依神姉妹は幻想逢魔とともに   作:火野ミライ

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捌ノ(とき)「語りべ魔法に憧れて」

目も当てられない戦闘を終え、私達はギルドへと戻って来た。____戦闘の様子? ライダーの身体能力に振り回されていたけど? …………はぁ、不幸だ。

 

正直、思い出すのも語るのも苦痛だ。そんな記憶は隅にやり、倒した狼の角5本を受付嬢へと渡す。倒した数に比べて角が少ないのは女苑がチリも残らず吹き飛ばしたから。女苑が変身した仮面ライダーゲイツのパンチ力は8.5tと常人を遥かに凌駕した物。更に私達姉妹の身体能力は神爺により底上げされている。

 

だから原点のゲイツやジオウより身体能力が上がっているのかもしれない。私達自身が大した力を入れなくても並大抵の相手は撃破できるのだろう。これからは下手に変身できない… けど変身後のスペックには慣れておきたい。

 

「はい。確かに一角狼の角5本、受け取りました」

 

内心ブルーな感情に支配されている内に受付嬢は仕事を進める。彼女に言われ差し出したギルドカードにハンコの様な物を押印。すると魔法陣が浮かび上がり消えた。

 

「それではこちらが報酬の銅貨18枚です。これにて依頼完了になります。お疲れ様でした」

 

ギルドカードと銅貨を受け取り、半分をエルゼに手渡す。さて、これからどうしようか。正直に言ってこのまま戦いで日銭を稼ぐのは割に合わない。なりより私の性格的に合って無い気がする。かと言って、身寄りもない私達がお金を稼ぐ手段なんて……

 

いっそのこと、神爺から貰ったお金を節約しながら……は、目に見えて財政破綻するよな。あ、ギルドって売買の仲介役になってくれるんだっけ? こういう使い方は良くないかもだし、私的にも好かないけどけど、東方ウォッチの中に商売に役立ちそうなのないかな?

 

「ねぇねぇ、初依頼成功を祝ってどこかで軽く食事しない?」

 

「いいね!行こう!!」

 

エルゼの言葉に女苑が賛同する。別に反対する訳も理由も無いので僕も頷き同意するのだった。

 


 

それぞれが注文した飲食が机の上に並び、会話を弾ませながら食事をすすめる。ガッツリめ食事の私と軽食を取る女苑達。やっぱりこういうところで潜在的な男女の違いが出るのだろうか?

 

「それにしてもさっきの2人の姿はなによ!」

 

「不思議な鎧を纏っていましたが……」

 

「それにギルドの時には別人にもなってたし!」

 

不思議な鎧、それがジオウやゲイツの事を指しているのは明白だろう。ファイズフォンⅩと同じく骨頂品と言うのはなんかおかしいし、かと言って他の言葉がすぐに思いつくわけでもない。しどろもどろになり、視線を左右に揺らす挙動不審の不審者の私。

 

目の前に座るシルエスカ姉妹はそれぞれ考察をしているようで私の挙動に気づいてない。だから今のうちに言い訳を考えないと……

 

「__あぁ、アレね。とある遺跡に嵐の雨風を凌ぐために入った時に手にしたお姉ちゃんの力だよ」

 

「それは今朝聞いたわよ。私達が訊きたいのは力を手に入れた時の話よ」

 

「あぁ~~ あれはね____」

 

え、なにそれ。と言葉を溢しそうになるのを寸前で飲み込み妹へ視線を向ける。シルエスカ姉妹もそれは同じようで三人の視線を一身に受け妹は存在しない私達の旅の記憶を話しだした。

 

 

 

 

 

あれはまだ、私達が姉妹2人旅を始めて間もない頃だった… 魔物に襲われ道から外れ激しい獣道すら見当たらない中で嵐に巻き込まれた私達、近くには人里が無ければ生物の息の根すらも聞こえてこないに。

 

それでも必死に生にしがみ付き、強風に晒されながらも道なき身を進み続ける。雨により身体が冷え鉛のように重くなる服。意識が朦朧とし気を失おうとしても時より飛ばされてくる小石に血を流す痛みで覚醒を繰り返す。

 

足元を照らす明かりすらなく永久に続く闇の中をはぐれない様に歩き続ける私達を不気味に風が笑う。それでも諦めず、時折り天を貫き辺りを照らす稲妻の僅かな明かりで地面を踏み外さすに進み続けた私達。

 

精神と体力がすり減りいつ倒れて可笑しくない。互いに励ましあう言葉も必要以上に体力と水分を消費しない為に辞めてからもう、どれだけ立っただろう? これまでの辛い記憶、それでも大切な姉妹の記憶が走馬灯のように脳裏に浮かび上がっては消える。

 

足も思うように動かなくなり生きるのを諦めたその時、視界の端にわずかに映る穴。雨風を凌げるのかもしれない! そんな僅かな希望を胸抱き最後の力を振り絞った私達。ろくな安全確認もとらず吸い込まれるかのように穴の奥へ奥へと進み気を失った。

 

やがて頬に落ちる湧水によって目を覚ましたお姉ちゃんが洞窟の奥から聞こえた音に導かれるように奥へと進んでいく。その足音で目を覚ました私も洞窟の奥へと向かったんだ。

 

そこで私達が目にしたのは不思議な銅像。それにお姉ちゃんが触ったと思うと銅像が輝いたかと思うとお姉ちゃんが倒れちゃったんだよね。慌ててお姉ちゃんに近づくと腹部に不思議なベルト、ジクウドライバーが巻かれていたの。

 

後で目を覚ましたお姉ちゃんが言うには威厳を放つ【八雲ソウゴ】と言う王様にあって、話をして、いろんな人の力を貰ったらしいんだよね。その力の一端がさっきの鎧で、お姉ちゃんが姿が変わるのこの力のおかげ。私はその一部をお姉ちゃんから借りているの!

 

 

 

 

 

「__ちなみに後日、銅像のあった洞窟に向かったんだけどそこには無いも無かったんだよね~」

 

不思議だよね~っと気楽そうに話す妹の姿を横目に溜息を零しながら、紅茶を口に含む。なんと言うか、頭が痛い。普段の不幸よりも変な誇張も混じってる分、きつい。だけどシルエスカ姉妹も納得はしてるみたいだし、神爺あたりの話はしたくないし仕方ないのか…… はぁ~、不幸だ。

 

昨日の夜に大雑把に決めた設定からさっきの話を咄嗟に思いつくのはさすが天才。妹と自頭の違いを痛感。しかしシルエスカ姉妹がいる手前、口出ししなかったけど八雲ソウゴって………… もうちょっと他のものがあっただろうに……

 

内心呆れながら残りの紅茶を一気に飲み込む。

 

「…ケッホ!」

 

ヤバ、気管に入った!?

 

「あ、リンちゃんに頼みたい事があるの! ねぇ、魔法を教えて!」

 

「「え?」」

 

瞳に涙を浮かべながらせき込む私を他所に女苑がリンゼへ頼み事。その内容を聞いたシルエスカ姉妹が驚愕の声を零す。その事に唖然とした表情を浮かべる妹とに丁寧に説明してくれた二人。なんでも魔法を使うには生れながら適正が必要みたいだ。

 

しかしライダーにも東方キャラにも魔法を使う者達はいる。そんな彼・彼女のウォッチを使うのではだめなのだろうか?

 

いや、妹の事だ。単純に先の戦いでリンゼが使っていた魔法を使ってみたいのだろう。現に適性を確かめる方法をリンゼに聞いてる。必死な女苑の様子にリンゼは懐から小さな宝石、【魔石】なんて言葉の響きそのままの物を取り出して属性の検査を始めた。

 

「…では唱えてください。適性があれば水が生まれる………はずです」

 

彼女達の会話を横目にフォークを肉に突き刺して口の中へと運ぶ。しっかりと噛み味を堪能しながら横目で女苑の様子を見てみれば、リンゼに受け取った青色の宝石を手に空となったコップへと視線を向けていた。

 

「水よ来たれ。きゃっ!」

 

「へ……?」

 

そしてリンゼに促されるまま呪文を口にすると魔石は光を放ち、魔力を水に変え放出。蛇口を思いっきり開けた水道管の如く流れる流水。その勢いに驚いて立ち上がった女苑。その影響で水の矛先が私に向いた。避ける暇もなくもろに受ける事となり、水圧で吹き飛ばされ壁に打ち付ける。

 

その様を後に女苑は【ウォーターモジュールの水圧で吹き飛ばされ、木に身体を打ち付けたダスタードの様だった】と感想を零したのだった。




唐突な設定紹介「女苑の創作冒険日記」
本作の第2主人公である彼女の脳内はこの世界で自分達が冒険したと言う妄想の記憶が渦巻いている。それは自分達について尋ねられた時に答えられるように。
しかしながら紫苑と共有しているのは頭の中に思い浮かんでいる物の一部であり、毎回唐突に出される存在しない歴史に紫苑は振り回されているようだ。

活動報告の方で原作キャラ達のウォッチのカラー&音声を募集してます。
思考の(とき)
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