ウマ娘短編集   作:カランコエ(Kalanchoe)

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《ラブコメ》
クソデカ感情ドMスカイ概念


セイウンスカイの他人には言えない欲望

私、セイウンスカイには誰にも言えない秘密がある。

 

「やっほー、トレーナーさん」

「まーた外泊届出して来たのか。今週何回目だ?」

「うーん……先週もいっぱい外泊したんで、わかんないですねぇ」

「そろそろ怒られても知らないからな」

「その辺はうまくやりますって♪」

「はいはい。オレンジジュースでいい?」

「なんでもいいですよー」

 

釣れない返事をしながらも、優しいトレーナーさんは家へと上げてくれる。

 

あーあ、このままトレーナーさんに軟禁されて、性欲処理もできる愛玩動物(ペット)兼子供を産む道具として一生を過ごしたいんだけどなぁ。

もっと言うなら、トレーナーさんに人権奪われて好き放題されたいし、トレーナーさん好みに調教されて、トレーナーさん無しじゃ生きられない身体にされたい。

 

最近の私はそんなことばっかり考えている。

 

初期症状はもっと軽いものだった。

ちょっといじめて欲しいとか、えっちの時に途中でやめないで愛し続けて欲しいとか、ムリヤリえっちなことされたいとか。

そんなレベルのことだった。

 

実際、遠回しにトレーナーさんにお願いしてみたら『しょうがないなぁ』なんて言いながらトレーナーさんはやってくれた。

 

そんな優しいトレーナーさんだからこそ、私はもっと酷いことをされたい。

私にもっといっぱい一生消えない傷痕を刻んで欲しい。

私にもっと愛を注いで欲しい。

 

今だってトレーナーさんにはたくさん愛されてる。

泊まる度に私が気絶するまで愛してくれるし、言葉でも『愛してる』って何度も言ってくれる。誕生日や記念日なんかを忘れたこともない。

 

 

 

でも……

 

 

 

それじゃあ足りない。

 

 

 

お父さんは物心ついた時には居なかった。

お母さんは帰れなくなったんじゃないかとか、事故にあったんじゃないかって言ってたけど、大方他に女でも作って私たちを捨てたんだろう。

 

トレセンに私を入れてくれるって言ってたトレーナーの男の人は私を迎えに来なかった。

中央のトレセンであいつに会ったことはないけど、おそらくは私より才能溢れる子を見つけて、私を捨てたんだろう。

 

だから、私にとって大人の男の人ってのは極一部を除いて信用ならない存在だ。

 

当然トレーナーさんは『極一部』の信頼できる男の人だけど、それでも時々吐き気を(もよお)すほどの不安に(さいな)まれる時がある。

 

だからこそ、壊れるくらいに私を愛して欲しい。

余計なことが考えられないくらい愛して欲しい。

名実共にトレーナーさんの所有物にして欲しい。

心も体もメチャクチャにして欲しい。

 

そういった歪んだ想いが私の中で渦巻いている。

 

でも、この想いを吐き出すことはできない。

 

私だって、これが異常なことだってわかるし、今だって加虐趣味(サディスト)じゃないトレーナーさんにたくさん愛し(いじめ)てもらってるんだ。これ以上トレーナーさんに無理を言いたくない。

それに、ここまでねじ曲がった想いを伝えたら、流石に彼に愛想を尽かされるかもしれない。

 

「ただいまー♪」

「俺の家なんだがなぁ……」

 

だから、今日も"セイウンスカイ"の仮面を被って、異常で醜い(いびつ)な"私"を覆い隠す。

 

彼との幸せで平凡な生活を送るために……

 

 

 

 


 

 

 

 

だから、

 

「スカイ、誕生日何が欲しい?なんでもいいよ」

 

それはまさに青天の霹靂だった。

『なんでも』なんて普段の彼は絶対に言わない。

私が揚げ足を取って、色々と吹っかけるのを知ってるから。

 

「な、なんでも?」

「子供とか言われるとちょっと困るけど、まぁ、俺にできる現実的な範囲内でならなんでもいいよ」

 

ニヤッと笑うトレーナーさんの顔からは、わざと『子供』という単語を出せば私が照れるだろうという魂胆が透けて見える。

 

一方私は、そんなことどうでもいいくらい心が揺れている。

 

「えっと……それって物じゃなくても、いいんです…?」

「? 別にいいぞ?」

「その……変なことお願いしますけど、引いたり笑わないでくれますか?」

「スカイが欲しい物……物じゃないから、(こと)?だろ?笑ったり引いたり絶対しないよ」

「あの……ホントのホントに、いいんですか…?」

「ホントのホントにいいよ。だって俺は……スカイの彼氏、だろ?」

 

照れ臭そうにハッキリと言い切る彼に惚れ直しながら、理性と言う名の最後の(かせ)が外れる。

 

心が軽くなり、無意識に口角が上がる。

 

 

 

ああ、やっぱり私にはこの人しかいない。

 

 

 

「じゃあ……セイちゃんのこと、犯して(けが)して(しつけ)て、トレーナーさん専用の愛玩動物(ペット)にしてください」

 

全部言ってしまってから、目を丸くしているトレーナーさんを見て我に返る。

 

私は何を言っているんだ。

とんでもないド変態発言ではないか。

 

今更ながら顔が熱くなってくる。

 

しかも、結構ガチトーンで言ってしまった。

ここから『冗談ですよー』って、いつもの展開に持っていくのはかなり苦しい。

 

「えーっと、その、ですね?今の、聞かなかったことにしてくれません?」

「…………はぁ」

 

疲れきったため息と共に彼は顔を下に向ける。

 

胸がギュウっと締め付けられるような衝撃と、胃が握り潰されるような不安を覚える。

 

 

 

捨てられる。

 

 

 

それだけは絶対にイヤだ。

 

 

 

だって、私にはトレーナーさんしかいないのだから。

 

 

 

「ト、トレーナーさん!「やればいいんだろ?」……えっ?」

 

顔を上げたトレーナーはちょっと呆れたような顔をしてたけど、そこに否定的な色は一つも無かった。

 

「ドMでド変態のスカイをグチャグチャにして、俺の物にすればいいんだろ?」

 

ゾクゾクとした快感が背中を走る。

 

『ドMでド変態のスカイを俺の物にする』

 

今までささやかれたどんな甘い言葉よりも甘美な響きだ。

ぶっきらぼうな言い方が、優しい彼に全く似合ってなくて、余計に興奮する。

 

今すぐにでもして欲しいけど、理性が残ってるうちに一つだけ聞かなくてはならない。

 

「トレーナーさん、本当に迷惑だったら、ちゃんと断ってくださいよ?他に何か考えますから」

「……これを惚れた弱みって言うんだろうけどさ。俺にできることだから、してあげたいんだ」

 

ああ、やっぱりあなたは本当に優しいヒトだ。

 

「じゃあ、今から誕生日プレゼント、いただいてもいいですか?」

 

 

 

 


 

 

 

 

「セイちゃん、おはよー……大丈夫?なんか歩き方がおかしいような…?」

 

「おはよー、スペちゃん。実は……ケガしちゃいまして☆にゃはは♪」

 

「えー!?」

 

「二人とも、おはよう。スカイさんのことだからウソか本当か分からないわね…」

 

「ブエナスディアス!セイちゃん、首のそれは新しいアクセサリーデスか?」

 

「そうだよー」

 

「おはようございます、みなさん。セイちゃん、そのチョーカー、似合ってますよ」

 

「ありがとー、グラスちゃん♪」

 

「……首が絞まるからチョーカーは好きじゃないって、言ってなかったかしら?」

 

「チョーカーはあんまり好きじゃないよー?でもこれは特別な贈り物だから♪」

 

 

 


 

 

 

「ただいまー」

「……俺の家なんだがな。ただいま」

 

玄関の扉が閉まるのを確認してから、靴箱の上に置かれたリードを手に取る。

 

ガチャリとフックが音を立て、私の『首輪』とリードが繋がる。

これでようやく『セイウンスカイ』をやめて、『トレーナーさん専用のペット』になれる。

そう考えただけでゾクゾクとした快感が背筋を走る。

 

……本当はもっと過激なことをして欲しかったけど、トレーナーさんにドン引きされてしまったから首輪だけにしてる。

 

リードの先をご主人様(トレーナーさん)に差し出すけど、彼はリードじゃなくて、差し出した手の方を取った。

物扱いしてくれなくてちょっと不満だけど、これはこれで愛されてる証拠だし、愛玩動物(わたし)の意思なんかよりご主人様(トレーナーさん)の意思の方が遥かに重要だ。

 

「……なあ、スカイ。こういう事はやめないか?お前のそういう趣味は否定しないけど、俺はお前と普段は普通の恋人らしくしていたい」

 

困り顔でご主人様が言う。

そんな線引き必要ないと思うんだけど、ご主人様を困らせるのはペットのする事じゃない。

 

「はーい」

 

素直に返事をすると、彼はフニャリとした笑顔を返してくれる。

 

「でも、"そういうこと"がしたくなったら、遠慮せずに襲ってくださいね?」

 

ヒラヒラとスカートをめくってみると、彼の視線が一瞬だけスカートの中へと動き、すぐに何もない壁へと視線は向かう。

 

……じっくり見てくれてもいいし、なんなら襲ってくれてもいいのに。

 

「ほら、玄関じゃなくて向こうでイチャイチャしましょうよ♪」

 

トレーナーさんの腕に抱きつき、ノーブラの胸を押し付け、彼の片手をつかんでスカートの中に誘導する。

 

……触ってくれてもいいのに。

 

強引にスキンシップをとっていると、ゆっくりと恥ずかしがって視線をさまよわせてた彼の目付きが変わる。

ギラッとしたケダモノの目だ。

 

グッとつかんでいない方の手が伸びてきて、優しく、けど強引に引っ張られる。

 

「……ごめんな、スカイ。でも、誘ってきたのはそっちだからな」

 

しきりに「ごめん」と謝りながら、ご主人様は私を力任せに寝室へと連れ込む。

謝りながらってのが、実に優しいあなたらしくって、お腹だけじゃなくて心までキュンキュンしちゃう。

 

「そうですよー。私からお誘いしましたよー。だから……ご主人様を誘惑するような悪い子には、たーっぷりお仕置きしてくださいね?」

 

ああ、トレーナーさん。

 

私、今心の底から幸せだよ。

 

愛してるあなたにグチャグチャに犯されて。

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