体調が回復した私は女苑に連れられて町探索に出ている(正確には引っ張られた)。すれ違う人々の大体が何かしらの武器を武装している。剣に斧・ナイフに鞭と多種多様の武器を堂々と装備しており、怖い……………
私がガクブルしている横で女苑はと言うと、日本では見慣れない街並みや異文化に興味が惹かれているのか目を輝かせている。その様子は都会に出た田舎娘の様、元気が有り余っているようで……何かしらのトラブルになりませんようにと内心不安を抱きをながら私も少しだけ辺りを見渡す。
今は小鈴の力を使ってないため看板などの文字は読めず、看板のロゴで何屋かを予想する事しかできない。文字問題はしばらく付きまとうと思う。私、妹みたいに勉強が得意じゃないし(自慢じゃないけど家庭科以外の授業は目も当てられない成績)。
「……ん? お姉ちゃん、なんか聞こえない??」
こっちに振り向いた女苑の言葉を聞き、目をつむり耳を澄ます。すると路地裏の方から何やら争いあう声が聞こえて来た。…………関わりたくないだけど。
「行ってみよ!」
私の意見を言う暇もなく、右をガッチリと掴まれ引っ張られる。こうして不本意にも路地裏に足を踏み入れたのだった。と言うか妹に力で負けるって分かってても、虚しいね……
狭く細い路地裏を女苑に引っ張られながら奥へと進む。突き当りの様子を物陰に隠れて窺うと、そこには男女4人組がい争っていた。壁側にいるのは似た顔立ちの銀髪少女二人、髪の長さと服装でなんとか違いが分かる。たいしてこちらに背を向けているガタイの良い男性、その手には水晶らしきものが握られていた。
「約束が違うわ! 代金は金貨一枚だったはずよ!」
声を荒げるロングの少女。状況とセリフ的に個人売買の場なのかな?
「なにを言ってやがる。確かにこの【水晶鹿の角】を金貨一枚で買うと言ったさ。ただしそれは、傷物でなければだ。見ろよ、ここに傷があるだろう? だからこの金額なのさ。ホラよ、銀貨一枚受け取りな」
男の手を離れた銀貨が音を立てて地面に転がる。
「そんな小さな傷、傷物のうちに入らないわよ! あんたたち初めからっ………………!」
ロングの少女が恨みを込めて睨みつけて、後ろに立っているショートカットの少女は唇をかみしめていた。けれど男の言い分も分からなくはない。
個人売買をするときもっとも気負付けなければならない事が保存状態だと個人的に思う。神経質な人は色落ちや初期傷に文句を言う人もいるから。まぁ、今回は彼らの態度からみて最初から安く水晶鹿の角を手にしれようとしていたとは思うけど……………
「テンプレ、キタァーーーーーーーーー!!」
【フォーゼ】の如く両腕を上げて小さな声で叫ぶ妹。器用だな………
腕を下した女苑はそのまま私の後ろに回り込み、背中を押してくる。 ………っえ゛!?
「やい、お前ら!」
そのまま退路を塞ぐ位置に押し出された私。その脇から女苑が顔を出して大きな声を出す。4人の視線がこちらに向き、少女達はキョトンとし、男達は険悪な表情を浮かべる。と言いうか、女苑はこれからどうする気なの? 嫌な予感しかしないんだけど…
「なんだ、姉ちゃん達! 俺達になんか用か?」
「当ったり前よ! いい年した大人が、なにダサい事やってのよ!!」
指を差し言い放つ。その言葉を受け男達の額には青筋が浮かび上がっている。あ、オワタ…
一人内心、絶望に打ちひしがれている中、妹はとにかく男達をあおる。そりゃ、護身術を元々かじってた妹からすれば、なんでもない相手なのかもしれない。けどさ、私は違うんだよ。
不良にボコボコにされた回数は3桁にいく少し前から数えるのを辞めたぐらいには弱い。……あ、
「あぁ~もう! らちが明かない、こうなったら実力行使よ!!」
「望むところだ!」
会話は平行線を続け、しびれを切らした二人が戦闘態勢に入る。頭は良いのに喧嘩早い性格は女苑になっても変わらずの様だ。男がナイフを手にし、妹は私の腕を掴む。掴む?
「いっけぇ~~~ お姉ちゃん!」
「…え?え?e?」
その叫び声と共にハンマー投げの要領で投げ飛ばされた私。なにも理解できずに宙を進む中、先程まで妹と言い争っていた目の前の男は寸前で私を回避。そのまま水晶鹿の角を手に持っていたガタイの良い男と衝突、何度も地面を跳ねひとり転がる。
「自分の姉を武器にするとはいかれてやがる………」
ナイフを手にした男が困惑したような声が聞こえてが、正直に言ってボールの如く転がり続けているせいでよく聞こえない。結局、一番奥の壁に背中を打ち付ける形でようやく止まった。____背中痛い…
「だ、大丈夫ですか?」
近くにいたショートカットの少女の手を借りながらゆっくりと起き上がる。腰が痛い……
「あ゙!?」
「っな! テメええぇーっ!」
「流石お姉ちゃん~♪」
男達の怒鳴り声と女苑のお気楽な声を背にしながら、ふと手元に感じた違和感の正体を探るべく視線を向ける。この手にはしっかりと握られていた_____
「……………………………………」
今回の騒動の大本である水晶の角が___
あまりにも出来すぎた展開にか、不幸の種を持つことに対してか分からないが言葉を失う。そんな私を他所に時間は無慈悲にも進んでいく。
「返しやがれ!!」
水晶を手にしていなかった方の男(要はナイフを手に持つ方)が、私目掛けて駆けようとする。その気迫に肩を震えさせる事となったが、男が私のもとにたどり着く事はなかった。なぜなら__
「お姉ちゃんには指一本触れさせないよ」
男の頭上を軽々と超えた頼もしい妹がその行方を阻んだから。あ~でも、私にヘイトが向いている理由は妹が投げたせいなんだよな……… 何とも言えない現状に思わず苦笑いを浮かべる。起き上がったもう一人の男が代りと言わんばかりに迫ってくるが、ロングの少女に阻まれた。
年下の少女たちに守られる元男、字面にしたら情けない真実は今更なのでスルー。手元の水晶に再び目を向けると男達の言っていた小さな傷が日の光に反射してよく見える。それでも神経質な人しか気にしない、逆に言えば一度目に付くときになる傷。結局、どちらも正しい事を主張してただけに過ぎない問題。
この水晶の価値を知らないし、私が決める事ではない。ただ、あの男達には妹が絡むと言う不幸に巻き込まれたと諦めて欲しい。そんな思いを胸にしまい、戦う二人を見つめるショートカットの少女に差し出す。
「すいません」
申し訳なさそうに受け取る少女。「気にしないで」と口にしながら視線を戦う二人に向ける。男の攻撃を躱しながら一撃一撃を入れていくロングの少女。それに対して女苑は完全に遊んでいる。神爺の下で上げられた身体能力のお試しがてら遊ぶその姿は新しい玩具を手にした園児の様だ。
完全に戦う事から確かめる事に目的が変わっている女苑の相手をしている男が不憫に思えて来たので水を差す。懐から取り出すのは2個目のファイズフォンⅩ、上部のロックボタンを押して展開。ディスプレー部分が少し傾いた【ブラスターモード】に変形させ、質力を調整。トリガーに指を掛け、銃口を妹が相手する男に向ける。
ゆっくりと息を吐きながら、タイミングを計る。出来るだけ周囲の音を、景色を取り入れずに只々打つタイミングを計る。初めて使う武器、弾速・風の影響・使用後の反動、どれも分からない。けれど私にしては珍しく[なんか、行ける気がする!]っと謎の自信がある。
その自信の感に合わせてトリガーを引く。銃口から放たれた赤い光はまっすぐっと男に命中。ギリシャ文字の【Φ】を浮かびがらせ、男は気絶した………………………? 腹部は上下に動いてるから気絶。額から流れる汗を服で拭いながら一息つく。
「「なによ(なんですか)それ!?」」
次なる強敵はこの子たちかもしれない。ファイズフォンⅩに釘付けになっている目の前の少女達を見て、今度は憂鬱な思いでため息をはく。
唐突なキャラ紹介「依神紫苑」
東方Projectのキャラに転生? 憑依?した元お兄ちゃん、現お姉ちゃん。
転生する前から不幸体質なので、ある意味東方キャラで一番相性がいい。勉強と運動が出来なく、唯一点が取れる家庭科でさえ大惨事(例:食器を割る、指に針を刺す)。口癖は「不幸/厄日」
活動報告の方で、原作キャラたちのウォッチのカラー&音声を募集してます。
【思考の