ランサーで第5次聖杯戦争   作:指が痛い人

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うむー、難しいな。



睡眠の第四話

 懐かしい匂いがする。

 

「起きてください」

 

 それは何だか忘れてた匂いであり、長らく嗅ぐことも無かった匂い。お日様のようで暖かな懐かしい匂い

 

「お寝坊さんですね……早く起きないと私が食べちゃいますよ……がぶっと」

 

 でも可笑しいな。そんな匂い、嗅いだ記憶なんて今世では無いってのに……まさかコレが────母の温もりって奴か? 

 

「────誰が母ですか誰が」

 

 何だかそう考えるとそれにしか思えなくなってきたぞ。多分今の俺の状態は死んでる。そしてその状態で行く場所と言ったら俺の場合は冥界送りが決まっている為に多分そこだろ。

 

「冥界ですか……なるほど、これで一つ疑問が解けました。生前の活躍から座へと登録はされているけれど肝心の魂が冥界送りになっていた為、座で貴方を探しても中身の無い抜け殻しか見つからなかったのですね」

 

 そして冥界で待ち受ける者とは誰だ。それは決まっている母だ。

 

「いや、それはおかしいのでは?」

 

 そして今は恐らくだが母が俺を抱き上げてくれていると思う、ってか思いたい! だってぇ前世と今世では母の温もりなんてただのただの一度も感じる機会なんて無かった。こちとら連ちゃんで物心つく前に母親死んでんだぞ、それぐらいの願望叶えてくれも良いじゃないッ! 

 

「……確かに。今思えばあなたの母上を見た事は無かったですよね……既に亡くなっていたのですか」

 

 こちとら母性に飢えすぎて今の性癖が赤ちゃんプレイ希望な紳士へと進化しつつあるんだぞゴラァ! ママ上殿ぉぉぉ! ママ上殿は何処じゃぁぁぁぁ! 俺にばむみを、母性を感じさせてくだされぇぇぇぇえ!! 

 

「────ッ! ……。と、特殊な性癖ですがこれも個性です。が、がんばって受け入れましょう。うん、だいじょぉぉーぶ」

 

 ってか、冥界送りで思い出したが──―

 

「マーリンからの卑猥な煽りと嫌がらせにも耐えたのです。これぐらいの障害、問題なく乗り越えられ──

 

 ────あの神さん、エレシュキガルさんは元気にしてるだろうか? 

 

 ────ん? 上さん??? ……上さんッ!?」

 

 今思えば一度目の冥界滞在期間はかなり長く、時は色々と世話にもなったりこっちも世話もしたなぁ。問題があったとしても一緒に協力して解決もしたっけ。

 

「なななな何故ですファルシオッ! 何故冥界で奥方など娶っているのです!! それもよりによって冥界の神ですかこのヤロォォォッ!!」

 

 神さんは威厳だけはいっちょ前の癖にあれで結構おっちょこちょいな所がある。俺がいつも一緒に居てカバーしてないと問題起こしてしまいには泣いてしまうからかなり心配だ。一緒に過ごしてくうちに俺が一緒に居てやらなきゃ直ぐに泣いちゃうぐらいにか弱くなっちまってたからなぁ……あの人。すっごく心配だなぁ。

 

「なんですかなんですかなんですかッ! 何で! ファルシオは何時も何時も私の目の届かぬ場所へと1人で行くと、一癖もッ! 、二癖もッ! 、あるような癖の強い女性ばかりと関係を持つんですか! それも今回は奥さん!? 貴方そんなのとは無縁だったでしょうが! グィネヴィアに迫られた時だって覚悟決まらず、魔術を使いランスロットに押し付けたチキンハートだったのにッ!」

 

 そんな弱っちい癖にベットの上(の掃除)では主導権を握りたがって必要以上に(掃除を)頑張るし……あ、だからと言って4日間ぶっ続けて(掃除を)やるほど体力は俺にはないので辞めていただきたい。

 

「ガ──ーン。マーリンに次いでまたも遅れをとるなんて……これは本格的に起こして事情を聴取しなければ──―」

 

 いやぁー、何で今までホントにこんな記憶忘れてたんだろ。これはあれか、生まれ変わった障害って奴なのかな? 

 

「起きてください起きてください起きてください起きてください、起きろッ!

 

 ってかさっきから何だよママ上殿。バブ味を味わわせてくれるならもう少し丁重にだな──―

 

「これだけやっても起きませんか……あまり使いたくはないのですが仕方ありません、最終手段です」

 

 ────お、そうそう。バブ味を感じさせるならまずは耳ふぅふぅからだな。わかってるじゃないかママ上殿。

 

「本当に声帯が似ていると困る事もあるものです。ファルシオ、起きるんだファルシオ────

 

 おぉスウィート、おぉスウィート。これだけ耳ふぅふぅが心地の良い物だとは思いもしなかったぜ。それに加え前世の名前呼びだなんて、ママ上殿分かって────

 

 ──―早く起きないとあの夜のようにもう一度君を食べちゃうよ?」

 

 俺はこの瞬間、前世での悪夢の瞬間を思い出した。それと同時に悪寒が全身へと走り体毛が全身で逆立って、鳥肌の浮かび上がる感覚もやって来る。

 それによって長らく忘れていた憎しみやら怒りやらがごちゃごちゃになった感情が爆発。俺は飛び起きた。

 

「オラぁマーリン何処じゃゴラァッ! 今日という今日はその糞生意気な顔面にモルガンと一緒に編み出した対マーリン特攻の魔術ぶち込んだらぁ!!」

 

 目を開け飛び起きるがそこは薄暗い岩と埃で出来た冥界……ではなくすっごく見慣れた儀式の部屋。そして視界を塞ぐのは天井に結びまくったしめ縄だった。

 まぁしめ縄に関してはベッドの上に立ってる関係上仕方ないとしてあれれぇ? おっかしいぞ、さっき確かにあのクソムカつく夢魔の声がしたと思ったんだけどなぁ……

 

 疑問に思いながらも辺りを見回す為に振り返る。そして俺の視界に映ったのは久しくも懐かしい──―

 

「目覚めましたかマスター(相棒)

 

 冷たい目でこちらを見つめる前世での親友(相棒)の姿だった。

 

 って、お化けぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!? 

 

「く、くぁwせdrftgyふじこlp」

 

※※※

 

 ハァ、何でこんな状況になってしまったのでしょう。

 

「く、くぁwせdrftgyふじこlp」

 

 世を超えた奇跡のような再会だと言うのにマスター(相棒)は私を見つめた途端、そんな言語とも思えない理解不能な言葉を叫びながら再度気絶してしまいました。

 ハァ……せっかく色々と聞きたい事があったというのにこれでは興ざめです。彼の事ですから大方私の事を霊か何かだと勘違いしたのでしょう。ファルシオは生前からゴーストの類が苦手でしたからね。

 

「ま、マーリン。やめてくれ、俺には妻と子供が……」

 

「いや貴方、結局人生を終えるまで未婚者だったでしょうが」

 

 中々にツッコミどころのある寝言を吐くファルシオを丁重にベッドへと寝かせます。安心しきった表情で私の膝を枕として使い眠っている彼を見ていると、段々と先ほどまで考えていた事が馬鹿らしくなって行きそれどころか彼と再び触れ合える事に嬉しさを感じてしまいます。

 

「本当に再会出来て良かった」

 

 触れる髪は恐らく生前と同じ色に染めているからだろうか、少し硬く、その顔は私の記憶とは似ても似つかぬほど違った顔つきをしている。

 

 姿も名前も私の生前の頃とは違い、ほとんど別人と言っても差し支えない。けれど私には彼だと一目で分かりました。だって彼の魂が放つ光を私は憶えているのだから。

 あの日、あの時。彼から手渡された聖槍。それを手に取った瞬間感じられるようになった魂の輝き達。それは十人十色でそれぞれに色も形も違い、特徴も持っているが私にはどうでも良い事だ。彼の魂さえ覚えていればいいのだから。

 

「ふふふ」

 

 私も本来王としてこのような考え方はいけない事と考えることもあります。民よりも1人の人間を大事にする考え方なのですから。しかし、この身は既に死に、歴史に刻まれた過去の存在。死んだ後ぐらいは失いかけた1人の少女に戻っても、バチは当たらないとこの世界の男マーリンも召喚される直前に言ってました。マーリンは隠す事はあっても嘘をつく事は人生を通して一度もありませんだ。だからこうしていても問題ありません。なんせ彼のお墨付きなのですから。

 

「サーヴァントという形ではありますが、貴方との再会を大変喜ばしく思いますよ愛しのファルシオ」

 

 これで私の聖杯への願いは叶いました。後は彼の願いを成就させるのみ。ふふ、これはやる気が湧いてきました。なんせ初めての恩返しができるのですから。

 

「んんん……うまぴょぉzZ」

 

「どんな寝言ですか全く……」

 

 無防備な顔を晒すファルシオ。聖杯の知識によりその顔は平凡な顔をしているのは分かりますが、どうしても私の知っているファルシオを重ねてしまいその──―すごく愛らしく見える。

 

 見れば見るほど段々と胸から感情が込みあがって来てこのままだと我慢が出来なくなる。

 だって私が見つめる今の彼の表情はまるでキスを待つ表情のよう。そんな表情を見ていると自然とそれへと引き付けられ……‥‥って。

 

「──―やっぱ無理ッ!

 

 ……ここで額にでもキスが出来ればよかったのですが私には無理! 恥ずかしくて死んでしまいますッ! 

熱くなった顔を抑えながら心の中でそう叫ぶが誰が聞くはずもなく、彼の寝息だけが規則正しく聞こえるだけだった。




正直今回難しかったZE

あと今回、対話を期待していた人たちすまんな、どうしてもこの展開を挟みたかったんだ。
それは何故かって? 自分が大好物な展開だからだ!

こういうくさい展開大好きッ!

原作ルートはどれがいいですかね?

  • セイバー
  • 遠坂チャン
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