異世界転生で白魔導士   作:3148

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猫背の女性が周りをキョロキョロしながらテーブルに近づき、台本を手に取る。
クレア「お久しぶりです、クレアです。よろしくお願いします」
頭を下げると台本を捲る。
クレア「今回はダンジョンについてですね。表層部、中層部、下層部と皆さん表現していますが、あれの基準は実は地表からの深さではないんです。というか、深さ的な物は余り関係していないみたいですね。人間の基準で、表層部というのは、ダンジョン入り口から直接アクセス出来る範囲。冒険者でなくても出入り出来る範囲。中層部というのは、冒険者や協会の人間によって、地図が作られたり、道を整備されたりして、一定以上の冒険者であれば辿り着く事が出来る範囲です。例えば、息をするだけで肺が焼け付くような部屋があっても、回り道をしてその先に進める事が確認出来るのであれば、中層部の一部です。逆に、その先に道があることは確認出来るけれど、入っていくことが出来ない場所は下層部や深部と表現されます。下層部に近づくにつれてマナが濃くなり、深くなっていくので言葉と全く違うということはありませんが、中層部のモンスターまでであれば、誰かが情報を知っているだろう、下層部のモンスターは得体が知れない、みたいな感じで冒険者は理解してますね」
彼女が台本を捲ると、再び頭を下げる。
クレア「すみません、話が長かったですね。それではフーリさんの物語をどうぞ」


第二章 第三十四話 敗北

 その時は来た。万全と言うには余りにも強大な敵を目の前にして、怯えを押し殺して対峙する。

「ふむ、亜人は離れなかったか。まぁ、居ても居なくても同じ事だが」

ダンジョンの中層部で出会った時と同じ表情でフーリを見つめる魔人。それに対し、フーリが魔人に問う。

「貴方が魂を変える事で、魂の総量が変わっているとしたら……研究を止める気はある?」

その言葉に意表を突かれたのか、考える素振りをする魔人。

「成る程、それは面白い仮説だが、研究するにあたって実例を増やさなければ分からないな。止める理由どころか、むしろ進めなければならないだろう」

そう結論を出した瞬間に、フーリの姿が消える。魔人の僅か目の前で、何かが弾かれる音がする。

「肉弾戦では、君の方が遙かに優秀だろう。だから賢者の石に、防壁魔術を仕込んでおいた」

一定距離の物質を近づけさせない魔術。接近する物体に対し、魔力による防御を行う。フーリの拳が弾かれるが、もう一度、反対の拳が叩きつけられ、同じ様に弾かれる。

「幾ら君の拳でも限度がある。それに、弾かれた拳もただでは済まない……はずだが」

反射で、ダメージが蓄積するような魔術も組み込んだが、それがフーリに対しては逆効果だ。拳の修復と繰り返される殴打、それに対して防御の魔術が発動し、反射の魔術が発動する。繰り返しの速度が速すぎて、防御の魔術に遅れが生じ始める。

「なっ……!?」

驚きの間に、拳が防御魔術をたたき割り、ズタズタに傷ついた両の拳が魔人の腹部に押し当てられる。

「ノッキング・ダブル」

魔人の体内に巡るマナを、拳から伝わるフーリの魔力が影響を与え、性質を少しだけ変える。

「……ゴフッ」

魔人は吐血し、膝を着く。手を地に着けて体を支えようとするが、それに力が入らず地に体を這わせる。

「魔人は、人間よりも、亜人よりも……他の魔物よりもマナが構成する物質の割合が多い。だから、それを変質させることは致命傷に繋がるの」

倒れた魔人を見て、動かないことを確認して息をつく。

 

「……フーリ!?」

離れた所から様子を見ていたコポンがフーリに注意を促す。だが、気付いた時には既に賢者の石から放たれた魔術がフーリの腹部を貫いていた。

「っ!?」

それと同時に賢者の石が、魔人のマナを整える。どうやら、賢者の石に魔人からの命令が無くなった瞬間に、自動で回復する様に仕込んであったらしい。

「いや、驚いた。流石は古代種といったところかな?」

 

 幾つかの賢者の石が、砕け散り、灰となって散る。内蔵されている魔力を使い付くし、形を保てなくなったのだ。

「ふーん、想像よりも人に近いと思っていたけど、やはり化け物だったということか」

準備に時間を割いて正解だった、と魔人は呟く。単純に回復には魔力の消耗が激しいという点を見ても、これだけの魔力を消耗することは、魔人にとっても初の経験だった。

「素晴らしい。だからこそ、その行く末に興味があるのだ」

そう言って見下ろした先には、地面に這いつくばるフーリの姿があった。

「……っ」

肘をついて、上半身を持ち上げようとするが、途中で力が抜けて再び地面に頬をこする。

「魔力は残っている。肉体の損傷は全て回復してる。どうやら、脳の修復さえも魔術で行っているみたいだけど……ここまで連続で行うと不具合が起きるみたいだね」

興味深そうに、或いは警戒しながら歩みフーリに近づく。懸命に動こうと努力するフーリ。魔人の言う通り、動けないのは、傷が深い訳でも、魔力が尽きたからでもない。

「……くそっ」

心が折れたのだ。魔人を倒す、生き残る、また新しい冒険を歩む、そんな未来を見続けるだけの力が、フーリには残っていない。帰る家は無く、共に歩んだ仲間とは離れ、生きてきた村に戻れば、石を投げられ拒絶される。そんな妄想がフーリの心を蝕み、力を奪う。

「……回復が機能しているのは、重畳というべきなのかな」

体を引き摺って、魔人から離れようとするフーリに、溜息をつく。幾つかの魔術を手元に浮かべるが、加減を間違えてしまえば、彼の目的は霧散してしまう。少々面倒ではあるが、フーリが力尽きるのを待つことが最適だろう。そう考えて、亀の様に鈍重な動きをゆっくりと追いかける。

「しかし、何度も死ぬのも考え物だ。闘っている間はまだいいが、疲労も消耗も激しいなぁ」

早く研究に没頭したい、と呟いた瞬間、閃光が魔人の頬を掠る。

「なんだ、なり損ないかぁ。今更何をしに来た?」

魔術を構えるココに対し、侮蔑の眼を向ける。

 

 




読了ありがとうございました。

これから毎日小説を(以下略

ウマ娘は前に見たんだけど、メイドインアビスとかの見たいアニメを見れてない。
サブスクとか、なさらないんですか?(無知

それでは明日以降の暇時に。
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