依神姉妹は幻想逢魔とともに   作:火野ミライ

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昭和と令和が同時に襲ってきたので続きを執筆しました。
今回はお試し的に女苑と紫苑の視点を交互にやっております。不評意見が多ければ修正するかも?


玖ノ(とき)「mysterious powerは勉強中」

「えっと…… では、始めます」

 

宿屋【銀月】の裏庭で使われなくなったであろう机を挟んで対面に座るリンちゃんがたどたどしく宣言した。Gが言っていたようにこの世界の魔法を使えると知った私は昨日の今日でリンちゃんに魔法講座をお願いしたのだ。

 

「よろしくお願いします、リンちゃん先生!!」

 

「せ、先生とかぁぁ…… あうぅ~~っ!」

 

私の先生呼びに反応して顔を赤くして俯くリンちゃん。誰かに教授すると言う事に慣れていないその姿は初々しくて可愛いと思う。私の周りの子達には居なかった反応だ。

 

居ないと言えば、この場にはお互いのお姉ちゃんの姿は無い。なぜなら2人は今、ギルドで仕事をしているから。2人共私がリンちゃんから魔法を教わると聞いたらすぐに行っちゃったんだ~ お姉ちゃんも一緒に受ければ良かったのに…… まぁ勉強嫌いのお兄ちゃんが自ら勉強はしないか!

 

「それで先ずは何をすればいいのリンちゃん?」

 

「あ、はい。まずは基本的なところからなんですけど___」

 

この言葉と共に始まったリンちゃんの授業。ざっくり纏めると魔法には【火・水・土・風・光・闇・無】の7属性が合って、昨日聞いた話だと生まれつきで使える属性が決まっているらしい。現にリンちゃんは火・水・光の3属性しか使えないみたい。それに使えたとしても本人の気質で得意不得意もあるみたいだ。

 

そこら辺のはゲームで慣れてるし何とかなるっしょ!

 

「ところでさ、他の属性は分かるんだけど光と闇ってなに?ウルトラマンかなにか??」

 

「う、うるとらまん?」

 

「あぁ~、そこは気にしないで」

 

お兄ちゃんの趣味をここで出しても伝わるわけないじゃん!でも咄嗟にこっちが出てくるぐらいには不安定な概念だよね光と闇。ゲームでもシリーズによって解釈変わるし。ちなみに無属性について転生する前にGに聞いてなかった尋ねてた自信がある。これも媒体によって意味が異なるしね。

 

「はぁ… え~っと、光は神聖属性と言って光を媒介にした魔法です。治癒魔法もここに含まれます。闇は召喚魔法…… 契約した魔獣や魔物を使役できます」

 

「ほへぇぇ~~」

 

うん、光と闇は私向きじゃないね。後ろからサポートとか指揮するよりも前線に立って相手を攻撃するのが私のゲームスタイルだし。積み技?役割理論?なにそれ、フルアタこそ思考でしょ!!

 

◆◇◆◇

 

「なるほど、ここから東にある洞窟でエルメントベアーが産卵期で気性が荒いんだって」

 

昨日訪れた森の中、瀬笈葉の姿となった僕は植物と会話。彼ら変えた情報を頼りに質のいい薬草を摘みながら雑談で得た知識をエルゼに伝える。

 

「………あぁ、そう」

 

「あ、その子は生えて来たばかりで今は美味しくないらそっとしておいて」

 

「____うん」

 

「なるほど、南にやけどに効く花が咲いているみたいですけど行きます?」

 

「ねぇ………!」

 

「はい?」

 

急に語気を強くし立ち上がってこちらに迫るエルゼ。なぜ彼女が怒っているのか分からずに首を傾げる。

 

「なんで植物と平然と会話してるのよ!!」

 

「だってそういう能力だから」

 

クエストを選ぶ際に昨日の醜態の後だから戦闘が無いやつを選んでと頼んだ結果、今やっている自然に生えている薬草の採取を選んできた。エルゼから説明を受けている合間、私には植物を見分けるのは無理だと悟り、植物達本人?に直接聞く事にしたのだ。だから森に入った瞬間に瀬笈葉の姿となり普段人が訪れない場所に自生している薬草を回収している。

 

「あぁぁ~~~~もう!あんたってホントに規格外ね!!」

 

「あはは……… なんか、ごめんね?」

 

予想の数倍は楽になっているはずなのにキレているのは何故?

そう心の中で疑問を吐露していると背に嫌な汗が沸き、突き刺さるような視線を感じる。

 

「エルゼ、なんか来る」

 

「____ッ!」

 

僕が殺気を感じる方へ視線を向けるとエルゼもまた、同じ方角へ拳を構えるのだった。

 

◆◇◆◇

 

魔石を使い魔法の適性を調べる私達。最初に試した火の魔法は力み過ぎて激しく燃えて驚いて、肩の力を抜いて発動した土の魔法は机を砂まみれにしてこの後の掃除に憂鬱を感じさせる。水の魔法は昨日試したので今日はスルーする事にした。

 

ちなみにリンちゃんが言うには自分が魔法で生み出した火は熱くないけど、服に燃え移ったら熱いらしい。怖いから試したくない。ちなみのちなみにその話を聞いた時にお姉ちゃんが魔法で火を生み出した瞬間、自分が火だるまになり地面を転がる姿が思い浮かんだ。

 

~閑話休題~

 

思い出し笑いをしないうちに再び脳裏に浮かび上がったイメージをかき消し、手に持つ茶色の意思を机の上に置いて砂に埋まった緑の石、風の魔法石を手に取る。

 

「風よ来たれ!」

 

魔法の言葉を紡ぐと突風が巻き起こり、机の上にあった物を綺麗サッパリ連れ去って行った。いや~、スカートを履いてる時に起こって欲しくない風でしたな。

 

……さて、現実逃避は止めてリンちゃんの魔石を探すか!

 

「………無、火、土。はい、全部あります」

 

「良かったぁ~ どれか1個でもなくしちゃったら弁償しきゃいけないからさ、おにぃ…… お姉ちゃんに内緒で魔石を買いに走らないといけない所だったよ」

 

人の物を壊した時のお兄ちゃんの説教は怖いんだ、全力で隠蔽しないとね。

 

「あはは…… こ、今度は光の適性を調べましょう」

 

「あ、残りの適性は使わないし調べなくて良いや」

 

「そ、そうですか?」

 

◆◇◆◇

 

「ガァァアアアア!」

 

意気揚々とこちらに棍棒を振り下ろしてくる【ポークゴブリン】と植物が呼ぶくすんだ緑色の肌を持つ人型で豚鼻の魔物。ぞろぞろと茂みから十体ぐらいの団体様でやって来て、瞬く間に僕らを囲んできたのだ。

 

「うぉわぁ!」

 

情けない声を出しながらも意外と余裕で回避した僕。一方のエルゼは拳に纏った手甲……みたいな名前のやつを巧みに使い難なく二体の攻撃を捌き反撃を繰り出していた。

 

「落ち着きなさい!こいつら勢いだけで連携は取れて無いわよ!!」

 

「グギャッ!」

 

顎下から拳を受け後方へと吹き飛んだゴブリンが地を転がり、走っていた他のゴブリンを転ばした。その様子を後目に咄嗟に取り出した東方ウォッチを起動する。

 

優曇華院!

 

発動した【鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)・イナバ】の力がウォッチを通して肉体に流れ込み肉体が変化する。耳が四つに増え、緑を基調した衣装から女子高生の様な軍服に変化。胸元の三日月のブローチが太陽の光を受け輝き、薄ピンクのスカートが風に靡き音を奏でる。

 

体内へと消えた【優曇華院ウォッチ】の代わりに右手にはメガホンやおもちゃラッパの様な【ルナティックガン】が収まった。変動した重さに少し腕が下がるが直ぐに立て直し、反対の手にはブラスターモードにしたファイズフォンを握りしめ、二つの銃口を土煙を上げながらこちらに迫るゴブリンに向け引き金を引く。

 

放たれた紫と赤の輝きは思った場所にこそ行かなかったが狙った相手自体には命中。その光景を視界に収めながら植物が呼ぶ方へ兎の脚力を生かし跳躍………

 

「なんでまだ植物の声が聞こえてるんだろう?」

 

〔行き過ぎだよ~!!〕

 

全員の唖然とした表情を受け、一先ずの疑問を思考から退けてとりあえず今は戦闘に手中する事にする!

 

Burst Mode

 

ファイズフォンのエンターキーを押してモード切り換えながら、身体をバク転の様な形で整え空中で姿勢を正す。身体の正面にゴブリン達が円を組む地面へ向けると腕を振るいルナティックガンの銃身を伸ばし、エルゼのいない場所目掛けて発砲。

 

一回の引き金で連続で放たれる【フォトンバレット】がゴブリンを灰と化し、ショットガンの様に拡散する色鮮やかな弾幕が彼らの退路を塞ぐ。

 

「ガァァアアアア!」

 

〔後ろから来てるよ~~〕

 

ふんわりと着地すると雄たけびを上げ背後から迫るゴブリンへ銃身を戻したルナティックガンの一撃を与えるとすぐさま地を駆ける。時折なにも無いのに転びそうなる身体。おそらく前世と今の肉体の身体スペックの差に適応できた無いんだろう。

 

そのズレをウドンゲの能力で無理やり補強して再び私を呼ぶ声に従い跳躍。今度は通り過ぎる事無く木の幹に着地し、後を追うように跳躍して来たゴブリンを二つの銃で撃ち抜いていく。

 

「ガァァ」

 

〔一緒に来てた子、ピンチだって~~〕

 

「___ッ!」Single Maude

 

こちらを警戒し始め確実に銃撃を回避しようと動かずにこちらを睨みつけるゴブリンから視線を外すと、再びモード変えたファイズフォンの銃口【マズルプッシュ】が光を放ち、エルゼの背後から殴打しようとするゴブリンの棍棒を正確に撃ち抜いた。

 

「助かった紫苑」

 

感謝の言葉を告げながら武器を失い戸惑うゴブリンを蹴りぬいたエルゼ。私が視線外した事で意気揚々と忍び足で歩み寄るゴブリンの足音を聞き距離を測りながら気づかないふりをし、私の為に半数以上のゴブリンと戦闘を繰り広げているエルゼの援護を続ける。

 

「グガガ……」

 

戦闘のオーケストラにかき消されそうな程に小さな声、おそらく人と同じように緊張をほぐす為の行動だろうが能力もフルに使い警戒していた私にはきちんと届いていた。そしてその声を合図に木の中から跳び出し頭を地面に向ける体制でルナティックガンの引き金にかけた指に力を込める。

 

「さよなら」

 

彼らの感覚を既に乱しているから私の姿も声も認識できずにいる彼らにドーナッツ状の弾幕が襲い掛かり、自分達が何にやられたのかも知る事無くゴブリン達は星となった。

 

◆◇◆◇

 

「あぁ~~、お腹すいた~ リンちゃん、2人だけでお昼食べよ」

 

「………………」

 

風の魔法で倒れた机を起こしながら背後に立つリンちゃんへ言葉を投げかけるも返事が無い。気になり振り向くとそこには神妙な顔つきをしたリンちゃんの姿が。

 

「どうしたのリンちゃん?」

 

「あ、いえ… 4つも属性を使えて凄いなと。私は3つ使えますけど、それでも珍しいのにそれより1つ多いってなんて言うか、凄いなって」

 

「あ~~、5つ」

 

「へ………?」

 

少し自信を無くしているように感じる表情を浮かべているリンちゃんに対して、追い打ちをかける様に視線をそらしながら言葉を紡ぐ。

 

「無属性の魔法も使えるから、正確には5つの魔法が使えるみたいなんだよねぇ~~」

 

「………うそ」

 

「嘘じゃないよ、ほら!」

 

ポカンと口を開けるリンちゃんの目の前で異次元収納を発動させ、ジクウドライバーを手元に出現させる。

 

「え、詠唱も無しに魔法を発動させた!?」

 

「あ、驚くところソコ?」

 

ムムム… 私もお姉ちゃんもイメージするだけで使えていたから無詠唱で使えるが普通だと思ていたけどそうでもなさそうだ。これは早急にカッコイイ設定を考えなければ!!




唐突な設定紹介「優曇華院ウォッチ」
月を去り、地上へ降りた波長使いの玉兎は………ウドンゲだ!
 鈴仙・優曇華院・イナバの力を宿したライドウォッチ。色彩はアウトリガーグリップが薄紫色、ライドオンスターターとウェイクベルゼが紅い色となっている。このウォッチを使用する事で鈴仙が持つ「波長を操る程度の能力」や武器である「ルナティックガン」が使用可能となる。
 余談になるが起動時の音声が「優曇華院」なのは、複数ある彼女の呼び方の中で個人的に最も馴染みの無い物を選んだだけ。

活動報告の方で原作キャラ達のウォッチのカラー&音声を募集してます。
思考の(とき)
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