愛されニシノフラワー概念
バレンタインイベント最大の功績はジョーダン×フラワーの接点がまるで無いおねロリカップリングが生まれたとこだと思うんです
本作品でもジョーダンを書こうとしたのですが、フラワーに言い寄るジョーダンが想像できなかった
朝、なんだか寝苦しくて目を覚ますと、上半身が起こされていて、目の前には誰かの手が、頭は両側から柔らかいものに挟まれていて、頭の上からは息を吸う音がしました。
「おはようございます、フラワーさん」
上を向くと、朝方の薄暗い光の中、同室のブルボンさんが普段より柔らかい笑みを浮かべていました。
「おはようございます、ブルボンさん。あの、どうして私はブルボンさんに抱きしめられているんですか?」
「当分の間のフラワーさん成分をチャージしていました」
???
「フラワーさんの表情からステータス『困惑』を確認。行動理由について詳細な説明が必要でしょうか?」
「……はい。説明をお願いします」
ブルボンさんは優しい笑みのまま、
「今日の午後から私は地方でのレース出走のため遠征する予定となっています。その間、『フラワーさん成分』を摂取出来ないため、本日の午前中に多量の『フラワーさん成分』をチャージしておく必要があると判断しました」
「あの…私成分って、なんですか…?」
聞きたいような、聞きたくないような気持ちで恐る恐る尋ねると、ブルボンさんは少し熱を帯びた声で答えてくれました。
「フラワーさんの近くに居ることで、心拍数及び体温の上昇、気分の高揚、さらにリラックス効果を確認。よって、フラワーさんはそれらの効果を誘引する何らかの成分を発しているものと判断。それを暫定的ですが『フラワーさん成分』と呼称しています。それにより私はコンディション『絶好調』を維持しています」
「……そうなんですね」
それは『私成分』の効果ではなくて『気持ち』とか『やる気』が上がっているだけな気がしますが、ブルボンさんが納得しているなら、それでいいと思ったので口にはしません。
「より効率良く『フラワーさん成分』をチャージするため経口摂取も考えましたが、それは『ルームメイト』の関係を逸脱すると判断しました。よって、現在皮膚の接触による『フラワーさん成分』の摂取を行っています」
……ブルボンさんに『常識』があって本当に良かったと思った朝でした。
雲一つない快晴の空の下、寮から学園までの短い道のりを越えて、玄関に入ったところ、シューズボックスの前で元気ハツラツな声が私を呼びました。
「ハウディ!フラワー!」
「きゃっ!タイキさん!?」
そのまま声の主、タイキさんにハグをされました。私と違って、タイキさんはオトナの女性にふさわしい体つきをしていますから、私はタイキさんの胸の間にすっぽりと収まってしまいました。
「フラワーは今日もソー・キュートですネ!」
「ごめんなさい、タイキさん!苦しいです!」
「オウ!ソーリー!」
抱きしめられる力が弱まり、なんとか顔がタイキさんの胸に埋もれないで済むようになりました。見上げるとタイキさんは妖しく微笑んでいて、なぜか背筋がゾクッとしました。
「やっぱりフラワーはカワイイですネ!」
明るい声でそう言った後、
「食べちゃいたいくらいデス」
タイキさんは底光りする瞳でこちらを見ながら、普段の明るい声とはまるで違う低い声でそう言うと、ジュルリと舌なめずりしました。
怖くなってしまい「ひっ…」と声が漏れ、それを聞いてタイキさんは普段の明るい顔に戻りました。
「アイム・ソー・ソーリー!ジャパニーズではこう言うと聞いたんデス。スケアーさせるのはイヤですから、私は先に行きますネ!」
……タイキさんがどういう意味で『食べちゃいたい』と言ったのかは怖くて聞けませんでした。
お昼ご飯が終わって中庭を散歩していると、ご機嫌な声が横からかけられました。
「やぁやぁ、フラワー君。今日は君に会いに来たよ。」
「タキオンさん?何のご用でしょうか?」
「君にこれを飲んで欲しいのだよ」
タキオンさんはどこから鮮やかなピンク色に輝く液体が入った試験管を取り出し、こちらに差し出して来ました。
……どう見ても体に良い色はしてません。
「えっと……これは…?」
「ウマ娘の身体機能の追加を促す薬品だよ。私以外がこれを飲んだ場合のデータが欲しいのだけれど、女性用に調整した薬品だから、男性のモルモット君では実験出来ないし、それなら前々から君のデータも採りたかったし、君に頼もうと思ってね」
「……。」
私が不安に思っていることを察したのか、タキオンさんはいつもの不敵な笑みを優しげなものに変えて続けます。
「安心したまえ。君はこれを飲んで私がデータを採っている間、気持ち良く空でも眺めてリラックスしていてくれればいい。遺伝子情報を貰うついでに、気持ち良くしてあげよう」
「……詳しいことはよくわかりませんけど、これを飲めばいいんですね?」
「そうさ!勢いよく……む?」
タキオンさんから試験管を受け取ったところで、ピリリリと電子音が響き始めました。タキオンさんはその音の発信源、スマホを取り出し、
「このタイミングで電話?もしもし。……私のラボでボヤ騒ぎ?ふぅン?カフェもモルモット君も居ないはずのラボでねぇ?」
タキオンさんはスマホをしまうと、校舎の方を向き、
「その薬は君に託そう。そうだねぇ、君の友人のセイウンスカイ君なんかにあげると喜ぶんじゃないかな」
それだけ言うと私がお別れを言う時間もなく走り去っていってしまいました。
「やっほー、フラワー。一緒にお昼寝でもしない?」
「スカイさん?」
タキオンさんが去って、それほど経たない内にスカイさんと出会いました。
「……ねぇ、フラワー。その毒々しい色の液体は何?」
「これはタキオンさんから頂いた薬ですよ。詳しいことはよくわかりませんでしたけど…」
「うん?ここにラベルがあるねぇ」
ちょうど私が握っていたところの少し下にラベルが貼られていました。英語で書かれていて読めませんけど……
「えっと……知らない英単語なんで読めません…。スカイさんはわかりますか?」
そのままスカイさんに試験管を渡します。
「なになに?トランス……セクシャル?!えっ!?なにこれ!?」
ラベルを読んだ途端にスカイさんが慌てています。
「どういう意味なんですか?」
「一体タキオンさんはフラワーに何を…?いや、目的は決まってるか」
スカイさんは私の言葉も聞こえていない様子でブツブツと一人言を呟いています。
「……これを飲めばフラワーと……いや、フラワーにそんなこと出来ない……でも、傷物にしちゃって既成事実を作れば確実に私の物に……」
「あの、スカイさん?」
後ろを向いてしまったスカイさんの前に回って、うつむいた顔をのぞきこむように話しかけてみました。
怖い顔をしていたスカイさんは、私の顔を見るとみるみる内に泣きそうな顔になってしまい…
「あぁーっと!!手が滑ったー!!」
手に持っていた試験管を、おもいっきり放り投げました。そのままの勢いで私の両肩をガッシリとつかむと、
「フラワー!タキオンさんから薬を貰っても絶対飲んじゃダメだよ!何されるか分かったもんじゃないからね?!」
ものすごい剣幕でスカイさんはまくし立ててきました。
その勢いに
その後からスカイさんは過保護になってしまって、今もスカイさんが色々と理由を付けて私をサボらせようとしていたので、時間ギリギリになってようやくトレーナー室にたどり着きました。
「遅れてごめんなさい!トレーナーさん!」
「まだ遅れてないから謝らなくていいよ、フラワー。とりあえず今日のトレーニングメニューの話からしようか」
「はい!」
トレーナーさんが指差している私の目の前のイスを無視して、トレーナーさんの方へ向かい、膝の上に座りました。
「えっと……フラワー?」
「なんでしょうか?」
困っているトレーナーさんに、上を向いて"わかってないみたいに"優しく微笑みかけます。
「あー……うーん……フラワーが気にしてないならいいや。今日のメニューなんだが……」
トレーナーさんはなんとも言えない顔のままトレーニングメニューの話を始めました。
ごめんなさい。トレーナーさん。心の中で謝っておきます。
今はまだ小さな私でも、あなたが思っているほどコドモじゃないんですよ?いつかきっと、立派なオトナの女性になって、あなたのお嫁さんになってみせます。
だから、それまで、コドモの私の保護者として私を見守って、愛してくださいね?