トレーナーを落とすために手段を選ばない(ちゃんと良識は守る)キタちゃん概念
ルドルフもライスもまとまらないので、出来上がったキタちゃんから
一応、アンケートの時から名前を変更してます
「トレーナーさん!スイープさん!これ、飲んでください!」
「……なぁキタサン、これ何…?」
「ホ、ホットチョコレート?です!」
「ピンク色に光るチョコレートってなによ!もっとマシなウソつきなさいよ!」
スイープの指摘通り、キタサンから渡されたカップに注がれた発光するピンク色の液体がチョコレートとは到底思えない。
「ホットチョコレートです!」
再び言い切るキタサンの目はザッパンザッパンと泳いでいる。
うそつくの下手すぎないか?
「……キタサン、怒らないから何入れたか教えてくれ」
「二人が飲んだら言います!」
「どうせタキオンの魔法薬でしょう?チョコをこんなキレイな色に変えるなんてタキオン以外に考えられないわ」
俺が思っていたことをスイープが言う。
問題は何の薬が入っているかだ。
……最近のキタサンの積極的なアプローチを
なら、なぜスイープにも勧めるのかという疑問はあるが。
「あら、フツーに美味しいじゃない」
「ですよね!味見しながら作ったんですけど、このチョコレート美味しいんですよ!」
気付いた時にはスイープはコクコクとホットチョコレートを飲み始めていた。
それに合わせてキタサンも自分のコップをチビチビと舐めている。
子供に毒味させているみたいで気分は最悪だが、二人の様子を見る限り異常は見られない。
「トレーナーさんもどうぞ!」
「使い魔も飲みなさい!甘くてすっごく美味しいわよ!」
この光るピンク色の液体に口をつけるのは遠慮したい。
それがアグネスタキオン由来とあればなおさらだ。
だが、目の前に居る愛バ二人は平気な顔で飲んでいるのも確かだ。
二人に
すると……確かにこれはホットチョコレートだった。
チョコとココアの甘さをミルクが柔らかく調和させている中に、どこかで嗅いだことのある独特な辛い香りがツンと鼻についた。
が、その匂いもチョコの甘い香りにすぐ上書きされてしまいアクセントの一つになってしまった。
「確かに甘くて美味しいね」
「ありがとうございます!」
温かい飲み物のおかげか、心なしか体がポカポカしてきたような気もする。
「それでキタサン、これには何が入ってるんだ?」
自分の少し弾んだ声に違和感を覚えながらも、最初の質問に戻る。
少なくとも即効性の惚れ薬や媚薬の
俺の質問にキタサンはなぜか目を輝かせながら答える。
「素直になる薬です!」
素直になる…?
「これで、みんなウソがつけなくなりました!」
……マズい。
そんな薬、本当にあるのかとか思わないこともないが、あのアグネスタキオン製なら十分あり得るだろう。
喋らないことは選べるかもしれないが、質問次第では非常にマズいことになる。
「トレーナーさん!大好きです!あたしと付き合ってください!」
ほんのりと赤い顔で、いつも通り元気良くキタサンが告白する。
……非常にマズい。
『俺だってキタサンのことが大好きだ』
思わず口が動きそうになり、慌てて手で口元を押さえる。
それを見て優しく、でも儚げに
「迷惑だったり、イヤでしたら
爽やかな笑顔でキタサンがそう言い切る。
そこに打算や下心は一切なかった。
「俺だってキタサンのこと大好きだよ」
気付けば口が勝手に動き始めていた。
「じゃあ!あたしと「ダメだ!」
鋭い怒声にキタサンとスイープがビクッと怯む。
罪悪感が湧いてくるが、これだけは譲れない。
「俺はトレーナー。キタサンは担当ウマ娘で学生だ。今、俺とキタサンが付き合うのは、キタサンの両親にも申し訳が立たない。
だから、キタサン、卒業してもまだ俺のことが好きだったら……」
「わかりました。卒業するまでは我慢します」
ホッと一息ついたのも
これは卒業したらすぐ告白されるんだろうな……
「もーっ!キタサンも使い魔も二人だけでずるいっ!」
キタサンと二人で見つめ合っているところに、文字通りスイープが机に体を乗り出して割り込んでくる。
「アタシだってキタサンも使い魔も大好きだもんっ!」
顔を真っ赤に染めたスイープが叫ぶ。
「えっ…?」
思考が追い付いていない俺はたった一言。
「あたしも大好きですよ!スイープさん!」
キタサンは屈託のない笑みでハッキリ『大好き』と答える。
「じゃあ、キタサンは今日からアタシの彼女ねっ!」
「はいっ!……って、えぇぇっ!?」
「あっ、そういう?」
混乱しているキタサンをよそにスイープは真っ赤な顔をこちらに向ける。
「使い魔!アンタはアタシの彼氏よっ!」
「えっ…?」
「なによ!文句あるの!?」
「彼女はちょっとキツいかな……あっ」
普段ならやんわりと断るであろう内容を、気付いた時には考えていたことをそのまま口にしていた。
……これは非常にマズい。
「あたしもトレーナーさんと付き合いたいし、スイープさんとあたしは女の子同士だし……あれ?でも、あたし、スイープさんとはキスしちゃってる…?」
完全に混乱しきったキタサンの顔はだんだん赤くなっていく。
確かにキタサンはスイープとキス……というかロイヤルビタージュースの口移しを日常的にしている。
目に毒なので止めて欲しいのだが、口移し以外ではスイープはロイヤルビタージュースをすんなり飲んでくれないから止められないでいる。
「……あきらめないわよ」
俺達二人の微妙な反応を見たスイープがそう呟く。
それに反応するよりも、スイープの方が速かった。
「アタシの魅了魔法で、絶対のぜーったいに!二人ともアタシの恋人にしてやるんだからっ!」
言うや否やスイープはグイッとチョコレート入りのコップを
そのままの勢いでこちらへ近付いてきて……
「んっ……」
「んっ!?」
「あーーーっ!!!」
唇と唇が軽く触れるだけのバードキス。
まさかスイープがそんな大胆なことすると思ってなくて、全く反応できなかった。
一瞬だけ触れた甘い熱はすぐに離れていく。
何も見えなかった視界には、ゆっくりとスイープの顔が映っていく。
目の前の目をつむった少女は、普段のワガママ娘とは似ても似つかない乙女のような顔を真っ赤にさせていて、不覚にもドキッと胸が高鳴る。
まぶたがゆっくりと開き、眉と口の両端が釣り上がって、普段よく見る勝ち誇った顔を形作る。
「ふふん♪これで新しく契約したから、アンタはアタシのモノよ!」
なぜかフラフラとしながらもスイープはいつもの自信満々な声を上げる。
その横をすり抜けてキタサンが猛然と突っ込んでくる。
フラフラとしているスイープが心配だったが、それ以上にものすごい勢いで迫ってくるキタサンに注意が向いてしまった。
「トレーナーさん!あたしも!あたしもチュー!チューしたいですっ!」
「ちょっ!?」
完全に掛かっているキタサンはガッチリと俺の両頬を押さえ、唇に狙いを定め……
「んっ…♡」
「んーっ!!」
ブチューっと唇を唇に押し付けられた。
流石に舌までは入れて来ないみたいだが……
甘い。
熱い。
苦しい。
とにかく長かった。
たっぷり三十秒ほど唇を合わせた後「ぷはぁ」と声を上げながらキタサンが離れる。
「チューって、甘いんですね♡」
「チョコレート、飲んでたからだろ……」
酸欠状態の俺はゼエゼエと息を切らしている一方で、キタサンは余裕の表情でペロッと舌を出している。
その
息も忘れてキタサンに見惚れていると、彼女の方からも熱っぽい視線が返ってくる。
そんな俺達の間に割って入ってくるのは当然スイープだった。
「キタサン~……つかいまぁ~……だっこぉ~……」
普段のスイープなら絶対に出さないような声に首を
「スイープ!?大丈夫か?!」
「スイープさん!?大丈夫ですか?!」
「大声出さないで……頭ガンガンする……」
さっきまで元気だったスイープが、唐突に弱ってしまう原因なんて一つしか思い浮かばない。
「キタサン!アグネスタキオンから貰った薬には副作用とかなかったか?!」
グッタリとしたスイープを抱きかかえて立ち上がろうとして、自分も足取りが覚束ないことにようやく気が付く。
なんとか転ばずに済んだが、スイープを抱えたまま歩くのは難しいだろう。
話を聞いてから、スイープの介抱をキタサンに頼もう。
「えっ!?えっと、実はですね、薬なんて入れてないんです!ただの着色料なんです!」
「えっ?」
「トレーナー室の冷蔵庫にあったチョコレートを溶かして、牛乳とココアと、タキオンさんから貰った着色料を入れただけなんです……
ちょっとだけウソついて、トレーナーさんの本音が聞きたかっただけなんです……」
今更ながら俺はキタサンに一杯食わされたらしい。
その結果ほとんど言質取られたようなものだから、役者キタサンブラックは大成するかも。
などとどうでもいいことを考えている間に、俺の頭の中ではスイープと俺自身の不調の原因にたどり着く。
「"トレーナー室の冷蔵庫にあったチョコ"って赤い箱に入ってたヤツか?」
「えっと……多分そうです」
「外箱はよく見たか?」
「もしかして、食べちゃダメでしたか…?名前とかは書いてなかったと思うんですけど……」
「あの赤い箱のチョコ、ウイスキーボンボンなんだ」
「…………えっ!?そこまで見てなかったかも?!」
「だから、キタサン、水を二杯頼む」
「は、はいっ!」
キタサンが走り去って行くのを見ながら「しまった」と思わず口に出してしまう。
キタサンだって俺達と同じでウイスキー入りチョコレートを飲んでいるのだ。キタサンにも倒れられたら、ここに居る酔っぱらい二人ではどうにもできない。
酔いが回ってきて、まともに直立もできなくなってきたが、スイープを抱えたままでは椅子に座ることもできず、そのまま床に腰を下ろす。
「つかいまぁ……」などと呼ぶ声が胸元からするが、今の俺はキタサンの方が心配でそれどころではなかった。
水を汲んで戻ってきたキタサンの足元はしっかりしてることを確認して、ようやく人心地つくのであった。
「使い魔、抱っこ」
その日以来、スイープは人目も
当然、応えないと機嫌が悪くなるため、両手を広げて待っているスイープの腕の中に俺は収まる。
スイープがワガママで有名なためトレセン学園内では視線が痛くないのは不幸中の幸いだろうか。
「このままトレーナー室まで行くわよ!」
「はいはい」
弾んだ調子の声に、ほんのり桜色のスイープを両腕に抱えて歩き出す。
「契約の更新をするわよ!使い魔!」
トレーナー室に着くや否や『契約の更新』という単語が飛び出してくる。
もちろん『トレーナーとウマ娘の担当契約』の話ではない。
「ん……」
スイープはオズオズと目をつむって唇をこちらに突き出してくる。
当然、応えないとこの世の終わりのような悲しい顔をするため、チュッと一瞬触れ合うだけのキスを交わす。
トレーナー室でしかキスを求めてこないのは、ちゃんと気遣いができるスイープらしいというべきだろうか。
「これで契約更新よ!明日もアンタはアタシのものだからね!」
……このやり取りを毎日行うための口実なんじゃないか?
「お疲れさまです!トレーナーさん!」
「キタサンもお疲れ」
トレーナー室が西日に照らされる中、最後まで残っていたキタサンと労い合う。
「今日もマッサージしましょうか?」
「ああ、頼む」
「了解です!」
促されるままに仮眠用ベッドにうつ伏せになると、すぐに腰の辺りにウマ娘一人分くらいの重さが乗ってくる。
その柔らかさをできる限り意識しないように努めながら、首、肩、背中と上から順番に行われる指圧マッサージの方へ集中する。
「はい!マッサージ終わりましたよ!」
「いつもありがとう、キタサン」
あの日以前なら背中に抱き付いてきて、ギュッと胸を押し付けてきていたキタサンだが、今はそんなことせずにすぐに退いてくれる。
ただ、
「『続き』がしたくなったら、いつでも『誘って』くださいね?あたし、トレーナーさんのおうちまで『お助け』に行きますから」
毎日のように誘惑してくるようになってしまって、一人悶々とさせられるようになってしまったが。
《あとがき》
余談ですが、スイープ実装前から練ってたネタで、スイープにも「キツい」って言わせる予定でした
遅筆が祟ってハーレムエンドになりましたとさ