異世界転生で白魔導士   作:3148

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物々しい手甲を机において、整った顔立ちの女性が台本を手に取る。
オーソ「久しぶり、だろうか。オーソだ。職業は冒険者、武闘家だ、よろしく頼む」
台本を幾つも傷が残る指で捲る。
オーソ「今回は、ノッキングについて、だな。まずはノッキングの定義から伝えておこうか。物理的な接触をきっかけに対象の動きを制限する行為の事を指す。つまりは魔術のみの事を指すわけでは無く、体術に寄るものも含まれるということだ。だが、言いたいことは分かる。魔力による干渉のノッキングしか聞いた事がない、ということだろう? それには幾つか理由がある。一つは、魔力を用いたノッキングの利便性が非情に高い事。多用される魔物の多くは体内に魔力を留める仕組みと大量のマナを分解して自身の魔力に変換する仕組みを持つ。それに干渉出来る事が出来れば、致命的な影響を与える事が出来る、それこそ回復するまで指先一つ動かす事が出来ない程にね。そしてもう一つが、求められる能力が非情に高い事。多くの場合は、武闘家が得意な魔物相手に使うイメージだが、本来他者の魔力に干渉するのは難しい。白魔導士が少ないのと同じ理由だな。そして、対象の体構造に詳しく無ければならない。それら二つの条件をクリアする白魔導士は、接近戦闘を基本的に不得手とするからだ」
次の言葉を紡ぐ前に、一息入れる。
オーソ「すまない、話しすぎたな。どういう物かのイメージは、フーリの物語を参考にしてくれ」


第二章 第三十二話 頑然たる真実

 フーリの言葉に魔人は首を傾げる。

「はて、白魔術師の師匠と言われても……ああ、あの時の大白魔導士!」

まるで瞬間移動の様に、フーリ達の目の前から姿を消し、フーリの前に現れる。

「いやはや、弟子が居るとは知らなかった。吸血鬼を一方的に倒すとは、随分と成長したのですねぇ」

右手を伸ばすと、二の腕をフーリが掴み背後に回して体重を掛けて地面に押しつける。

「……油断もなさそうですねぇ」

地面に落ちた賢者の石が魔人の右手に集まり、爆発を起こす。それに気付いて飛び退くフーリ。ダメージは直ぐさま白魔術で回復していく。

「右手に注意して! 原因は分からないけど、吸血鬼も、私の師匠もそれでやられてる!」

爆発による粉塵が晴れると、無傷の魔人がそこに立っている。どうやら、魔人も回復魔術が行えるようだ。

「やれやれ、魔術士ということだから期待したのですが……魔術について無学な人間だとは、がっかりですねぇ。魔法に至る可能性に気付かないとは」

大げさに肩を落とす仕草をする魔人。

「良いですか? この右手にあるのは、私の研究の成果、”魂の変質”の魔術なのです! 触れた対象の肉体のその内にある、魂と呼ばれる部分に干渉する、まさに革命と呼ばれるにふさわしい!」

魂という言葉にカレンが眉をひそめる。

「またオカルティズムに溢れるワードがでたわね。それらしいのはあるんでしょうけど、実際に何が魂かなんて、定義によるじゃない」

物質的な肉体に対して、魂というのはイメージとしてはDNAに近い。魂という部分が作用して肉体が形作られていく、勿論外的要因もあるため、魂通りの形にはならないし、変異する事もある。どこからどこまでが魂の結果で、魂がどういう形なのかは、人間、魔物を通して理解する物は少ない。ただ、マナを扱う者が感知する導かれる何かや言葉や理屈で表せない行動原理を魂と定義することはある。

「そう! 魂とは何か! 魔術に携わる、いや、マナを知るものが抱く原初の謎の核心が、この右手にあるのだ!」

魔人が右手を見つめる。そこに刻まれた魔方陣は確かに、カレンやカイル、フーリも見たことのない物だった。

「その言い方だと、魂に干渉出来るみたいだけど……出来たからどうなるんだ?」

カイルが呟くと、カレンが答える。

「分かってるのはさっきの吸血鬼が賢者の石にされたことだけど」

それ以外は分からない。どういう過程でそうなるのかは分からないし、魔人の言葉通りであれば大樹から吸血鬼になったようだが、それの繋がりは分からない。

「そう、その通り! 確かに魂に干渉する事が出来るが、何が起こっているのかは分からないのだ!」

魔人の言葉にステラが呆れる。

「何をしているのかすら分からない、と」

そんな物が魔術なのか、という言葉に魔人が嬉しそうに返事を返す。

「それを理解することが、私の大義だよ。しかし、難点は脆い魂では変容を受け入れられない様でね。賢者の石になるのであれば未だ良いが、マナになって霧散する個体も多い。やはり、マナを扱う事に長ける魔物や能力の高い人間は、興味深い結果を見れる。そう! かの大白魔導士も興味深い結果だったな」

そう言葉を発すると、魔人の懐から数十を超える賢者の石が現れ、彼の周囲を漂う。

「まぁ、副産物でも役に立つのだから、魔術士や精霊にも価値はあると言えるかな」

それ一つがあれば、魔術を知らぬ人間でも魔術を扱う事が出来、魔術士が持てば、熟練の魔術士や高位精霊と同等のマナを扱う事が出来ると呼ばれる伝説級の代物が、魔人の手にあまる程ある。

「危ないっ」

魔人の左手から放たれるのは、初級魔術ファイアボール。火球を産み出し、自在に操るのだが、膨大なマナの元に現れるのは太陽と見紛う様な熱量を持つ炎だ。

 

 地面を捲り上げ、ステラとカレンが魔術で補強し、レーベンとカイルが対抗するが、それをあざ笑うかのように蹴散らされる。回復魔術を掛けながら受けても、両手は焼け、皮膚を燃やし、肉が焦げ、骨が露出するまで火球が焼き尽くす。

「へぇ、随分と頑丈だねぇ」

魔人の右手がフーリを捉えるその瞬間。

「ご主人様っ!」

コポンがフーリを抱えて飛び退く。僅かに頬を掠るだけで、フーリの体に異常はなさそうだ。

「ありがと、コポン! 腕も治ったし、もう大丈夫……?」

異常な速度で腕が完治する。闘いの最中で有り、魔人に振り返ると、どうやら様子がおかしい。何か信じられない物を見たような、驚いている様な様子だ。

「……まさか、まさか? いや、信じられんが、しかし、これは……」

疑問が、確信に変わり、獰猛な笑みがフーリに向けられる。

「貴様っ、古代種か!?」

 




読了ありがとうございました。

これから毎日小説をアップしようぜ(某ジ風

モンハンでは片手剣、槌、弓、ガンス等を使ってます。
笛なんかも担げる様にした方が良いのかね?
アプデまだ〜?

それではまた、明日以降の暇時に。
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