ステラ「初めまして、ギルド副団長、ステラと申します。よろしくお願いします」
軽くお辞儀をして、台本を捲る。
ステラ「今回は、古代種、ですか。一言で言いますと、よく分からない、ということです。発見例がまず少ないので、何処で生まれて、何処で育っているのかすら分かりません。殆ど全てが強力な個体ですので、恐らくはダンジョン深部で誕生しているのではなか、という説もありますが。あまりにも他種族と違うものや、姿形が従来の魔物に近いが全く違う個体については、この星の外からやってきたのではないか、という説が出る程です。……私はまだ遭遇したことがないので、何とも言えませんが」
再び台本を捲る。
ステラ「お時間のようですね。それでは、冒険の一部をお楽しみ下さい」
声が聞こえる。それは誰の声なのか、何を言っているのか分からなかったが、兎に角自分に向けられている言葉だと言うことは分かった。
(音や振動の類でそのような物は感じられません)
リリィがそう告げていると言うことは、魔術による思念の様な物かも知れない。或いは罠かも知れない。
「行こう」
声の元に、進む。不安が無いわけではない、恐怖よりも好奇心が勝ったというわけでも無い。ただ、この異世界の海の底で懐かしさを感じたからだ。
(古代種、それも超大型です。この規模では伝承に残されている物でもそう多くはありません)
リリィの言葉にあっさりと納得出来た。視界全てを使っても収まりきることの無いその巨体は、山か雲か、大自然のそれに近い。
「このような海の底で、知性を持つ個体に出会うのは珍しいな」
その古代種は、明確に言葉を発した。それにはリリィも聞こえた様だ。
「貴方が私を呼んだんじゃ無いの?」
フーリの問いに頷く古代種。
「そう、私に近しい存在があれば、問いかけもするだろう。ああ、余り邪険にしないでくれ、久方ぶりの話し相手じゃ、少しゆっくりしていってくれんか?」
どうにも、話し方なのか、巨体の割に親しみ易い話をすることに肩に入っていた力を抜くフーリ。
「話し相手って……構わないけど」
海流種の事もあるので、長居をするつもりはなかったが、相手は古代種だ。話をする事も貴重かもしれない。
「前に会話をしたのは何時だったか。それで、海底には何の用で来たんじゃ?」
古代種はフーリの目的を問う。
「海上の村の漁船を襲う海流種がいるの。漁にも出られなくなるから、ここから離れて貰うか……とにかく、安全にするためにここに来た」
正直に話している内に、海流種を狩りに来たことを話したことを後悔する。もしかしると、同族意識を持っていた場合、大変な目に逢わないとも限らない。
「ああ、あやつか。儂に怯えて水面近くまで逃げておったか。何故狩らぬ? もしかして、儂が居るからか?」
フーリは驚く。
「狩猟については、何も無いの? まぁ、さっき逃げられたばかりだから、狩るも何もないんだけど」
古代種は首を傾げた。
「儂と同じ転生者であれば、あれぐらい訳は無いと思うたが……まぁ、転生したばかりであれば仕方がないのかのぅ」
驚きの余り、声も出ないフーリ。
「あぁ、出会ったこともないのか。数は少ないからの、無理も無い話じゃ。初めて会うのが儂なのは珍しいがの」
古代種は自分の生まれについて、話し始めた。約二万年前にこの世界に転生してきたこと、転生する前は小さな魚で、大人になる前に死に絶えた事、この世界に来る時に神なる存在に出会っていた事。そして、転生してきた者は、フーリと古代種だけではないということ。
「他にも居るよ。まぁ、儂の様に知性を手に入れるまで何百年もかかるのは稀じゃがな。千年二千年程生きて、先に逝った者も居るがな」
時間の感覚が違いすぎて、驚きが隠せない。
「ま、待ってくれ。この世界の人間はそんなに長く生きるのか!?」
転生者とはいえ、人間だ。冒険者達が特別短命だということだとすれば、分からなくも無いが。
「いや、違う。転生者が特別長命なのだ。神と名乗る者の話を聞いただろう? 魂という資源は貴重なのだ。他の星から来た魂をこの星に定着させるために、長い時間が要る」
それが短くても千年単位だということだ。無論例外がないとは言い難いが。
「リリィ、貴女から見て私は特別?」
転生したこと以外にフーリは特別では無いと思っていた。フーリの能力の殆どは、取り込んだ賢者の石の効果によるものだと、思い込んで居た。
(本来であれば、賢者の石を取り込んだ時点で、主導権を取り合うはずなのです。人間の体に、魂が複数存在するのは難しいのです。しかし、貴方の体は難なく受け入れた上で、フーリという自我に全く影響が見られません。他にも、他者よりもマナを感知する能力を始め、許容量や耐性の高さは、種族の範疇を大幅に超えていると思われます)
リリィの言葉を聞いて、改めて自分が転生者だと理解する。
「そう言えば、他の転生者が言っていたな。与えられた肉体は、魂の牢獄だ、と」
この惑星に閉じ込める為の容れ物なのだ、と。
フーリはリリィに尋ねた海流種をおびき寄せる魔方陣を準備し、その中心で待つ。広大な海の中でも、フーリを見つけるまでに然程時間は掛からなかった。
「ごめんね、君で試させて貰うよ」
自らに刻んだ魔方陣を発動させ、海流種がその小さな体に牙を立てる。皮膚は破れ、肉を裂き、骨に罅を入れる。だが、それでも、フーリの動きは全くと言って良いほど鈍ることは無かった。発動した魔方陣が急速にその体を修復していく。牙を立てて尚、微動だにしない人間に驚き、巨体をうねらせ引き裂こうとするが、それを上回る速度で再生していく。フーリの両腕が顎を掴み口を開かせると、貫手が口腔から脳天へと貫く。海流種が数度体を痙攣させると、動かなくなる。横たわる海竜種に背を預け、フーリが問う。
「ねぇ、リリィはどうなれば死ぬの?」
独り言の様なそれに普段と同じ様にリリィが答える。
(核となる賢者の石にマナが流れていない状態が続けば、意識は消滅します。具体的に言うとフーリの肉体から離れて長時間持ち主が現れなければ、自我が消滅します。他には、核となる賢者の石が破壊されれば、それもまた消滅するでしょう)
リリィの言葉に、フーリは更に問いかける。
「時間が流れても、消えないんだね」
静かな問いに、ただリリィは肯定した。
「そっか、それならいいんだ。行こうか」
魔術で仲間達に連絡を取り、地上を目指す。
読了ありがとうございました。
これから毎日小説をアップしようぜ(某ジ風
人狩り行こうぜ!(誤字
いけてねぇんだよなぁ、これ(小説)の所為で(笑)
ポケットなモンスターも発売してんのかなぁ、まだかなぁ?
それではまた、明日以降の暇時に。