ケインズ「またこれか……ケインズだ、よろしくな」
喋る言葉が無いようで、居心地が悪そうに台本を捲る。
ケインズ「今回は、ギルドについて、か。そんなのギルドメンバーに聞けよ、ってなると話にならんか。まぁ、フーリが所属してるギルド以外にも多く存在する。目的は様々っていうのは聞いたか? なら、豆知識を教えてやろう。実はな、ギルドは協会よりも先に結成されているのさ。というか、本当であれば協会が一ギルドに過ぎなかった、っていう話だな。元々目的の為に冒険者が協力する事をギルドを結成する、ってことだったから、特に決まり事のクエストも無い時代でも存在はしていたのさ。そして、ギルドとして結成された協会が進めていったのが、他者から依頼をこなすことによって報酬を得る、っていう今のクエストの前身だな。色々なんやかんやあったらしいが、今の形に落ち着いたっていうことは双方に利益があったんだろう」
鎧が擦れる音と同時に、台本を捲る。
ケインズ「それじゃあ、ややこしいギルドや協会の話が聞きたいなら、続きを見ると良い」
ルージュが席に着くと、会長が会議を始める。
「今回、カイルを始めとする冒険者組が、ダンジョン内のレーベン達と合流して、吸血鬼討伐の依頼をこなしてくれた。この件について迅速な対応感謝する」
レーベンが社交辞令は良いと話を進めさせる。
「問題はその後だ。吸血鬼討伐と同時に、魔人種が現れ古代種とも遭遇した。幸いにも魔人種と古代種が敵対し、冒険者達は殆ど損害がなく帰還することが出来たが、この二つの脅威を無視することは出来ないと私は考えている」
そうして、正式に対応を依頼する事を宣言する。
「脅威、とはいえ対応出来るのですか?」
ギルドの面々の一人が会長に尋ねる。
「それは難しい。下手に刺激を与えて敵対するのは得策じゃないと考えている。それらと実際に遭遇した面子含めて、共に対応策を考えて欲しい」
会長が周囲を見渡す、その中にカイルやステラもいる。だが、カレンは居ないようだ。
「まぁ、先ずは俺からだな。先ほど言った通り、魔人種は好戦的ではあったが、俺達が目的では無かった。こちらから手を出さなければ、恐らく手出しは無いだろう、という印象だが、目的次第では敵に回る可能性は十分にあると思う」
そう言うと、周りがざわめく。入れ替わる様にステラが立ち上がり、口を開く。
「次に古代種ですが、サイズは人と同サイズで意思疎通が可能なタイプです。現在知れ渡っている古代種とは少し違いますが、魔人と対等に渡りあっていたので間違いはないでしょう。現れた理由としては、魔人種の目的を阻害する為であり、人間側に敵意は無いと思われます」
ステラの言葉に対して、古代種に異論を唱える面子がいた。
「古代種が人間と意思疎通が出来るというのは本当ですか!? そんな事例は聞いた事がないですよ!」
その言葉に、会長が返答する。
「私が対峙した古代種も意思を持っていた。サイズが違いすぎて認識が難しいだけで、彼らは相応の知性があるのは間違いない」
人間サイズが特例だと言うことと、そもそも古代種の発見例が少なすぎる為、柔軟な対応を期待していると言う。
「それじゃあ、古代種と協力するんですか? それこそ荒唐無稽だと思いますよ」
この会議に消極的な面子が呟く。
「あくまで個人の意見ですが、古代種には人間に好意的だったと感じます! 魔人種と敵対関係であることも含めて、協力態勢を検討するべきではないでしょうか!」
カイルの勢いの良い意見に会長は少し宥めながら、ルージュの方を見る。
「ルージュ君、君はどう思う?」
どうやらこの会議においてフーリが古代種だと言うことは前提に置いていないらしい。つまり、協会として古代種がギルドメンバーとして存在したことを公にはしたくないのだろう。あくまで古代種と魔人種が現れた、ということにしたいようだ。
「……私は」
次の言葉が出てこない。自分がどうしたいのか、分からない。帰ってきて欲しいのか、それとも二度と会いたくないのか、きっとここで蹲っているだけでは、一生分からないと思う。
「ふむ、協会員も意見も割れているようだ。私個人の意見ではあるが、今回初めて……好意的な古代種が現れた事は、チャンスだと考えている。経験から古代種が知性を持つ事はあっても、協力的な例は知らない。古代種を味方につけることが出来るのであれば有益であることは間違いないし、出来ないと判断出来ないのであれば今後の判断としても有益であると考える」
協力関係を結べる様に努力し、不可能であれば対応する、それに協力出来るメンバーに依頼をしたい、そう会長が告げる。報酬は危険度を含めて多額になるが、命に見合うかどうかは本人次第だ。
「僕は行きます! 必ず解決して見せます!」
第一声にカイルの声が上がる、彼は最初から古代種の味方に賛成していたのだから当然だろう。だが、他の声は上がらない。
「……おや?」
協会の入り口が開く音が聞こえる、足音と共に現れたのは、カレンとココだった。
「ああ、丁度会議中か」
「私も行くわ! 古代種には文句の一つも言ってやらないと納得いかないもの!」
鼻を鳴らすカレンに、帰ろうとするココを捕まえるカイル。どうやら協力してくれると勘違いしているらしい。
「分かった、分かったから。報酬も悪くないし、研究に役に立つかも知れない」
ぶつぶつと呟きながらローブを直し、準備を始めるココ。
「あ、ルージュ。君は反対派だろう? この二人に過度な期待は止めた方が良いと言ってくれないか?」
ココの言葉に、ルージュは言葉が詰まる。見かねてステラが口を挟む。
「私は反対ですよ、ココ。余りにも危険すぎる」
「危険でも、行かないといけないんです!」
カイルが力強く返答すると、肩をすくめるココ。
「そう言えば、団長は行かないのかい?」
「俺とステラは、会長と共に地上の警備だ。万が一を言うなら、こっちも重要なんでな」
これが無ければ行くんだがな、と呟くとステラに睨まれる。どうやら、レーベンの態度も反対の一因らしい。
「ココさん」
ルージュが、出発する前のココに声を掛ける。言葉は見つからない、自分が何を言いたいのか分からないまま、それでも何か伝えなければいけない気がしたのだ。
「無事に、皆で帰ってきて下さいね」
ココは振り向かずに、手で合図をして出発する。
読了ありがとうございました。
これから毎日(以下略
キ゛ミ゛と゛勝゛ち゛た゛い゛!!
はい、A決勝3位でした。
チョコボんクリオグリ強すぎぃ!
それではまた、明日以降の暇時に。