異世界転生で白魔導士   作:3148

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まだ少年と呼べる背丈の男性が、剣と盾を背中に背負う。
カイル「はい、冒険者のカイルです! よろしくお願いします」
高少年と呼ぶに相応しい爽やかな挨拶、その後台本が開かれる。
カイル「今回は遺跡について、ですね! 遺跡の定義は失われた文明によって築かれた建築物、或いはそれに準ずる物です。この失われた文明については人に寄るものが全てではありません。魔物も社会コミュニティを形成することはありますので。ただ、その場合はダンジョン内部になってくるので発見は難しいし、発見例は少ないですね。地表にある物は大体が魔物に寄って滅びたり、魔術などの研究過程で汚染などで放棄された遺跡だったりします。魔術に関してはそういう遺跡の方が神秘に近づく物が発見されることもあるし、特異な環境で時間とマナが重なるとかなり貴重なアイテムが発見されることもあるみたいですね、冒険者にクエストが依頼されることもあります。ピラミッドなんかは建物の殆どが地下深くにあり、ダンジョンと接している物も発見されてます、こちらも同様に貴重なアイテムや魔導書が見つかるかも、ということですが……崩壊の原因の魔物が住み着いている、なんて場合は危険度が高いので気をつける必要があります、怖いですね」
爽やかな笑みで台本を捲る。
カイル「時間ですね。フーリさんの冒険の話みたいですね、僕も興味があります!」


第二章 第二十六話 空を夢見る蟲、地に籠もる幼子

 頭部だけでもフーリの数倍はあるドラゴンは同じく古代種、つまりは転生者だと言う。

「ほう、人から人への転生か。長生きしてみるものじゃな。珍しい物を見た」

話せば、一万年は軽く生きているらしい、海底にいた古代種よりは若いと豪語しているが、一万も二万も、百もの生きていない人の身からすれば違いは知る術も無い。

「ちなみに、元はなんだったんですか?」

「いわゆる蝉だな。ははっ、一万年経っても生まれる前のことを覚えているのも難儀なものだ」

どうやら、生まれ変わる前の記憶をはっきりと覚えている様だ。長い間地中に潜り、地表に出ることを心待ちにしていたこと。やっとのことで地表に出るが、羽が未成熟だったらしく空を飛ぶことは叶わなかったこと。地を這い回った絶望の内に、他者に捕食され生涯を終えたこと。楽しそうに語る古代種には、絶望等という感情は微塵もなかったが。

「神を相手しても、何が何やら分からなかった。唯只管、生きていたい、空を飛びたい、そう囀っていたよ」

若い時には、空を飛んだり、ダンジョン内を飛び回ることもあったが、今では移動することすら然程無い。

「あれほど空と自由に憧れていた儂が、再び地中で半ば眠る様に過ごすとはな。因果なものだのう」

古代種の話をずっと聞いていたい気持ちもフーリにはあった。なにより、他の話も聞いてみたいところだが、あまり長居をしすぎては協会からの捜索が出されてしまう可能性もある。

「また来ます。その時にはまたお話をしましょう」

名残惜しそうにする古代種の顔に少し親近感を募らせると元来た道を戻る。それから古代種の二体には会話をする事が増える事になった。

 

 カイルが歓び勇んでカレンに声を掛ける。

「見つかったよ! ドラゴンを倒した武闘家!」

依頼の一つを持ってきたカイルは、嬉しそうに依頼の内容を語る。

「東の遺跡の調査とモンスター討伐、ねぇ」

カレンは少々難しい依頼かも知れない、と感じた。古代遺跡は、人間かそれに近い知恵を持つ種族に作られた文明の跡だ。それが崩壊したということは、何らかの原因によって住処を追われたと言うことになる。それが過去の人間の文明だった場合の多くは地殻変動によるマナの増加、この場合が殆どだ。

「マナも多いって聞くし、魔物も強力だけど、武闘家さんが居れば大丈夫だよ!」

カレンはカイルの言葉に曖昧に頷く。ドラゴンを倒した、という噂が本物であれば、相当の手練れだ。実力は申し分無いはず。それにカレンとカイルもそう簡単に魔物に引けはとらない。だが、マナの多いダンジョンへの探索となれば話は別だ。探索の為の知識と必須となる回復魔術。この地方に好きこのんで協力してくれる白魔導士はいないだろう。

「普通なら、白魔導士がパーティにいる連中しか受けられないけど……」

既に二人申請してあるのであれば、残り一人は自動的に協会からの派遣になるだろう。普通の白魔導士であれば、何かしら理由をつけてこの冒険には参加しない。

「素人が来なければ良いけど」

メンバーが集まらない、その可能性も充分にあると思いつつ、準備を進める二人。

 

 カレンが予定の場所に辿り着くと、顰め面になる。

「あ、あの時の魔術師さん!」

フーリが嬉しそうに手を振る。その横には武闘家らしき女性が腕を組んでいる。

「連絡があった二人だな。私の名はオーソ。早速出発しよう」

「はいっ!」

カイルが元気いっぱいに答える。

 

 カレンが前を歩く二人に聞こえない様にフーリに話しかける。

「何でここにいるの?」

勿論協会からの依頼で来た白魔導士ではあるのだろうが、それ以外の理由がなければ普通はこんなところには来ない。

「色々あるけど、一番は来たこと無い地域だったからかな。移動費とか全部協会持ちだから、白魔導士やってて良かったと思うよ」

朗らかに笑うそれに、嘘は感じられない。その反対にうんざりする様な顔をするカレン。

「はぁ、出来れば会いたくなかったのにな」

カイルはまだ気付いていない、今横に並んでいる武闘家ではなく、カレンの隣に居るフーリが自身の命の恩人だと言うことを。

「そう? 私は彼が元気にしてるって分かっただけでも、よかったけど」

フーリはしっかりとカイルを助けたことを覚えている。だが、そのことは彼に告げる気は無い様だ。

「……まぁ、勘違いしてる方が良いか」

 

 地下を進んでいくと、遺跡が天井から生えている。いや、地上にあった構造物が天井のところで引っかかっているという方が正しい。

「こんなに文明が栄えていても滅びるんですね」

フーリが呟くと、カイルが答える。

「ここにいるモンスターが、無機物を主食としている為ですね。構造物に使われている鉱物やミネラルを食べ、繁殖しています。繁殖するのに充分な条件を満たしているのが、仇になるケースも多いみたいですね」

人間が起こした文明をモンスターが滅ぼす例は、過去に幾つもある。

「それはモンスター側にとっても同じ。弱肉強食、お互い様よ」

カレンが吐き捨てると、進む先の土から蟻のようなモンスターが現れた。

「でっか!?」

体調は約3メートル程。黒い光沢のある甲殻が威圧感を増す。

「縄張り意識も強いから、巣に入った敵対生物には無条件で襲いかかってくる。結構厄介なの」

だからこそ、今まで発見されていない物がこの遺跡に残っている可能性は高く、更に奥に進んだ際に何があるのか、探索の価値は高い。蟻の牙が、フーリめがけて襲いかかってくる。

「お、っと」

牙を掴むが、首を振り上げるとフーリごと宙に舞う。

「白魔導士さんっ!」

カイルが剣を抜き、オーソが打撃を与える。切り裂いた部分から、カイルの雷魔術が通り絶命に至る。

「た、助かった~」

フーリが落ちた衝撃で汚れた衣服の砂を払う。どうやら甲殻の内部であれば、魔術も通用する様だ。

「君は……いや、無事で良かった。白魔導士は居て貰わないと困るからな」

オーソが喋ると先に進み始める。自分の怪我を白魔術で治すと、戦列に加わるフーリ。

「……今の一瞬で、ノッキング出来る様になったの?」

傍から見ていれば、オーソの一撃で蟻が怯み、カイルの魔術によって止めが刺されたかの様に見えた。

「まぁ、話には聞いて居たし、特殊な体構造って訳でもなかったからねぇ」

魔力を流し込み、武闘家の攻撃を利用して体を動かない様にする。正確無比な攻撃が前提ではあるが、人間離れした技である事は間違いない。

「はぁ、それでも今後は気をつけなさいよ。鉄も溶かす酸を吐く個体もいるんだから」

大げさに驚くフーリを尻目に進んでいく。

 




読了ありがとうございました。

これから毎日小説をアップしようぜ(某ジ風

一人暮らしをしてそんなに長くないのに、共同生活の感覚を忘れてしまった。
居心地が良いのが半分、一人だと不便だと思うのが半分。
それでも趣味に費やす時間は欲しいねんな(´・ω・`)

それではまた、明日以降の暇時に。
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