ダノン「初めまして、私はダノンと言います。よろしくお願いします」
軽く会釈をして、台本を開く。
ダノン「今回は賢者の石の伝説についてお話ししましょう。それはダンジョンの中層に赴いた冒険者が、賢者に尋ねた事がきっかけです。『それが在れば、魔術の真髄を知る』そんな代物があると聞いてやってきた。その冒険者は魔術を知らなかった。賢者は『あぁ、貴方にその資格はありませぬ』と言う、その言葉に怒った冒険者は、戯言を抜かす者は賢者ではない、偽物だと剣を振るい首と胴を切り分けた。そこから溢れる血に冒険者は触れた。触れた時に、幻覚が見えたのか、自らの喉を掻き毟り、命を絶った。切り分けた首と胴が何事も無かったかのように、元通り賢者の姿になる。元々は賢者の姿をした何か、を賢者の石と呼んでいたと言うことですね」
再び台本を捲る。
ダノン「それでは、物語の続きを開きますか」
肉弾戦においては、フーリの圧勝だった。膂力はほぼ互角だが、再生力でごり押しすれば敵無しだった吸血鬼に、技術などない。相手の攻撃を受け流す事も出来ず、ただただ一方的に打撃を受ける。
「く、くそっ、眷属よ!」
何度目かの応酬で痺れを切らしたのは吸血鬼の方だった。足下に眠るグール達を呼び戻す。
「今更そんなものが効くか! リザレクション!」
戦闘前から準備していた広範囲の白魔術がグールの本来の肉体に戻ろうとする力で逆に肉体が崩れていく。
「なっ、なんだと!?」
驚き、態勢を崩した隙を見逃さず、更に打撃を加えていく。
「逃がすかっ!」
文字通り一方的に吸血鬼を痛めつける姿を見ながら、それでも加勢に加われないレーベン達。
「……フーリさんのあんな顔、初めて見ました」
仲間に見せる温和な表情でも、敵対した魔物との好戦的な笑みでも、命を奪った後の神妙な祈りの表情でもない、同一人物である事を疑う程の憤怒だった。
「そうか、そうだよな」
フーリからすれば、街を襲って、恩師を奪い、レーベン達を危険に晒した因縁の相手と言っても良い。
「それにしても、これだけ完璧な対策なら私達の出番はなさそうね」
カレンが呟くと、息を吐く。勿論それで気を抜くような素人ではないが、現状では焦るような状態ではなさそうだ。
「吸血鬼には、厄介な能力が多くあります。油断は禁物ですよ」
ステラの言葉を現実にするように、吸血鬼が殴られた腕を掴む。
「フーリっ!」
「はっはぁ、油断したな! 貴様も眷属にしてやろうか!」
掴んだ腕から魔力を注ぎ込み、相手をコントロールする。これを行うことで眷属を増やし、マナを他者から取り込む、ある意味吸血鬼として一番代表とする能力だ。
「はっはっは……なんだ?」
掴んだ腕を取り払おうともしない白魔術師に違和感を覚える。それに、吸収するはずの魔力も流れ込んでこない。
「……まさか?」
掴んだ腕を離そうとすると、逆に掴まれる。
「体内の魔力操作は、白魔術師の得意分野って、知らなかった?」
フーリの瞳が吸血鬼を射貫く。魔力を操作するために送り込んだ魔力が、フーリにコントロールを奪われている。それどころか
、接触している部分を介してそれ以外の魔力の操作権を奪い始めている。
「はっ、離せ! 離せ!」
振りほどこうとする手の魔力を操作できず、己の腕すら動かすことが出来なくなっている。
「離さない! 絶対に!」
熱くなり、激情に燃えるフーリ。だがその反対に思考は冷静になっていく。
(この吸血鬼では、師匠の最後の説明が付かない)
最悪のパターンが脳裏をよぎる瞬間、それは現れた。
「おや、吸血鬼がエネルギードレインで敗北するのを見られるとは」
闘いを見物するかのように現れたのは、魔人だった。
「!?」
まるで瞬間移動してきたように現れた魔人。レーベン達にも突然そこに現れたようにしか思えなかった。
「ダノン!」
吸血鬼がそう呼ぶと、腕を切り捨てて魔人の元に駆け寄る。
「あいつが! 白魔術師が! 儂のことを……お?」
魔力が尽きかけ、腕の再生もままならない状態で、魔人に頭部を掴まれる。そのまま悲鳴を上げることも出来ないまま、肉体が変異していき、最後には赤い石になり地面に落ちる。
「おや、巨大樹から吸血鬼になったと思えば……結末は精霊と同じですか。一番面白くない結末ですねぇ」
あっけなく消滅した吸血鬼と現れた魔人。フーリが魔人を睨むと、声を発する。
「師匠を殺したのは、お前だな!」
読了ありがとうございました。
これから毎日小説をアップしようぜ(某ジ風
アニメ見てると、自分の眼が肥えたのか、最近の出来が良いのか。
動きにあぁ、もうちょっと頑張ったら凄い良いのになりそうだなぁ、って思うことがありますね。
レイピアだから刺突だけ、鎌なら半分棒術の動きでもいいのに、とか。
片手剣なのに両手で持つのか……なら柄もう少し長くても良いんじゃ無いか?とか。
作画カロリー? まぁ、それはそう。
それではまた、明日以降の暇時に。