異世界転生で白魔導士   作:3148

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壮年の傭兵が、台本を開く。
イェーガー「よう、久しぶりだな。イェーガーだ、元気にしてたか?」
カラカラと小気味よく笑い、台本を捲る。
イェーガー「今回は黒魔術の属性について語ろうか。基本的にはマナを取り込んで自分の魔力にして、その後魔術として行使する、そんなイメージだ。しかし、最初のマナの時点でも、魔力にした段階でも、すでに属性はある。人間には知覚し難いから仕方がないが、例えば火山の付近のマナは火属性だし、それを取り込むサラマンダーの魔力は元々火属性になる。渓谷深く飛ぶグリフォンもまた、マナを取り入れる時に風属性になる。マナを取り込む際の機構が生物によって違う、ということになるかな。後から属性を変えることが出来る魔術は凄いが、自分の魔力によってはやはり得手不得手が出来てしまう。それは人間だけじゃ無く、魔物もそう。自分の魔力に合わないマナの土地では弱っていく一方、逆に言えば土地のマナに合う魔物は強くなっていく」
壮年の男性は一息をついて、台本を捲る。
イェーガー「そろそろ時間かな。それじゃあ、また次の機会だな」


第二章 第三十九話 穿つ空白

 魔人が魔術を放とうとして異変に気付く。先ほどまで倒れて虫の息だったフーリが立ち上がっている。

「……なんだ、それは」

両手の指を胸の中心に突き刺し、ノッキングを解除する。それは、本来古代種として現れるはずだった力を制限する枷だった。

「お前に殺されても良かった……転生してきたばかりの時なら、師匠に出会って冒険者になる前なら、ギルドに入って仲間と出会う前なら、カイルやカレン達と冒険する前なら、死んでも良かった」

でも、もう駄目だ、とフーリが呟く。

それに反応しているのは唯一賢者の石の自動魔術だけだった。だがそれも、効果が全く間に合っていない。フーリの拳が魔人の胴体を捉えて、撃ち抜く。今までの型の通りの正拳ではなく、ただただ力任せに振り抜いた拳が。

「―――は?」

遅れて再生する体と、動かない四肢、腕がちぎれている事に気付いた時には、フーリが小さく見える程距離が離れていた。それだけ吹き飛ばされた事を理解した瞬間に、賢者の石に反撃の魔術を唱える。

「炎よ、熱よ、混ざり、弾けて燃えさかれ! 全てを呑み込み灰燼と化せ!」

一度はフーリを追い詰めた火炎が、魔人の視界一杯に広がる。全力の魔術が周囲を呑み込んだ瞬間に魔人は高笑いをする。

「ハハハ、避ければ人間共が燃え尽きるぞ! 賢者の石の魔力を重ねた魔術だ! 塵も残るまい!」

青く燃える熱が目の前から、切り裂かれるように消え失せる。

「ハハ……は?」

高笑いが消え失せ、表情が引きつる。フーリは魔術で防いだ訳でも無い、妨害の魔術を行ったわけでも無い。直撃して尚、古代種の肉体に傷一つつけることが敵わないのだ。

「ま、まて! 待ってく」

フーリの振り下ろした脚が、地面ごと魔人を打ち砕く。偶々空洞があった場所だったのだろう。大きく空いた穴の中に魔人は呑み込まれて、直ぐに姿が見えなくなった。

「……」

フーリが、魔人に止めを刺すために、崖から脚を踏み出す。

 

 中空で停止する体に、掴まれた左腕を見ることもなかった。

「どこに行くつもり?」

腕を掴んだのは、カレンだった。

「……魔人に止めを刺さないと」

今のフーリの力では、下手に振りほどけばカレンを傷つける事になる。いくら冒険者であっても、重機に振り回される事に耐えられる訳では無いのだから。

「あのねぇ!」

掴む手に力を再び込めて、カレンが言う。

「あんたの事、大嫌い! フワッと柔らかい声も、ニコニコ笑ってる顔も、不器用な癖に他人をホイホイ助けようとするところも! 全部、全部大嫌いなのよ!」

フーリの事を、嫌いだと口にするが、拒絶する意思は感じられない。握りしめられた指は、固く離れることは無い。

「意地悪するんだから! 私が好きになった人にアンタより大切だって思って貰うんだから! 魔導士として、私が上だって、アンタに言わせるんだから!」

握り締められる左腕を、右手で掴む。その気になれば、切り離して崖に降りることも出来るのに。言葉も、動きも無く、ただ立ちすくむ。

「勝ち逃げなんて許さない! 魔人を追うなんてそれっぽい理由で居なくなるなんて! カイルに思われたまま居なくなるなんて!」

その瞳には、涙が浮かんでいた。力を込めた右手は震えていた。そして、精一杯の言葉を振り絞る。

「絶対に、許さないんだから!」

 




読了ありがとうございました。

これからま(以下略

ポケモンスカーレットクリアしました!
図鑑完成はまだです!!(大声
色々色違い欲しい、欲しくない?

それではまた、明日以降の暇時に。
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