依神姉妹は幻想逢魔とともに   作:火野ミライ

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第1章:不憫「ようこそ常識違いの異世界へ」2021
零ノ(とき)「神・様・転・生」


見渡す限りに広がる青い空に、白い雲。そよ風が優しく頬を撫で、同年代の同姓と比べて長い髪を靡かせる。足元を見れば場違いな(たたみ)。その上には昭和で良いのかな?昔ながらの家具が置かれており、ちゃぶ台の上には差し出された湯呑が置かれており、中に入っている緑茶から湯気が出ている事から入れてからさほど時間が経ってないのが分かる。

 

視線を少し上げると、優しそうなおじいちゃんがズズズと音をたてながら緑茶を飲む姿。

真横を見ると双子の妹が若干苛立っているのが分かる。

 

(これは荒れるな…)

 

なんて思いながら、再び緑茶と睨めっこし、ここまでの経緯を振り返ってみる。

 

◆◇◆◇

 

(進路、どうしよ。)

 

何て珍しく高校3らしい事を考えながら、帰宅を始めるクラスの子達の声をBGMに、雨降る街をボーっと見つめていた。っえ、喋る友達?ボッチだから居ないよ。

 

「お兄ちゃん、お待たせ!」

 

そこに声をかけてくるのは隣のクラスの妹。同い年くらいの子なら普通、兄や父を複雑に思い始める思春期だと思うけどそんな兆しはなく、逆にこっちが心配するぐらいにピッッッッッッッッッッッッッッタリとくっついてくる。

 

そんなんじゃ、彼氏できないよ。って言った時は『要らない』と即答した妹にお兄ちゃんは心配です。

 

「帰ろっか。」

 

妹にせかされながら鞄を背負い教室を出る。妹と帰宅するのは小学生の頃から変わらない。

いくつになっても兄離れする気配のない妹に呆れと嬉しさを感じながら傘を手に取り、広げる。

 

(穴開いてるし…)

 

「きゃ!」

 

久々に使う傘に穴が開いてる事を知ったと同時に雷が落ちた。

妹がビックリして腕に絡みつくのを感じながら、周りを見渡す。周りにいた生徒の何人かも驚いたようで、その場でうずくまっている子・動きを止めている子・涙目になっている子と様々だ。

なんて周りの様子を見ていたら2発目が落ちた。光と音の間がほとんど無い事から、近くで落ちたのが分かる。

 

昨日の帰りで自転車がパンクしているため今日は徒歩。自転車じゃ通れない近道使って帰るか。

そんな事を考えながら、今だ怯える妹の頭を撫でて歩を進める。

 

突然だけど、【急がば回れ】と言うことわざがある。何事も急がずに、遠回りでも確実な方法を取れと言う感じの意味なのだがこの時、いつも通りの道で帰宅すればよかったと後から思う。

 

結果を言うと、雷に打たれてこの世を去る事になるのだった。ちなみに落雷の直撃で死亡する確率は70~80、何も対処しなかったら90らしい。

 

◆◇◆◇

 

「と言う訳で、お前さん達は死んでしまった。本当に申し訳ない。」

 

おじいちゃんが、湯呑を置き深々と頭を下げる。

何度もこのおじいちゃんが神らしく、僕らの上に落雷を落としたのもこの神らしい。

 

「申し訳ないって!」

 

事の始末を聞き始めてから段々と妹の起源が悪くなっている。神に怒る妹の姿を横目に見ながら、差し出された緑茶を口に含む。‥‥‥やっぱ緑茶独特の苦みは苦手だ。

 

「確認をおろそかにしていた?交通事故を起こしたドライバーの言い訳にもなりませんよ!それで亡くなった私達はどうなるんですか?私達まだ、18ですよ!!人生これからの若者ですよ!」

 

「君達の人生を奪ってしまったから、ワシが特別に呼んだんじゃ。天国よりもさらに上、神々が暮らす世界。【神界】とでも言うか。」

 

神のおじいさんが語り始めたのをきっかけに、いったん座り込む妹。

 

「確か、お前さん達の名は「たやすく呼べないでください!」………」

 

ここまで切れた妹は始めて見た。まぁ、この神おじいさんに殺されたからだと思うけど。

 

「そ、それにしても君の方は落ち過ぎじゃないか?普通は妹みたいに騒ぐもんじゃぞ?」

 

頭に血が上っている妹と真反対な僕に会話を振ってくる神じいさん。

 

「‥‥‥何回も死にかけたから、とうとう死んだかって言う気持ちの方が強いし‥‥」

 

僕は昔から運が悪い。道を歩けば車にはねられ、階段の上り下りでは足を滑らすのは日常。怖いお兄さん達に財布を取られたり、人混みの中でサイフをスらるなんた当たり前。入院した回数は数えるのが億劫(おっくう)

 

「…それより、これからどうなるの?」

 

「お前さん達の死はワシの落ち度からじゃ。特別に生き返らすことが出来る。だがのう……」

 

言いよどむ神じい。妹が人前に出しちゃいけない顔をしてるんで、早く言って。

 

「元いた世界に生き返らす訳にはいかんのじゃよ。すまんが、そういうルールでな。こちらの都合で、本当に申し訳ない。」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

「でじゃ、お前さん達には別の世界で生き返ってもらう。そこで第二の人生をスタートと言う訳じゃ。納得できない気持ちもわかる。だが」

 

「別にいいですよ。お兄ちゃんと一緒に、また生きていけるなら。」

 

別に転生する気ないんだけど… と言うか、(妹は)転生系の漫画好きなだったよな確か?

多分自分(達)が転生できると知って喜びすぎて、さっきまで機嫌が悪かったのが嘘みたい。

 

「お決まり通り、転生特典有りますよね!!」

 

「罪滅ぼしとして、なんでも叶えてやるぞ。」

 

「なんでも!?」

 

喜んでいるどころか、目を輝かせて興奮してる。あと、転生したくないって言えない空気になった。

 

「う~ん… お兄ちゃんは、何が良いと思う?」

 

「えぇ…」

 

キョトンと首をかしげる妹に頭を抱えそうになる。自分から聞いたから、てっきり欲しい物が有ると思ったんだけど…

 

「……神様になるとか?」

 

「流石にそれは無理じゃが…」

 

ふと口にした言葉に神爺が顔にしわを寄せる。まぁ、無理だよね。

 

「神になれる可能性因果を与える事は可能じゃ。要するにお前さんしだいと言う訳じゃ。」

 

…良いの?

 

「そもそも異世界ってどんな場所なの?」

 

それが分からないんじゃ、決めようがない。

 

「お前さん達が元いた世界と比べて、まだまだ発展途上の世界じゃな。ほれ、君の世界でいうところの中世時代、半分くらいはあれに近い。まあ、全部が全部あのレベルではないが…」

 

「おぉ!それっぽい!!」

 

それっぽいって…

普通に考えて、日常的な物が無くなって、争うが絶えずあるような時代でしょ?…確か。

 

「あ!魔物や魔法とかって、あったりします?」

 

「そんなゲームみたいな」

 

「いるし、あるよ。魔法ならすぐに使えるようになる。」

 

僕の言葉を遮り肯定する神爺。嫌な汗が流れる僕。反対に妹は初めてゲームを与えられた子供みたいに目を輝かせている。ゲームみたいな世界か…

 

「…創作物の力が使えたりできます?」

 

「ふむ、できるぞ。」

 

なるほど…

 

「【仮面ライダージオウ】のアイテム全てとか、【東方project】の能力全てとかは?」

 

「その二つの事はよう分らんが、お主が望むなら与えよう。」

 

「私も使いたい!」

 

仮面ライダージオウは、平成仮面ライダーシリーズ最後の作品で20作品記念の作品。

最低最悪の魔王となる未来が待つ主人公が、平成仮面ライダーの力の結晶【ライドウォッチ】を集め、最高最善の魔王となる未来を仲間と共に目指す作品。映画なのでは若干のメタ要素が入っていて好きだ。

 

東方projectは、弾幕シューティングゲームを中心に展開される作品で、人・妖精・妖怪・神などが住まう【幻想郷】で繰り広げられる作品。最初は妹に進められて二次創作の動画を見始めたのがきっかけでハマった。

 

「後は、賃金かな。他に何かある。」

 

「え~と、せっかく生まれ変わるだから美少女になりたい。」

 

そうきたか…

 

「ふむ、まとめるとこうじゃな。兄の方は【神になる可能性因果】【仮面ライダージオウの全てのアイテム】【東方projectのすべての能力】【賃金】。妹は【兄のアイテム・能力の使用】【美少女化】。」

 

神化の話はたとえで出したつもりだったんだけど。

 

「それじゃ最後に基礎能力・身体能力・その他諸々底上げ、それにアイテムをしまう為に【異次元収納】の無属性魔法を与えよう。これでよほどのことがなければ死ぬことはない。間抜けな神が雷でも落とさん限りはな。」

 

「無属性魔法?」

 

自称気味に笑う神爺を余所に、疑問の問い掛ける。

 

「簡単に説明すると個人にしか使えない力じゃ。」

 

「ユーニクスキルみたいな感じ?いいなぁ、お兄ちゃん。」

 

「安心せい、お前さんにも同じものを与える。」

 

「やったね!」

 

ガッツポーズを取る妹の姿に思わず苦笑いを浮かべる。

 

「一度送り出してしまうと、もうワシは干渉できんが、相談に乗るぐらいはできる。困ったらいつでもそれで連絡しなさい。」

 

んん??矛盾して無い?‥‥まぁ、いいか。

そんな事を考えながら、僕の意思はゆっくりと沈んでいった。




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思考の(とき)
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