ランサーで第5次聖杯戦争   作:指が痛い人

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モルガンピック始まりましたね~……自分は勝ちましたよ。いや、六章読んだら引かない人はいないでしょう。


逃走の第Ⅹ話

 走る走る走る走る走る。学校の廊下を走るその足は疲れにより悲鳴を上げ、体は肺が空気を取り込もうと全力で動き、それでも心臓が空が足りないと悲鳴を上げる。しかし彼はそんな事構っていられるかと走り続けた。それは何のためか―――――必死で逃げるその男の背後から迫る死の恐怖から逃げ出している為だ。

 

「――――!」

 

そして彼は考える。何なんだ、と。自身の行いと好奇心を抑えきれなかった考えに後悔を抱きながら彼は走り続けるが。

 

「―――ッガハ」

 

突然走る背の痛みによりそれは続かなかった。体が宙に浮き、壁へと叩き突けられ床へと伏せる。何が起こったか理解出来ず、それでも逃走しようと試みた。しかし。

 

「―――チェックメイト」

 

月光に照らされる女の瞳は綺麗で宝石のよう。壁に寄りかかり床に起き上がりかかる彼の姿をその瞳は捉え、美しくも凛々しい姿をした彼を見下げる追跡者の姿を視界に収めそれが無理だと理解する。そして同時に―――

 

「――ッ!?」

 

――――声を上げる事も叶わず、胸を貫いた事により心の臓に走る激痛により自身の死を悟ったのだった。

 

※※※

 

 あれは慎二の頼みを受け、道具の整理とついでだからと弓道場の掃除もした帰り道の事だ。

 

「戸締りよし、慎二への嫌がらせ兼罰よし、最終点検完了っと」

 

風が吹くと頬がかじかむほど寒く、冷え込んでいた夜遅い時間に物音一つするはずが無い学校の夜。校庭から普段はまず聞く事の無い、聞きなれない音が聞こえた。耳を澄ませば何かがぶつかる鈍い音。それが何度も何度も繰り返され、明らかに何かあると暗示していたかのよう。俺はそれを不思議に思い校庭の見える位置へと移動した。

 

「……誰かいるのか?」

 

最初、遠くから見えた影はハッキリとは見えず辛うじて人だと言う事が分かった。月の光が分厚い雲に隠され暗い中だったからそんな風にしか俺には見えない為に仕方なくはある。この状態のままハッキリと見たいのなら異音の発生源たる場所の近くに行くか、佐藤が常備しているゴッツイ双眼鏡を借りるしかないのだが今はアイツはいない。その異音はどんどんと勢いを増して行き少しばかり強い風と共にハッキリと聞こえて来る。まるでそれは刃物同士で斬り合っているかのよう――――

そこまで考え流石にバカバカしいとも思えて来た。だって今の時代そんな事を仕出かす輩なんてそうはいない。第一、そんな物持っていたら警察に通報されて捕まるのがオチだ。今浮かんだイメージが昔じいさんと見た三文芝居の内容と被っていた為に懐かしく感じ同時にそんな事ある訳がないと苦笑いしながら否定して、正体を知る為に足を進める。

何となく見つかったら面倒な事になると感じ、隠れながら進んでいた事が功を奏したのかその異音の発生源をより近くから発見できた――――同時にそれを見た瞬間、意識が真っ白になりフリーズする。

 

「―――ッな!?」

 

俺の頭では到底理解できない何かがそこに居た。

赤い外装を羽織った両手で何かを振るう男と、その男を刺殺さんと自身の身の丈以上の長さを誇る槍を縦横無尽に振るう青い女。冗談みたいな時代錯誤の殺し合い。笑えない冗談と化した目の前の光景は先ほど笑い飛ばし否定したイメージそのモノ。本当に武器で斬り合っていた。

理解できない。辛うじて両者の動きは目で追えるが、あまりの現実味の無さに脳が理解を拒否する。だがそんな状態であっても凶器同士が振るわれ、弾け合い、突風が俺の頬を撫でる度にあの理解の及ばない両者は殺し合っていると否応なしに理解させられる。

 

「――――」

 

 アレは人間ではない。その動きを目で追っているうちに俺の脳はそう結論付ける。

あのような常軌を逸した早すぎる動きは冗談でも人間ができるようなモノではない。過去姉弟子が身体強化魔術を自身へと付与し、魔術の第二の師匠的な立場であった佐藤の教えた剣術を過去見たことがある。確かにその時も魔術を使用した事により常軌を逸した動きとなった戦う姿は今回と同じように理解ができなかったけれど、それでも人間の範疇には収まっていた為にここまでは酷くはなかった。だからこそアレは人間ではない。決して関わってはいけないモノだ。

 

「――――」

 

両者の濃厚な殺気が距離が離れているはずのここまで伝わってくる。肉体が死の恐怖により怯え、心臓の鼓動も自然と早くなる。呼吸が乱れ瞬きをする事もできないほどにその戦いに目が離せない。

 

「―――――」

 

歴史の教科書などに乗っている、今は使われなくなった人を殺す事に特化した凶器。自身の体の一部化のように操るその姿は達人のそれ。

ふと、最近頻発しているという殺人事件の事を思い出す。最初一成に聞いたそれは何か長物の鋭利な刃物が犯行に使われたらしい。その結果最近のニュースでもあったように子供を残して両親が殺されたという。

 

「―――――ッ」

 

逃げなければ。これ以上この殺し合いを見ていては駄目だ。そう頭で考えるが体は言う事を効かずにうんともすんとも言わない。それどころか瞬きや呼吸すら忘れまるで金縛りにあったかのよう。感情的に逃げなければと思う心と恐怖に竦み、もし動いた結果見つかる事になると言う予想により身動きの出来ない体。感情により逃げ出したいいう感情と体の生命の危機に関する本能。それが鬩ぎ合い、解離した結果手足が麻痺する事に。

 

50メートル以上は距離が離れているはずなのに先ほどからあの槍、または赤い男の握る短剣が付き突きつけられ、殺気が向けているのだと言う気がしてならない。息も出来なくなり、そろそろ経験上気絶するかという瀬戸際――――音が止まる。

 

「――――」

 

両者は距離を取り、向かい合ったままその強烈な殺気を漂わせ立ち止まっている。

殺し合いが止まり、休まるかと安堵したが同時に経験上からこうも思った。本番はこれからだと。その瞬間、両者からより一層強い殺気が放たれた。

 

「――――ッ!」

 

怯え切った体は先ほどより強い殺気と信じられないものを感じ取り痙攣し始める体。思わずはを食いしばり震え痙攣する体を押さえつけるが頭では理解を再度超ていた。

 

「うそ、だろ――――何をする気なんだ、アイツ――――!」

 

周辺から吸い上げ、信じられない量の魔力を自身の背へと圧縮させている事も理解が及ばないが、これは一層意味が分からない。青い彼女の持つ槍。それから溢れ出すは膨大な魔力の渦。それは圧縮している魔力と比にならず、例えるならばまるで吹き荒れる嵐のよう。その嵐からかなりの量を吸い込んでいるはずなのに全く衰える気配すら感じない。それどころか強まる一方。その結果から予想するに恐らく槍そのものが超高性能な魔力の炉なんだろうが……性能が段違いすぎる。普通の魔術師と比べると彼女の槍は太陽のように強大で、吐き出される渦は竜巻のように荒々しい。

 

「――――」

 

だからだろう、俺には赤い男が勝つビジョンが浮かび上がらなかった。

アレだけのモノを保有し、今から行使しようとしている存在と比べると赤い男はあまりにも無力。放たれる一撃によって例え防御したとしても突破され命を散らすのが関の山だ。

 

死ぬ。ヒトガシンデシマウ。

ヒトではないが、ヒトの形をした何かがシンデシマウ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、見過ゴシテモイイ事、ナノカ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その迷いと一瞬走った思考のノイズ。それのおかげで意識がソレから外れ体の自由を取り戻すと、ハァ、と大きく呼吸してしまう。しかしその瞬間。

 

 

「―――何者だッ!」

 

青い女の注意を引き付け、隠れて見えないはずの俺を凝視させる結果を生んでしまう。

 

「……っッ!」

 

目を離さなかったはずなのに次の瞬間には女の姿は無く、消えた。しかし、それで確信する。女の注意は俺へとシフトした。

 

「―――!!」

 

消される。

気付けば俺の体は勝手に動き出しは走り始めていた。死を直感した直後、体が死を回避するために走り始めているという事にようやく気付いた俺は文字道理全身全霊で逃走。無我夢中で走ったので俺自身も何処をどう走ったか覚えて居ていない。

 

「―――ハァ―――ハァ――――ハァ」

 

本当にただ我武者羅で無我夢中に生き残る事を目的として走る俺。そうやって走りながらも俺は自身の行動に後悔する。普通この場合逃げるなら街中だ。何故このような人気も無く、ルートも限られた学校内へと逃げるなんてどうかしていた。そもそもなんで俺はこんな風に物騒な事に巻き込まれているんだ。

 

「―――ックソ!」

 

思えば朝からおかしな事ばかり。記憶にない傷に、何時も朝早くから待ち合わせしているはずなのに何か今日に限って初めて寝坊し遠坂と登校してくる友人。それに加え何処か違和感のある学校‥‥‥‥今日は厄日かッ!

 

現海上に走りづめで悲鳴を上げだす心臓。既に背後から追いかけて来る気配はない。しかしそれでも足を止める訳にもいかず、俺は夢中に走り続ける。静かな長い廊下には俺の走る足音が聞こえるのみ。丁度その時、窓が開いている場所が見えた。ここの階は幸いな事に2階。飛び降りても問題はない。あそこから外へでて町へと逃げ込めれば――――

 

そう考えのもつかの間

 

「―――ッガハ」

 

突如背中に痛みが走り体が宙を舞う。突然の事に思考が止まり、何もすることができず壁へと叩き突けられ全身に痛みが走った。

なんだ何だ、今の。戸惑うが最初の目的は忘れてはいない。急いで立ち上がってあの窓へと向かわなければ。体を起こそうと壁を背に仰向けになった――――が。

 

「―――チェックメイトです」

 

 その時点で俺は詰みだったようだ。俺のへと向けられるのは刃こぼれのある矛先、全体的によく使いこまれたそれは所々に錆びが目立ち本来の色であろう白を濁す。そしてそれを持ち俺へと向ける彼女は―――何と言うか、美しかった。

月の光に照らされる言葉で表せない魅惑を秘めた彼女は俺の目から見ても綺麗で、こちらを見下げる瞳はエメラルドの宝石のよう。一瞬見惚れる俺だったがその槍の向けられる意味を思い出し。

 

「――ッ!?」

 

体を突き刺される痛みにより、呼吸が止まった。




原作シーンのオマージュを絶望的状況でやってみました。
後、ダブルオベイロンシステムたのすぃぃぃ。

原作ルートはどれがいいですかね?

  • セイバー
  • 遠坂チャン
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