別題:I Love Only You.
投稿予定作品アンケートぶっちぎり一位の殿下
アンケート取るとどれを書くかは悩まなくていいですね
これでいいのか?って悩みますけど
トレーナー室でファインと一緒のお昼休み。
ファインに誘われてトレーナー室の思い思いの場所でカップラーメンを食べているSPさん達(隊長を含めて三名)が居る中、
カレー味のカップラーメンにお湯を注いでいる時、
なんでもないような普段通りの声音で、その質問は発せられた。
「ねえ、トレーナー?
「…………えっ?」
質問の意味がまるで頭に入って来なかった僕はワン……いや、スリーテンポくらい遅れて反応を示す。
SPさん達も気まずそうに固まっている。
呆けていたせいでお湯が
「私は子供は男の子と女の子が一人ずつ欲しいかなぁ。トレーナーは?」
そんな僕達四人のことは気にも留めないでファインは楽しそうに笑顔を浮かべながら、理想の子供の数を口にした。
理想の子供の数なんて今まで考えたこともないし、ファインが幸せならそれでいいんじゃないかな。
「僕も男の子一人と女の子一人、できれば女の子はウマ娘がいいな」
「そうだね!娘がウマ娘ならもっと素敵になるね!」
屈託のない笑顔でそう言い切ったファインは、
「それで妾は何人欲しい?」
満面の笑顔のまま弾んだ口調でそう続けた。
助けを求めるようにSPさん達に視線をやるが、隊長さんも含めて全員困り顔で首を横に振るばかりだ。
……なんなんだこれは。試されてるのか…?
「ファイン、妾って……」
「君が思ってる通りの意味だよ?愛人、mistressの意味」
「いや、僕はファイン以外に目移りしたりしないよ」
というか、浮気したらどうなるか考えたくもない。
もちろんファインと交際を始めてから浮気なんて今までで一度だって考えたこともない。
……そもそもファインと担当契約を結んでから、ファイン以外の女性のことを考えたことがないかもしれない。
「そうは言っても、私だって醤油ラーメンの気分だーって言った後にとんこつラーメン食べたりするよ?」
「いや、ラーメンと女性は違うでしょ……」
ちなみに、ファインの前にあるのは塩ラーメンと味噌ラーメンである。
食事ならその時々の気分で変えてもいいけど、愛する女性をその時々の気分で変えるような不誠実な男に僕はなりたくない。
「ファイン「例えばね、トレーナー?私が
僕の声を
先ほどまでと変わらない微笑みも、よく見ると瞳がかすかに揺れている。
「私はね?大好きなキミにガマンなんてして欲しくないんだ。今だって、私と交際してるから色々とガマンさせてると思うし、これからもガマンしなくちゃいけないこともあると思うの」
いつの間にか微笑みも崩れて、潤んだ目がこちらを見つめていた。
「だから、女遊びくらいはガマンして欲しくないなって思ったの」
とんでもないことを口走ったファインは「私の目の届く範囲にはなっちゃうけどね?」と小さく付け加える。
悲しげにファインは微笑む。
その儚い笑みは僕への慈しみと申し訳なさを
ファインがせめてもの思いで『女遊び』を提案してきたのはわかるのだが、こんな笑顔を見れるのは僕だけだと思うと、やはり僕にはファイン以外の女性は考えられない。
「ファイン、僕はね?君のことを本当に愛してるんだ。だから、君のことしか考えられないだけだ。女遊びをガマンしてる訳じゃないよ」
「……そっか。ありがとう、トレーナー」
唐突にファインは立ち上がると僕の方へと近付いてきて、そのまま向き合うように僕の膝の上に腰を下ろした。
両腕を背中に回して胸に顔を埋めるファインに、僕もガマンできず両腕を背中に回す。
「大好きだよ、トレーナー」
「僕も好きだよ」
その言葉をキッカケに、トレーナー室の中にあった微妙な雰囲気が霧散し、SPさん達がラーメンを食べる音も戻ってくる。
……なんとか切り抜けたらしい。
「……作戦変更、かな」
ホッと一息ついていて気を抜いていたせいで、腕の中で
「ところで、トレーナー?」
楽しげな声に呼ばれ下を向くと、イタズラっぽく目を輝かせたファインと目が合った。
……ろくでもないことになりそうだと直感する。
「エンゼル……窓辺にいる栗毛のSPの子が、キミのことなんて呼んでるか、知ってる?」
「いや、知らないけど」
突然話題になった短髪栗毛のたれ目で優しい顔をしたSPさん、エンゼルランプさんはビクッと耳と尻尾を立て、ラーメンを食べる手を止めたかと思うと、みるみる内に赤くなり大声を出し始める。
「で、殿下!おやめください!」
「彼女はね「やめてください!」キミのこ「やめて!!!」『理想の王子さ「あああああぁぁぁぁぁ!!!!!」……で、キミみたいな優しい男性と結婚したいって」
……栗毛のSPさんは突然絶叫したかと思うと、顔を隠すようにうずくまってしまった。
僕だって、こんな形で秘密を
「……せめて笑ってください。ちょっと優しくされたくらいでいい歳した女が男性を『王子様』なんて呼んでるのを笑ってください!」
完全に
彼女の言う通り、せめて笑ってあげたいのだが、僕が笑うのはどう考えても失礼だし、他のSPさん達は笑う素振りすらない。
彼女をこんな目に合わせた張本人はニコニコと微笑むばかりだ。
「次に、フローラ……扉の前に居る葦毛の子なんだけど」
続けて死の宣告を受けた長髪葦毛で長身のSPさん、ユニフローラさんはすでに真っ赤な顔になっている。
「夫にするならトレーナーみたいな私たちSPにも優しい気配りの出来る人がいいって」
「……だって、三年間ほとんど毎日優しく接してくれる同年代の男性なんですよ?自然と好きになっちゃいますよ。男性経験ゼロを
暴れる耳と尻尾をそのままに葦毛のSPさんは顔を
……優しく接してた…?
ほとんど毎日ってことは時々してる差し入れとかそういうことじゃなくて……『いつもありがとうございます』とか『お疲れ様です』とか?
チョロすぎない?
「時に隊長?」
「はっ」
ファインが座っていた椅子の後ろに控える隊長さんは次のご指名が入ったにも関わらず涼しい表情のままだ。
そもそも隊長さんまで僕のことを好いているとか、そんなラブコメ的展開「もうそろそろ婚期を逃しそうだし、トレーナーを狙えないかな?って前に言ってたらしいね?」
……マジ?
タラリと冷や汗が隊長さんの顔を流れていく。
「殿下、私は「『家に帰ったらトレーナー様みたいな優しい方が待ってて、甘えさせて欲しい』だっけ?」
……。
隊長さんは珍しくファインの言葉に答えず、油の切れたブリキの人形のようにぎこちなく周囲を見渡す。
隊長さんの動きに合わせてSPさん達は目を合わせないように二人共あらぬ方向を向く。
「……誰が喋った?」
「あら、私が聞いたら答えるしかないでしょ?」
ニッコリとファインは笑い、ガックリと隊長さんはうなだれる。
いつもと変わらないはずのファインの笑みが、いじめっ子の笑みにしか見えない。
「さてと、トレーナー?」
僕の膝の上で居住まいを正したファインがこちらに向き直る。
「もう一度聞くけど、妾は何人欲しい?」
最初にその質問をした時のように楽しそうに言ったファインは、最初の時とは違って二の句を継ぐ。
「私はね、三人くらい居ると良いと思うんだ。ちょうどここにはキミのことが好きな独身の女性が三人も居るからね」
「もちろん、もっとたくさん居てもいいけどね?」とファインは小さな声で付け加える。
……なるほど。最初からSPさん達を妾に推す予定だったのだろう。
だから、彼女らが僕に惚れていると暴露したんだ。
無理矢理にではなく、彼女達も望んでいることを明確に示すために。
SPさん達も同じ結論に達したのだろう。
あからさまに僕の方を向かないようにしていた三対の瞳は、全てが期待に目を輝かせてこちらを向いている。
「トレーナー様」
キリッと表情を引き締め直した隊長さんが話し掛けてくる。
「SPの代表として申し上げますが、断っていただいても問題ありません。我々はプロですから以降も、一命に代えましてもトレーナー様をお守り致します」
カッコいい顔で言い切った隊長さんは、ふぅと一息吐くと眉を八の字にして続ける。
「私個人としては、トレーナー様に
「隊長!抜け駆けは無しですよ!トレーナー様!私も!私もお願いします!!!」
「
ものすごい勢いで物理的に迫ってきた二人と、困り顔のまま言い訳を続ける隊長さん。「モテモテだね!」と笑顔で圧をかけてくるファインに
……まあ、SPさん達もみんな美人だし、ファインが納得してるなら別にいいかもな。
「どうせなら中山レース場のフルゲートが埋められるくらい子供が欲しいな♪私一人だとそんなに産めないだろうけど、四人も居ればいけたりしないかな?」
……前言撤回。今すぐ断った方がいいかもしれない。