前回変身できなかった牙竜だが果たして…
(牙竜視点)
「ハザードレベル2.5、常人レベルか……」
「嘘だろ……」
さっきの戦いで俺が変身できなかった理由はすぐに分かった。
戦兎さんに測ってもらったけど5.0を超えていた俺のハザードレベルは半分もなくなっていた…
「なんでこんなことに……」
「恐らく君の話を聞く限り今まではエボルトが憑依していたからどんどんハザードレベルが上がっていたけど異世界で離れ離れになってハザードレベルが下がってしまったってとこだろうな。」
「クソッ……」
悔しいッ……結局俺はあいつがいなきゃなんも出来ねえのか……
うずくまる俺の腕に目から出てきた熱い液体が付着する。
「つってもまあ、なんとかなんだろ、」
「え?」
その時俺の隣に座って背中をパンと叩いてくれたのは万丈さんだった。
「俺もエボルトの体の一部が入ってたお陰で戦えてただけだったし、一回あいつと分離して変身できなくなっちまったこともあったしな。」
「アンタも色々あったんだな…」
「そうだ、コイツは親も恋人も失って冤罪で捕まってもめげずに前に進み続けた。」
戦兎さんも俺の隣に座って話始める。
「確かにただの筋肉バカだけど、"誰かを助けたい"、"誰かの為に戦いたい"って思いがあったら何があっても立ち上がる。それが仮面ライダークローズ、万丈龍我って奴だ。」
そうだよな、俺はヒーローとして、仮面ライダーとして戦う気持ちや覚悟ってのを見失いかけてたのかもしれねえ……
こんな時だからこそ、気をしっかり持って戦わねえと……
「って、俺はバカじゃねえよ!プロテインの貴公子だ!!」
「それダサいから辞めといたほうが良いって」
「ダサくねえよ!!」
「フッ……ハッハッハッハッハッ!おもしれえな!2人共!」
ホント面白いぜ、この2人
「ようやく笑ったな」
「ようやく……?」
爆笑した俺を不思議そうに見て戦兎さんも笑いながら言った。
「お前ここに来てからずっと笑ってなかったけどやっと笑ったな、」
「そうだったのか、全然気付いてなかった……」
俺、色々と考えてて全然笑えてなかったんだな……
「戦兎、龍我、準備できたぞ。」
「お、じゃあ早速行くか」
この世界のグリスの変身者が急に部屋に入ってきたかと思えばそのままとある場所まで連れていかれる。
(三人称視点)
「さあさあ色々と作ったしじゃんじゃん食ってけ」
「「「いただきまーす!」」」
ここはカフェnascita、石動惣一が切り盛りしているカフェであり、絶品なコーヒーとその他洋食類の味がたいそう評判がよく、マスターの娘であり看板娘、石動美空のにも定評があり普段はかなり繁盛している店だが、今日は桐生戦兎、万丈龍我、下間牙竜を始めとした仮面ライダー変身者達とジャーナリストの滝川紗羽らが集っており、テーブルにピザやパスタなどの食事が置かれ各々好みのドリンクを持って乾杯をしている。
(しかしここのマスターホントエボルトに似てるよな~)
今日は牙竜を歓迎するためにと戦兎らが店を貸し切ってのパーティーである。
マスターの惣一も
「美空の恋人たちのお願いだったら幾らでも聞くよ~」
と了承してくれていたが、そのマスターの面影は牙竜の相棒のエボルトの人間態と瓜二つであったため、牙竜はどこか懐かしさを感じながらも置かれていたじゃがバターを口に運ぶ。
「ん!ホクホクしててうめえ!!」
「だろ?そりゃ美空の父ちゃんが作ったやつだもんな。」
「おう、それにこのじゃがいもは俺が育てたしな、」
じゃがバターを食べる牙竜の横に万丈と仮面ライダーグリスの変身者である猿渡一海が座って猿渡ファームのじゃがいもを自慢する。
「このじゃがいもアンタが作ったのか!?」
「おう、丹精込めて育てたからしっかり味わってくれよな!」
「ああ!」
猿渡ファームご自慢のジャガイモで作られたじゃがバターは牙竜によって一瞬にして食いつくされた。
「ねえねえ、君他の世界から来たって聞いたけどどんな世界なの?」
「俺の世界?俺の世界だったら皆個性って能力を持っててそれを悪用する人間もいれば個性で正義のために戦う俺達ヒーローもいるって感じだな。」
続いて飯を食う牙竜にジャーナリストである滝川紗羽が彼の世界の話を興味津々に効いている。
「まるでマンガみたいな世界ね。」
「そうか?俺にとっちゃ当たり前のことなんだけどな、」
異世界から来た存在という牙竜に対して彼女は一人のジャーナリストとして非常に興味が湧いていたがその恋人、氷室幻徳が間に割って入る。
「もしかしてその服もお前の世界で買ったものか?」
「おう、」
「向こうの世界もここの世界の服と似た服が多いようだな。」
「まあな、つっても個性の関係で体がゴツイ奴とか腕が数本生えてる奴もいるからそいつら向けの服も売ってたりするぜ。」
牙竜達が暮らす世界も桐生戦兎達が暮らす世界と同様のメーカーの服等もあるが、牙竜のクラスメイトの障子目蔵や尾白猿尾の様に個性の関係で普通の服を着れない人のための特別な服やオーダーメイドの服もあったりする。
「しかしこの服、所々傷が付いているな……」
「そうね、少し汚れている気もするわね。」
幻徳と紗羽がじっと牙竜の来ている服を見つめる。
「あーそっか、俺この世界に来てから着替えてねえんだよな。」
「そうなの!?戦兎君!着替えの用意とかしてあげなかったの!?」
「あ!すっかり忘れてた!」
合宿の後からここまで牙竜に着替える暇もなくそもそも自分の世界から着替えを持って来れてすらいなかった。そして戦兎達はこの状況の解析や、このパーティーの方に気を取られ着替えのことをすっかり忘れていたのだった。もちろん牙竜もそうである。
「そうか、なら俺が服を用意しよう。」
「え?いいんすか?」
「ああ、任せろ」
牙竜の着替えを用意しようと申し出た幻徳の様子を見て龍我と一海が顔を見合わせて
「なあ、これ嫌な予感がするんだけど…」
「ま、そうだな、けどこのまま泳がせちまった方が面白いんじゃねえか?」
「ん?なんでだ?」
「まあ、見りゃ分かるって…」
数分後…
幻徳に選んでもらった服を着た牙竜が店の中央に立つ。
「なんかちょっとあれだな……」
「幻さんセンスちょっとマシになった?」
幻徳の勧めた服を着た牙竜だが嘗ての様にぶっ飛んではいなかったため、一海と戦兎は少し微妙だなというリアクションを見せつつも
「つってもこの組み合わせだけはダメだろ」
ズボンはちゃんとお洒落な若者が履くような黒いチェーン付きの少し緩い感じのもので牙竜もうまく着こなせてはいるが……
「確かに、Tシャツの文字だけは何とかしたほうが良いな。」
だが問題はTシャツの方で、普通の黒いTシャツにすればよいものの紫色のフォントで大きく"不退転"と堂々と書かれている。
「ん?なんで皆微妙なリアクションなんだ?俺はカッコいいと思うぜコレ」
だが皆の微妙そうなリアクションに対して牙竜は疑問を感じていた。
「え?もしかしてお前も……」
「まさかな……」
それにこの服をカッコいいと言った牙竜の発言に戦兎と龍我らはまさかなと言った表情で牙竜の方をじっと見る。
「なんつって、冗談冗談wこんな堂々と文字書いてんのは流石にダセえ」
「な、なんだとッ……」
だがそれは牙竜の冗談だった。
まあ彼の周りでこんな感じの文字Tを着ているのは友人の緑谷出久ぐらいだろう。
そして一瞬上げて落とされた幻徳がハッとした顔をするが、
「けどこの不退転って言葉、確か信念を持ち、"何事にも屈しない"って意味だ。いい言葉だぜ、気に入った!」
「そう言ってもらえて感謝だ。」
と牙竜の言葉で場が和んだかと思えば誰かが荒々しく扉を開けて入ってくる。
「仕事がようやく終わったー!」
「あ、内海さん」
「ウツミンと呼んでください。」
「はいはい、ウツミン」
その人物は作業服と黒ぶちの眼鏡が特徴的な男
仮面ライダーマッドローグの変身者である内海成彰だ。
「アンタはさっきの」
「ええ、他の世界から人が来ていると聞いて慌てて作ってきましたよ。」
そう言うと牙竜は内海から鉄の棒を受け取る。
「ありがとう……けどコレなんだ?」
「これは我々難波重工が作った傑作、難波スティックジーニアス!!これをあなたの世界に届けて難波重工の素晴らしさを是非伝えてください!」
「お、おう……」
内海の圧に断るのも申し訳ないと思った牙竜は渋々難波スティックジーニアスを受け取る。
「皆―!今日はカズミンの希望で一夜限りの復活~!皆のアイドル―!」
「「「「ミ~~タ~ン!!」」」」
その後店では一海の要望でネットアイドル時代風の衣装で登場した石動美空のライブが始まり、一海を始めとした彼女のファン(3羽ガラス)がヲタ芸を披露して盛り上げる。
「私のライブはどうだったかな~?」
「最高だぜー!!」
牙竜もその盛り上がりに順応して楽しんでおり、それを見て戦兎と龍我は…
「元気になったみたいで良かった。」
「流石戦兎、パーティーでアイツを元気にするっていいアイデアだぜ。」
「ああ、作戦は成功したし俺達も飯を楽しみますか、」
「おう!まだ食い足りないぜ!」
その後皆深夜まで騒いで店で寝てしまい、それを見た石動惣一がこっそり皆に毛布を掛けてやったのは語るまでもないだろう。
To be continued
ということで今回は牙竜を元気にするためのパーティー回でした。
今話タイトルのParty time togetherって実は僕の好きな曲の名前なんで良ければ一度聞いてみてください。
ではまた次回!