ランサーで第5次聖杯戦争 作:指が痛い人
これで先の展開が決められるぅ~!
あとFate/EXTRA一気見しましたけど――――滅茶苦茶面白かったぁ!
「―――ッ!?」
視界が歪み、恐怖に震え、思考また停止する。まるでスローモーションのように時が流れ、目の前の槍はゆっくりと俺の胸へと吸い込まれるのを俺はただ黙って見る事しかできない。胸を刺す痛みが徐々に心の臓へと進み、貫く。言葉に言い表せないほどの痛みが体を麻痺させ、更に思考を鈍重と化す。
「ぁ―――――」
世界が歪み、色を失う。指先から感覚が消失し体が生きている証である暖かさを失い段々と冷えて行く。
「こ―――ッふ」
口の中が鉄の味で満たされ、俺は血を吐き出した。色を失ったハズの視界に映るのは真っ赤に染まる世界。本来なら更に血液を吐き出してもいいハズなのだが、今回はたった一度っきり。女の槍の腕は相当美味かったのだろう、血液は滲み壊れ、血をまき散らすはずのポンプはたった一刺しのみで綺麗に活動を停止し、役目を終えていた。
「――――」
何も見えない。さっきまであった痛みも含めすべての感覚は消失しまるで暗い夜の海に浮かんでいるかのよう。麻痺しきった体はふわふわと体が浮き沈む感覚だけ。世界は白く視界は真っ赤に染まり、自分だけが黒く濁る。自身が意味消失し、あたかも透明人間になったかのよう。自身が死んだというよりも全てが無になったかのよう。
思い出す。この感覚は前にも―――十年前のあの日にも一度経験した感覚、人が死に至って行く感覚だ。
「目撃者は例外無く口封じするのが聖杯戦争のルールです―――――そして、それに参加する者はそれを順守しなければならない」
目は開いているはずなのに視界が一行に回復しない。緊急用に組んでもらい体に組み込んでもらっていた自動発動型の回復魔術も組み込んでもらっていた場所である心臓を壊されれば意味を成さない。
「そこに温情も無く加減無く、女だろうが子供だろうが例外は無い――――」
声は聞こえる。しかし視界は一向に回復する事はない。ただ刻々と呟かれる凍えるような冷徹な女の声だけが耳に響く。
「あのアーチャー、出来るならあのタイミングで殺しておきたかった。あの男からは何か、言葉では言い表せれない異質な何かを感じ―――……追って来るのか、アーチャー。既に当初の目的は最低限完了している。しかし私の願いを叶える為にも今はマスターの願いを叶えなければ―――」
声が唐突に消える。恐らくあの窓から飛び降りたのだろう。その後、徐々に聞こえて来た足音が止まる。奇妙な間、それから続く足音が聞こえるが……もう、聞き取れ、ない。
「追ってちょうだいアーチャー。多分ランサーはマスターの元へ戻ると思う。だからせめて相手の顔ぐらいは把握しないと」
……既に聞き取り難い声は何処かで聞いた声……アレは誰の声だったか。
霞みゆく意識を総動員しても思い出せない。脳裏に浮かぶのは既に使う事の出来ない回復魔術の発動トリガー、ただそれのみ。
呼吸音がうるさい。何も聞こえないはずの耳に響くのは俺の呼吸音。辛うじて肺は生きているようで死にゆく体の中に必死に空気を取り込み続け、それが耳に響く煩い音の正体。
「ん? 憶えのある魔術の反応……コイツ、もう既に死に体ってのに生きようと魔術を使っている?」
誰かからの覗き込まれる気配。俺の呼吸音がうるさいのか、口へと指を伸ばされている感覚が――――
「……うそ。止めてよね、何でアンタが……アイツに何って説明したらいいのよ」
喰いしばり軋む音が聞こえた途端に躊躇いなく、血濡れた俺へと優しく触れる。
「……破損した臓器は心臓に壊れているけど何処かで見た回復魔術の痕跡。回路に関しては気にしている暇ないけど、今回は逆にありがたい。この魔術式なら私の物を流用して使用し破損した臓器そのモノをまるごと修復できる。……二つの異なる魔術式を組み合わせて心臓の修復なんて……こんな事、時計塔で一発合格できるレベルの難題じゃない……」
苦しげな声。
それを境に壊れて使い物にならないはずの回復魔術の回路に魔力が満ち、形を変え、修復されてトリガーが引ける状態になって行くのを感じる。
「――――――」
ゆっくりと、少しずつ。ぽたぽたと垂れる水滴のようにゆっくりと、しかし着実に体の機能が戻って来る。
「――――――」
……ぽたり、ぽたり、ぽたりと何をしているのだろうか。寄り添ったその人物は額から汗を流し、一心不乱に俺の傷へと手を当てている。
「――――――」
段々と手の置かれている場所が厚くなり繋がった回路も太く、丈夫な物へと変化していくのも感じていた。
体は熱く、冷え切った体に熱が加えられそれは体全体へと広がる。
「――――はぁ」
やがてトリガーが引けるようになると魔術が発動。薄れて行く意識がピタリと止まり、無くなったはずの残りの感覚が戻って来る。
「っかれたぁ……魔術も無事発動したようね」
カラン、と何かの落ちる音。
「……人1人の代償にしては高くついたけど仕方ない、か。ごめんなさいお父さん。あなたの娘は、貴方の形見を早々と使ってしまうとんでもない薄情者です」
それが最後に聞いた声。
自嘲気味に嘆き、誰かの放つ気配はあっさりと遠ざかって行った。
「――――」
意識が再度途切れて行く。それは死を意味する眠りではなく、再度目覚める為に必要である休息の眠りだった。
※※※
これは夢だ。
真っ暗な空間、俺はふわふわと浮かび沈みを繰り返し目の前に映る光景から目を背けないでいる。
そこに映るは目の前には槍で心臓を貫かれ、無残にも死に絶えた友の姿。
これは夢だ。
次に映るは目の前では双剣を握り絞め、槍の猛攻を防ぐ友の姿。
これは……夢だ。
――目の前では全身から血を流し、それでも諦めず前を進む友の姿。
これは……夢か?
―――目の前には誰かの亡骸を抱きしめ、泣き叫ぶ友の姿。
これは……夢?
これは……
これは……
これは……――――
――――夢、なのか?
「おっと私の最愛の騎士君、それから先は観賞禁止だよ」
真っ暗な景色が突如煌びやかな空間へと切り替わる。地面には見渡す限りの色とりどりの花が咲き誇り。遠くにはどこかで見た、既視感の湧く塔が聳え立っている。ふわふわと浮いていた体は地面へと降り立ち、突如出現した椅子へと腰掛ける。ここは何処だ、さっきの声は? 色々と疑問が尽きないがまずは瞬きした瞬間出現したテーブルにある紅茶は飲んでいいんだろうか……
カップから紅茶の香りと共に湯気がもくもくと。恐らく入れたてなんだろ、まるで早く飲めとも言っているかのように紅茶が目の前に出現した。うん~、これは飲んでもいい物なんだろうか……分からん。
「せっかく私が初めて入れてあげたのに、飲まないなんて失礼だね騎士君」
謎。突如現れた人間はそうとしか分類できない見た目をしていた。全体的に白い服を着ている事はまぁ分かる。けれどまるでボールペンなどでグルグルと書き殴ったような黒が彼女もしくは彼の顔を覆い隠す。声もダミー声で性別すら分からない。
「って言うか、さっさと夢から覚めてもらわないと困るよ君ぃ」
まるで俺の知り合いかのように馴れ馴れしい。しかし俺はどれだけ記憶を辿ろうがこのような謎の人物に当てはまるような人物はヒットしない。
だけどその声から何となく喜んでいる、つまりは幸福な感情が読み取れるに俺が忘れているだけで誰か親しい人物なんだろうか?
「……そうだ、そんなに私といたいのなら―――」
頭が混乱してくる。さっき見ていた光景や今の状況。夢にしてはあまりにもリアルすぎるし具体的だ。この光景は一体何なん。
「――一緒にランデブーしようか!」
……
「テェメェマーリンか、ぶっ殺すフォォォォォォォォォォッ!!!」
風呂から飛び起きた。
突然ですがエイシンフラッシュ無料で当てました。
私は嬉しい(ポロロォン)