英雄の歌姫   作:珱瑠 耀

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お久し振りです。

ドルフロとアークナイツとアズレンとポケモンの二次創作を読み進めてました


十三小節目

「あ」

 

短い声が聞こえたのは、摩天楼(バベル)内部にあるダンジョンへの入口。

 

割と速めのスピードでここまでの最短距離を駆け抜けたミーシアは、ふぅと呼吸を整えてからそちらを向いた。

 

「……あら、【剣姫】様ですか」

 

「……ん、こんばんわ」

 

一切の疲れが見えないアイズの挨拶に返しながらミーシアは続けて、どうされましたか、と聞こうとして。

 

「【剣姫】様は……」

 

「アイズ」

 

突然のアイズの言葉に固まる。

 

見れば、彼女の纏う雰囲気が凛々しいものから少々しょぼくれたようなものに変わっていた。

 

「はい?」

 

「アイズ、って呼んで」

 

そんな状態のアイズに目をぱちくりとさせる彼女に、アイズはここぞとばかりに押す。

 

その気迫とも言えるものに、ミーシアは簡単に折れた。

 

「え、あ、はい……では、アイズ様」

 

「アイズ」

 

だが、そうじゃないのだ、と。

 

「えっ」

 

「様、もいらない」

 

むっ、と小さく眉を潜めて更に言い直させる彼女。

 

これは流石のミーシアもすぐに察したが、そんな彼女もここでは引かない。

 

「……せめて、敬称は許可して頂けませんか……?」

 

「…………わかった」

 

 

―――まぁ、そんな話もあって(人はそれを『閑話休題』という)

 

「アイズ様は、どうしてこちらに?」

 

「…………彼を……その、泣かせちゃった」

 

「……あぁ、そういう」

 

その理解は決して彼女がベル惚れているとかいう事ではない。

 

恐らく、謝りたいのだろう。

 

奇しくも自分か関わらせたのが原因で、ベルがあんな嘲言を受けることになって。

 

きっと、彼女は動体視力も桁外れ。

 

ベルのその時の顔もしっかり見ていただろう。

 

「それで、その…………逃げられちゃったし……怖がられた、かな……って」

 

「っ、あぁ……そういう…………」

 

そこまで考察して、アイズの次に出たこの言葉でミーシアは盛大な目眩を覚えた。

 

「あっ、大丈夫……?」

 

「まぁ、はい、一応大丈夫です」

 

―――違いますアイズ様、そういうことじゃないんです。

 

そう言いたかったけど、まぁこんな時に限って最適な言葉が出てこない。

 

かと言って「ベルは貴方に一目惚れしたから逃げたんです」などと言うなんて言語道断。

 

だが正直な所この話に大きく時間を割くと、ダンジョンに潜ったベルが危ない。

 

まだLv.1だしそこまで深く潜ることはないだろうが、それでもソロで行くなど自殺行為にも等しいものだ。

 

でも、彼の為にもアイズは同行しない方向で居てほしい。

 

ベルはきっと、アイズに助けられてばっかりの人ではいたくないから。

 

「その……アイズ様」

 

「えと、はい」

 

時間と言葉を天秤に掛けて前者を選んだミーシアはうーんと小さく唸り、そして至極真面目な顔で口を開いた。

 

「彼は……ベルは、貴方を怖がってなんかいませんよ」

 

そうして優しく、安心してください、と続ける。

 

そうしてむしろ、と続けようとして、アイズのそのホッとしたため息を見て止めた。

 

「……そう、かな」

 

「えぇ、きっと。……それでは、私はベルを追います。アイズ様もここまでとはいえ追いかけて下さって、ありがとうございました」

 

「あっ―――」

 

少し纏う雰囲気が軽くなったアイズと相対し、なんだか無性に居た堪れない気持ちになったミーシアはさっさとこの場を切り上げた。

 

多少早口になったのとアイズがなにか言っていたのには生憎と気付かず、ミーシアはそのまま走って行ってしまう。

 

「…………髪留めのこと、言えなかった」

 

そうして、しょぼーん、と。

 

ぽつり零す彼女の言葉を拾う人は、この場には居なかった。

 

 

 

 

 

ダンジョン、3階層。

 

昼間には初心者や通り道として抜けていく冒険者で多くの人通りがあるが、今の時間は夜……それも深夜に差し掛かるくらい。

 

当然人通りも少ない。

 

そしてダンジョンで人が少ないという事、それはつまり魔物がよく居るという事に繋がる。

 

「ふっ、ふっ……流石にこの位であれば、戦闘なしでも行けますよね―――っ」

 

素早い方向転換などで翻弄し振り切る姿はさながら燕。

 

そんなミーシアは、3階層に降りてから5回目の曲がり角で遂に足を止めた。

 

「あれは流石に戦闘必須、ですか……なら」

 

角から顔だけ出して覗き、4体のゴブリンが見えたのを確認して彼女は徐に虚空へと手を伸ばす。

 

―――そして。

 

 

「【振り返るな】」

 

 

彼女がそう呟いた瞬間、まるでその手にずっと握られていたかのようにハープが出現する。

 

周囲が見れば魔法で引き寄せた、と思うだろう。

 

しかしこれは()()()()()()()()()()()()()()

 

―――彼女が持つ能力でないのならば、一体なんなのか?

 

そんな疑問は愚問である、と彼女は(のたま)うだろう。

 

何故ならこのハープは―――

 

 

冥府下り(オルフェウス)、最初から持っていれば幾分か早められたかもしれませんね」

 

 

一切の例外を持たない()()なのだから。




最後の最後で出たハープについてはまた後々細かく説明します

ドルフロとかアズレンとかアークナイツとか楽しそうだけどゲームをやる気にはなれないヘタレ(続かない)
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