異世界転生で白魔導士   作:3148

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協会の制服に身を包んだ女性がぺこりと頭を下げる。
ルージュ「こんにちは、協会の受付嬢ルージュです。本日もよろしくお願い致します」
すらりと伸びた指が、台本を捲る。
ルージュ「今回は協会における評価態勢の解説をさせて頂きますね。冒険者の皆様方から形骸化の一途を辿ると言われ続けていますが、私達もそう思います。そもそもの起源が協会から依頼を一般の冒険者に渡す事が多くなってきた過渡期に出来た制度であり、ダンジョンの表層部までかそれ以降の深部に向かうかどうかを仕分けしており、難度の高いクエストを渡して良いかどうかの指標、その実力を測る為の試験でした。つまり、合格者と非合格者の二つしか無かったわけですね。それが現在、ペーパークラス、ブロンズクラス、シルバークラス、ゴールドクラスと分けられています。ペーパークラスというのは、冒険者になったばかりであり、受注を制限される期間の事です。一定期間もしくは一定数のクエストを問題なく達成して頂ければすぐにブロンズクラスになり、特に試験はありません。試験があるのは、ブロンズクラスからシルバークラスへと昇級する場合のみですね。ゴールドは……まぁ、名誉みたいな物ですので、特に意味はありません。強いて言えば、この地方のゴールドクラスが、という語り始めがあれば、分かる人には誰か分かる、というぐらいなのです」
はっ、と気付いたかのように受付嬢が頁を捲る。
ルージュ「すみません、時間が過ぎていましたね。それでは、フーリさんの物語はこちらになります」


第二十話 ダンジョンと下水道 後編

 ケルベロスの死体を確認していくと、どうやら三つ目の頭は既にどこかで紛失していたようだ。

「何かと闘って首の一つをとられて、判断能力を失ったか、極端な飢餓状態に陥ったか……なんにせよ、地表付近に現れる魔物じゃない。ダンジョンの奥深くで何かがあったんだろうね」

ケルベロスが地表付近の巨大ネズミを喰っていたため、繁殖した大ネズミの大半がその腹の中に収まり、それから逃げ出したネズミが地表に出てきていた、ということだ。

「ふーん、それじゃあ、依頼は達成ってこと?」

「原因は突き止めた。これで被害が拡大しないようであれば達成したと言っても良いだろう」

キセキの言葉もそっちのけで、ココは新しい研究素材に興味津々らしい。ケルベロスの死体を運ぶ段取り進めている。

「あとは警備団の場所を借りて、こいつを解剖させてもらうよ。地下で起こった事の内容が少しでも分かるかも知れない」

そこから数日間でも巨大ネズミが現れるかどうか警備隊と確認すればこの任務も問題ない、とココは言う。

「ふーん、ま、いっか」

 

 ケルベロス討伐から一週間が経つ。警備から帰ってきたフーリが、休んでいたキセキに声を掛ける。

「おつかれー、今日もいなかったよ。もう大丈夫じゃない?」

数日前と比べて警備隊の意識も墜ちてきている。中には、暗くなってきたとはいえ欠伸をかみ殺している姿も見えてきた。

「まぁ、ケルベロスが地表付近に現れたことも関係しているだろうな」

下水道からダンジョン表層部に逃げ延びた個体が多いのかも知れない。そうなれば、この繁殖期に街に現れるのはもう数えるほどだろう。

「そういえば、ココに話は聞いたか?」

警備隊から飲み物を受け取り休憩に入るフーリが首を傾げる。

「えっ、ケルベロスより上位の魔物がいたの?」

キセキの言葉にフーリが驚く。

「上位の魔物と闘って、追い詰められて表層に来た、だろうと言う話だ」

不自然に無くなっていた首の一つもその時だろう、とココが言っていたらしい。となれば、クエストに上位の魔物が出るかも知れない、と呟く。

「へぇー、そう言えば高位の魔物の討伐とかは行ったことないなぁ」

フーリの呟きにキセキが溜息をつく。

「ルージュの前で言うな。面倒ごとになる」

その言葉の意図を尋ねると、協会側が意図的にフーリの階級が上がらないようにしているという。

「階級って、ブロンズとかシルバーとか? 確か私は、ブロンズか」

基本的にはシルバー以上であれば特にクエストに制限はない。ゴールドという階級の殆どは協会への多大な貢献をした冒険者、或いは勇者と呼ばれる者に送られる称号のようなものだ。

「事情は幾つかあるだろうが……シルバークラスのクエストに引っ張れると一番数の多いブロンズクラスの白魔導士の数が足りないというのが本音だろうな」

他にも依頼金の上昇や他ギルドからの勧誘など、協会から懇意にされているが故に不都合が生じる、らしい。

「どうすれば上がるんだっけ?」

「経歴と貢献、そして試験だ」

経歴と貢献に関しては数えるまでも無くクリアしている。だがしかし、フーリがシルバークラスに昇格するための試験に誘われたことは皆無だ。確かに他人が試験がどうのこうのという話は耳にしたことはある。そして、他人の報酬もクラスに因って変わる事があるのも知識としては知っている。

「別に、上位の魔物討伐に興味があるわけでも無いから良いけどね」

フーリとキセキは退屈そうにココの研究が終わるのを待つ。そこから数日後にはクエストから解放されて街に帰ることになる。

 

 




読了ありがとうございました。

これから毎日小説をアップしようぜ(某ジ風

各キャラのイメージっている?(唐突
正直に言うとふわっとしたイメージしかないから、その時の流行と趣味に流されてる感が半端ないけど(笑)

それではまた、明日以降の暇時に。
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