レーベン「がっはっは! ギルド団長のレーベンだ! お前も冒険者か? 一緒にクエストに行こうか!?」
大声でまるでテーブルも震えているかのような錯覚さえ覚える。
レーベン「今回は魔物についてだな! 世界には魔物が沢山いるぞ! それこそダンジョンの中、海底にも、地表には小型しかいないがな! 海の中には重力の関係で大型の魔物が生息しやすい……らしい。それ以外には海竜の影響でマナが豊富に蓄えられる魔物が巨大化する例もあるが、水底に擬態して獲物を待つ魔物、体と殆ど同じ浮き袋を持つ魔物、ああ魚に足が生えた奴もいるぞ! あれに嫌悪感を持つのは多いらしいな、ガハハ!」
再び台本を捲る。
レーベン「おう、それじゃまたな!」
ココ達が準備したボンベ状の物を受け取るフーリ。
「それが水中で空気を作り続ける植物を閉じ込めてある。先端を咥えれば、水中でも呼吸が出来るわ」
ボンベの先を咥えると、確かに普通の呼吸と同じ様に息をすることが出来た。
「それじゃあ、水中での動きも何か方法があるの?」
レーベンがフーリの言葉に対し、否定する。
「態々マナの豊富な水中で陸上と同じ動きをする必要はないだろう」
フーリが疑問に思うと、ココが説明する。
「この星の中心に近づくほどマナが多くなるのは知ってるね?」
ココの言葉にフーリは頷く。
「だから、地下に続くダンジョンにはレアな鉱石とか強いモンスターがいるんでしょ。地下に広い空間があったり、様々な生態系を形成したりしているのは、マナが濃くなっているから、であってるよね」
ステラが頷き、次に海について説明する。
「そう、そして海は地上よりもずっと星の核、マナが生まれる中心にずっと近い。まぁ、場所によって条件が変わるので、どこでもマナが濃いわけでは無いですが、濃いマナが表層に流れ着く事もあるくらいです」
レーベンの大声が続く。
「マナが多い方が動きやすいだろう。大丈夫だ、がっはっは」
そういうと、一行は出発する。
一行が辿り着いたのは、孤島の端、海に面した崖の上だった。
「も、もしかして?」
フーリの疑問が的中する。
「ここが深海への入り口だね。お先」
そういうとココと団長は海に飛び込んでいく。
「さあ、私達も行きますよ」
「い、いや、私は……」
ステラに腕を引っ張られてフーリも海に潜っていく。海に潜ると深く深く沈んでいく。周囲には何も無い、ただただ、深い蒼が濃くなってやがて漆黒になるだけだ。
「この辺りは潮の流れが速いから、魚もほとんど寄りつかないの」
更に深くに進んでいくココとレーベンを見て、自分も潜ろうとするが、もがいているだけで距離はどんどん広がっていく。
「それじゃ潜っていくことも出来ませんよ。さっき聞いたでしょう。マナの流れを操るんです、まぁ、そんなことしなくても深海には行けますが」
そう説明するステラは自然体でいる。
「しなくても深海にって、どういう?」
疑問が解決する前に、大きな唸り声が聞こえてくる。音がする方向に目を向けても、深い蒼が広がっているだけ、何も見えない。地上と違って思った通りに動けないこともあり、不安もありステラにしがみつくフーリ。
「ほら、潮の流れが速いって言ったでしょう? ここは海流が深海に向かっていく場所なの。だから、流れに身を任せれば自然と深海に辿り着くんです」
そういうと襲いかかってくる巨大な流れに身を任せる一行。
「はぁはぁ、死ぬかと思った」
流れに沿って辿り着いたのは海中の底、海底だった。
「よぉし、海底に着いたな。さて、珍しい物は落ちてないか?」
そういって海底を歩き始めるレーベン。
「あ、あれ、目的はこの辺りの漁船を襲う海竜種を倒す事じゃ?」
フーリの言葉に、ココが答える。
「海竜種が見つかれば、ね。この広い海の中で出会えたらの話だよ。見つかるまでは折角海底まで来たんだから珍しい物でも持って帰らないと損だろう」
そういって、ココも歩き始める。
「はぁ、そういうものなの? というか、普通に歩いて行っちゃったけどなんで歩けるの?」
そう言いながら、自分でも海底に足をつけていることを確認する。そして、歩き始める。
(ここまで深く潜ってしまえば、強くなった重力と水圧で海底を地上と同じように歩けるんです。移動などには制限が掛かりますが、マナを上手く使う事が出来れば地上よりも早く動けるはずです)
再び確認して、マナを操作し自分の手足と同調させると地上よりも早く動ける事が出来そうだ。
「海竜種が見つかったら、報告して下さいね。見通しが悪いので、魔術でのやりとりで」
そう言うと副団長も歩き始める。それぞれが思った方向に歩き始めた。
歩き続けていく内に、海底には色々な物が流れ着いている事に気付いた。水棲生物だけでは無い、死骸。道具や武器、鎧、はては建物の残骸まである。
「めぼしい物かぁ、いや、別に欲しい物が有るわけでもないし」
独り言を呟きながら歩いていると、妙な鉱石も見つかる。
「魔力が籠もった赤い石、どこかで見たことある様な」
そう呟くと、リリィが答えを出す。
(賢者の石に相当する物と判断されます。私と同様の物ですが、時間が経っているか、別の要因で意識はなさそうですね)
「えっ、リリィ以外にも居るんだなぁ。どうしよう……」
取りあえず、拾ったが次に目に入った物に驚く。それは、自分の体よりも大きな鱗だった。
「こんな奴が、もしかしてこれが漁船をおそったやつのか?」
(不定。報告にあった海竜種のサイズとは異なります。更に大きな、古代種によるものと思われます)
「古代種?」
(長命な個体で、一般的な生態系から離れた生命体をそう呼称します。巨大な種は他に類を見られないことから、特殊な個体推測されます)
リリィの言葉に胸をなで下ろすと、ココから連絡がある。
「見つけたぞ!」
蒼い鱗を纏い、体躯と同じほどの尾を海中にたゆたわせる。長い首の先にある頭部には太く強靱な角が生えており、牙も鋭く獰猛な肉食性を見せている。
「さぁ、俺が行く。後ろは任せるぞ」
団長が一番最初に飛び出し、大剣が斬りかかる。鱗の表層を切り裂くが、目立ったダメージは見られない。
「フーリ! あまり前に出るな!」
ココの声がフーリを抑える。ココとフーリは後衛に立つことになり、ステラがその前に陣取る。海竜種が口を開くと、溜め込んだ水流が団長を襲う。
「当たるかよっ」
水中ながらの動きで、反転しその攻撃を避ける。その隙を狙い、ステラの双剣が海竜種の首を狙う。魚竜種を容易く切り裂いた技も、海竜種の鱗との甲殻に阻まれ大きな傷にはならない。
「穿て、水流の弾よ!」
ココが魔術を使い水圧の弾が放たれるが、海竜種を少し仰け反らせただけに留まった。海竜種の背中に集まっている甲殻と器官がエネルギーを発生させ、周囲を襲う。
「ぐあぁぁああ!」
レーベとステラが攻撃を受け、弾き飛ばされる。大きな傷にはなっていないが、海流種と大きく距離を離される。
グォォオオオ
海流種は唸り声を上げ、その場所から泳いで離れていく。
「で、どうする?」
レーベの言葉が響く。海流種にやられた傷は、回復魔術で元通りだ。
「え、追いかけないの?」
フーリの言葉に、ステラが答える。
「勿論、追いかけるという選択肢もあります。ただ、無闇にあいつを探し回る必要も無いかと」
(海流種は比較的最近この海域に現れた様子。棲み着いている訳でも、巣を作ったわけでも無ければ、再びこの海域現れることもないでしょう。なにより、古代種の存在が海竜種を近づけさせない可能性も高い)
リリィのの言葉に頷くフーリ。
「それじゃ、古代種がいるから安全、ってことになるのかな」
フーリの言葉に三人が驚く。
「こ、古代種がいたの!?」
「いや、鱗は見つけただけ」
それにステラは胸をなで下ろす。
「古代種の痕跡があるのなら尚更ですね。先程の攻撃に脅威を感じていれば、海流種もこの場所に留まることもないでしょう。もう少し探索して、痕跡を見つけられなければ今回の冒険は終了としましょう」
一同はその提案に頷き、再び探索を開始する。
読了ありがとうございました。
これから毎日小説をアップしようぜ(某ジ風
皆さんは食生活を気にしてますか?
私は野菜をとるようになりました。
お腹周りが……ね。
それではまた、明日以降の暇時に。