依神姉妹は幻想逢魔とともに   作:火野ミライ

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陸ノ(とき)「一日のおわり つづく不幸」

「そうか~、女苑達もこの町に来たばかりなんだ」

 

果汁水を飲みながらロングの少女【エルゼ・シルエスカ】が呟く。強面お兄さん達を撃退した _してしまった?_ 私達4人はシルエスカ姉妹が宿屋を探していた事も有って、銀月へと戻って来た。

 

銀月のお姉さん【ミカ】さんは新しいお客さんでニコニコ、シルエスカ姉妹は宿が決まってニコニコ、女苑は同世代ぐらいとの子と話ができてニコニコ、あまりの女子率の高さに男の僕は内心ゲッソリ。今の私は生物学上は女だけど…

 

銀月へと戻って流れで一緒に食事をする事になって、今は食後のお茶会的なの。正直居づらい。いくら女になった現実を受け入れたとはいえ、心は男なので………… 複雑な心境を隠すかのように紅茶の様な飲み物を口に含む。

 

「私達はあいつらの依頼でここに水晶鹿の角を届けに来たんだけどね。酷い目に遭ったわ。な~んか胡散臭いな~とわ思っていたんだけどさ」

 

「だからやめようって私は反対したのにお姉ちゃん、言う事聞いてくれないから………」

 

机の上に置かれた水晶鹿の角を見つめながら呟くエルゼに非難の声、ショートの少女でエルゼの双子の妹【リンゼ・シルエスカ】。妹の責める視線から逃れる様に果汁水を飲むエルゼの姿に小さく苦笑いを浮かべる。物怖じない暴走気味の姉エルゼ、人見知りするがしっかり者の妹リンゼ。

 

私達と同じ双子だが全く違う双子のあり方。兄妹と姉妹と言う違いこそあるが、そのあり方は異世界でもあまり変わらない気がする。………………やっぱ家は特殊かも。

 

「どうしてエルちゃん達はあんなのの依頼を受けたの?」

 

何度も紅茶に息を吹きながら飲んでいる横で女苑が二人に質問を投げかける。ちなみに【エルちゃん】とはエルゼの事でいつの間にか女苑がつけていた。ちなみのちなみにリンゼの事は【リンちゃん】と呼んでいる女苑でしたとさ。

 

~閑話休題~

 

「ちょっとした伝手でね。私達前に水晶鹿を倒して角を手に入れてたんだけど、欲しいって話が来たからちょうどいいやって。でもダメね~、やっぱりギルドとか、ちゃんとしたところから依頼を受けないとやっぱりトラブルに巻き込まれるのね」

 

妹の問いに答えたエルゼは悲壮感漂うため息を吐く。その様に苦笑いを浮かべながら紅茶を一口。

 

「この機会にギルドの登録しよっか、リンゼ」

 

「その方が良いと思う…… 安全第一、明日にでも登録に行こうよ」

 

明日の予定を詰めるシルエスカ姉妹。しかし私にはそれより妹の姿が印象的だ。何かこみ上げてくる物を噛みしめているようだが双子の勘と言うべきものか、その表情は神爺に転生や特典の話を出された時と同じように思える。

 

「ねぇ、おにねえちゃん!」

 

……ほらやっぱり。

妹が良く分からない単語を出した事より、呼ばれるより先にカップを置けたことにホッとしながら視線を女苑に向ける。

 

「なに?」

 

「私達もギルドに登録しようよ」

 

「なら一緒に行きましょ!」

 

「お姉ちゃん、まだ紫苑さんが返事してないよ……」

 

リンゼの声も儚く溶け、盛り上がった二人は届かなかった。死神は構えている時は来ないという。しかし不幸は構えていても来る物。リンゼと視線が合ったので諦めたように顔を左右に揺らす。それだけで彼女には伝わったようで目の前に置かれた飲み物を飲み始めた。

 

 

◆◇◆◇

 

シルエスカ姉妹も程よいところで切り上げて女苑と共に部屋に戻る。そのまま1日の疲れを吐き出すかのようにベットの上へと寝ころんだ。その横で妹はベットに腰を添える。

 

「あ~~」

 

手の甲を額に乗せ意味のない言葉を出し続ける。その言葉に込められた疲労か、嘆きか? 正直、私自身も分かんない。ただこのまま襲い掛かる眠気に身を任せ、本日何度目かの眠りに就くのも悪くない。そんな事を思いながら横目で妹の姿を眺める。

 

「………」

 

顎に手を添え何やら難しい顔をして悩んでいる様子。悩みと言えばファイズフォンⅩだ。シルエスカ姉妹には「貰った骨董品で良く分らかんない」と濁して答えたが今後はそうもいかないだろう。かと言って何か対策立てれるほど今は頭が回らない。

 

今日一日で違和感が無くなってきてるが、僕は紫苑()に変わった。それだけでなく非現実の物がイメージするだけでほら、手もとに来る。白い半透明のベルゼにベースが黒の【ジオウライドウォッチ】を手元に出して遊ぶ。

 

玩具ではないコレには私には想像が付かない程の力が込められている。私がお年玉感覚で貰ったそれらの中には文字通り、世界を滅ぼせる力もあり使い道がない。けど無いと今は摘む。使いたくないけど…

 

「はぁ………」

 

いま置かれている状況そのものが不幸だ。いくら非現実だと嘆いても仕方ないけど……

 

「はぁ………」

 

ここまでため息が漏れるはいつぶりだろうか? 親の遺産が尽きた中学入りたて時だったかな? それとも親族が僕たちを押し付けあっているさまを見せつけられた小学生の時? まぁ何でもいいや。当分は働かなくてもいいぐらいの予算はある。

 

なのでこの世界も文字を覚える事を優先しよう。幸いな事に今の私は【小鈴】にも【阿求】にもなれるだ。疲労を気にしなきゃ何とでもなる。 読み書きができるようになってからどう生活していくか考えればいいだろう。

 

ライダーの力も東方の力もあるんだ、やりようはある。

 

「……お姉ちゃん」

 

「なに?」

 

思考の海から戻ってきた女苑に声をかけられたので視線を向ける。難しい顔をした妹から続けざまに言われたことで思わず固まってしまった。

 

「いろいろ言いたいけど、一緒にお風呂入ろ!」

 

未来を悩むより先に今が強敵だったわ………

その後は妹に連れられ浴場へ。ちなみに一切目を開けられずに妹に良い様にされた。はぁ、女になって一番の不幸も知れない。




唐突なキャラ紹介「依神女苑」
東方Projectのキャラに転生? 憑依?した妹。
雷を落とした神を「G」と呼ぶほど嫌っており、声を聴くのも嫌な様子。実は文武両道に天才。しかしながらどこか抜けており、欲しい物は衝動買いする性格。紫苑と一緒に風呂に入れてニコニコのようだ。

活動報告の方で、原作キャラたちのウォッチのカラー&音声を募集してます。
思考の(とき)
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