家事や俺の世話を焼いてくれることが多くなった。長年の付き合いから、こういう事を進んでやる娘じゃないのは分かってるし、わざわざやる理由もなんとなく分かっているのだが、()の俺には彼女を安心させてやることが出来ない。

……いや、正確には踏ん切りがついていないだけだ。準備を進めていた過去の自分はしっかり決心していたらしいが、いざとなると決心が揺らぐのは我ながら情けない。

 

「今日のご飯、チキンとピザって言わなかった?」

「チキンとピザだけとは言ってませんよ?」

 

食卓に着いて、まず目に付いたのは尾頭付きの大きな(たい)だった。これと比べるとチキンもピザも添え物にしか見えない。

スカイは澄ました顔を保とうとしているけど、誇らしげな様子が隠せていない。

 

「良い鯛が偶然手に入ったからさ♪」

 

昨日スカイが粘りに粘って釣ってきたことも、わざわざ冷蔵庫の中の見えない位置に保存してあったのも偶然らしい。

 

「ほら、早く食べよう?私、もうお腹ペコペコだよー」

「そうだな。頂こうか」

 

二人で夕食を頂き、舌鼓を打ち、他愛のないお喋りをしながら、ふと、胃袋は完全に掴まれたな、と思った。

 

 

 


 

 

 

「じゃあ、お風呂先に入ってくるわ」

「いってらっしゃーい。テレビでも見て待ってますねー」

 

言外に『私も後でお風呂に入る』と言われている。つまり、今日は泊まるつもりらしい。

腕のリボンの時点で察していたが、そういうお誘いだろう。実は俺達二人共に、こういう話は恥ずかしくて直接的な表現は基本的にしない。今日のスカイの腕のリボン然り、相手が察してくれるようにして合図することになっている。

 

どういう風に誘うのが自然かなぁと考えながら湯船に身を沈めるのと、風呂場の扉が開くのは、ほぼ同時だった。

 

「あ、あの、おおおお背中を流しに、き、来ました…」

 

風呂に入る前から逆上(のぼ)せたように真っ赤な顔のスカイが風呂にやって来た。全裸で。両手で色々と隠そうとしているが、彼女の小さい手では、ほとんど隠せていない。

 

スカイが風呂まで入ってくるのは過去に何度かあったが、少なくともバスタオル、大抵は水着を着てた。今回は何故裸なのだろうか。

……恥ずかしがってる感じからして、ここで致すつもりでは恐らくないだろう。

 

「お、お邪魔します…」

 

さっきより紅い顔でスカイは湯船に入ってきた。流石に対面で座るようなことはなく、こちらへ背中を預けてきた。スベスベした背中と、甘い香りをまとった一回り小さい体が腕の中に収まり、キレイな葦毛が顔の下に来る。

 

「今日はいつもより大胆だな」

「わ、私だって仕掛け所くらい分かってるから!」

 

思わず頭を反らしてしまうくらいに大きな声が返ってきた。『仕掛け所』ってことはクリスマスに(かこ)つけて何かやるつもりなんだろう。

……多少アブノーマルなのは覚悟しておくかな。

 

「……トレーナーさん、温まったら湯船から出て、そこに座ってくれません?背中流しますから」

「分かった」

 

さっきとは真逆でささやき声のようなか細い声が頭の下からする。スカイに少しどいてもらって、ザバッと立ち上がる。湯船を出て椅子に座り、スカイの方を見ると、真っ赤な顔で、ギュッと目をつぶっていた。お互いに何度も見てるはずなのに、未だに慣れないらしい。

……まぁ、俺も慣れないんだが。

 

しっかりと目をつぶってからスカイに声をかける。

 

「スカイ、目をつぶってるから出て来ていいよ」

「……分かりました」

 

ザブザブとスカイが動く音と、水の(したた)り落ちる音だけが木霊(こだま)する。それほど時間もかからず、背中にタオル越しのスカイの両手が触れた。ゴシゴシと背中をタオルで(こす)られる。

 

「もう目を開けてもいいですよ」

「いや、背中洗い終わって湯船に戻るまではつぶってるわ」

「お好きにどうぞー♪」

 

震えているが普段の声音に戻ってきている。いつもの調子を取り戻してきたらしい。水着の時は体を押し付けてきたりしたが、そこまでの余裕はないらしくとりとめもない話をしながら背中が洗われる。

 

何事もなく洗い終わったので「俺もスカイの背中を洗ってもいいか?」なんて聞いてみた。

 

「うぇっ!?あー……恥ずかしくて死んじゃうと思うのでパスで……」

 

スカイが言い終わる前に湯船の方からチャプチャプと音がした。ゆっくりと目を開き、チカチカした視界が収まってくると、紅い困り顔のスカイが湯船の中から、こちらを見つめていた。

 

「じゃあ、先に上がるわ」

「ちょっ!?目を閉じる時間くらいくださいよ!」

 

 

 


 

 

 

寝間着に着替えてソファに座り、ぼんやりとクリスマスプレゼントの箱を弄びながら、テレビを見ること30分ほど、バスローブ一枚のスカイが膝の上に向かい合わせで乗ってきた。スカイの片手にも細長い包装された箱があった。

 

「上がりましたよー」

「随分と早いな」

「夜はこれからですし♪」

 

スカイの目線が俺の持ってるプレゼントに向く。

 

「メリークリスマス。スカイ」

「メリクリー☆トレーナーさん♪」

「これ、俺から」

「私からのプレゼントはこれですよ♪」

 

包装紙を剥がし箱を開けると、白地に緑のアクセントが入ったネクタイが出てきた。どことなくスカイの勝負服を連想させるデザインだ。

 

「ネクタイか」

「ネックレスねぇ」

 

俺のプレゼントを開けたスカイがつぶやく。

 

「考えることは…」「同じらしいですね」

 

途中で切った言葉の続きをスカイに取られる。言い回しまで同じらしい。

 

「トレーナーさん、もう一つプレゼントがあるんですけど……」

 

真っ赤な顔のスカイがモジモジとしながら仕掛けてきた。仕掛けてくるなら、このタイミングだとは俺も思っていたが、膝の上でモジモジするのはやめて欲しい。

 

「トレーナーさんにはセイちゃんをプレゼントしたいんですけど……」

「けど?」

「代わりに、お願いを聞いてくれません?」

「……お願いの内容を聞いてからでもいい?」

 

嫌な予感がする…

 

「ちょっとだけ真面目な話をするね?」

 

口火はそう切られた。

 

「私ね、怖いんだ。いつかトレーナーさんが私に愛想を尽かして、どっか行っちゃうんじゃないかって」

「俺はずっと一緒に居るよ」

 

落ち着くように背中を軽く叩く。

 

「あなたならそう言うって分かってたし、あなたは突然いなくなるような人じゃないって信じてるんだけどね。それでも、そんなことを考えちゃうんだよね」

 

震える声でそう語るスカイは、目の端に光る物を浮かべている。

俺が何か言う前にスカイが続ける。

 

「だから、私にあなたの子供をくれませんか?」

「……は?」

 

スカイのバスローブがはだけられる。

が、それどころではない。

 

「明確に私がトレーナーさんのモノだって分かる証が欲しいんですよ。あなたを繋ぎ留められるモノが。ネックレスだと、ちょっと力不足ですかねぇ」

「いやいやいや、待ってくれ!」

 

ゆっくりと近付いてくるスカイを咄嗟(とっさ)に押し返そうとして気付く。スカイはほとんど力を入れていない。ヒトの俺でも押しのけられるだろう。

 

「イヤなら押しのけてね。私が本当に欲しいのはあなただから。力尽くでムリヤリなんて絶対にしない」

 

震えてはいるけど、いつになく真面目な声音で答えられる。

 

これで押しのける訳にもいかなくなった。押しのけた時点で『拒絶された』とスカイには解釈されるだろう。

迫ってくるスカイを押し返さず、距離を詰められないように腕を支える。

 

物問いたげなスカイに向かって、俺は問いかけた。

 

「スカイ、指輪じゃダメか?」

「えっ」

「俺がお前から離れない証が欲しいんだろ?指輪と婚姻届じゃダメか?」

 

目を見開き、口をパクパクさせているスカイを抱きかかえ立ち上がる。さっきまで俺が座っていたソファにスカイを座らせて、目的の物を取りに急いだ。

 

 

 


 

 

 

戻ってきてもスカイは固まったままだった。

 

「ずっと考えてたんだ。いつかスカイが俺より良い男を見つけて離れていくかもしれないって」

「……あなたより良い人なんていませんよ」

 

立ち直ったスカイが返事する。

 

「ありがとう」

 

ふぅ、と一呼吸つき、膝を付いて目線を合わせる。

 

スカイに向かって、指輪の入った小箱と判を押してある婚姻届を差し出し、

 

「スカイ「トレーナーさん」

 

婚姻届がスッと抜き取られ、唇には指が当てられた。

 

「これに判を押して返したいので、プロポーズは私が卒業してからにしてくれませんか…?」

 

上気した頬に、少し口角の上がったスカイがそう言った。

 

「分かった。それまでは持っててくれ」

 

これでスカイが安心してくれるなら良いのだが。

 

「その代わりと言ってはなんですけど…」

「けど?」

 

 

 

「私を沢山愛してくれませんか?」

 

子供っぽい笑顔でスカイはそう言い、抱きついてきた。

 

 

 

 

 

今年の聖なる夜は6時間では終わらなかった。

 

 

 

体力が39減った

やる気は絶好調をキープしている

スタミナが12上がった

パワーが25上がった

スキルPtが48上がった

「アガってきた!」ヒントLvが2上がった

「夜ふかし気味」になってしまった

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