英雄の歌姫   作:珱瑠 耀

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基本的に原作沿いにしたいんですが、その間の原作との会話や表現の齟齬はそういうものだと思ってください。


四小節目

「《ファミリア》に……?」

 

「いっ、いいんですか!?」

 

突然現れた少女の発言、その反応は二人共バラバラだった。

 

ミーシアは困惑し、ベルは盛大に食いつく。

 

「あぁ、ボクの《ファミリア》だよ!……っと、そういえば自己紹介もやってなかったね。ボクはヘスティア、まだ一人も眷属(かぞく)が居なくて募集中だったんだ」

 

そこで、ミーシアはあぁと納得する。

 

だからなんか神々しかったのか*1

 

「ぼ、僕はベル・クラネルです。それでこちらが…」

 

「あ、えと、ミーシアです……」

 

初めての友好的な神様にベルはキラキラと目を輝かせる。

 

対するミーシアは緊張が解けないようだ。

 

「ふんふん、ベルくんとミーシアくんだね!それで、二人は《ファミリア》を探しているんだろう?」

 

「そうなんですけど……ミーシアさん、大丈夫ですか?」

 

「はい、ちょっと落ち着きました……神様とまともに話せたの、初めてかもしれないので……その、緊張してしまって……」

 

「まぁ誰しもは最初はそうなるよね。でも大丈夫!まともに話せない神の方が意外と多いから!」

 

緊張するミーシアにヘスティアはサムズアップしながらそう告げる。

 

「それって良い事なんですかね……?」

 

「ベルさん、しょうがないという事だと思います」

 

だって神ですから(言わずもがな)。

 

「あ、それで加入でしたね……その、私なんですけど……謡人でして……」

 

これはミーシアとベルの両方を加入させてもらう為に言い続けてきた事で、三時間訪問した《ファミリア》の3割はここで帰れと戸を閉められている。

 

後の7割は話も聞かず門前払いされたとなると、とんでもなく可哀想だ。

 

「ミーシアくんは歌うのかい?凄い、いい才能なんだね!」

 

「……ベルさん」

 

「はいっ……」

 

「「邪険にされなかった……!!」」

 

そのヘスティアの反応に、二人はあぁっと天を仰ぐ。

 

「……もしかして、二人共結構門前払い食らっていたりしないかい?」

 

「ゔっ」

 

ヘスティアの核心を突いた一言がベルの心にクリーンヒット。

 

そんな彼にミーシアはおろおろとしながら申し訳無さそうに言う。

 

「え、ええと……実は、三時間…いえ、ベルさんは午前からでしたからもっとですよね?」

 

「……はい」

 

orzの体制のまま、消え入りそうな位に小さい声答えるベル。

 

今にも砂になって崩れてしまいそうです。

 

「……それは……なんというか、お疲れ様、二人共」

 

「あう」「ひゃ」

 

それを聞いてどこからか庇護欲(母性)が湧いたのか、ヘスティアへ二人の頭を撫でくり回す。

 

傍から見たら凄い図だ。

 

 

 

「それで、《ファミリア》に入るのかい?」

 

――数分後、立ち直ったベルに改めてそう問う。

 

「あ、僕は全然大丈夫です!」

 

「わ、私もお願いしたいです…!」

 

二人から肯定の言葉を聞くと、ヘスティアはその言葉を待っていたかのように二人の手を引く。

 

「ようし!そうとなれば『ステイタス』を書き込もう!こっちこっち!」

 

「あわっ、はっ、はいっ!」

 

ベルが元気よく返事をしたのを聞き、ヘスティアはトットコと少し古めの本屋へ。

 

周りからこの三人を見たら、「ロリ巨乳幼女に振り回される兎とロリ」になるだろう。

 

―――まぁ実際、ミーシアの身長とヘスティアの身長は変わらないと言っても過言ではないのだが。

 

 

 

「おじちゃーん、上借りるよー!」

 

「汚すなよー」

 

「はーい!」

 

たったそれだけで階段を登ることを了承してくれるところ、ヘスティアはここの辺りの人達に慣れ親しんでいるのだという事がわかる。

 

「……で!まぁ簡単に言うとまずはね、君達の背中に『ステイタス』っていう恩恵を刻むんだ」

 

これを使ってね、と言ってヘスティアは躊躇いもなく人差し指に針を刺す。

 

「神様の、血……?あ、あれっ……ミーシアさん……?」

 

人差し指から滲む血を見て、ベルはおぉとため息をつく。

 

しかし、ミーシアの姿は見つからない。

 

「そう。……ミーシアくん、怖くないから出ておいでー」

 

「は、はい……」

 

と、近くの本棚の後ろからひょこっと顔を出した。

 

「どんな速さでそこまで……」

 

「ご、ごめんなさい……あまり、血とかは慣れてなくって……」

 

「そうだったんだ。それは至らぬ事をしたね、ごめんよミーシアくん」

 

彼女の発言に伏し目がちにヘスティアがそう言うと、ミーシアはやってしまったとでもいう顔で両手をぶんぶんと振る。

 

「あ、ああああああいえいえヘスティア様が謝る事ではないです!ただ私が慣れてないだけなのですぐに大丈夫になりますからあのそのえっと」

 

「……ふふ、それならよかった。それじゃあ早速……ベルくんから行こうか?」

 

「あっ、はい!お願いします!!」

 

 

 

じゃあ背中見せてー、と話が少しずつ進む中で、ミーシアは心臓の鼓動を収めるのに精一杯だった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

喧騒のせいで掻き消される荒い呼吸。

 

「大丈夫……私は、大丈夫……」

 

小さく、か細く、自分に言い聞かせるその姿は、ただ怖くないとおまじないをかける怖がりな少女だ。

 

「おーいミーシアくん、次は君の番だよー」

 

「っ、はい、今行きます!」

 

そのおまじないは、ヘスティアに呼ばれることですぐに止まる。

 

その手は汗でじんわりと滲んでいた。

*1
結構鈍いのである

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