老(ラオ)「おぉ、久しいな。ゆっくりしていくといい」
巨大な龍は動かない。動いてしまえば、周囲が崩れてしまうからかも知れない。
老「今回は魔人種についてじゃな。魔人、という名前こそあるが、人間とは根本的に違う。基本的には妖精や精霊のような魔力生命体に近い存在じゃな。一説に寄れば、過去に現れた黒魔術の始祖の姿形を模倣した魔力生命体が発展した種ではないか、と言われている。神と呼ばれる者の姿形を模倣するのは、姿形にあまり意味を見いださない魔力生命体としては珍しいと言うべきなのか、それともそれだけ影響を与える存在だったのか、答えを持つものはいない。何せ儂も知らない時代の話じゃからな、嘘か誠か……とはいえ、現代の魔人種は儂よりも命は短い。彼らにとっては既に意味の無い過去の事になっているのかも知れんな」
僅かに周囲が揺れる。息を吐き出すだけでも、土煙が舞い視界が悪くなる。
老「あぁ、もう時間かな。また会おう、人の子よ」
「なり損ない、か。これだから脳みそのない連中は嫌いだ。人間と魔人種は別種だということすら理解出来ない奴に、魔術の真理は、何千年あっても到達出来ない事が分からないのか?」
ココの杖が、新たに魔術を放つが賢者の石がそれを霧散させる。魔人は呆れた表情で、再び歩み始める。
「ジョークも理解出来ない劣等種に語る口は無くてね。地表に転がる石ころぐらいなら見逃しても良いが、それは駄目だ。お前ごときに扱える代物じゃない」
ココが放った魔術と同様の魔術が、何倍もの規模になって返される。だが、それを防ぐのは同様に賢者の石の魔術だった。
「……どうして」
フーリがその場に現れた彼女に、驚き、呟く。
「そんなこと、話してる暇はないわよ!」
半ば無理矢理ココに連れられるカレンが、研究所に着いた瞬間、顔色が変わる。
「立ち止まらないで欲しいな。君に削く時間も本来不要なはずなんだから」
そういってココが中に入っていく。眼の端々に移るのは、早々見ることの出来ない魔術用品、魔石や魔力を含んだ枝、魔獣の角や爪、それらが惜しみなく実験に利用され、最低限の足場だけが、ココの行く先を示している。
「……なんなのよ、もう!」
同じ魔導士として、レベルの高い工房に驚きを覚えつつ、無愛想なココに複雑な思いを抱き、ココの後ろを追う。
「あいつとの約束だ。君が持っていくといい」
そう言ってココが指さしたのは、一つの赤い宝石だった。
「賢者の石?」
伝説級のマジックアイテム、使用者に膨大な魔力と魔術式を与える。魔術士垂涎のアイテムだ。望んでも手に入る物ではない。だが、最近目撃情報が増えているという情報がある。
「もしかしなくても、魔人が関係あるんでしょうね」
先日邂逅した魔物が持っていて、どうやらそれらしい物が作れるような言い草だったのだ。
「凄い魔力……」
伸ばした右手に、賢者の石が触れた瞬間、カレンの脳内に言葉にが流れ出す。
(何と言うことでしょう……。本当に出会えるなんて)
感極まった感情が、カレンに流れ込んで来る。突然の出来事に混乱し、だがその声が確かに聞き覚えのある声だ。
「うそ……お姉ちゃん?」
それは、先達の冒険者であった姉との再会だった。
(元気みたいでよかった)
リリィの言葉に、動揺し、賢者の石がを落としそうになる。
「ああ、それは何とか形を元に戻しただけだからね。耐久性は保証出来ないよ」
そう呟くココをカレンが睨むと、ココに質問を投げかける。
「どうしてリリィお姉ちゃんが?」
カレンの言葉にココが溜息をつく。
「何も話していないのか。それはフーリが持っていた賢者の石、それを復元したものだ」
カレンが、元々はリリィとフーリが冒険していたこと、カイルを助ける時に賢者の石がが砕けてしまったこと、そして、フーリが他の賢者の石をかき集めて、リリィが会話出来るようにならないかとココに依頼していた事をしる。
「随分と数を集めてくれたからね。サンプルには困らなかったが……自我を取り戻したのはそれが初めてだよ」
そう言うと、ココは溜息をつく。どうやら貴重なサンプルをリリィの為に使い込んでしまったらしい。
「本当に、お姉ちゃんなの?」
聞こえる言葉は、感じる魔力は、リリィだとカレンに伝わる。だが、彼女が体を失いそこに居ることに納得出来ない。
(……本当かどうかは、いずれ分かる。でも今は、フーリを助けてあげて)
フーリの名前が出たことにカレンは驚く。彼女は随分前からフーリが古代種である事を知っていたはずなのに。
「あいつは!」
気に入らない奴だった。カイルがフーリのことを気に入っているのが、気に食わなかった。カイルの命の恩人であることが、表だって否定出来ない事に、鬱陶しさを感じていた。誰彼構わず優しさを振りまく態度に、まるで自分が小さい人間だと勘違いしてしまいそうで嫌だった。自分が拒否していると分かって尚、それでも好意を向けてくる事に、喜んでいる自分が嫌だった。
(きっと今が分水嶺なの。間に合わなくなる前に)
読了ありがとうございました。
これから毎日小説を(以下略
AIイラストで下書きを清書してくれるアプリを下さい(直球
ざっくりの人影とデータ放り込んだら小物とか服とかの情報を書き込んでくれたら書き直すので……
装飾関連の知識が自分の中にないので、そういう所をカバーできるのが、あれば良いな(他力本願
それではまた、明日以降の暇時に。