依神姉妹は幻想逢魔とともに   作:火野ミライ

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参の(とき)「衣装と疲労」

揺れる座席。ふと思うのはバスや電車といった公共の織物がどれだけ快適で速かったかということ。移動手段としては現代の方がよかったな~と考えながら、私の膝を枕にして眠るお姉ちゃんの髪に指を通す。手触りはちょっとザラザラしていながらもスーッと指が抜ける。ちょっとうらやましいと思ったのは心の内にしまう。

 

馬車にぶつかる…… いや、馬の突進をもろに受けたお姉ちゃんはきれいな線で吹き飛び、後頭部を木の幹に思いっきりぶつけて気絶した。(その時に鐘の良い音が鳴ったような気がした)

こっちでも運の悪さを発揮したお姉ちゃんの駆け寄り、傷を確認。幸いにも後頭部を強打した以外は無事のようだ。

 

そのあとすぐ、馬車に乗っていた男性がこっちへと近づいてきた。スカーフとマントを着込み、胸には薔薇のブローチ白髪の男性【ザナック】、彼が馬車から出てすぐに謝罪。目的地が一緒だったため、お詫びも含めて馬車に乗せてもらえることになった。

 

「それにして君、その服はどこで手に入れたのかね?」

 

ザナックの言葉を聞き自分の格好を見直す。………うん、普通の学生服。

だけどこの世界なら珍しい恰好、もしくは無い服なのだろう。となると変に目立つよね? それなら…

 

「別の服と交換なら譲ってもいい「本当かね!?」……………」

 

私の言葉に過剰に反応するザナック。正直、引いた。

……と言うか、お姉ちゃんの服には反応しないの?ボロボロだから興味ないのかな?

 

そんなことを思いながらお姉ちゃんの頭をなで、変わりゆく景色を眺めるのでした。

 

◆◇◆◇

 

あ~頭が痛い。そういや、頭を打ったんだっけ?

呆然とする頭で考えながらあたりを見渡す、知らない場所だ。誰もいない部屋の中、窓の外にはこれまた知らない街並み。体を起こして扉を開いて外にd……………

 

「っわ! …………いてて」

 

外に出ようと足を進めると足を滑らして地面に顔を打ち付ける。鼻折れてないよね? ………ちょっと血が出てるけど問題なし。血が流れる鼻を抑えながら馬車の扉を閉める。てか、馬車に乗ってたんだ………………

 

辺りを見渡してみるとさっきすごい音を立てたためか、通り過ぎる人たちのチラチラとこっちの様子を見てくる。ぶら下がっている看板に視線を向ける。

 

「っま、生きてることが自体が奇跡みたいなものか」

 

糸と針のロゴが刻まれている看板。ロゴの下には文字らしき物があるが、言語はこの世界の文字。日本語で書かれているとかではない。手をパーカーのポケットの突っ込み、異次元収納を発動。数えるの億劫なるほど数があるウォッチの中から目当ての物をイメージする。

 

女苑とと話を聞きながら何度も試して分かったことだが、異次元収納と言う魔法。これは収納する時は発動して空間の穴に放り込む事で終わりだが、取り出すときはちゃんとイメージを持っていないとダメ。イメージがより鮮明だと目的の物が出やすい。

 

「…違う……違う……違う……コレk「お姉ちゃん!」え?」

 

何度も取り出してはしまってを繰り返していたら、さっきの看板の建物(たぶん店)から女苑が出てくる。服装は学生服から変わって、落ち着いたシックな物へと変わっていた。女苑の姿出来ているためか、ちょっとイメージに合わないと思ったのは心の奥底にしまっておく。

 

「目が覚めたようで良かったよ」

 

女苑に続いて知らないおっさんが出てきました……………

 

◆◇◆◇

 

「…と言うことだ、本当に悪かった!」

 

服屋のオーナ・ザナックさんが私に頭を下げてくる。

 

「いえいえ、気にしないでください。大したケガもしてないし」

 

苦笑いを浮かぶながらもなんとか顔を上げてもらう。

 

「それじゃ、私たちはそろそろ行くから」

 

「ああ、気をつけてな。それと珍しい服を手に入れたら持ってきてくれたえ!」

 

ザナックさんの言葉を背に【銀月】と呼ばれる宿屋を目指て道を歩く。どうやら女苑が服を交換?売却&購入?する次いでい宿屋の情報を手に入れていた。ちなみに学生服は金貨10枚で売れたそうな……………

 

「お姉ちゃんどうしよ……… 看板の文字が読めない」

 

「え、今更?」

 

てっきりもう気が付いてるものかと思ってたんだけど………

 

「だって! 転生物って異世界の文字とか言葉とか、神様パワー(御都合主義)で分かるようになっているものなんだよ!」

 

「そ、そうなんだ…………」

 

力説する妹の圧に押されて一歩後ろへ下がる。言葉が通じる時点で御都合主義が働いていると思ったら、負けなのでしょうか? お兄ちゃんいや、お姉ちゃんには分からない世界です。

 

「こんなの想定外だよ~!」

 

頭を抱えている女苑を横目にポケットに入れていた左手をだす。その手に握られているのはベースが紅色にペルゼが飴色の東方ウォッチ。ベルゼを回転し上部のボタン【ライドオンスターター】を押して、ウォッチの力を開放する。

 

小鈴!

 

髪は飴色へと変わり鈴の付いた髪留めでツインテールに、紅色と薄紅色の市松模様の着物に緑色の女袴(おんなばかま)。まるで明治末~大正浪漫の女学生思わせる和服に身を包んだ少女へと変わる。

 

書籍作品で登場する東方キャラ【本居小鈴(もとおりこすず)】へと姿を変えた私は辺りの看板を見上げながら道を歩く。先程まで読めなかった看板の文字は小鈴が持つ【あらゆる文字を読める程度の能力(仮称)】のおかげで異世界文字が読めるようになった。

 

「ちょっとどや顔してるお姉ちゃん可愛い…」

 

妹の指摘に顔に熱が溜まるのを感じながら、歩くスピードを速める。急に容姿と服装が変わったことに異質なものを見る視線を受けながら。

 

「待ってよお姉ちゃん!」

 

とりあえず、次東方ウォッチを使う時は場所も考えよう。あぁ、不幸だ~

慌てて付いてくる妹の足音を背にそんなことを考えるのでした。

 

◆◇◆◇

 

「気持ち悪い………」

 

歩き始めたから体感数分、私は気分がすぐれなくなっていた。理由は一つ、今使っている小鈴の能力の影響だ。全く知らない文字なのに内容を理解する現象に脳が混乱しているから。

 

元々、英語を含めて勉強が得意でない私が使っていることが原因なのか、それとも単になれの問題なのかは分からないが、無意識化で読めるはずないと思いながら脳は理解しているズレから来ているのは確かだと思う。こんな力を日常的に使える小鈴は凄い…

 

「大丈夫お姉ちゃん…………」

 

私の背中をさすりながら支えて歩く妹。既にお姉ちゃん呼と女苑姿の妹に慣れてきたなと場違いな事を思いながらも、目的の宿屋を探す。なんで目的地に向かうまでにこんなに疲労しなきゃいけないの?私、ホント不幸だ。

 

「………あった」

 

遠目で見つけた銀月の看板。疲労と喜びの為か無意識に指差しで呟いたいたが、妹も場所を把握した為迷うことなく行けると思う。安堵の息を吐くと共に身体が光に包まれて紫苑に戻った。人前で姿を変えないと出発したときは思ったけど、これ以上能力を使用し続けるのは無理。

 

「お疲れ、お兄ちゃん」

 

葉の能力を使った時はこんなに疲労を感じなかっただけどな~ なにが違うんだろう?

異世界初日で早くも壁にぶつかったが、これ克服できるのかな? そんな不安を胸にふらつく体で道を進む。

水飴のような透明感のある茶色




活動報告の方で、原作キャラたちのウォッチのカラー&音声を募集してます。
思考の(とき)
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